戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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第6話

 とりあえず寝覚めの一言。

 

「久々の未来の温もり、暖かかったです」

 

「い、いきなりなに言ってるのよ」

 

 思ったことを素直に言ってます。

 

「も、もう。はい、これ着替え! 今日もやるんでしょ?」

 

「わぷ!」

 

「私は朝ご飯の用意してるから、早く着替えて行ってきなさい」

 

「ふぁーい」

 

 顔に覆い被さってるジャージに着替えて体を伸ばす。軽くストレッチもして解しとかないと。余計な疲労が堪んないようにしないとね。

 それじゃあ日課のランニングに出発です。

 そして早く未来のご飯を食べるんだ。

 

「行ってきま~す」

 

「いってらっしゃい。気を付けてね」

 

 いつもなら顔を覗かせて見送ってくれるんだけど、今日はしてくれないみたいだ。

 うぇへへ……、まだ顔が赤いんだろうな~。

 

 かる~くダッシュ。

 

「確り続けているようだな」

 

「師匠、おはようございます!」

 

 途中で師匠と鉢合わせたので一緒に走ることに。

 

「ほぉ、十年というのは事実のようだな」

 

「?」

 

「つい数日前までとは筋肉の付きがまるで違う。無駄なく洗練されている」

 

「一度だってサボったことありませんから!」

 

 師匠に褒められたー!

 ブイブイ、なんて喜んでると後ろから魔の手がやってくるらしいから後ろを確認、良し問題なし。

 

「つい最近、俺が叩き起こさなかったら二度寝していたのはどこの誰だったかな。……それと残念、上だぞ」

 

「わぁっ!?」

 

 しゅたっとよう君が降ってきた。しかも師匠には聞かせてはならない恐ろしい言葉を吐きながらです。

 

「ほぅほぅ。それは興味が引かれる話だな。聖、その辺り詳しく聞かせてもらえないか?」

 

「ええ。もちろん構いませんよ」

 

「それ、言わない約束……!」

 

 はわ、はわわ、はわわわわっ……!?

 

「…………久々に稽古を付けるとしようか」

 

 やっぱりいつ見てもおおきいです、…………………………師匠の壁は。

 

 

 

「ただいま~……。疲れたぁ……」

 

 もうくたくた。

 玄関に倒れ込むのも仕方がありません。

 でも玄関の向こうから未来の手料理が私を呼んでいる。今日は和食なんだ。ほかほかご飯に食欲もそそられます。

 学食も美味しいんだけど、やっぱり私は未来のご飯が一番です。しかも私用に特盛りにしてくれてるから超幸せ。

 うぇへっ、うぇへへ……天にも昇れそうな気分……。

 

「こらっ。ちゃんと手を洗ってきなさい」

 

「はぅ!?」

 

 叩かれた手を見てびっくりする。完全に無意識で手を伸ばしていた。

 恐るべし未来の手料理! 私の手を容赦なく誑かす!

 

「しつこい」

 

 ごめんなさい。すぐに洗って……

 

「仏の顔は三度って良い言葉だと思わない、響?」

 

「はい! すぐに手洗いうがいしてくるであります!」

 

 め、目がマジだった。

 まれに現れるハイライトのない目でやる未来のニッコリスマイル。あれには並大抵の琴で逆らっちゃ行けない。最悪の場合、ご飯とお小遣いが取り上げられてしまう。

 

「洗ってきたであります」

 

 大急ぎで爪の中までピカピカにして席に着く。

 

「よし。……いただきます」

 

「いただきます」

 

 早速メインの焼き鮭にかぶりつく。ちょっぴり塩味濃いめで、これはご飯が進みます。続いてお味噌汁……おダシはしっかりでも味付けは薄めと健康指向な一品。鮭とよく合ってて飲みやすい。

 

「はぐはぐっ!」

 

「……響はまた出掛けるんだよね? えっと……IS学園だっけ、向こうの学校に」

 

 お椀の白米が半分になった頃、未来が唐突に切り出した。

 

「うん。向こうでもノイズが現れちゃったから、対処できる誰かがいないといけないんだ」

 

「それは響じゃないと行けないの?」

 

