今回で物語は終わりとなります。
最後まで見てくださりありがとうございした。
では、お楽しみください。
海上保安庁 巡視船しきしま
「グレードアトラスター轟沈しました!」
船橋内が歓喜に包まれる。最大の脅威となっていたグレードアトラスターが倒されたことに喜ばないものは誰もいなかった。
歓喜に包まれている中、船長の瀬戸はグレードアトラスターが轟沈した方角を眺めていた。あれほど巨大な戦艦があっけなく沈んだ事が、どこか夢の様に感じた。
「船長、本船はどうしますか?」
一人の部下が話しかけてくる。戦闘によって多数の要救助者が出ていたのだ。
「そうだな……」
判断に迷う。安全の為に引くべきか要救助者を助けるべきか悩んでいた。
そこに無線が入る。
「巡視船しきしま。応答せよ」
全員がぎょっとする中、瀬戸はその無線に返答する。
「こちら巡視船しきしま、船長の瀬戸だ」
「こちら海上自衛隊、潜水艦こくりゅうの艦長の秋吉だ。現在、そちらに向かっているためフォーク海峡内で待機してもらいたい」
この事を聞いた瀬戸は決心をする。
「了解しました。フォーク海峡内での救助活動をしながら待機します」
「了解、気を付けて」
無線が切れる。それと同時に瀬戸は船橋内にいる全員に向かって話す。
「これより本船は救助活動を行う。各自、準備を整えよ!」
その指示を聞き全員が動き出す。戦闘が終わって、すぐに救助活動を行うことになった。
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ムー海軍 戦艦ラ・カサミ
艦橋内は騒然としていた。グレードアトラスターから水柱が上がり動かなくなったと思えば、急に轟沈したのだ。
巨大なキノコ雲が20kmほど離れているにも関わらずにハッキリと見える。甲板上にも多くの乗組員が集まっていた。
「何が起きたのだ……」
副長のシットラスが話す。だが、それに回答する者はいなかった。
何が起きたか分からず騒然としている艦橋内。そんな中、魔信が入る。
「こちら巡視船しきしま、これより救助活動を開始する。他の国々も協力してもらいたい」
艦橋内が静粛に包まれる。少し経ってから艦長が話し出す。
「これより本艦も救助活動を行う。他の船にもその旨を伝えよ」
静粛に包まれていた艦橋が再び騒がしくなる。甲板上に居た乗組員たちも命令に従い、救助活動の準備を整えていく。
他の国々の艦隊も救助活動を開始し始めた。生き残った戦列艦は、近くに居た数少ない味方の生存者を見つけ出して救助を行い、ムーの艦隊はミリシアルの生存者の救助活動を行う。
巡視船しきしまからは搭載されていた2機のヘリコプターが発艦して、それぞれがミリシアルとグラ・バルカスの生存者の捜索と救助を行っていた。
生存者の救助活動によって多数の生存者が救助される。だが戦闘で失われた命と比べると生存者の数は圧倒的に少なかった。
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日本国 東京 総理官邸
首相官邸では緊急会議が行われていた。それはカルトアルパスの件であった。
「まず最初に喜ばしいニュースがあります」
防衛大臣が話し出す。
「カルトアルパスに向かっていた潜水艦により、カルトアルパスへ攻撃を行っていたグラ・バルカス帝国の艦隊を全滅させたとの情報が入りました。巡視船しきしまについても多少の損傷を受けたものの、乗組員に怪我人は発生しませんでした」
会場が拍手に包まれる。総理大臣も安心した顔をしていた。
次に外務省の幹部が話し出す。
「次に先進11ヵ国会議についてです。現在、カルトアルパスから東にある都市のカン・ブラウンにて再び行われることが決定しました」
外務省の幹部は、一区切りを入れて再び話し出す。
「外務大臣を含めた外交官らは会議について参加するべきかどうかを求めています。その事についての議論を進めて頂きたいと思います」
外務省の幹部が持っていた資料を各自の席へと配っていく。カン・ブラウンの位置から今後の会議についての大まかな流れなどが記載されていた。
各担当大臣がその資料に目を通す。紙をめくる音だけが空間を支配していた。
