戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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第二十三話

「つぅ~……、けほっけほっ。何ちゅう威力だよ。おい……無事か?」

 

「そうですね~。果たしてこれが無事と言って良いのか怪しいところですが、まあ何とか」

 

「全然大丈夫じゃねぇじゃねぇかよ!?」

 

 左半身が焦げてんぞ!? 何でそんなに平気そうにしてられんだよ。見ていて痛々しい。

 

「ああ、焦げてる部分は大丈夫です。ほらこんな風に」

 

 そう言うと無事な方の手で焦げをめくってみせた。中から見えるのは色の薄い肌。焦げたのは分厚く塗りたくってた白塗りだったみてぇだ。

 ……ピエロのメイクって全身にするもんだったか?

 

「クフフ。それにしても流石の一言に尽きますね」

 

「ちっ、……そうだな。まさかコイツの防御を抜かれるなんざ、思ってもみなかったよ。あ~あ、罅が入ってら。なぁ、さっきのは何だったんだ?」

 

「あれは、ビッグバン。まだ私が彼と共にいた頃の話です。もう9……いえ10はたったのでしょうか? その頃一緒に戦っていた同士の何人かが使っていた技です」

 

「あんなえげつない。技使う奴が他にもいんのか!?」

 

 何だその地獄。あたしのアレよりも危険なんじゃないか? んな、恐ろしい奴がわんさかいてたまるかよ。

 

「まぁ、話は後にしましょう。誰かが来る前に彼を探して戻りましょう。今、この状態で他のシンフォギア奏者に会ってしまえば一環の終わりです」

 

「そりゃー確かにそうだな、連れ帰ってあいつに渡しゃいいんだな」

 

「いえ、渡しませんよ。彼女は立花響を気にいっているようなので、そちらの餌にするつもりですよ。英雄ローランの聖遺物、デュランダルと共に。……クフフフフ」

 

 にやにや人の悪い笑みを浮かべてあたしやガングニールの適合者が滅茶苦茶にしてしまった町を荒らし始めた。

 

「…………ち、ちぃとやり過ぎたか?」

 

 主に目立ったのが、あたしがブチ空けてさらにあの適合者の矢鱈に重たいパンチでサージェが空けたビルの列だ。まだ立ってるのが不思議なぐらいに大きな罅割れが出来ている。

一部屋上は既にバッキリいっちゃてんのもあんな。

 

「クリス」

 

「ん? 見つかったのか?」

 

「いえ、そうではなくてですね。……少しばかりしなければならないことを思い出しまして彼を探しておいてもらえますか?」

 

「チッ、しゃあねぇな。けど、やんなきゃなんねぇことってなんだよ」

 

 まさか化粧直しとか言うんじゃねぇだろうな。もしそうだったら一発殴っても良いよな。良いよな?

 

「化粧直しを……あ、後ついでにあちらをハッキングしましょうか?」

 

「化粧が優先かよ!? 普通そこはハッキングが先だろ!」

 

「ハッハッハ。ご冗談を。女性でしたら化粧の大切さはご存じでしょう?」

 

「あたしは、んな面倒なもん使ってねぇ! てか、そもそもテメェ男だろ!!」

 

 ぜぇー、ぜぇー、何でこんなことで体力使わなきゃなんねぇんだよ……。

 

「………………化粧の大切さはご存じでしょう?」

 

「話を戻すんじゃねぇ!!!」

 

 あたしをおちょくってんのかコイツは……て、今度は何だよ!? 急に壁の隅で小さくなって、のの字っぽいものを書きだした……。

 

「だぁあ! ウゼェッ! わかったよ。好きにしやがれってんだ」

 

「じゃあ、後はよろしくお願いします。では!」

 

 い、一瞬で消えやがった。はぁー、しゃあねぇ。とっとと見付け……。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……ちぃーっす」

 

 いたぁあああああっ!?!?!?

 何で気付けなかった……。寝そべってるからって、注意してたら気付けたはずなのに! 完全に油断した……。ああもう、サージェにかまけて鞭を手放すんじゃなかった。

 ……動けねぇー。

 

「「…………」」

 

 チッ、互いに動かないまま十数秒がたっちまった。いったいコイツは何がしたいんだよ……。やりたかねぇが、こうなりゃ……アレを使うしかねぇか?

 

「フゥー……」

 

 しゃあねぇ、一瞬で、けりを付けてやる!

