戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜 作:円小夜 歌多那
学園祭がてんやわんやなことになりそうなことが発表されてから幾日たった。……んだけど、今だ学園は興奮冷めやらぬ状況です。
なにせ唐変木筆頭一兄と
一兄が入部だけなら良いんだけど寄生君はいりませぬ。少なくても私の所属してる部活の人たちはみんないらないと一蹴しちゃってます。あ、そうそう。ちなみにだけど、私は華道部に所属してるよ。今も部室で花を生けている最中です。
え、運動部じゃないなくて良かったのかって? ははは、当たり前だよ。運動は…………組み手で十分です……。
「いつ見ても綺麗ですね」
「ふぁぇっ!? あ、五十鈴先輩。えへへ、ありがとうございます」
後ろに気配! なんて格好いい反応が私にできるわけがないので綺麗な不意打ちを食らってしまった。ビックリさせられたけど、お褒めの言葉だったのでちょっぴり嬉しいが勝ったから良しとします。
「ぼんやりしている時の立花さんが生けるお花は」
「ん?」
……ぼんやりしている時?
「それ、褒めてませんよね!? 普段のはどう思われてるですか?!」
「………………………………前衛的?」
眉間に皺を寄せる先輩から出てきた答えはそんなお言葉。時代の先駆けって意味もあるけど、それってつまり今の美的感覚では着いてけないってことですよね……。
一学期の合間合間に作ってきた作品を見る。
その日の気分で作ってるから特に一貫性はないけど、私的には満足のいく出来だったと思う。
特に左右に土台を別け暖色と寒色のバラで橋を彷彿させるアーチを描いた作品と、一本の白の花を中心に渦巻くように最低限の花で飾った孤高の作品は私の自信作です。
「きみが生み出す作品は良くも悪くも飛び抜けているからな、いろいろと」
「いろいろってなんですかー!」
すりすりと摺り足で座敷に踏み込んできたのは150cmにも届かなさそうな小さな女の子、この人もまた先輩と同じみょう……じゃなかった名前を持つ子で座敷わr……
「誰が童だっ!」
「あふぇっ!?」
ごめんなさい……。改めまして彼女はいt……
「こりんやつだな」
三白半目なじっとりした目が私を捉えた。そして手の中で鳴り響くのは真っ白なハリセン。……座敷なら扇子では、なんて野暮な指摘はしません。木の棒で叩かれて喜ぶ性癖は持ち合わせてないので。
とまあ、からかうのはこの辺にして、彼女もまた私の先輩です。正真正銘の17才でこの華道部の二傑とも言われる『ISUZU』のお1人だ。
あ、もちろんお察しかとは思いますがここに先の先輩も含まれてます。
「それでいろいろってなんなんですかー」
「きみは清々しい欲しいほどに大胆なものばかり作り上げるからな。それに綺麗と言うよりも格好いいが先に来るものの方が多いだろう」
「ふふ、そうですね」
「ま、そのぶんヘンテコな物もよくできているがな」
「一言余計です!」
二人のからかいにいじけていたら頭の中でちょっと高めの電子音がなった。
「あ、もうこんな時間だ。ごめんなさい、先輩。これから友達と訓練の約束があるのでお先に失礼します!」
「ああ、例の者達か。うむ、怪我がないようくれぐれも注意して精進するのだぞ」
「そうですね、優秀な人が多いと聞いていますから。立花さんも他の方々も十分気を付けて下さいね。
「はい!」
「ああ、そうだった。そちらにさr――」
何か先輩が言いかけていた気がするけど、時間も迫っていたし既に部屋を飛び出していた私は止まれずそのままアリーナに向けて走った。
後から先輩に聞いた話、ここでちゃんと聞いておけば良かったと後悔してます……。
「――しきが遊びに行くと言っていたのだが…………」
「もう行ってしまわれましたわね……」
「……立花は相変わらずせっかちなのだな」
「一兄っ! お待たせ!!」
先輩方と別れて僅か数分、超特急で走った私はいつもの何倍も早く到着した。それでもちょっと遅れてしまったから、もうとっくに誰かと始めちゃってるかもしれないや。
最近の戦績から考えると多分、一兄と闘ってるのはセシリアちゃんかな?