ある程度たった後、最初に総理大臣が手を挙げる。
「このカン・ブラウンで行われる会議に、何か気になる事などは無いか?」
一人の大臣が手を挙げる。
「このカン・ブラウンの警備は大丈夫なのでしょうか?一応、現地にミリシアルの艦隊が駐留しているそうですが、再び襲撃を行ってきた際に果たして守り切れるのでしょうか?」
その質問に防衛大臣が返答する。
「現地には、カルトアルパスの警備を行っていた地方隊よりも強力な3個艦隊の108隻が現地に駐留しています。また、衛星から判明した情報では神聖ミリシアル帝国の周辺にグラ・バルカスと思われる軍艦や船は確認されていません。その為、襲撃を受けるリスクは極めて低いと考えられます」
全員が一安心する。現地には108隻もの大艦隊が警備している上に、近くにグラ・バルカスの船が存在しない事から、再び襲撃される可能性はほぼ無い。
次に総理大臣が話し出す。
「この会議に参加する方向性で良いか?」
全員が肯定する。
「それでは次に防衛大臣と外務副大臣に聞きたい。今回、襲撃してきたグラ・バルカスの艦隊を潜水艦が撃破したそうだが、案件を公表するべきだと思うか?それぞれの見解を示してほしい」
最初に防衛大臣が話し出す。
「私としては、この事実を公表するべきだと思います。敵が会議の場を襲撃したのは世界各地に自国の強さを見せる為のプロパガンダが目的でしょう。
会議に出席したいずれかの国に撃沈されたことが判明すれば、そのプロパガンダを失敗させることができます」
グラ・バルカス帝国の目的を挫くことを第一に考えた発言をする。次に外務副大臣が話し出す。
「私としても、この事を公表すべきだと思います。グラ・バルカス帝国が誇る戦艦を撃沈できたことを公表すれば、相手に対して大きな揺さぶりをかける事が可能な他にも、戦闘の結果から我が国の印象を世界に知らしめることができます」
野心を見せた発言をする外務副大臣。国益の事を優先した故の発言だった。
総理大臣は頭を悩ませる。総理は再び他の大臣などにも意見を求めたが、いずれも同じような意見ばかりだった。
総理大臣は決断を下す。
「分かった。それでは現地の外交官に会議に参加する事と我が国の潜水艦が撃沈した事を伝えるように通達せよ」
会議はしばらくの間、続いた。
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神聖ミリシアル帝国 カン・ブラウン
カン・ブラウンの港に多数の船が停泊していた。いずれも先進11ヵ国会議に参加している国の船であった。
現在、カルトアルパスに代わりカン・ブラウンにて先進11ヵ国会議が開かれることになった。それに向けて、カルトアルパスから脱出した外交団たちも再開催に向けての準備を整えていた。
「本国から報告が入りました!」
息を切らせた近藤が待機していた外務大臣に報告を入れる。
「どうだった?」
「先進11ヵ国会議に参加するように通達が出ました。第1文明圏の近くにグラ・バルカスの船が見当たらない事から再び襲撃が来る可能性は極めて低いそうです」
懸念していた事態になる可能性が低い事に外務大臣は安心する。カン・ブラウンにも艦隊が居るものの、不安が払拭できていなかったのだ。
「また、グレードアトラスターを撃沈したことも機会を見計らって伝えるようにとのことです」
カルトアルパスの港を襲撃しに来たグレードアトラスターが轟沈した事は出席していた全ての国の外交官たちが知っていた。しかし、海上自衛隊の潜水艦が撃沈したという事は日本以外の国には知られていなかった。
「これより先進11ヵ国会議を始めます。外交団の皆様は会場に入場してください」
アナウンスが入ってくる。それを聞いた外務大臣らは意を決して言った。
「ここからが本番だと思って行くぞ!我が国の威信を賭けた勝負だ!」
そう言うと、全員が会場へと入っていった。
「これより先進11ヵ国会議を始めます」
神聖ミリシアル帝国の議長が話し出す。
「まず最初に、カルトアルパスの襲撃時において各国の艦隊に被害が出たことに関して、お詫び申し上げます」
議長はカルトアルパスの襲撃時に多数の艦に被害が出たことに対しての謝罪を行った。
