『LostHeaven―盲目のユメ―』フリーゲーム三次創作ファン小説/本編終盤のネタバレ・IFバッドエンド妄想含みます。   作:MEIKO

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※元の御話が好きで語彙力が消失しています。全体的に稚拙な文章力で申し訳ないです;
※物語の終盤以降等についてネタバレと妄想に因るifやキャラクター崩壊等が含まれてしまうかもしれませんので、先に深く御詫びを申し上げます。
※ザウアーさんがまた生き残ってしまう……最早、呪いでは;

◆もしも第二の『終末の日』、あの真っ赤に染まった世界でリアン様が外縁調査に出る事無く三百年から五百年程、新生世界統一国家『ヴェルンディア』にて生き続けたら……と云う妄想がお題となっております。

◆本編後半から終盤に掛けてのシーンは本当にしんどくて涙腺が緩みました。ライゼさん、こんな所を見せつけられて良く耐えられるなー、と思ってしまい。もしも精神的に耐えられずあの日、諦めてしまったら……。

◆一部、血気盛んなド修羅場が含まれた戦闘描写が入ります。閲覧の際にはお気を付けて。

◆この物語は公式見解では有りません。非公式のIF妄想ですので原作本編には含まれておりませんので悪しからず。
※此処までの諸注意コピペ同文です。以下本編。


『LostHeaven―盲目のユメ―』第七章

 

 

 

 轟音、轟音、拍手喝采。豪華絢爛の限りを尽くした舞台を輝かせんと七色の稲光が波濤する。

 

 初めに一閃、切り掛かったのはヴェルンディアの若き王を死守すべく誰よりも先に疾駆したレクセスであった。そこに続いて、私と我が従士である『カノジョ』が互いに魔人の戦陣に立ち向かう。

 白き大蛇にも見える鎖鎌を悠々と掲げ迎え撃つ魔人は未だ妖しげな笑みを崩さず、ゆっくりと緩慢な動きで崩落したバルコニーからホールへと踏み込んで来る。そこに軽々と小突くようにレクセスが抜き放った初激が決まる。

 確実に、蟀谷に入ったであろうそれは奴が携える得物の柄に食い止められ、手首を捻りながら彼の斬撃を弾き返し吹き飛ばす。

 

「ハッ、準備運動にもなりはしないな。こんなものではないだろう、お前達の想いとやらは。」

「ぐっ、貴様……っ」

「余り無茶はするな、レクセス! 私とディアナで連携を組む、お前も後に続け!」

「はい、兄さん! 遊撃ならお任せを!」

 

 焼けに物分かりが良いな、と首を傾げるも今は目の前に居る悪鬼羅刹の討伐に注力する。指示を飛ばしつつ即座に散開、迫り来る猛獣の巨釜を掻い潜りホールを蜂の字に駆け抜けて踊るように剣戟を合わせていく。

 二十、三十を軽く超える三人分の斬撃強打の嵐を、奴はしかし蚊でも振り払うかの如くその大剣と鎖で打ち払い悉くいなす。戦況は刻一刻と拮抗していく中で徐々にレクセスやディアナの様子が悪い方向へと変化して行く。

 重い反撃に細剣が悲鳴を上げるも。私の戦闘技術ならば耐え切れる筈だと踏んでいたが、どうにも先程から様子がおかしかった者達が、一際に標的の異常性を肌で感じ取って焦燥している様だ。

 奴は私以外の者には目もくれぬ様で、道を阻む壁を一枚ずつ瓦解させ尋常ならざる速度で成長し強行な侵略で我が背に喰らい付かんと動き出す。その足を止めるには一手遅しと男が嗤う。

 

「止まれェーッ! 止まれと、言っているッ!!」

「何人であれ、リアン様には近寄らせません!」

「あー、あー……お前ら、本当に仲良しだな。こちとら感動の再会なんだ、ゆっくり堪能させてくれても良いだろうがァッ!!」

 