現在の一兄の勝率は上から言うとセシリアちゃん、箒ちゃん、鈴ちゃん、シャルちゃん、ラウラちゃん、で私、よう君となっている。
よう君は別格としてシャルちゃん、ラウラちゃん、私は一兄にとって相性がすこぶる悪くてとても低い、鈴ちゃんと箒ちゃんは有利不利が特筆してないので半々。
ただセシリアちゃんにだけは一兄の方が勝つことが多い。
メンバーの中で唯一と言って良いくらい、ビーム兵器主体だからね。エネルギー無効化の楯を手にした一兄にとって相性が良すぎた。
一往、よう君曰くシールドを使わせてエネルギーを浪費させるって作戦もあるらしいけど、それはセシリアちゃん自身が拒んでる。みっともないのは嫌、とのことです。
うん。よくわかります。
などと色々予想を立てては見たものの実際の所は誰とやってるの、わくわくとアリーナ全体に視線を向けた。
「…………え?」
予測していた人物が2人とも中にいた。けど的中! なんて喜ぶことはできなかった。2人ともが膝を突いていたのだ。――ううん、2人だけじゃない5人。何故かそこにいた1人を除いて全員が倒れていた。
一兄、セシリアちゃん、箒ちゃん、鈴ちゃん、シャルちゃんにラウラちゃんが倒れていて、立っていたのは……
「更識さん?!」
我等が生徒会長(最近知った)更識楯無さんだった。
――ピロリロリンッ!
絶賛混乱中の頭に電子の追撃が!?
肩を飛び上がらせてビクついてしまったのに恥じつつ、原因を調べてみる。先輩からのメールだった。
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まったく、人の話は最後まで聞くものだぞ。
一夏といったか? 織斑先生の弟さんの訓練に更識が首を
突っ込みに行くと行っていた。いくら彼奴でも後輩に妙な
ことをしたりしないと思いたいが、いつものように阿呆な
ことを考えていたようだ。
見つけ次第止めることをお勧めする。
が、最悪覚悟していた方が良いかもしれんな。
P.S.一往、ある人に向かってほしいと伝えておいた。もし
何かあったときはその人を頼るように
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……先輩、すでに手遅れです。
「きちゃった♪」
楯無さんは私を見るやあざとく舌を出して頭を小突くと笑顔を作った。えっと、てへぺろというんだったんだっけ。確かにかっこかわいい系の楯無さんがするとギャップもあって可愛いんだけど、死屍(もどき)が累々してる風景と全く合ってないからむしろ怖い。
複製音で『見られちゃったからには仕方ないよね。よし、殺ろう♪』とでも聞こえてきそうだよ。
「何できちゃったんですかー……」
「もちろん彼を見るためよ」
そう言って扇子指したのは死屍もどき一号、一兄だ。
詳しいことは教えてくれなかったけど、学園祭の時になにかするらしくその時のために色々と知っておきたかったんだそうです。
箒ちゃん達まで巻き添えになったのはいつも通りのただの暴走だった。一兄に言い寄る敵と見なした攻撃の末、見事な返り討ちに遭ったということだ。
見境のなさにもはや恐怖を覚える。もし一兄と私が兄妹じゃなかったらと思うと……怖っ。
「ふふっ、皆期待以上だったわ。お姉さんちょっぴり本気出しちゃった。……これもやっぱり彼がいたからかな?」
「ちょっぴり、て……。楯無さんの本気はいったいどんなに凄いんですか」
「あら? 知らなかった?」
スーッと鼻が触れそうになるほどまで迫っていた楯無さんと目が合った。ルビーに似た赤い瞳を半分隠し、三日月よりもさらに深く細い弧に口元を歪める。
「生徒会長は学園最強の証なのよ」
「よう君より?」
どんな脳筋学園ですかと言いたかったけど、高飛んだ思考が口走らせたのは片隅にあった些細な言葉。
他にもっと言うべきことがあるはずなのに言ってしまった言葉だけど、意外や意外、クリティカルを出したみたい。
ニヤニヤしていた笑みが凍り付き私を見つめていた赤い瞳がそろーっと横に逃げていく。
「いや~、流石に彼は例外よ? いくら私でも織斑先生クラスはまだ遠いから。それに彼って目立つの好きじゃないでしょ。会長を頼んでも断られちゃうわよ」
「……あはは、よう君ならしちゃいそうですね」
想像してみたら、いらん、の一言でばっさり拒否するよう君の姿が簡単に浮かんだ。
「そろそろ皆目が覚める頃かな。皆の目が覚め次第、特訓を開始しようと思うんだけど響ちゃんもやってく?」
「もちろん!」
詳しい話は一兄を挟んで聞くことにしようっと。
どこからともなく現れたダブル五十鈴先輩とはいったい誰なんだー(棒)
彼女たちはこの先出てくるかどうかは響次第。
ただわかっているのは
『彼女たちを闘わせるなんてとんでもない!』
ということです。
片方は……まぁ闘っても不思議ではありませんが、もう一人はね。
風を感じたいや、世界中の花を見に行きたいなどの理由でIS学園に入学しているので基本闘うことは拒否しているそうです。
それが世界からの命令なんだとか。