戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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ライブ行ってきましたでっすよ〜
響さんも皆さんもお疲れ様でした

そして……
(後書きに続く)


第陸拾壱話

「あ、一兄。その槍、私が持っとくよ」

 

「そうか? 助かる」

 

 怪我した鈴ちゃんも抱えていた一兄から元通り……元ってどんなかわからないけど……になった槍だけ預かる。

 そのついでに真っ赤な鈴ちゃんにサムズアップ♪

 

「――――っ!?」

 

「???」

 

 にしてもこんなすぐに発見されるとは思わなかったな-。また夏休みぐらいまで行方知れずになると覚悟してたからちょっと拍子抜けです。

 こつこつ突っついてみたけど無反応。こっちは変わらずなんだ。

 ま、見つかってくれてた方が助かるからいいんだけどさ。

 

………………

…………

……

 

「作戦完了――と言いたいところだが、お前達は独自行動により重大な違反を犯した。けが人も出ているときた。帰ったらすぐに反省文の提出と懲罰用の特別トレーニングを用意してやるから、そのつもりでいろ」

 

「うぇっへー」

 

「教師に対してその態度とは余裕だな、織斑妹。お前の分だけ内容を追加しておいてやろう」

 

「ごめんなさい!」

 

 帰還したらお化けも凍っちゃいそうなくらい冷たい空気に出迎えられてしまった。

 腕組み仁王立ちで待ってるちー姉まじ怖ス!

 そして今、私たちは30分くらい正座して、降臨した雷神血躙愉様からの稲光を受けてます。

 

「…………」――ピクッピクッ

 

「…………に、にぱー」――ガクガクブルブル

 

「あ、あの織斑先生。もうそのへんで終わりにしましょうよ。こ、これ以上は傷に響きますから」

 

「ちっ……」

 

 こ、怖かった……。舞い降りた女神様(まやっち)にお祈りを捧げとこう。

 

「それじゃあ、みなさんまずは水分補給をしっかりしてください。ただでさえ夏で危険なんですから、ちゃんと意識しないと急に気分が悪くなっちゃいますよ」

 

 はーい、とみんなで返事をしてスポーツドリンクを受け取る。

 体勢も崩していいとのことなので、立て掛けた踊君に撓らってもらいもたれかかる。

 でも口が遠いのなんの。

 傷はすっかり治ってるけど、活を叩き込み暴れた体は全身の至るところで筋肉痛を引き起こしていた。肘が全然曲がりません。

 

「ストローください……」

 

「あらあら、ごめんなさい」

 

 長いストローをさしてもらってちゅーちゅー吸う。

 うーん。じれったい。

 

「…………」

 

「………………? な、なんでしゅか?」

 

 淡々と見つめてくるちー姉に変な日本語を出してしまった。

 

「……しかしまぁ、よくやってくれた。よく、無事に帰ってきた」

 

 なんかちー姉が照れくさそうな顔をしていたような……、確認しようと思ったけどその前に小さな悲しみが言葉の隅から零れた。

 

「まだ終わってないんだよな。あいつもすぐに見つけ出してやんないとな」

 

 ……ん?

 

「ダメですよ。それは私たち先生のお仕事です。皆さんはゆっくり休んでいて下さい」

 

 んん? ……んんん?

 

「しかし、踊は私たちを庇って!」

 

 なんか箒ちゃん達がヒートアップし始めた。……もしかしなくても、みんな気付いてない?

 

「あの~…………」

 

「そうだ。響もじっとしてなんかいられないよな!」

 

 そんなじっともなにも……

 

「もう踊君見つかってるんですけど……」

 

 ポン、ポン、ポン、チーン。

 

「「「「「「「……はいっ?!」」」」」」」

 

 たーっぷり時が止まってようやく動き出したら叫ばれた。本格的に耳も鍛えるべきかな……。

 じゃなくて、一兄は寝てたし仕方がないのかもだけど、皆の前でちゃんと話したよね?