 横凪ぎ、大外刈り、豪快に振り被っての地球割りと多彩に大蛇を操り戦場と云う舞台で舞う姿は魔人と言えど英雄の輝きに近い。世も違えば恐らくは群雄割拠で華々しく駆ける一騎当千の覇者として世界中から引く手数多であったろうに。

 だが、世界は彼を否定した。いや、私の中で蠢く『何者か』が彼の願いも思いも全て壊してしまったのだ。ヴェルンディア王家以外の民草は根も生えない荒廃した地で一人残らず絶命し、生き残っているのは我等が不死者のみ。

 だと云うのに何故、この男を目に留めれば留める程、こんなにも狂おしく懐かしく痛ましく思えて来るのか。この戦況で思惟に身を任せる訳にはいかないが、鳴り止まない警鐘と癒えぬ頭痛に心がざわつく感覚を堪えつつ独自に分析を熟す。

 

 奴の身体的特徴及び戦闘スタイルを鑑みるにアンチエーテル等級『SSS』と目される魔物に酷似している。だがアレは直近、三百年以上前から放棄された研究施設の最奥で不気味な程、静かに獰猛な性質を抑えて潜んでいた筈だ。それが何故、今になって? そして何処から湧いて出たのか。

 面白い、多少では有るが奴に興味を惹かれる。これも研究者たる所以と云う事か、ディアナ及びレクセスの過激極まりない猛攻を擦り抜け男は遂に我が懐間近にまで歩を進めた。

 キングが互いに命の取り合いなど巫山戯るにも程が有ろうが、良いだろう。御望みとあらば真っ向から相手取り、エスコートをして貰おうではないか。我が剣閃を受けて血の徒花を咲かして魅せてくれ。

 

――血河の湖面をいざ、征かん。

 

 

「漸くだ、漸く! お前に触れられる……所まで、来たぞッ!! リアン様よォッ!!」

「良くぞ我が鍛え抜いた獅子共を突破出来たな。その気勢と担力だけは褒めて遣わそう。だが、此処までだ。」

「へっ、嘗ての部下に褒められるとはな! 悪い気分はしねェが、ちっとばかし耳が擽ったいね。昔は、あんなにか弱かったのになぁ!!」

「さて、何の話をしているのか。生憎、昔の事など忘却の彼方に捨て置いてしまってね。」

「それは嘘だ、そんな事は有り得ない。有り得ないと信じている。お前は何も忘れてなんかいやしねェ! 忘れたとは、言わせねェッ!!」

 

 俺が思い出させてやると言いたげな激しい剣戟乱舞に対抗して、こちらも精密且つ鮮烈に百の刺突を放ち見舞い距離を保つ。

 本来、重量級の得物を相手にするには不向きな細剣を華麗に操り、標的の大剣の身を滑らせるようにして超高速のアプローチを嗾ける。だが、奴もその動きは本能的に見切っている様で竜巻状に飛来する幾重もの剣の舞を意図も容易く鎖で搦め捕り極大の致命傷を与えんと咢の大口に引き摺り込む。それを急所狙いの牽制でいなして一定の距離まで後退を繰り返す。

 

「やるじゃんかよ、リアン様。流石は王国一の剣聖とまで謳われた御方だ、ハハァッ!」

「そちらこそ、生まれる世と神威を振るう戦場を違えたな。我が王国で私と対等に渡り合える者など彼等二名以外には居ないと思っていたが、実に惜しい逸材だ。」

「スカウトしてくれるってのかい、嬉しい事言ってくれるじゃないか。三百年前から食い扶持が無くてね、傭兵稼業も上がったりだ……だが、お前らの国に骨埋める気は無いぜ。」

「ほう、それは残念だ。生け捕りにした後、懐柔なり何なりしてでも我が英霊の一軍に加えてみたかったのだがな。」

「ハッ! 攣れない態度で悪かったな、王様。お前の方こそ俺の軍門に下がってくれるってのなら考えを改めてやっても良いぜ!」

 

