日本国召喚 カルトアルパス改変   作:文月之筆

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読者の皆様、作者の文月之筆です。

今回で決着にする予定でしたが、予想よりも長くなったので決着は次回になりすです。
(最終話は10話になりそうです)

では、どうぞご覧ください。


第8話

グラ・バルカス海軍 戦艦ベテルギウス

 

戦艦ベテルギウスと2隻の駆逐艦は撃破された6隻の空母の生存者の救助活動の為に、しばらくその場にとどまっていた。そして救助活動が終わった3隻は西の方角へと逃走を始めていたのだ。

「まだ見つからないのか?」

「はい。水上偵察機も飛ばしていますが、未だに見つかりません」

救助活動中に水上偵察機を飛ばして、周辺の海域に雷撃を行った潜水艦を探していたが、足取りすら掴めていなかった。

艦隊司令のアルカイドは焦る。敵が逃げたのならば良いのだが、逃げておらず追撃しようとしているのならば再び攻撃される可能性があり大変危険である。

「艦隊司令殿、敵は果たしているのでしょうか?攻撃を行おうとする様子はありませんが……」

ベテルギウスの艦長がアルカイドに尋ねる。未だに攻撃が来ない事から潜水艦は撤退したのだろうと思っていた。

「確かに撤退した可能性はある。しかし敵が撤退したことが判明していない以上、警戒を怠るべきではないだろう」

彼も内心は撤退した可能性が高いと思っていたが、ここまでやられた以上は非常に警戒せずにはいられなかった。

「なあに。あと少しの我慢だ。今の速度で移動していればすぐに安全になるさ」

現在、29ノットの速度で艦隊は移動していた。10分も在れば、攻撃を受けた海域から9kmほど離れることになるため攻撃を受ける心配も無くなるだろう。

それまでの我慢だとアルカイドは自分にも言い聞かせた。そうでもしないと緊張で頭がおかしくなりそうだった。

 

3分ほど時間が経った時それは起きた。

ベテルギウスの前方に居た駆逐艦2隻から大きな水柱が上がる。駆逐艦は1撃で船体がへし折られて、あっと言う間に沈んでいく。

「なっ!?」

唐突に起きた出来事に艦橋に居た全員は驚いた。雷跡が見えない事は分かっていたものの、実際に突然撃破される事となると彼らは驚かずにはいられない。

「まずい!」

アルカイドが叫ぶ。次はベテルギウスの番になると思ったからだ。

「面舵一杯!」

艦長は見えない魚雷を避けようと指示を出す。しかし、ベテルギウスに向かっていた魚雷を回避する事はできなかった。

ベテルギウスへと向かっていた4本の89式魚雷は、ベテルギウスの真下に潜り込むと搭載されている磁気信管を作動させる。

大量の爆薬が詰まった弾頭が炸裂する。その衝撃波は船の竜骨を破壊すると同時に船底を突き破った後、閉められていた水密隔壁を破壊して一気に艦内へと海水を吹き込ませる。

4本中、2本が機関室の真下で炸裂し蒸気ボイラーやタービンを破壊した。そして残りの2本が第1、第4主砲塔の真下で炸裂した為に弾薬庫が引火した。

ベテルギウスの2つの主砲塔が火柱と共に吹き飛ぶ。さらに他の副砲などの弾薬庫も誘爆を起こし、次々と爆発が起き始める。

船体の至る所から黒煙が上がる。同時に魚雷によってできた破孔から大量の浸水が発生し、船体は急速に左へ傾き沈んでいく。

「そんな馬鹿な!」

アルカイドは叫ぶ。余りにも一方的で一矢報いることもできずにやられたことに信じられない様子だ。

そして同時にこの船の運命を悟った。もうすぐ沈むであろうことは簡単に予想できた。

ベテルギウスは大爆発を起こした。船体はこの爆発に耐えることができずに3つに分かれて、艦に居た全員を道連れにしながら短時間で沈んでいった。

 

・・・・・・・・・・

 

海上保安庁 巡視船しきしま

 

船橋の窓からは、船の残骸と脱出した人が乗っているボートに、1隻の炎上しながらも沈んでいく魔導巡洋艦が見えていた。先行していた魔導巡洋艦8隻が激しい戦闘の末、すべて撃沈されたのだ。

