日本国召喚 カルトアルパス改変   作:文月之筆

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読者の皆様、作者の文月之筆です。

今回、投稿を翌日にするか悩みましたが本日投稿することにしました。
ただ現時点で、次回(第3話)はできていませんので、次回の投稿がかなり遅くなるのはご了承ください。

それではどうぞ、お楽しみください。


第2話

日本国 東京 総理官邸

 

先進11ヵ国会議に出席していた外交官からの報告により、緊急会議が行われることになった。

各省庁の大臣や幹部らが集まっているこの会議は、比較的早急に始まった。

最初に大まかな概要を外務省の幹部が話す。

「外交官から得た情報によると先日、先進11ヵ国会議にてグラ・バルカス帝国の外交官が宣戦布告を行った後に退出したそうです。

その後、神聖ミリシアル帝国の発表によると地方隊が国籍不明……、恐らくグラ・バルカス帝国と思われる艦隊により被害を受けたとのことです。

また、ミリシアルからも大艦隊が接近しているとの発表があったとのことです。

……以上の事からグラ・バルカス帝国の艦隊がカルトアルパスを襲撃する可能性が高いです。

この事についてミリシアルは、うち漏らしが起きる可能性と万が一に備えてカルトアルパスからカン・ブラウンに移動をお願いしているそうです。

しかし、エモール王国の反対をきっかけとして現在、多くの国では外務大臣の護衛を行う艦隊で迎撃する方向性になっているそうです」

沈黙が訪れる。

「直ちに外交官たちと船を移動させるか引き上げるべきです!」

その沈黙を打ち破るように防衛大臣が発言する。しかし、それに反対する者も居た。

「しかし、それでは一致団結して自衛の為に戦おうとしている中、協調を乱すことになって他国からの心証を害する可能性があるのではないか?」

外務副大臣のその言葉に続き、女性の環境大臣が発言をする。

「防衛大臣へ質問します。もし、グラ・バルカス帝国の艦隊と巡視船とが戦えばどうなるのでしょうか?グラ・バルカスの艦隊は昔の艦隊であるのであれば、今の技術の巡視船で対抗することもできるのではないですか?」

2名の問いに防衛大臣は答える。

「まず環境大臣の方から答えますが、結論を言えば無理です。現代の技術と言えどもあくまでも警察任務を行うのに必要な武装しかないので、腐っても近代軍であるグラ・バルカスと戦えば間違いなく負けます。例えばテーザー銃やトウガラシスプレーの様な進んだ技術で身を固めた警察官が、70年前と言えども銃を持った兵士と戦っても勝てない様なものです。そもそも任務が違うのです。治安維持が主な任務の警察と戦うことが主な任務の軍隊とが戦うようなものです。

そして外務副大臣に問いますが、あくまでも我が国は会議に来ただけであり戦いに来たわけではありません。仮に戦う事になったとしても、勝てない可能性が圧倒的に高いのにも関わらず、無理に戦い無用な死者を出すことは良いとは言えないのではないでしょうか?

それに、もし戦いに負ければ相手の思い通りになるのではないでしょうか?恐らく相手は会議に出席している国の精強な艦隊を襲撃し、打ち破ることにより自国の精強さを世界にアピールする事でしょう。海上保安庁は軍隊ではありませんが、沿岸警備隊に相当する組織の概念の弱いこの世界の住民にとっては軍隊が負けたと判断するのではないでしょうか?そうすれば日本は弱い国だという風に見られます。それこそ心証を悪化させる事より重大でしょう」

防衛大臣の反論に外務副大臣と環境大臣は黙る。しかし、今度は別の大臣が発言する。

「質問します。事前に護衛艦隊を送ることはできなかったのですか?もし事前に送っておけば対応できたのではないのか?」

この反論に防衛大臣と外務副大臣は気を悪くする。

なぜなら外務副大臣にとっては、護衛艦の同行を不要とする立場の人間だったからだ。それ故に、責任追及の声はとても耳に痛いものだった。

一方、防衛大臣にとっては今は、責任を追及する場合ではなく直ちに現地の外交官たちと巡視船を引き上げることであったため、責任追及を始めた大臣に腹を立てていた。

また、異世界であるとは言え国際会議の場を襲撃することは想定できないのは当たり前だろう。それゆえに後知恵バイアスのかかった様なこの意見には心底うんざりすると同時に、少しだけ外務副大臣に同情した。

会議が迷走し始める雰囲気を見せ始めた。本当に迷走を始める前に手を打たなければならない中、防衛省幹部の1人が防衛大臣に耳打ちする。

「総理、よろしいですか?」

防衛大臣が手を挙げる。その行動に周りの注目が集まる。

「現在、カルトアルパスの近くに海上自衛隊の潜水艦2隻が居ます。本来はムーとの軍事交流の為に向かっていたのですが、直ちにカルトアルパスに向けることを許可して欲しいのです」