しかし、襲撃に対して日本以外は迎撃を選択した結果でありミリシアルには落ち度はほとんど無い。また他にも、現地の警備に当たっていた地方隊は戦闘時に全滅しており、最善を尽くした事は明白な為に、いずれの国からの非難は来なかった。
話題を変えて議長は続ける。
「そしてなのですが、グレードアトラスターの轟沈について何か知っている国はいないのでしょうか?」
ミリシアルを含めた出席している全国家が思っていた疑問を代弁する。
「(来たか……)」
いきなり来た発表の機会に近藤は胸が高鳴る。周りが首をかしげる中、大きく手を挙げた。
「日本国の外交官殿、何か分かるのでしょうか?」
全ての視線が近藤たちに注がれる。緊張に押しつぶされそうになりながらも、話し出す。
「この事について、我が国は大きく関わりがあります」
会場内が騒然となる。議長が騒然となる会場を収めさせる。
「この件の説明の前に、いくつか事前に話したい事があります。まずムーの代表者に質問します」
「何でしょうか?」
ムーの外交官は驚きながらも平常を装って返事をする。
「貴国の軍からの要請を受けて、我が国の海上自衛隊から潜水艦と言う船が2隻派遣される事はご存じですね?」
「はい、軍の方からの要請を受けて派遣される事は把握しています」
「今回、ムーの要請を受けて向かっていた2隻の潜水艦がカルトアルパスの近くを通過していました。そしてグラ・バルカスの艦隊がこちらに向かっていた事から、急遽潜水艦をカルトアルパスへと向けて、攻撃を行おうとしていた艦隊とグレードアトラスターを撃沈しました」
短時間の沈黙の後にマギカライヒ共同体の外交団が口を開く。
「質問があるのですが潜水艦とは何なのでしょうか?また、その潜水艦という船がどうやって艦隊やグレードアトラスターを撃沈したのでしょうか?」
予想通りの質問に近藤は答える。
「潜水艦は水中に潜ることのできる船です。その隠密性を生かして水中から魚雷と言われる武器を使い敵を撃沈するのです」
一瞬の沈黙の後に、海上では大きなざわめきが起きた。自分たちの知らないどころか、発想すらなかった兵器で敵を葬った事がにわかには信じられなかった。
「静粛に!」
ミリシアルの議長が騒然とする会場を収めた後、質問を行う。
「質問があります。疑いたくはないのですが、その潜水艦と言う船が存在するかどうかが疑わしく感じるのです。その為、その潜水艦と言う船についての説明や存在の証明を行ってもらいたいのですが宜しいでしょうか?」
この会議に参加している日本以外の全ての国が思っているであろう事を代弁する。突拍子もない事を聞かされて納得することなどはできないだろう。
近藤は僅かながら笑みを見せた。予定通りの展開になってきたため、最後の一押しを実行に移すことにした。
「ええ、分かりました。潜水艦の説明の他、実際にカン・ブラウンに招いて存在を証明しようと思いますが宜しいでしょうか?」
反対する意見は無かった。全員が潜水艦と言う存在に興味を持ち、その存在を知りたいと思ったからだ。
しばらく経った後、海上自衛隊の2隻の潜水艦はカン・ブラウンの港町に寄港し、各国に対してアピールを行うこととなった。
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グラ・バルカス帝国 ラグナ
グラ・バルカスの帝都ラグナで帝前会議が開かれる事になった。ただし、本来の予定とは大きく異なる形での開催だった。
「まず最初にカルトアルパスへの襲撃についての報告です」
進行役が粛々と話す。だがその声はやや暗い。
「マグドラ群島に居た神聖ミリシアル帝国の第零式魔導艦隊に対する攻撃は成功しました。しかしカルトアルパスに対する攻撃に関しては、現時点においては失敗した可能性が高い事が判明しました」
会場内が騒然となる。それを皇帝のグラルークスが手で制する。
「なるほど。それでは何故、失敗した可能性が高いのか説明せよ」
重々しい声色で話す。会場内に居た多くが冷汗を滝の様に流していた。
