戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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第二話

「ふぅー……」

 俺がこの世界に転生してから膨大な時間が過ぎた。

 どういうことかって? 聞きたいのは俺の方だよ。

 確かにここは戦姫絶唱シンフォギアの世界で、俺の願い通りに聖遺物になっていた。

 でも時代が可笑しかったんだよ!

 

 何だ、北暦って、しかも南暦や東暦まであるわ、他にもアセリア暦とか他作のまであった……

 バベルの塔の時代から始まったから千年程度だと思ってたのに、既に億を超えてしまってるんだ。

 

 昔過ぎんだろうが! あんのクソ神め次に会ったら容赦しねぇ!!

 っと……すまない。取り乱し過ぎたようだ。あの日を思い出すと我慢が利かないんだ。

 それと口調だが……何億年も生きてみろ。人(?)生、色々という奴だ。

 んで今、俺がいるのは日本のとあるライブ会場。漸く本編の始まりと言うわけだ。すべきことはただ一つ立花響という少女を守ること。ただし、ただ守るというわけではないけどな。

 私は立花響、13歳。何の変哲もない唯の中学一年生です。

 今、私はとあるライブ会場の入り口付近にいます。

 それで……友達を待っているんですが何故かいないんです。私よりもしっかりした子なんですけど……どうしたんだろ。とりあえず電話したほうが良さそうです。

 ワンコールでその子は電話に出ました。

「あ、未来?、今何処~? もう私会場だよ~」

 未来というのは私の親友で“小日向未来”。同じ中学のクラスメートでこのライブに誘ってくれた女の子です。

『ごめん! ちょっといけなくなっちゃった』

 へぇ~、いけなくなったんだ……て、えっ?

「ふぇえ~?! どうして? このライブは未来が誘ったんだよ」

 いきなりドタキャンですか? もう少し早く言ってくれたらいいのに会場に着いちゃってるよ。引き返したくても周りの目が怖いし。

『盛岡のおばさんが怪我してお父さんが今から車を出すって……』

「私良く知らないのに~」

『ごめん。『――手伝ってくれ!』はーい。今行くよ。本当にごめん。私の分も楽しんできて』

「うぇぃ……」

 そう言うと電話が切られた。未来の方も慌ただしいみたいで奥の方からドタバタ聞こえていた。事故だから仕方ないかな、

「はぁ~、私って呪われてるかも」

 何だか最近ついてない。溜息を吐きながらもゆっくりと進んでいく行列に一人並ぶ。

「……………一人?」

 こんなに人がいる中で中学生一人って、私大丈夫だよね。

 少し心配になりながらもやっぱり進んでいく行列に身を任せる私でした。

 

 あたしは天羽奏だ。ツヴァイウィングという二人組の歌手の片翼をやってんだ。

 んで、今はもうすぐライブが始まるってんで楽屋で待機してたんだが相棒が返ってこない。またどっかで塞ぎ込んでるのかねぇ。全く世話が焼ける。

 相棒を探すため楽屋を出た。

 探すのは隅っこの角やちょっとした影のあるところ、相棒は何かあると大抵そういう暗い所で丸くなってんだよな。

 

 そうやって捜していると案の定陰で落ち込んでいるのが見えた。

 ちょっと頑張るか。

「間が持たないっていうか何て言うかさ、開演するまでのこの時間が苦手なんだよね。こっちとらさっさと大暴れしたいっていうのにそれもままならねぇ」

「……そうだね」

 声が硬いな。緊張してんのがわかるほどだ。

 ちなみにこの緊張してる奴があたしの相棒の風鳴翼だ。今は緊張で情けないけど、壇上に上がればこの弱弱しさは消えて凛とした顔つきのスゲェ頼りになる奴になるんだぜ。

 ただ始まるまでは隅で震えてるだけで頼りにはならないんだけどさ。

 それで翼が緊張してるときはこうして茶化すのが一番良く効く。

「んー? もしかして翼緊張しちゃったり?」

「当たり前でしょ。櫻井女史も今日は大切な日だって「カァ~、真面目が過ぎるねぇ」……あうぅ」

「「……」」

 あれ? ミスった?

「奏、翼ここにいたのか」

 おお! 流石、弦十郎のダンナ良いタイミングだぜ。

 弦十郎のダンナってのはあたしの師匠みたいな人で名前は風鳴弦十郎、翼の叔父にあたる人でもあるんだ。

「司令!」

 翼が飛び起きた。

 流石にダンナの前ではうじうじしないか。ダンナはうじうじしてる奴が嫌いだから当然っちゃ当然。ダンナ、怒らしたらおっかないから。

「わかってると思うが、今日は……「大事だって言いたいんだろ? わかってるから大丈夫だって」……ふっ、わかっているならそれでいい」

「今回のライブの結果が人類の未来を賭けてるってことにな」

 わかってるってーの。何回同じ話をすれば気が済むんだか。ダンナも心配性だねぇ―……。

「むっ? すまん」

 ダンナの携帯に着信が入った。

「まいど~♪ 櫻井了子ですっ♪ こちらの準備は良好よ~」

「そうか、わかった。すぐに向かう」

 向こうの準備が出来たっつうことはそろそろ開演ってことか。

 とっとと準備しねぇといけないな。

「ステージの上は任せてくれ。翼行くよ」

「頼んだぞ」

「うん」

 あたし達は最終チェックをするために舞台袖に向かい、ダンナも向こうでしないといけないことがあるため別れた。

 そして何時からか翼が羨ましそうにあたしを見ているのに気付いた。

「どうした?」

「ううん、何でもない」

 

 何でもないことは無いだろう。ダンナが来たから大丈夫だと思ったんだけどやっぱり駄目だったのか。仕方ないね、全く。

「さって、難しいことはダンナや了子さんに任せてあたし等はパァーッと……」

 また、この子ったら……。

「えっ?!」

 後ろから翼を抱きしめてやった。あー恥ずかしいったらありゃしないよ。

「真面目が過ぎるぞ、翼ー。あんまりガチガチだとその内ポッキリいっちまいそうだ」

「…………奏」

 翼は温かいなぁ。あたしみたいな憎悪しかない奴とは全然違う。

「あたしの相棒は翼なんだからさ、翼がそんな顔してるとあたしまで楽しめないじゃん。もっと明るく行こうぜ」

「……うん! 私たちが楽しんでないとライブに来てくれた皆も楽しめないよね!」

 漸く笑った。あたし達はツヴァイウィング、両翼あって初めて一つになるんだ。楽しまないと来てくれた奴らに失礼ってもんさ。

「わかってんじゃねぇか」

「奏と一緒なら何とかなりそうな気がする。行こう、奏!」

 つい今まで落ち込んでたようには見えないな。

 引っ張るなってーの。

「ああっ! あたしとあんた、両翼揃ってツヴァイウィングは――」

「何処までも飛んで行ける!」

「「どんなものでも超えてみせる!」」

 声が綺麗に重なった。

 何時も言ってるセリフだから当然か。

 それじゃあ、ライブの開演だ。




次は土曜日か日曜日に投稿します。
あ、主人公の名前は第五話くらいになりそうです。

皆さま、間違いのご指摘有り難うございます。

ライブの惨劇は話の都合上1年早めさせて頂きます。
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