戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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少しずつ原作から離れていきそうです……。


第十一話

「ただいま~」

 

「響!! もうこんな時間まで何してたの!?」

 

 帰ってきてそうそうに、響が部屋の畳に突っ伏してしまった。

 

「また近くでノイズが現れた、ってニュースで言ってたよ。心配したんだから……」

 

「うん。もう大丈夫だから~」

 

 踊さんが言った通りに疲れているようで半分死んだような声を出した。何があったかは聞かないでおいてあげるけど大変だったみたい。

 

「はぁー、取り敢えず着替えたら?」

 

「そうする……」

 

     *****

 

「認めないッ!!」

 

 壁に拳を叩き付ける。

 

「あのギアは奏のモノだ。奏以外が使っていい代物じゃない!」

 

 立花……響! あいつがいなければ奏はッ!! 手が痛くても、何度も何度も壁を殴りつける。

 

「クソッ!!」

 

     *****

 

 ……翼の絶叫がここにまで聞こえた。これは急がないと響が殺されかねないな。

 

「♪♪」

 

 ブロック状の金属を切り取り削って、とある形を作り、導線やら何やらと色々組み合わせ、繋ぎ合わせる。

 

「あら~? ご機嫌ね~。何かいいことあったの?」

 

「ええ。まぁ、ちょっとですけどね」

 

 了子さんがレントゲン写真を持ってやってきた。

 

「響の体内、どうでしたか?」

 

「あの子、大変ね。体内が聖遺物で浸食されてるわ」

 

 了子さんがレントゲン写真を空いているところに広げ、見せてくれた。浸食か、そう見るよな。まぁ、実際は違うんだが、わざわざ今、言う必要はないか。

 えっと、あそこの端子はこれだったよな……。

 

「ここをこうしてっと」

 

「さっきから何をやってるの?」

 

「秘密ですよ。後のお楽しみってやつです」

 

「そう。それじゃあ、楽しみにしてるわ」

 

 今は時間がないのでね。作った端子をコンピューターに繋ぎ、調節する。これは調整に時間が掛かりそうだ……。

 

     *****

 

「ディバンス、か……」

 

 奴は何者だろうか。それに何故、踊は奴のことを知っている……。

 確か、初めて奴が姿を現したのは五年前の、奏を保護した時だったな。

 

     *****

 

「何故だ! 何故気付けなかった!!」

 

「怒鳴られてもわからないわよ! 

 

 その報告が入ったのはノイズが出現してから既に一時間以上が過ぎていた。今から急いでも生存者は見込めない……。

 

「すまない。翼、行けるか?」

 

「は、はい……」

 

 情けない! こんな子供に頼るしかないのか……。

 

「すぐに向かうぞッ!!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 到着したのは、ノイズ出現から四時間。

 

「い、いきます!」

 

 翼がシンフォギアを纏い出撃した。

 

「俺達も行くぞ! 一人でも多く住民を救い出せ!!」

 

「「「「「八ッ」」」」」

 

 俺達もそれぞれの部隊に別れ、町に展開を始める。が、そこで気付いた。炭素化したものが少ないのだ。通常であればここら一帯にもノイズが戯れ人が襲われているはずだ。なのに、それがほとんどない。

 

「もしかして、軍の方ですか!」

 

 すると、一人の青年が駆け寄ってきた。

 

「生存者か!?」

 

「は、はい! 皆! 助けが来たぞ!!」

 

 皆だと!? 感極まった青年がそう叫ぶと、建物の陰から五十人近くの人が出てきた。こんなに生存者がいてくれたのか……。

 

「まだ生存者はいるのか?」

 

「はい。逃げ遅れた友人が、奥に何人も。今もまだ連絡が取れてます」

 

「そうか! すぐに向かうと伝えてくれ。皆、行くぞ!」

 

 急いで、一部の隊員に救助を命じ、残りでさらに奥に進む。

 救助できたのはおよそ百人ほど、人口と経過時間からみても、奇跡的な救助数。何故こんなにも生存者がいるんだ? 一体この街には何がいる?