この発言に会議の場はわずかにざわつく。

「分かった。しかし、その潜水艦は間に合うのか?」

「今すぐに指示を出せば間に合う可能性があります」

総理大臣は首を縦に振る。

「よし、分かった。直ちに潜水艦2隻をカルトアルパスへ向けさせてくれ」

それを聞いた防衛大臣は直ちに防衛省の幹部に指示を出すと、幹部はすぐに会議から出ていった。

「(ムーに潜水艦の事が知りたいとの申し入れがあったから送ったのが、思わぬ形で助け舟になるとはな……。しかし、もしこの話が無かったら……)」

防衛大臣はムーからの軍事交流の申し入れがあった事に感謝した。

そんな中、先ほど責任追及をしていた別の大臣が話し出す。

「これで、巡視船の退避は不要となったのですか?」

この質問に防衛大臣は微妙な顔をする。

「あくまでも、万が一のための潜水艦を派遣するのであります。そのため、決して退避が不要となったわけではないと私は思います」

ただ、退避が間に合わないならば潜水艦が来るまで退避を行わないとの判断もできますがね。と付け加えようと思ったが止めることにした。今すぐに退避した方が良いのに無理に戦う方向に向くことを避ける為にだ。

しかし、彼の思惑とは別に会議の方向が進んでしまった。

結局、退避するように決まったのはしばらく経ってからだった。

 

・・・・・・・・・・

 

神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス

 

政府から入ってきた情報にうれしいものがあった。それは、近くにいた潜水艦2隻を派遣することになった。しかしその一方で、会場移動に関しては特に指示が出ずに待機することになった。

どうも会議は迷走しているらしく、このことは現地の外交官たちをいらつかせた。

そして、現場の先進11ヵ国会議でも同様に迷走気味であった。

「駄目みたいですね」

外交官の近藤はため息を着く。ミリシアルが避難をするように呼びかけ、他の国が拒否すると言うことを繰り返していたのである。

部下の井上は近藤へ耳打ちする。

「このままでは埒があきません。何か行動に移すべきです」

井上の言葉に近藤は頷く。

「しかし、どうする?」

「諸外国にグラ・バルカス帝国の予想される強さを教え回るのはどうでしょう?ひょっとしたら、考え直してくれるかもしれません」

しかし、その井上の言葉に近藤は懐疑的な見方を示す。

「しかし、この世界は文明圏やら列強やらの古いしきたりで凝り固まっているぞ。エモールのアレを見ただろう。あんな状況ではいくら説明しただけでも理解してもらえるどころか馬鹿にされかねんぞ」

思わず井上は渋い顔をする。余りにも感情的な口論をグラ・バルカス帝国の外交官としたことや、迎え撃つように呼びかけたことが頭に浮かんだ。

そんな中、横に座っていたパンドーラ大魔法公国の外交官が尋ねて来た。

「失礼しますが、貴国の政府への問い合わせの返答はどうなりましたか?」

近藤と井上は顔を見合わす。

「ええ、そのことに関してですが……。現在、協議中のようで待機するように言われています」

潜水艦の話はあえて伏せて話す。このことを話せば、余計に避難を行うことができなくなるような気がしたからだ。

「そうですか。しかし、貴国が居ればグラ・バルカス帝国など大した脅威にならないように感じます。何せあのパーパルディアを下したのですから」

近藤は思わずため息をつきそうになる。先ほど話した様子の典型的な反応なだけに、うんざりしていたのだ。

しかし井上は近藤と違い、黙って聞いているだけではなかった。

「個人的にはグラ・バルカス帝国はかなりの脅威のように思います」

井上の発言で、近藤とパンドーラの外交官は驚いた表情を見せる。

「我が国の巡視船の機関砲は5kmほど届きますが、グラ・バルカス帝国の砲は最低でも10km以上は届きます」

パンドーラの外交官は絶句する。あのパーパルディアの魔導砲ですら2kmほどの射程なのにそれを軽くこえている。

いきなりの衝撃的な話に頭が追い付かない。が、そんな事知った事かと言わんばかりに井上は追い打ちを掛ける。

「さらに、航空機は時速500km以上でありワイバーンでは到底敵わないでしょう」

余りにも常識離れした情報が外交官の頭を駆け巡る。もしこれが本当ならば、ここにいる艦隊のほとんどは当てにならず、ミリシアルとムーぐらいしか有力な対抗馬にならないだろう。それに、相手は大艦隊である。それではミリシアルでも数で押し切られる可能性が脳裏に浮かぶ。

