戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜 作:円小夜 歌多那
寝不足、不健康、過労が祟ってしばらく草臥れてしまいました。
まどマギイースターにガルフレ(♪)イベ、バトガイベ……
やれやれ……、やることが多くていけないね。
「自業自得だよ!?」
何を言うでか。シンフォギアのスマフォゲームの製作が決定しているのだぞ。音ゲーの可能性もアクションゲームの可能性も他にもいろいろあるのに、どれの対策せぬまま自堕落に生き恥をさらすなど私にはできない。
「さ、左様ですか……」
皆様もいろいろ可能性のあるジャンルに慣れ親しんでおきましょう。
……あと、貯金もしとかなきゃ。
『いやぁ~、お待たせしちゃってゴメンネ~。やっと揃ったよ~。……あれ? なんかひー君縮んでない?』
何の前触れもなくしゃべり出した手鏡はよう君が顔を合わせるやそうそう意気揚々と疑問を吐露った。
「気にするな。ちょっとお前の愚息らに教育を付けてきただけだ」
「あ、そーなの? いや~、僕がしないといけないことなのに悪いねぇー。ひー君には面倒掛けちゃったかな~」
「勘違いするな俺がやりたいからやっただけで、別にシニ君のためでないぞ」
ふわっとした謝罪が取り付く島もなく冷たくあしらわれる。偶然かかわっただけで何か思惑があったわけでもない気まぐれだとよう君は言う。
でも、よう君はっきり言ってたよね。いくつかあった理由の中にキッド君が死神さんの子供なのに情けない姿をさらしてるからだって、そんな感じのこと。それでキッド君の模範も務めてたんだから、よう君の冷たい言葉が心にもないことなのは簡単に分かる。
つまり私が何を言いたいのかというと……。
「ツンデレ乙」
「何か言ったか?」
「何にもー」
納得いってない感じはあるけどふくれっ面のよう君はそれ以上は聞いてこず、いぶかしむ視線だけ残して簡単に引き下がった。
うーん……さらにちっちゃくなったことでよう君の挙動が幼児退行した気がします。
つい今朝方までは元気な小学生サイズをしていたよう君ですが、さっきの大バトルを経て今では4歳前後のちんまり園児になってしまってます。
ロリコンをさらに下回るく……げふんげふん、ペドさんが喜びそうな見た目でほっぺはぶにぶにしてて気持ちいい。
『何はともあれ、本当にありがとね~。それで、これが頼まれてたのだよ。じゃ、またね~』
「ふぁっ!?」
手鏡から枕ほどのダンボールがにゅっとでてきたんですけど!? え、なに、どうなってるの? 物理法則とか質量的なのとかその他もろもろどうなっちゃってるの。しかも平然とよう君は出てきたダンボールを空中で掴んで担ぎ上げてるし……。
こ、これがこの世界の常識なのか……。
「いや、それ非常だからね。死神様は常識枠に入れちゃダメな方だから」
声に出さずに戦慄してると横から的確なツッコミを入れられてさらに戦く。
「マカちゃんってサイコメトラーが!?」
「ありません! あんなおっきなリアクションしてたら誰でも分かります」
「え、なんなに?」
「うん。鏡の中から荷物がって驚いた顔してたと思ったら、でもこれが常識とでも言いたげな納得顔するんだもん」
どんなけ私の顔は表情豊かなんだろ。鏡でちょっと確認……あ、死神さん通信で使ってるんだった、残念。
ぺたぺた顔を触ってみるけどやっぱわかんない。お店の窓ガラスに向けて映るかと思ったけどよく見えなかった。
「……自分の表情って何処まで細かいんだろうって顔を窓ガラスに向けてどうしたんだ?」
「わかっちゃうの?!」
「? なにがだ?」
ポパンと聞こえてきそうなくらい盛大に疑問符を浮かべてよう君が首を傾げた。話の流れについてけない幼女のようにあどけなさでホントにわかってない感じだ。
「ううん、何でもない何でもない」
これ以上この話を掘り下げたら私にはあんまり良くない話になりそうなのでここらで切り上げておこう。
「そんなことよりそれって?」
よう君が担ぎ上げたものを指差して聞くとよう君は軽くそれを振って教えてくれた。
「これか? ちょっと向こうの座標を特定するためのただのオモチャだ」
「オモチャじゃないよね!? それすっごい大事なものだよね!?」
「別になくてもいつかは帰れる」
「そんなに気長にいられないかな!?」
よう君からしたらそりゃ一瞬の時間のことかもしれないけど私からしたらまぁまぁな時間になるし下手したら一生浮浪者になることに……。
それは絶対イヤです。
「それにそれでバイオがハザードな世界に行っちゃったりしたら怖いじゃん」
「俺と響にウイルスが効くとでも?」
「なんで私までそんな人外設定が?」
「呵々、ガングニールが拒めばウイルスなんてイチコロだ。現に風邪一つ引いた覚えもないだろう?」
「たしかに!?」
てっきり○○は風邪引かないとばっかり思ってた。まさかのガングニールの仕業だったと……。健康なのは良いことだけど、全然嬉しくないです。むしろこんなところでも人外っぷりが明らかになって悲しいところ……。
薬のない風邪にも効いちゃうとかガングニール薬とか名打って売ればけっこう儲けられたりして。
「金属生命体(笑)を大量生産しても良いなら俺は拒まん」
「良くないです。……え、今なんて言った?」
「さぁ?」
