前回と違い、安産で上手く書けたと個人的には考えていますが、どこかしら変な部分があるかもしれませんのでご了承ください。
あとがきに重要な報告がありますので、どうかご覧ください。
臨時世界連合軍 巡視船しきしま
瀬戸衛はとても苦い顔をしていた。なぜならば、迎撃に向かっていった42機のエルぺシオ3が全機撃墜されたからだ。だが、何よりも敵機はレーダーにより5機ほどしか落ちていないようだったのが1番大きい。
圧倒的なキルレシオ差に周りの部下たちも絶句していた。
「参ったな……」
確かに敵機はエルぺシオ3よりも多かった。敵機は60機ほど居たが、互角の性能ならばここまで差は出ることはないだろう。
そうしている間に、敵機は艦隊の直掩機へと襲い掛かった。
「ニグラート連合のワイバーン部隊、交戦に入りました!」
「ムーのマリンも戦闘に参加!」
「エモールの風竜も交戦開始しました!」
複葉機やワイバーンや風竜が敵の単翼機と入り乱れての戦いを始める。機銃の曳光弾やワイバーンの導力火炎弾が空に飛び交う。
命がけの空戦が繰り広げられている間に、その間からグラ・バルカスの爆撃機が急降下する。
「敵機、パンドーラの艦隊に対して急降下を開始!」
唸るような甲高い音と共に敵機が降下しているのが見えた。
一方のパンドーラの魔法船から矢の様なものが放たれた。ただしその矢はすぐに落ちずに、空を昇っていく。その直後、黄色い線が機体から放たれる。爆撃を行う前に、対空砲火を弱める前の機銃掃射をしたのだ。
シリウス急降下爆撃機が放った7.7mm機銃はパンドーラの魔法船ウミスに致命的な一撃となった。
「あっ、パンドーラの魔法船が爆発しました!」
ウミスは赤い火柱を上げて爆散する。
「なにっ!?」
流石の瀬戸も驚く。まさか機銃掃射の段階で轟沈するとは思っていなかった。
そう驚いている間にも、今度は魔法船テルミスと旗艦であるドーラも轟沈する。
「冗談だろ!?」
あっと言う間に3隻も沈んだ事に驚かずにはいられなかった。
そうこうしている内に、しきしまにも攻撃の手が迫る。
「敵機2機が接近中!」
「攻撃開始!撃墜せよ!」
艦首に搭載されている35mm機関砲が接近している敵機に向けられる。
敵機が3kmほどの距離に入った時、それは火を吹いた。
曳光弾が空を切って、吸い込まれるように1機の急降下爆撃機に命中して機体を粉砕した。
遅れて、もう1機にも発砲された35mm弾が命中する。今度は翼が粉砕され、錐揉み状態に陥った機体は海に激突した。
「2機撃墜!」
巨大な水柱を眺めていた瀬戸の耳に報告が入る。
「よろしい。このままの調子で行くぞ!」
周りも思わず沸き立つ。予想以上に敵はあっけなく撃墜された。
「報告!右舷の方向、敵機4ほどが低空から接近中」
今度は4機の雷撃機がしきしまに迫る。速度は先ほどの急降下爆撃機より遅いが、搭載されている魚雷は1発でも命中すれば間違いなく沈没するだろう。
「発砲せよ!」
今度は後部の機関砲も右舷へ向いた。4km程の距離に入ってから機関砲が火を吹く。
ゆっくりとした速度で飛んでいる雷撃機に35mm弾が直撃し、2機が海へ叩き込まれる。
残りの2機はそのまま雷撃を敢行しようとしたため同じ末路を辿った。
再び、船内が沸き立つ。これで計6機がしきしまに撃墜された。
一方で、しきしま以外の艦の状態は芳しく無かった。
既にムーの戦艦が爆撃を受けて大きな損害を出していた。その他にもトルキア王国の戦列艦も機銃掃射では撃沈されなかったが、投下された爆弾により2隻を喪失していた。
また、空の方では風竜が比較的健闘していたのだが、数の差でじりじりと追いつめられていた。
「くそっ!数が多いっ!」
隊長のウージは叫ぶ。1対1ならば圧倒していただろうが、相手は数が多いためキルレシオでは1対1になっていたのだ。
「隊長、後ろの奴を何とかしてください!」
「分かった!」
味方の後ろを取っていた戦闘機に対して圧縮空気弾を発射する。ワイバーンの導力火炎弾よりも早い速度の圧縮空気弾は戦闘機に直撃し、それを撃墜した。
「ありがとうございます!」
後ろを取られていた味方は命を助けてもらった礼を魔信機に叫ぶ。
「礼は後だ、それよりもこいつらを落とすぞ!」
ウージは敵の戦闘機を睨む。
「(ここまで強いとは……)」