 眼前で煌びやかに神灯を照らす剣聖は柔和に口角を綻ばせながら続く斬撃、捕縛の一切合切をまるで何処吹く風とでも言うように難なく回避し壁を伝い舞踏する。

 周囲の崩落を気にも留めず抜き放たれる雷撃砲撃蛟の嵐を躱し、三角飛びで天とも地とも呼べない虚空を軽やかに蹴って踏み込みざまに抉り込むような神速の五連撃。いやはや、全く敵ながら惚れ惚れしてしまう程の剣技の冴えだ。

 三連撃は何とか躱せたが追撃の二連までは予測が付かず空いた隙に打ち込まれてしまった。然程、深手を負った訳ではないが。こちらは不死者とは違い、至って普通の人間だ。

 今は『神様』の御力添えで生き永らえ傷を癒しているに過ぎない。掠めた脇腹の損傷を気にしつつ奴に絡繰りを気取られないよう叩き返しの繰り返し。

 この真間では何れ燃料切れを起こし俺は順当に止めを刺されて無残に終焉を迎えるだろう。そうなる前に、何としてでも決着を付けねばならない。腹が減っては戦も出来ない、不便な我が身を自嘲して死者の舞踏に興じていく。

 

 

 交わされる言葉よりも多い剣閃を互いに打ち鳴らして、星の輝きとも思えるような火花を奔流させる。暴風に塗れるホールは今や廃墟同然に其処彼処で悲鳴を掻き鳴らしていた。

 共鳴する人ならざる神威の威光に脆い建造物が耐えられる訳がなく、全ては砂上の楼閣であったかの如く壊滅の一途を免れない。

 

 その最中に魔人の腹を満たそうと自由気ままに襲い掛かる竜の咢に悪戦苦闘、防戦一方であった王の従士らは今正に中央で危機に曝されているであろう主君の援護が満足に出来ず、堪らぬ苛立ちを募らせていた。

 魔人が戦えば戦い続ける程、大蛇の力が増幅され奴から生命力を奪い。そしてこの星々のエーテルでさえも吸い取り彼を永遠不滅の武神として昇華するべく糧とするのだ。放っておけばいくら百戦錬磨の国王陛下でさえも止められぬ代物に成り代わるだろう。

 そうなる前に。アレを殺さねば、だがしかし。白く生々しい体躯を縦横無尽に畝らせ片っ端から魂を食い千切らんと暴虐の限りを尽くす大物に足止めされ容易に進軍出来ないでいる。

 限定解除の承諾を得られぬ身として、未だ一手及ばぬ人の性とその弱さに歯噛みしつつも戦火の幕が下りてから数十ともなる激突の間を飛翔し走狗と化す。

 幾度となく続く剛撃に穿たれ罅割れた床は既に絢爛だった姿を失っていた。空間には黒炎と爆炎が混ざり合い、血と劫火で異様な臭いを充満させる獄中を二頭の狼が駈け抜ける。渦巻く煙から白銀の刃を弾きつつ死線を越えて主君の勅命を待ち望む。

 速く、早く、奴を殺し討ち滅ぼし御身を護れる魂をくれと希う。

 

「チィッ! 小癪なッ!! そこを退けェッ!!」

「切りが有りませんね、これではリアン様の援護に回れないっ!!」

「有ってはならない、有ってはならないのだ! そんな事、今度こそ私が……兄さんを、救うのだからッ!」

「せめて、もう少しだけ入り込めれば……っ!」

 

 どうにかして荒れ狂う戦線を切り開き王を救おうと、沸騰して行く熱情と焦燥感を連撃に込めて黒々とした怨嗟の渦中を奔走する。

 蜷局を巻いて襲い来る死神の大鎌を唐竹割りで撃墜し岩越す浪を滝登り、間髪入れる間もなく飛来する楔の群衆を払い除けて深奥へと只管に目指すも。横一閃に尾を引いて暴れ回る邪神の刃に因って押し返されてしまう。こちらも戦況は変わらず決定打を得られずにいた。