「う~ん……。別に私じゃないと、てわけじゃないかな。でもやりたいんだ。他の誰かに任せるんじゃなくて、私がこの手で」

 

 ま、ノイズがいなくても私は向こうに行ってたと思うけどね。神様の頼み事もなんとかしないとだし……。

 

「そっか……」

 

「でも心配しないで。いつだってちゃんと帰ってくるから」

 

 どれくらいのペースでできるかはわかんないけどまたこんな風に未来とご飯を食べれるはず。

 

「けふぅ……。ごちそうさまでした」

 

「お粗末様でした」

 

 いや~美味しかった。

 仲良く片付けを済ませたらしばらくなにもせずただくつろぐ。……といっても今日の予定が全くないからなだけなんだけど。

 

「これからどうしよっかな~」

 

 なにせ帰って来れるだなんて思ってもいなかったんだもん。やりたいことが大量のようなまったくないような感じになっちゃってる。

 10年ぶりで3日ぶりというのがネックだよ……。

 およ? お客さんがきたみたいだ。

 

「はーい!」

 

 未来が玄関に迎えに行く。

 

「あ、ようさん。おはようございます」

 

「おはよう。響も部屋にいてるか?」

 

 よう君でしたか。

 

「どうかしたの~?」

 

「いや別に慌てることじゃないんだが、今後の身の振りについて二課で話そうかと思っていてな。二人に予定が入っているのか確認しにきたんだ」

 

 さっき師匠と一緒に居たじゃん。その時に話してくれたら良かったのに……。

 

「私がお邪魔しても良いの?」

 

「当然だ。むしろ居てくれないと困る。未来は響の保護者だろう」

 

「いやいや、違うで「わかりました」みくぅ~!?」

 

 わかられっちゃった!?

 

「響も早く着替えなよー」

 

「え、あ、うん……」

 

 まぁ、未来ならいっか。

 

 

 

「ダンナいるー?」

 

「来たか。こっちはもう揃っているぞ」

 

 翼さんとクリスちゃんがいる。

 ……ああ、そっか。私が向こうに行った後はこっちのことを2人に任せることになるんだ。そのことかな?

 昨日とはちょっと違って長机に向かい合って座る。私はど真ん中で隣は未来とクリスちゃん、向かいはよう君でその横に師匠と翼さんです。

 

「聖」

 

「うぃ」

 

 言われてよう君はいつぞやのミニ浴衣(子供用var)から生足を覗かせてイスの上に正座した。

 

「翼嬢たちには既に話しているのだが、近いうちに俺たちは再び向こうの世界に向かう予定なんだ」

 

「そのことなら響から聞いてます」

 

「それは良かった。なら話が早い。今回無事に世界間移動が可能になったので、今後もある程度のペースでこちらと向こうを行き来しようかと考えているんだがその話をしたくてな」

 

「へー、世界の移動ってそんなに気軽にできるもんなのか?」

 

「普通は無理だ。恐らくクリス嬢たちにも利用はできない。これは出生が特殊な俺とその影響下であの始まりのゲートを潜ってしまった響だからこそできることだ」

 

 そう言えばこっちに来る時は神様とあってないや。それと関係があるのかも……。

 

「異なる世というのに心躍るが残念だ。それで、私たちとしては長期休暇の時に戻ってくるという認識だったのだけれど?」

 

「私もそう思ってたんだけど……違うの?」

 

「響がそれでいいなら俺はかまわんが、リディアンはどうする気だ?」

 

「あ゙っ」

 

 言われてみればそうでした。

 

「それで俺は1日置きで世界を行き来しようかと思っている」

 

「いやいや! そんな無茶苦茶な!? 私、過労で死んじゃう!」

 

「そもそも出席の問題はどうするつもりだ」

 

 そうだ、そうだ!