「まず最初に、カルトアルパスへと攻撃を行っていたグレードアトラスターと東征艦隊の16隻の消息が途絶えています。そして不確定情報ですが、カルトアルパスでグレードアトラスターが大爆発を起こして轟沈したとの目撃情報が広がっているとの情報も入っています」
「なんだと?」
流石のグラルークスも少し驚く。グラ・バルカス帝国が誇る最強の戦艦が沈没した事に驚きを隠せなかった。
「この事に関する分析結果について海軍の方から発表があります」
今度は帝国三将の内の一人であるカイザルが話し出す。
「現在判明した事によると、カルトアルパスに集まっていた艦隊はカン・ブラウンへと脱出した事が判明しています。先ほどの目撃情報と合わせると、グレードアトラスターは何らかの原因で沈没し東征艦隊も全滅したことは確実でしょう。
なお、攻撃を行っていた艦隊が全滅した原因については調査中ですが、現時点で原因は判明しておりません」
ほとんどが分からずじまいの報告に全員が困惑する。そんな中でグラルークスは疑問を投げかけた。
「調査中で断言できないとは思うが、艦隊が敵にやられたという可能性はあるのか?」
「……あくまでも推測になりますが、個人的には神聖ミリシアル帝国の大艦隊に攻撃を受けて全滅した可能性が高いと思われます。あるいは最近確認された転移国家の日本国の可能性も否定できません」
カイザルは前者の可能性を一番に疑っていた。現時点で確認されている限りでは一番の脅威であると考えていた。
だが、同時に同じ転移国家と考えられる日本国の可能性も否定できない。情報局からの報告では脅威にならないとの判断だったが、それが間違っていた可能性も否定できなかった。
カイザルの推測を聞いたグラルークスは考える。彼は後者の可能性について考えていた。
「(ミリシアルの大艦隊に包囲されての殲滅されたのならばともかく……。もし日本国が我々を上回る強国ならば我が国は滅ぼされる可能性も否定できないな)」
グラルークスが考えていた中、一人の男が形相を変えて会場内に入ってくる。その男はカイザルに対して耳打ちしていた。
「どうしたのだ?」
不審に思ったグラルークスが問う。
「グレードアトラスターと東征艦隊を壊滅させた国が判明しました。……日本国の潜水艦が全滅させたようです」
静かだった会場内が一気に騒がしくなる。
「そんな馬鹿な!?我が帝国以外に潜水艦を持っている国が居るはずがないだろう!」
「日本国は東にある小国では無かったのか!?一体どういう事なんだ!」
「それは何かの間違いではないのか!?」
会場に居るほぼ全員が口々にする。予想の斜め上の展開にほぼ全員がついていけていなかったのだ。
「静かにしろ!皇帝陛下の前なのだぞ!」
帝王府長官のカーツが怒鳴る。その声に会場はすぐに静まる。
グラルークスはカイザルの目を見つめる。
「カイザルよ。想定外の強敵が出たそうだが、果たして我が帝国に勝ち目はあるのか?」
カイザルはすぐに答えなかった。少したった後に話し出す。
「それについては敵の真の実力が判明しない限り、分かりません。ただ一つだけ言える事として、日本国は恐らくはミリシアルを超える強敵となりうるでしょう。場合によっては我が国が負ける事も否定できません」
グラルークスは目をつぶる。祖国の行き先について思い憂いでいた。
帝前会議は続く。予想外の事態と新たな脅威に対しての対応を含めて、グラ・バルカス帝国の未来が掛かった会議はしばらく続いたのだった。
いかがでしたでしょうか?
この作品を最後まで読んで下さり、誠にありがとうございます。
コメントや評価やお気に入り登録をしてくださいました皆様にも、改めて感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
最後に誤字報告を行ってくださいました以下の方々にこの場を借りて感謝申し上げます。
モヤスィ 様
KAIN 様
ぴょんすけうさぎ 様
誤字報告ありがとうございました。
小説のサブタイトルを新しく付けるべきかそうでないか。
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付けるべき
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付けなくてもよい