 

「すまない。お前たちはここで住民の警護にあたってくれ。俺はこの先に進み、翼の援護に向かう」

 

 そして、この先にいる何かを調べる。

 

「翼、そっちの調子はどうだ?」

 

「少し、ノイズは多いけど、問題ありません」

 

「その辺りに何かいるかもしれん。気を付けろ」

 

「はい!」

 

 ノイズが見えてきた。確かに多いな……。これだけいるのに、生存者があんなにも? どうなっている。

 

「軟弱者どもよ! 拙者はここにおる! 殺せるものならば、殺してみせよ!!」

 

 翼がいる場所とは真逆にあるビルの屋上で黒いマントを羽織った男が叫んでいた。ノイズが一斉に針のように姿を変え、襲い掛かる

 

「馬鹿か!?」

 

 だが、どの一匹も彼の姿を捉えられなかった。左右に揺れ、時には飛びこえ近くのビルに着地し、弧を描くように全てを鮮やかに交わしていく。

 

「そろそろ、終わりにさせて頂こう」

 

 そう言った彼はマントの下から頭蓋の面を取り出し、フードで隠した顔に当てる。穴の開いた黒い瞳が一瞬光ったように見え、そして初めて彼は前に出た。

 

「参る!!」

 

 飛び上がるノイズの群れの隙間を駆け抜けた。その手には鎌がある。が、無茶だ奴らに現代兵器は効か……!?

 

「そんな馬鹿な!? ノイズを切っただと!?」

 

 瞬く間にノイズは切られ、炭素に変わっていく。どういう方法で切っているかは分からないが、奴は相当な手練れだ。

 凄まじい程の連撃を見続けていると、遠くで子供の叫びが耳に入ってきた。

 

「許さねぇエエエエッ!!! ブッ殺ォすッ!!!!」

 

 酷く憎悪の籠った声だった。その声を出したであろう少女――奏が目を見開き、悪意で顔を歪ませノイズに向かって走っていく。

 

「ゴロスッ!!!」

 

 だが、奏の足は落ちてきた男によって止められた。

 

「お主、そんなに奴らが憎いか?」

 

「ア゛ア! ニクイッ!!」

 

「ならば、待つが良い。もうすぐ、主に力を与えられる者達が現われるであろう。その者に頼めば良い。今は耐え、生きよ! そして己が力を高め、再び相見えようぞ!」

 

「…………ホン、とうか?」

 

「嘘はつかぬ。だから生きるのだぞ」

 

 そういうと、男は奏に背を向け、ノイズを狩り消えてしまった。

 

     *****

 

 あの後、すぐに奏を保護したのだ。あの時の奏は、手負いの獣のようだった。そう言えば、ディバンスにはあの時の礼をしなければならなかった。奴がいらんことを言わなければ、奏を苦しめることはなかっただろうに。

 

「あらん? 珍しいじゃない。貴方がしんみりしてるなんて」

 

「了子君か。ちょっとな」

 

「あら、貴方もはぐらかすの」

 

「も?」

 

「さっき、聖君にも後からのお楽しみってはぐらかされちゃったのよ。はい、これ。響ちゃんの検査結果よ」

 

 聖踊、か。彼の過去は我々二課が調べても何も知ることが出来なかった。何れ聞く必要がありそうだ……。

 

     *****

 

「響の帰りが遅いから、本当に心配したんだよ……」

 

 静かな部屋の中、未来が突然そう言った。

 

「ごめん……。でもありがとう。ちゃんと心配してくれるのは未来だけだよ」

 

「……踊さんは?」

 

「んん~、どうなんだろう? あの人なら、心配はしても笑ってそうだよ」

 

「……否定できないかも。でも信じてるからじゃないの? 響なら自分で出来るって。それは私には出来ないかなー」

 

「だったらいいな……」

 

 踊君はこっちの身も知らないでよく笑って、未来は何時も優しい。私にとって、踊君は明るい日輪で、未来は……。

 

「やっぱり未来は温かいな~」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「小日向未来は、私にとっての日溜まりなの。私の絶対に帰る場所」

 

 私が絶対守りたい大切な場所。この力が何なのかなんて分からない。でも、この力で必ず大切な人たちを守ってみせる。

 

     *****

 

「……もうすぐ動いてもらうわ」

 

「…………」

 

「逆らうの? ここしか貴方に場所はないのよ」

 

「ちっ、わぁってるよ」

 

 携帯の電話を切る。

 

「おやおやァ~? 動くのデ~スカァ~?」

 

「五月蠅い! 喋りかけんな。気色悪い」

 

「これまた酷い言われようデ~ス」

 

 落ち込むピエロを睨み付ける。

 

「そんなに睨まないで下さいよぅ。ゾクゾクしちゃうじゃないデスカ~」

 

 へ、変態だ。マジで気色わりぃ……。とっととこいつから離れねぇと……。

 

「ンフフフゥ~」

 

 と、鳥肌が!? 寒気がぁあっ!?

 ピエロから見えない位置に着くと、即座に走って逃げた。

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