 私はノーマルだ。2人に分身出来るとかそんな忍者みたいなことはできません。

 

「その辺りなら大丈夫です」

 

「なん……だと!?」

 

「リディアンの副担任はいったいどこの誰で何者だ? リディアンのバックは? そしてここの上官は?」

 

 副担任→よう君で完全聖遺物の集合体。

 バック→日本政府。

 『ここ』こと特異災害対策機動部二課の上の人→日本政府。

 

「……ハッ!?」

 

「お前という奴は……、なんと言うことを考えるんだ……」

 

「二課に交渉してもらうことも可能だが、なにより……ニコッ」

 

 よう君ったらなんてイイ笑顔を浮かべるんだ。脅し上等の文字がちっちゃい背から盛大にはみ出て見えます。

 従わなかったら最低5機の完全聖遺物で嗾けると言わんばかりのイイ笑顔です。

 

「じゃ、じゃあIS学園のほうは?」

 

「担任とその友達を思い浮かべてみろ」

 

 ……世界最強(ブリュンヒルデ)のちー姉と、世界切っての大天災束さんです。うん、この2人に逆らえる者はいない気がする。

 

「それに学園そのものがどの国家にも属していないために出席等の判断は学園に委ねられていて、俺にはその学園トップの人とも知り合いだ」

 

 よう君の交友関係ひっろ~い……。

 

「根回しは完璧ってことだな。もう諦めた方が賢明じゃねぇか?」

 

「いや、まだ問題はあるよ! 授業の進捗度が違ってくるはず」

 

「残念。俺がいる。副担としてリディアンの授業に介入できるし、向こうでも千冬嬢と話し合えば一般教養は全て調整可能だ。異なる授業の音楽と実技は、別で俺が教えれば良い。そもそもどっちも教える必要がほとんどないだろう。奏者の経験で十分得ている」

 

 そ、そんな……!

 

「で、でも両方行くなんて流石の私でも過労で倒れちゃうかもしれないし、休学とかじゃだめなの……?」

 

「響がそうしたいならそれでもかまわないが……」

 

 意外と簡単に引いてくれる。これならなんとか回避できそう!

 

「響は翼嬢の卒業式にでたくないんだな……」

 

「うぇ!?」

 

「……そうなのか?」

 

「響はせっかく同じ学校に編入してくれるクリス嬢の後輩になりたくないんだな……」

 

「……へーぇ?」

 

「うぇうぇ!?」

 

「響はいつも支えてくれる未来と一緒の学年にいるのが嫌なんだな……」

 

「うぇうぇうぇっ!?!?」

 

「…………ひびき?」

 

 皆の泣きそうな視線が胸に突き刺さる。

 

「そうか……。仕方ない。ダンナ、響の休学手続きを――「ちょっと待ったぁぁぁああああああぁっ!!」――♪」

 

「やっぱ休学はなし。やります! どっちの学校にも通ってみせます! 頑張って入ったんだから翼さんの卒業式にはちゃんと出たいし、クリスちゃんを先輩として弄りたいし――「どういう意味だ!」――未来と一緒に学校に通いたいもん!」

 

 休学なんて……もったいなくてできない!

 

「「「「イエーイ♪」」」」

 

 あっれー!?

 さっきのうるうるがウソのように皆がハイタッチを交わしてる。その中には未来まで混ざってるし……。

 このためによう君は未来や翼さんたちを呼んだの!?

 

「図ったな、よう君」

 

「効果は抜群だ、てな」

 

 仰る通りです……。

 

「まぁ、何日置きで行き来するかは追々決めるさ。それに万が一の時には俺が二つの世界の橋になるからそこまで心配することはない」

 

「信じてるからね……」

 

 辛くない生活を送れることを祈るばかりだよ……。

 

「さて、そうとなったら早速……。未来、ちゃんと持ってきてるか?」

 

「はい。ちゃんとここにありますよ」

 

 そして未来はカバンの中からヤツを取り出した。

 

「そ、それは!?」

 

 どさりと重たい音を立てて机の上に積み上げられたそれは!

 

「響の夏期課題。あと1ヶ月もないけどファイトだよ、響」

 

「……………………」

 

「だから言っただろう? しっかりやっておけと」

 

「誰がそんなの予想できるかぁぁぁぁぁああああああああああ!!!?」

 

 その日、私の課題は倍に跳ね上がった。

 

「やっぱり休学したいかもぉ~……!」




響の不幸・答え
第1、響二つの学校を同時に行くことになる
第2、課題が二倍になる

そして第3、響がまだ気付いていない事実。
定期試験が二倍になる

頑張れ、響。
踊君に負けるな。
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