 

 魔人の正体は掴めてはいるが、その目的が未だに不明瞭で不気味に時間だけが過ぎていく。私の横で多少なりとも無茶をしてでも強行突破を試みようと食い縛るレクセス様にも疲労の色が見え始めている。

 この状況は頗る宜しくない。具体的に言うならば弟君の無謀な進軍も、打開策を考える隙を与えない猛襲も、土煙と爆炎に因る視界の悪さも、全てが私達にとって不利な状況を成していた。

 その上で敵の狙いが解らないと来たものだ。先に宣っていたがリアン様と面識が有るようで、信じられない事態ではあるが渦中で戦っているであろう主君の気迫からは嘗てない程の歓喜を犇々と感じる。どんな強者を相手取っても清水の如く凪いでいた、あの御方がたった一人の男に惹かれているなどと。

 そんな事、信じられる訳がない。あの御方は私の初恋の人で、憧れの騎士様で、どれほど手を伸ばしても届かない高嶺の花だったのだ。それを簡単に渡してなるものか、考えるのだ。自分自身の脳を限界以上に働かせて何としてでも策を練る。

 

 

 時間が限られている、大蛇は私達から燃料を得られないと鑑みたのか。世界中に満ち溢れたエーテルを喰い始めた。王都ヴェルンディアを外敵から守護するべく張られたシェルターに固着した輝晶石から吸い寄せられる七色の粒子がホールを渦巻く竜の巣に呑まれていく。

 シェルターに投影された幻想の夜景が解かれて赤黒い闇夜に覆われた真実の世界が露見され、城下町で大恐慌に陥る人々の奇声が耳を苛む。どうしてこんなにも胸中が痛むのか、理解が及ばない自身とレクセス様の些細な変化ですら焦りを感じた。

 何かが魂の底で悲しき咆哮を上げているように思えて、じくりと走る頭痛に抗いながら思惟を巡らせる。

 叩き出された結論は至って単純明解且つ、それに因り起こるであろう最も最悪の事態を想定してしまった。

 

「魔人が三百年も大人しく眠っていた理由……まさかっ!」

 

 その刹那、渦の中心部で爆発的に湧き上がる殺意の発露と共に異常な程の喪失感と衝撃波が我が身を震撼した。

 薄らと晴れ間が覗く暗雲の只中に聳え立つ竜の群れが雁首を揃えて、地面に縫い付けられた白蝶の柔らかい翅を貪り尽くす。

 餌は、手が届く程の近くに存在していたのだ。血化粧に彩られた『あの人』を懐かしむ様に見下ろして、真紅に染まった悪鬼が歪な笑みを浮かべた。

 オレの目的は此処に完遂すると言わんばかりに、不死者の心臓を狙い止めの一刺しが絶望的な速度で振り落とされる。

 

 

「それじゃあな、王様。オマエとのダンス、楽しかったぜ……チェックメイト。」

 

 

――やめろ、止めろ、辞めろ。お願いだから、辞めてくれ……殺さないで、置いて逝かないで。

 

 

 嗚呼、どうして。こうも愛しい花は散らされてしまうのか。

 

 

【『LostHeaven―盲目のユメ―』第七章/了】




 苦手な戦闘描写、何とか形になったので投稿出来る内に出しておこうと思います。
 もう少し良く考えて細かく書いた方が良かったかな、と悩みましたが長過ぎても収拾が付かなくなりそうなので割愛を;
 第十話位までには完結させたい所ですが、果たしてどうなる事やら。このド修羅場の続きはまた次回にて。

 それでは、此処まで御読み下さり有難うございました。また次回も宜しければ御楽しみ下さりますと幸いです!
 
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