 

「えと……あの時、イアちゃん言ったよね?」

 

『ええ、確かにちゃんとお伝えしましたよ。踊さんは真槍(・・)の機人ですって』

 

「ま、まさかそれって……」

 

 皆の視線が私の背もたれに向けられた。

 

「うん。この槍が踊君だよ? てか一兄も話してたじゃん」

 

「あの時の声が!?」

 

「おーい。よーうくーん、起きてるー?」

 

 背中を揺さぶりぎしぎし撓らせる。やっぱりこうなっちゃうと当分反応は返ってこないかな……。

 

『――なんだ、響? もう少し寝かせてくれ。エネルギーの補充をしたいのだが』

 

 おお! 返ってきた!?

 

「あ、あれって……物理的の話だったんだ。思考的な話と思ってたよ……」

 

「わ、私もですわ」

 

 なんでか皆の目が白黒してる。

 

「本当に踊なのか?」

 

『ああ。そうだが……。信じられないのも無理ないか。仕方がない。響、ちょっと離れていろ』

 

 言われた通りに槍から背を離す。そしたら槍が光り出した。

 

「あまり回復できないからやりたくはないが信じてもらうためだ。これで納得出来たか?」

 

 そして光が散ったそこには……

 

 

 

 なんと!!

 

 

 

 着物幼女がいたぁあああああ!!!!

 

「なんでさ!?!?」

 

「省エネだ」

 

 幼稚園児くらい? 膝丈くらいのロリ(性別的にはショタ?)踊君が袖を垂れさせて私たちを見上げていた。

 

「これで信じてもらえただろうか? 一往、これは俺……聖踊(わたし)の小さい頃の姿なのだが」

 

「あ、ああ」

 

 踊君、いや、よう君の上目遣い、なんて破壊力!? さすがのちー姉が折れた。まや先生に至っては顔が綻んでる。たぶん私も。

 

「どうした?」

 

 ちょっと踊君を抱え上げて膝に乗せてみる。

 筋肉痛なんてなんのその~。

 いやされる~。

 

「ん? ん?? ん???」

 

「て、ほっこりしてる場合じゃないですよ」

 

 あ、そうでした。一兄を追い出して、よう君は……うとうとしてるから終わった人と当分待ってる人でほっこりしよう。

 

 

 

「ねー、ねー。結局、なんだったの~?」

 

「ダーメ。機密だから」

 

 のほほんちゃんを中心に数名の女の子がシャルちゃんたちに群がって話を聞き出そうとするけど、軽くあしらわれていた。

 

「でもね~。あんなのやあんなのを見ちゃうと気にならないわけがないよ~」

 

 唯一群がられてない私、の隣の幼女を皆が見つめる。

 

「あれ、聖君だよね。腕、千切れてなかった?」

 

「もう! 食事中に止めてよー!」

 

「その前に何でちっこくなってんの!?」

 

 ちっこい手でちょこちょこ食べてるよう君に遠慮して近づいてこないだけなんだけどね。

 

「あの化け物くらいは話しても良いと思うぞ? 隠せることでもないし、どうせ帰ったら学園側から正式に公表されるはずだぞ」

 

 だったら詳しい話は後日学園でまとめて、と言うことで皆落ち着いた。

 

「………………………………」

 

「…………おぅ?」

 

 あー、でも一兄の隣の箒ちゃんが借りてきた猫を被ったような落ち着きようでちょっと怖かったな……。

 どうせ一兄が何かいらないことしたんだろうけど……。

 

 

 

 波打ち際で一夏と箒は二人きりで静かに景色を見て、何かを語らっていた。何を阿呆なことを話して行動したのか、いつものバカ騒ぎが繰り広げられている。

 無茶無理通した響の姿は流石になかった。今頃ようぐるみを抱き枕に夢の中に旅立ってることだろう。

 そんなもの達を眼下に置いて、一人の女性が手すりに腰掛け無邪気に笑っていた。

 

「ふむふむ、紅椿の稼働率は48%かー。よっくんやひーちゃんが良い刺激になったかな?」

 