な、なんか聞き流してはいけないことをさらっと言われた気が……。
「ふむ、そろそろ行かねば今日中には終わらせられなくなるな。すまないが、響はここで待っていてくれ。ちょっと知り合いに会いに行ってくる」
「あ、うん。わかった、いってらっしゃい」
問い詰めなきゃいけないことを言われたのに、それをする間もなくよう君は背を向けて街の外に行ってしまった。私も普通に送り出してしまっていた。
少々、気を抜きすぎていた。
余り響を不安がらせるようなことは言わぬようにしてのだがな……。まぁ、当の本人が気付いていないのが少ない救いか。
こちらも早く手を打っておかねばなるまい。
「まぁ、それも帰った後の話だな。今は帰ることだけに集中すべきか」
響らと別れ1人向かったのは遠い昔に友と巫山戯て建てた遺跡痕風建築物。たしかBLUWだったか? BLUE……? いや、これは青か。会話でしか聞いた覚えがないな。とりあえずブリューという名の魔道具を保管している場所だ。
最後に見た姿とほとんど変わることなく今もまだ強大な磁場嵐が極寒の世界に吹き荒れていた。
「ふむ……。流石はエイボンというところか」
エイボン、それがシニ君との共通の友……まぁ、シニ君は友という関係ではなかったはずだが……の名だ。中々に探求欲豊富な奴で数多の作品を手がけている。向こうの世界で言うとフィーネや束嬢に似た性質を持った奴、とでも言えば良いだろう。
でも危険度的にはあの2人よりも何倍かはマシだ。あの2人は作った者で世界が破壊されようが破滅しようがどうでもいいという厄介な思考持ちだったが、こっちは作った結果がどうなるか事態は気にせずも正しき使い方をするものにもって欲しいという意思事態は持っていた。
とはいえ意思があるだけで悪人が持っても我関せずの姿勢を貫いたがな……。
『何時までそこにいるつもり? そろそろ入ってきたらどうかな』
「ああ、すまない。すぐに行く」
地場嵐の奥からノイズの激しい声が聞こえてきた。
流石は死神が統べる世界とでも思えば良いのか……長生きの奴が多い。疑いもせずにやってきたがやはりこの地でずっと生きていたようだ。
呵々、それにしても1世紀超えで会える知人がいるのは嬉しいものがある。
「久し振りだな。エイボン」
「久しいね。聖」
久々の再会を果たした相手は相変わらずヘンテコな格好をしていた。奇術師とでも言えばよいのか、面白味と風情が混合する不可思議な黒の法衣は奇抜の一言に尽きる。
「元気にしてたか?」
「……ああ。君も壮健そうで何より」
「「……………………」」
会話が続かない……。
それも仕方がないことか。サージェならともかく俺も無闇に話したがる方ではないし、エイボンも余計なことをしたがらない性格をしている。弾む会話でないかぎり沈黙になるのは必然だった。
積もり積もる話は何かあるに違いないが、本題に入って盛り上がってからでも遅くはない。いや、そうした方が良い。
ぐだぐだ取り繕って変な発明品を持ち出されたら敵わん。
「早速で悪いが少々協力して欲しいことがあるのだが良いか?」
「かまわないよ。何の用なのかな?」
「ちょっと異世界転移のー……術式か機具でも作ろうかとな」
「…………………………………………………………………………ほぅ、異世界?」
おっと目の輝きが変わった、比喩的じゃなくリアルな意味で。剣道の面みたいな格子状の隙間ごしに覗いていた細長の吊り上がった二つの光点が大きさを増して熱い視線を送ってくる。
「やっぱり世界転移は成功させていたか」
「無論だよ。だけど、異世界までは考えていなかった」
「そう悲観するな。俺もつい昨日まで考えたことがなかった」
なんということだ! とでも叫びだしそうなほどの感情の震えを見せるので一往俺が特別思い至ったわけではないことを言っておく。
「どうやら俺は異世界の住人だったらしい。ここ数百年はいるべき世界にいたのが偶然が重なったことでまたここに戻ってきた。……いや、戻ってこれたのは素直に喜びたいのだぞ? だが俺にも俺の連れにも行かねばならぬ世界が他にもあって、なさねばならぬことがあるのでな。ここに長居するわけにはいかないのだ」
「……だから帰る手段を求めるのか」
「うむ。再びこの世界を訪れることができるようにするためにもエイボンの叡智を貸して欲しい」
「……良いよ。機材はあるのかい? 設計図は?」
「代用可能なものはシニ君に頼んで用意してある。基礎設計も他世界で使用したものがある。ある程度は転用できるはず」
「そうか、死神が……。つまりあとは私の知るこの世界の特有を適用すれば良い、と言うわけだね」
「話が早くて助かる」
ISの世界からシンフォギアの世界、またその逆を行うために必要だったのはISという核とシンフォギアシステムという核の知識だった。
どちらの第一人者でないがために一度目はノイズの影響を受け大幅に転移が狂ってしまった。だが帰りは比較的に確かなルートを形成していた。結果として歪んでしまっているので説得力はないが、それは確かだ。しゅわっちの狂気の爆発が重なったのが悪い。
話は戻してこの世界の核。これはおそらく職人と武器関連だろう。そうなると責任者はこいつだけ。人の血に武器の因子を取り込ませ魔を生んだエイボンしかなり得ない。
「元があるし今晩中に終わらせるぞ」
早く帰らねば千冬嬢に拘束される時間が延びそうなのでな。