瀬戸たちは次に狙われるのが自分たちである事に恐怖感を感じられずにはいられなかった。しかし、だからと言って逃げることはできない。

「敵の距離は?」

「およそ20km程です!」

20kmまで近づいたという事は、十分に相手の有効射程に入ったという事になる。

「総員、気を引き締めてかかれ!何としても生きて帰るぞ!」

敵の砲撃を躱して魚雷の命中まで時間を稼ごうとする。どれぐらい待てばよいかは分からないが、生きて帰るためにはそうするしかない。

瀬戸は自身の心臓の鼓動が高まってくるのが分かる。一か八かの大博打を前に心臓が止まるのではないかとさえ感じる。

グレードアトラスターが沈黙をしている事がとても不気味に感じる。だが、その沈黙も長くは無かった。

「主砲、動き出しました!」

巨大な主砲が動き出す。2基の主砲がこっちに向く。

「面舵一杯、回避だ!」

船橋にいた操舵手が操舵輪を右へ切る。少し遅れて副砲が火を吹いた。

「主砲発砲!」

一気に船橋内が緊張に包まれる。誰もが当たらぬことを願っていた。

これにより、激戦が再び幕を開けることになった。

 

・・・・・・・・・・

 

グラ・バルカス海軍 戦艦グレードアトラスター

 

司令塔内は騒然としていた。魔導巡洋艦が最後に放った4発の砲弾の内、1発が副砲のバーベット部に命中して揚弾機構を破壊し使用不能にしたのだ。この際にちょっとした火災が発生し弾薬庫へ誘爆する危険性があったのだが、現在は消し止められていた。

「第1副砲塔の揚弾用エレベーターが破壊されており副砲は発砲不可能です。その為、現時点では46cm砲のみが敵に向けられます」

副砲が使えなくなった事はとても痛い損害だった。敵の多くが巨大な主砲を使わなくても対応できる船ばかりな為、発射速度の早い副砲が使えなくなったのは不運でしかなかった。

だが、副砲が使用不可能になったものの主砲は使用可能なため、このまま攻撃を続ける事を艦長のラクスタルは決定する。

「そうか……。これより、主砲のみで攻撃を行う。標的は……、接近している日本の巡洋艦だ」

砲火力から脅威にならないためムーの戦艦を先に狙う事も考えたが、万が一の事も考えて20km程の位置にある日本の巡洋艦を狙うことにした。

「弾種は徹甲弾のままで良い。使用する主砲は前方の2基だけで十分だろう」

ミリシアルと戦った時と同じ判断をする。ただし副砲は使えない。

「主砲装填完了!」

グレードアトラスターの巨大な主砲がゆっくりと旋回する。6門の火砲が敵へと向き、想定された距離に合わせて仰角をとる。

「発射準備完了!」

主砲塔から準備ができたことが知らされる。ラクスタルは心を落ち着かせてから言った。

「撃て」

グレードアトラスターの46cm砲が火を吹く。グラ・バルカス帝国の技術の賜物と言える巨大な主砲は大きな音を海へ轟かせる。

「装填完了次第、指示を待て」

副砲が使えないことから、確実に当てたいと考えたラクスタルは修正に時間を多く割くこと考えていた。

「日本の巡洋艦、右へ舵を切りました!」

砲撃を避けようと回避行動を取ったとの報告が夜戦艦橋から入る。

「射撃指揮所へ連絡、目標は回避行動を取っているから当てにくいぞ。多少時間がかかっても良いからよく狙え」

一般的に回避行動を取っている船を狙うのは容易な事ではない。幸いにも敵の砲火力が低い事から無理に数を撃つよりも、時間をかけてでもしっかりと狙う事を選んだ。

 

少し時間の余裕が生まれた事から、ラクスタルは疑問に思っていた事を考える。随伴していた駆逐艦3隻を沈めた謎の飛翔体についてである。

当初予想されていたミリシアルでなければ日本の巡洋艦が発射したのではないかと考えていたのだが、未だに発射する様子が無い。

「(ミリシアルと日本でなければ一体何処から来たんだ?)」

ひょっとしたら艦隊から来たわけではないのかもしれないが、そうだとしたらいったいどこから来たのかという話になる。これまで来たルートには敵はいなかったし、その周辺の海域も調べて敵がカルトアルパスとマグドラ群島以外に居ない事も確認していた。

「(まさか潜水艦?)」

そんなはずはない。そうラクスタルは思った。なぜならばこの世界には潜水艦は存在せず、仮にあったとしてもそれは攻撃直前に潜航する様な船であるために偵察機が事前に発見しているだろう。