予想外の強さにエモールの竜騎士たちは苦戦していた。
一方のニグラート連合のワイバーンとムーのマリンは、絶望的な状態だった。
敵の攻撃により48騎も居たニグラートのワイバーンは38騎まで数を減らしていたが、敵は1機も落せていなかった。
ムーのマリンはそれと比べればマシではあったが、それでも撃墜したのは、まぐれで命中した弾により落とされたアンタレス1機と、急降下爆撃を行おうとしていたシリウス艦上爆撃機の後部機銃と撃ち合って差し違える形で撃墜した1機だけであった。
多くの航空機が空中戦を行っている中、低空を多数の航空機が艦隊に向かって接近していた。
「くっ、あいつらめ!」
1人のマリンのパイロットがそれらを見て吐き捨てる。アンタレスやシリウスよりも遅いリゲルならばマリンでもなんとか撃ち落とせるだろう。
しかし現在はアンタレスと交戦しているため、迎撃に向かえなかった。
低空から接近しているリゲル艦上雷撃機24機は各国の艦隊へと迫っていた。
神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦アルミスの艦橋のもとに魔信が入った。
「こちら巡視船しきしま、船長の瀬戸だ。あの低空から接近している機体に注意するんだ。
あの機体には魚雷という水中を走る爆弾がある。当たればひとたまりもないぞ!」
聞いたこともない兵器の存在とその脅威にアルミスの艦長のニウムは驚く。
「主砲、右舷に向けろ!目標、低空から接近している敵機だ!」
変な命令に部下たちは困惑するが魔信の事を思い出し、慌てて準備を始める。
主砲の砲口に青白い光が集まる。
「発射準備完了!」
「撃て!」
アルミスの主砲の音が海へ轟く。放たれた青白い跡を引く砲弾は海に落ちて、多数の大きな水柱を生む。
「敵機撃墜なし!」
巨大な水柱に飲み込まれた機体は無かった。予想こそしていたものの、非情な現実にニウムは顔を歪める。
アルミスの行為を見た他の魔導巡洋艦やムーの戦艦や巡洋艦が主砲や副砲を撃ちまくる。海には多数の水柱が上がった。
それにより、運悪く水柱に飲まれた1機と操縦をミスした1機が撃墜された。しかし、22機は各艦の近距離まで接近していた。
ミリシアルの魔導巡洋艦へ10機、巡視船へ6機、ムーの軍艦達へ6機向かっていく。
「対空砲、準備完了!」
「撃てっ!撃ち落とせ!」
アルミスに搭載されている25mm対空魔光砲が発砲を開始した。
全弾が曳光弾であるため、尋常じゃないほどの弾幕になって見える。3機ほど撃ち落とされるが、残りの7機が魚雷を投下し離脱していった。
「白い
「回避しろ!取り舵一杯!」
大きな船体を持つ魔導巡洋艦8隻は大きく左へ船体を傾けた。そこへ白い
海を見たニウムは顔を青白くした。恐怖の攻撃がこちらへと迫ってきたのだ。
「(頼む、当たらないでくれ!)」
その願いが通じたのか、魚雷は1隻にも命中しなかった。
「全弾回避しました!」
見張りの報告が入ると同時に、大きな轟音が響く。
「ムーの巡洋艦が命中したそうです!」
ムーへ向かっていた6機が投下した魚雷の内、2発が回避できなかった巡洋艦へ命中したのだ。
喫水線下に大穴の開いた装甲巡洋艦はあっと言う間に右へと傾いていく。やがてその傾きが限界へと達し、装甲巡洋艦は転覆し沈没してしまった。
もし命中していたら、あのようになっていたであろう事に艦橋にいた艦長らは身を震わせていた。
その一方で巡視船しきしまは、特に被害を出すことは無かった。なぜならば6機全てを魚雷を投下する前に撃ち落としてしまったからだ。
「驚いたな……。日本の巡洋艦はムーや我々よりも対空戦闘能力がとても高いようだ」
敵と味方に圧倒的な力の差を見せつけられた事にニウムは悔しそうに言った。
しきしまの船橋では微妙な空気が流れていた。攻撃を行おうとした6機全てを撃墜できたのだが、ムーの装甲巡洋艦が1隻撃沈された事から手放しで喜べなかった。
そうした中で魔信が入る。
「こちらアガルタ法国艦隊、これから艦隊級極大閃光魔法を使用する!」
何なのかよく分からないが、魔法を使って相手を攻撃する事だけは分かった。
「船長!アガルタの艦隊を見てください!」
「ん?」
巨大な魔法陣が海上に現れる。そして、その魔法陣から巨大な光線が放たれた。