パンドーラの外交官は恐る恐る話す。

「あのグレードアトラスターに関する情報はありますか?」

港で見た巨大な戦艦のグレードアトラスターを思い出す。当初はちょっとだけ強いただのデカブツ程度の認識だったが、この認識が間違っている可能性に気づく。

「少しお待ちください」

井上は事前に調べていた資料を探す。その井上に近藤はパンドーラの外交官に聞こえないように小声で話しかける。

「何としてでも説得させるんだ。ひょっとしたら風向きを変える橋頭保になるかもしれん」

井上は、分かってますよと軽くうなずく。

資料を見つけた井上はパンドーラの外交官へ向かい話す。

「これがグレードアトラスターに関する情報です」

その話を聞いた外交官は耳を疑った。それは次のようなものだった。

 

戦艦グレードアトラスターについて

スペックのいずれも推定である

・全長260mほど

・全幅39mほど

・推測・確認されたこと

1.主武装の主砲は3基9門あり、口径は46cm、射程は42kmほどあると考えられる。

2.また、副砲が2基6門あり、砲の射程は27kmあると考えられる。

3.高角砲や対空砲が多数装備されており、レイフォルの戦いにて多数のワイバーンを単独で殲滅したことからも強力な防空能力があることが推測される

4.イルネティアとの闘いにて100発以上の命中弾を浴びてもなおも戦闘を続行したことが確認されており、戦列艦程度の火力では撃破できないことは確実である。

5.速力は27ノットを出していることが確認されており、恐らくこれが最大の速度であると推測される。

 

あくまでも他国からの推測である部分が多い以上、すべてを鵜呑みにすることはできない点は留意する必要があるだろう。

もしこれが事実ならば、仮にここにいる艦隊だけでグレードアトラスターを迎え撃つなど自殺行為に等しいだろう。

「あの……。グレードアトラスター以外の戦艦はどうなのでしょうか?」

「性能は大幅に劣るでしょうが、ここにいる艦隊相手ならばグレードアトラスターが戦うのと大差ない結果になるでしょうね」

パンドーラ大魔法公国の外交官は頭を抱える。にわかには信じがたく、普通ならば一蹴するような内容も有った。しかし、パーパルディアを下した日本の分析ではそうなると言われた以上は、ただのデタラメなどと決めつけられないように彼は感じたのだ。

一度、対応を再検討する必要があると考えた外交官らは日本の外交官らに向かい礼を言う。

「貴重なご意見をいただきありがとうございます。一度、その情報を分析したいので失礼しますね」

上手いこと目的を達成できた井上もすかさず礼を言う。

「いいえ、どういたしまして。この意見が貴国にとって良い事をもたらす事を期待していますよ」

パンドーラの使節団は元の席に戻ると、複数人で何かを話し合っていた。

その様子を見た近藤は少し嬉しそうに話す。

「とりあえず、1ヵ国を説得できそうだな」

「はい。ただやはり、にわかに信じられないのでしょうね。今までの常識の全く通じないようなことがあると受け入れるのに時間がかかるというか……。

それよりも、個人的な感想ですがパンドーラ大魔法公国は第3文明圏の国です。そのため、比較的こちらの主張を聞いてくれやすかったのだと思います。もしもこれがエモールならば……」

井上の脳裏にありえないと言う言葉が浮かぶ。同時に近藤からも声がかかる。

「ああ……。そうだろうな。俺でも予想がつく。……まあ、とにかくこれは大きな前進ではあるな」

近藤の言う通り、これは大きな前進であった。だがしかし、前進はここで終わる事となった。

井上のグラ・バルカスの戦力分析の情報を聞きに来る国は他にもあったのだが、いずれの国ではあまり信用しなかったのだ。

流石に列強のパーパルディア皇国を下しただけあったため、表立って馬鹿にしたりするような事はしなかったのだが、荒唐無稽な事を言い出す変な国家という認識というのが共通の認識だった。

ミリシアルの外交官はこの情報を耳にした時、驚いて首都へ情報を送ったためミリシアルの上層部にも知れ渡った。

しかし対応は変わらなかったことから、この会議の場にて生かされることはなかった。

 

そうこうしている間に、グラ・バルカスの艦隊は順調に予定を進めていた。目標はカルトアルパスの各国の艦隊。

帝国の威信を賭けた戦いを始める為にすべての船が準備を整えながら海を進んでゆく。

 




いかがでしたっでしょうか?

ストックが切れたため、恐らく最低でも2~3日は更新は無い可能性があります。
ですが一応、更新をできるだけ早くできるように頑張りたいと思います。

また、コメント・お気に入り・評価などをして下さりありがとうございます。
この場を借りてお礼申し上げます。

これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。

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