 

「スゥー……ッ「ねぇ、いい加減に助けて欲しいんだけど……」ドヘッ!?」

 

 思わず転けちまったじゃねぇか。助けろってどういうこった。

 

「いきなり何だよ!? 邪魔すんじゃねぇ!」

 

「いや、ずっと助けてくれないかなと期待して見てたんだけど……」

 

「あん?」

 

「いやね、動けないんだよ。この上に乗っかってる岩を退けてくれたら嬉しいんだけど」

 

 よく見りゃ、背中に大量の瓦礫が伸し掛かっていた。コイツ、動かなかったんじゃなくて、動けなかっただけだったのかよ……。

 

「アタシの緊張を返せ……」

 

「???」

 

 イラッ。

 

「よぉーし、助けてやる。ああ、助けてやるよ。ありがたーく頂戴しろ。……命の保証はしねぇがな!」

 

「ん? んん?!」

 

 まとめてぶっ飛ばす! ネフシュタン!! 

 

「おりゃりゃりゃりゃっ!!!」

 

「にゅぉおおおお!?!?」

 

 変な奇声が聞こえるが気のせいだ。両手に持った鞭を縦横無尽に振り下ろす。目の前のあるもの全部粉々に砕いちまえ。

 ……ふぅ、取り敢えずこんなもんか。スッキリしたしそろそろ止めるか。

 

「ちっ、まだ原形留めてたか」

 

「ぅぉー……、殺す気か~。人質にするんじゃなかったのかよ~」

 

「あ、やべ。忘れてた」

 

 そういやそんな話になってた。まぁ、生きてるしいいだろ。取り敢えず、煤けたヨウ? だったかそんな名前の奴を持って帰るか。

 

「出来たら引きずらないで欲しいんだけど。あ、あと首の裾引っ張んないでくれないかな。首がしまルゲッ!?」

 

「うるせえ。黙ってろ」

 

 ちょびっと力を入れるだけで静かになった。あ、そういやサージェが何処に行ったか聞いてねぇな。はて、どうしたもんか。かといって、んなとこで待つ訳にもいかねぇし、あ~あ、メンドくせ-。

 

「んがんが!」

 

「んだよ。黙ってろって言っただろ」

 

「ゲホゲホ。……サージェを探してんのか? たぶん彼奴ならあっちにいると思うぞ」

 

 ちっ、素直に聞くのは危険だが当てもなく彷徨うよりはまだマシか。ガングニールの適合者は厄介だがもう一人は負傷して出てこれないはずだ。ま、何とかなるだろ。

 言われるままに着いた場所はあたし等が隠れ家代わりにしているとことのすぐ傍の空き家だ。一瞬バレてんじゃないかと思ったがそれは杞憂だった。

 

「おやおや~? クリスさんではありませんか。よく私がここにいると……ああ! 踊君じゃないですか。それなら納得ですね~」

 

「何でだよ!?」

 

 化粧を直し終えたみてぇで顔を真っ白にして、赤い瞳を怪しく歪めていた。

 

「そこはま~、踊君ですからね~」

 

「俺だからな」

 

 いや、訳わかんねぇよ! それの何処に納得出来る余地があるんだ!? 意味わかんねぇ。

 

「呵々ッ……イテテ」

 

「あらら、ビッグバンを使った反動ですね。クックック、よく原型が持ったものですね。ヤレヤレ」

 

 

 何でテメェ等は和んでんだよ……、敵同士だろが。

 

「では、踊君。縛られてください」

 

 唐突だな、オイ!? 今の和みは何処行った! せめてもう少し話を繋げやがれ!!

 

「あいよ~」

 

 テメェもテメェでまた素直だな……。普通、嫌がるもんだろ。

 

「そだ、サージェ。一つ頼まれてくんない?」

 

「良いですよ。何でしょうか?」

 

 お前もか!?

 

「ちょっと耳貸せ。………………ニョゴニョゴ」

 

「なるほどそれは面白そうですね~。分かりました」

 

 仲良く黒い笑みを浮かべて忍び笑いを上げる二人から一歩後退ったあたしは悪くねぇよな。

 

「まあその前に、やるべきことをやってもらいます」

 

「響がどんな顔するか楽しみだ」

 

「良い趣味してんな……」

 

「「イェーイ」」

 

「褒めてねぇよ! サージェも乗るんじゃねぇ!」

 

 もうやだ、コイツ等…………。誰か止めてくれ……。

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