 服装はどこかの不思議な少女、でも頭に乗っかるものは不思議な少女が追いかける動物の耳である。なんとも変わった格好をしてるのは紅椿の制作者、篠ノ之束そのものです。加えて小さなお鼻で楽しげに唄っていた。

 

 

「それにしても白式ってばふっしぎ~。まさか操縦者の生体再生まで可能だなんて、まるで――「『白騎士』のよう、だな。コアナンバー001にして発の実戦投入機、お前が心血注いだ一番目の機体にな」――やぁ、ちーちゃん」

 

「おう」

 

 薄暗い森の奥から千冬は音も立てず姿を現す。身を包む漆黒のスーツは背景を纏い静かな威厳を主に与えている。

 

「ところでちーちゃん、問題です。白騎士はどこに行ったのでしょう?」

 

「白式を『しろしき』と呼べば、それが答えなのだろ」

 

「ぴんぽーん。さっすがちーちゃん、わかってる~」

 

 互いに背を向けあい顔を見合わせることなく穏やかに会話は続けられていく。

 

「それにしても不思議だよね~。あのコアは私がちゃんと綺麗さっぱり初期化したはずなのに、一番最初の機体の特徴を残してて二番目の機体ちーちゃんの『暮桜』のワンオフ・アビリティーを引き継いでるなーんて」

 

 そうなのだろうと感じていてもその謎は誰にも解決することは出来ない。

 

「まっこと不思議な話であるよな」

 

「! ……お前も来ていたのか」

 

「呵々、始まりの二人が集うておるのに、もう一人が寝ているわけにはいかぬ話であろう?」

 

 滑るように摺り足で道を分けて、純白の着物を羽織りこぢんまりした幼女もどきはその場を尋ねる。

 

「やっぱり君が黒武士くんなんだね。……………………よっくん」

 

 是であるよ、そう答えてようはニッコリ笑った。表裏隠さず立ち振る舞う姿から放たれる風格は見た目の先入観を容易く裏切るほどに強く隔絶したものがある。

 初めて海側から目を反らし二人を見た束は、口元歪めて行った。

 

「二人ったら格好逆だよ~」

 

 前にも似たようなことを言われたな、なんて感慨深いものは余所に踊も千冬も自身の格好を見直す。

 白と呼ばれた女性が漆黒を着て、黒と呼ばれた男性が純白を着る。

 うむ。見事に逆である。

 

「であるな。されどこれはこれで時の趣というのがあろう」

 

「ふ、まあな」

 

「ぶーぶー、それじゃあ束さんがかわんないみたいじゃないか~」

 

「「事実だろ」」

 

「てへっ」

 

 そんな下らない話をしてても時間はあっという間に過ぎ去る。

 

「ん……そろそろ行かなくちゃ。ねぇ、ちーちゃん」

 

「なんだ?」

 

 今まで座っていた手すりの上に立つと、耳をピクピクさせて束は二人に問う。

 

「今の世界は楽しい?」

 

「そこそこにな」

 

「そうなんだ。じゃあ、よっくんは?」

 

「呵々、楽しんでるぞ。世界というのは不思議だらけ。一世界を一方から見ただけで飽きるにゃ持ったいないものがある。まぁ……」

 

 振られて踊は本当に楽しそうに笑う。

 

「ふーん……、そっか」

 

 遙か遠い空から吹き抜ける風が三人の隙間を通り過ぎ草木を唸らせた。

 

「――――――――」

 

 ザー、ザー、と擦り合わせる音の中で束は何かを呟いて、そして霞のように消えていった。

 

「……余り悔いるでないぞ、束嬢」

 

「……あいつなら大丈夫だ」

 

 残された二人は彼女の未来を祈り、宿に戻る。女性は弟の眠る部屋で休むため、幼女は妹の抱き枕にされるために。





シンフォギア4期決定おめでとうございます!
これでしばらくは生きる目標に困らない!

「困っちゃダメだよ!?」

ひゃっひゃっひゃー!
フォニックゲインが体内に満ち満ちてやる気がだだ漏れデェス!

「それ漏れちゃダメなヤツだから!?」

おっと、いけない……
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