「ファッ!?」
現実離れした光景に思わず変な声が上がる。だがそれは敵も同じようで、光線に命中した2機が炎に包まれ、避けようとした1機が海へと叩きつけられた。
だがしかし、光線はすぐに止んでしまった。
「魔力切れ、再充填まで6分!」
魔力が切れたところで、グラ・バルカスの急降下爆撃機が一斉に襲いかかる。
1機のシリウスに搭載されていた250kg爆弾が機体から切り離されてアガルタの魔法船に迫っていく。
「爆弾命中!1隻轟沈!」
赤い炎と共に木製の船体が弾けてマストが倒れる。残りの5隻にも攻撃が行われ、2隻を残して撃沈された。
「こっちへ向かっているぞ!」
爆弾を投下した後のシリウス8機とまだ投下していない4機が迫ってくる。
「爆弾を積んだ機体を先に狙え!積んでいない機体は後だ!」
2基の35mm機関砲が4km離れた地点から接近している12機のシリウスを狙う。
「撃てっ!」
2基から放った35mm弾は、まず最初に2機の爆弾を積んだ機体に命中する。2機は火に包まれて海へと落ちていく。
2度目の発砲が行われる。前方の機関砲から放たれた35mm弾は、1機のシリウスに命中して主翼をもぎ取るように吹き飛ばす。
後方から放たれた35mm弾は1機のシリウスのコックピットを貫き中に居たパイロットを粉砕した。
「爆弾搭載機、全滅しました!」
爆弾を搭載した機体は全滅したが、まだ8機ほど残っている。
2.5kmほどまで迫ってきた。すると今度は20mm機関砲も射撃に参加する。
3回目の発砲により3機が撃墜された。その時、敵から光が飛んでくる。
「伏せろ!」
船長の瀬戸は部下に伏せるように叫ぶ。しかし射程が短かったことから、しきしまには命中せず海に小さな水柱が上がる。
4回目の発砲と同時に船橋内に音が響き、窓にひびが入った。同時に敵も3機ほどが火に包まれて海へ落ちていく。そのうちの1機はしきしまの前方100mほどの地点に落ちた。
唸るような音を立てながら、2機のシリウスがしきしまの上空を飛び去って行こうとする。だが2機とも35mm機関砲の射撃により叩き落とされた。
「損害報告!負傷者は!?」
最悪のシナリオが頭に浮かぶ。しかし、それは杞憂に終わった。
「負傷者はいません!損害は煙突と隣のボートが損傷、それと船橋に多数の弾痕が見えます!」
瀬戸は船橋内を見回す。全員無事である。右舷の窓ガラスの多くにひびが入っているのが目に見えた。
シリウスが発射した7.7mm機銃の弾は船橋周辺に命中したものの、強固な防弾設備により貫通しなかったのだ。また機銃の弾は船体の一部と煙突の周辺に命中していたが、いずれも人的損害は生じていなかった。
「良かった……」
誰も負傷者が出なかったことに安堵する。それと同時に敵の航空機は引き上げていった。
一連の攻撃により、各国の艦隊に以下の損害がでた。
ムー国 巡洋艦1隻喪失
アガルタ法国 魔法船5隻喪失
ニグラート連合 戦列艦2隻喪失
パンドーラ大魔法公国 魔法船4隻喪失
その他にも損傷した船は数多くにのぼる。
その一方でグラ・バルカス側は合計で23機を各国の対空砲火で喪失していた。
また空中戦でも大きな損害を出しており、お互いに痛み分けと言う結果で終わった。
重要なお知らせについてです。
一応、第3話の修正に関しては第6話ができた後に行おうと思います。
(予想では第6話辺りで物語の終わりが見えてくると判断したためです)
誤字報告を行ってくださった以下の方々へ、この場を借りてお礼申し上げます。
さとりの怪 様
ぴよんすけうさぎ 様
GIOSU 様
誤字報告について気づくのが遅れたせいで、感謝のメッセージを書くことができませんでした。大変申し訳ございません。
以降、気をつけていきたいと思います。
そして、次回についてですが少し難産になる事が予想されるので更新が遅れるかもしれません。
ですが、前回と同じようにならない様に気を付けていこうと思います。
小説のサブタイトルを新しく付けるべきかそうでないか。
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付けるべき
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付けなくてもよい