考えれば考えるほど謎が深まっていく状態の中、報告が入る。

「主砲弾着!全弾外れています。」

予想通りだった。しかし落胆などはしていない。むしろ、ここからが重要なのだ。

「射撃指揮所、準備は良いか?」

「ちょっと待ってください……。はい、計算できました!いつ発射しても大丈夫です」

少し長い間が空いたものの、準備はしっかりできたようである。

「よし。主砲、撃て!」

主砲を撃つ命令を下す。

46cm砲の発砲音が司令塔の中にも聞こえる。しかし、グレードアトラスターの巨大な船体は主砲の発射時の振動を吸収している為に振動は感じない。

修正はきちんとしていたが、光学式測距儀の性能が悪い為に今度も外れる。

「このまま修正を行いながら、射撃を続けるように」

主砲は少しづつずれを修正しながら狙いを定めていく。だが敵に命中させるためには、まだまだ時間がかかるだろう。

 

・・・・・・・・・・

 

海上保安庁 巡視船しきしま

 

「取舵一杯!」

しきしまは敵の砲撃を避ける為にジグザグに航行していた。不規則的に行う為に、なかなか狙いを定めれない様だ。

永遠に感じるほど長く感じる。だが実際にはそこまで時間は経っていない。

「7時の方角に着弾!」

6本の水柱が上がる。いずれも前よりかは近い距離に着弾していた。

「敵との距離は?」

「16kmです!」

敵はどんどんと近づいている為、少しづつ命中率が高くなっているように見える。

瀬戸は焦りを持つ。少しでも当たる確率を下げるために回避行動をしっかりと取っているが、それでも完全には誤魔化しきれない。

「よし、次は面舵20度だ!いくぞ!」

「了解!」

航海士が操舵輪を右に回す。少し時間が経ってから船体が右へと曲がり始める。

「敵艦発砲!」

巨大な主砲が火を吹く様子が見える。艦全体を覆う程の煙からグレードアトラスターが姿を現す。

音速を超える徹甲弾が轟音を立てて上空を通過する。今度も大きくずれているものの、3回目よりも近くの位置に落ちていた。

「近くなっているな……。そうだ!」

瀬戸はある事を考える。

「放水銃を使って水の煙幕を張るぞ!ひょっとしたら少しは時間を稼げるかもしれん」

その発言を聞いた全員は困惑した表情になる。そこまで役に立つとは思えない。それは発案者の瀬戸も同じだった。

だがしかし、何もしないよりかは効果があるかもしれない為に作業を始めた。

マストとヘリコプターの両舷に設置されている放水銃から水が放たれる。高い上空に放水された水は、しきしまの左舷に白いカーテンを作り出す。

「予想よりは上手く行きそうだが……」

海水のカーテンを見た瀬戸は思わずぼやく。ただし、海水のカーテンは船体を完全には覆えていなかった。

海水を撒きながら進む姿はグラ・バルカス側に少なからず混乱をもたらしていた。

 

・・・・・・・・・・

 

グラ・バルカス海軍 戦艦グレードアトラスター

 

夜戦艦橋では混乱が起きていた。放水銃によりできた白いカーテンを見た彼らは最初は何をしようとしているのか分からなかった。

「何だあれは!」

副長が叫ぶ。驚いた全員がその様子を見つめる。

「あれは……。煙幕でしょうか?」

その様子を見た見張り員が話す。それを聞いた全員がはっとなった。

「見張り員、司令塔に報告するんだ!」

副長が見張り員に報告するように促して、見張り員が伝声管に叫んだ。

 

「敵艦、煙幕の様なものを張りました!」

放水銃の水のカーテンを見た見張り員がそう報告する。

「煙幕のような物は何だ?」

その光景が見えないラクスタルは詳しく詳細を求める。

「水です、水を使って煙幕の様なものを張っています」

ラクスタルは納得する。海水ならば海からいくらでもくみ上げられる事から、水を使った煙幕の展開を合理的に感じた。

同時に懸念していた事態を確かめる。

「射撃指揮所、敵は煙幕のような物を張っているようだが大丈夫か?」

「幸いにも煙幕の濃さは薄いのですが、上手く張られている為に精度に多少影響が出るかもしれません」

ラクスタルは言わなくても分かっていたが、レーダーを使えば何とかなるだろうが故障している為に影響が出ることは避けられなさそうだ。

「(予想以上に厄介だな……)」

予想外の事態にラクスタルは驚きつつも、冷静に対処していた。予想外の事態が連続しながらも、グレードアトラスターの乗員たちがパニックにならなかったのはラクスタルの冷静さがあっての物だった。

報告が入る。

「主砲発射準備完了!」

「撃て!」

正確な距離が掴みにくくなったために修正に時間がかかったものの、グレードアトラスターは5回目の発砲を行った。

 




いかがでしたでしょうか?

予想では9話で戦闘自体は終わりとなる予定です。
(多分これ以上伸びないと思います)

最終話に関しては、10話で政治的なやり取りなどで終わらせようかなと思っています。
(あくまでも予定です)

次回の投稿も更新が遅れると思いますがご了承ください。

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