戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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第弐拾伍話

 無人機ことゴーレムの騒ぎで中止になっちゃったクラス対抗戦は後日修繕されたアリーナで各組1試合ずつ行われた。各クラス代表の力量を見極めるためだとか何とか……。でも一兄と鈴ちゃんの試合は行われてません。当人も機体もお疲れですし、力量も示せたから必要無しと判断された。

 ついでに3組からは急遽副代表が出場することになった。本来の代表、狂生(くるう)君(ありゃ? そんな名前だったかな?)は試合に乱入する前のゴーレムと戦闘を行おうとしたようで瞬殺されてボロ雑巾になっていたみたいです。

 踊君はマジで次の日に元気溌剌してました。あの時は先生も生徒も踊君の怪我を知ってる人たち皆で大騒ぎ。朝一で一兄たちが見舞いに行ったら絶対安静で保健室で寝てるはずがいない、校内を捜してもいない、見付かったと思ったら一人で黙々と拳術の稽古を行っていた。

 実際の所はちょっと違うんだけど……、

 

「やっぱりハズキ社製のがいいかな~」

 

「私はミューレイのかな。こっちの性能の方が良くない?」

 

「私はこれがいい~」

 

 その辺りの話はおいおいするとしてっと、あれから一月程が経ち少女たちはカタログ片手にわいわい騒いでいます。

 

「凄い悩んでるな……」

 

「それはそうだよ。性能は大事だけど女の子にとって見た目も大事なんだから」

 

 でも既に自分のがある一兄や私は関係なくがないので、皆を遠目で見ています。

 

「そういえば織斑君たちのISスーツって何処のやつなの? 見たことない型だけど」

 

 そんな暢気にしてたら急に矛先が私たちに向けられてしまった。

 

「俺のは特注品だ。男用のISスーツがないから、どっかのラボがつくったらしいよ。もとになったのはインなんとか社のストレートアームモデルって聞いてる。響のは……、そういや俺も知らないな。というかいつの間に変えたんだ? 前は普通に学校指定のだったよな?」

 

「うーん……、強いて言うなら踊君製? 残念なことにあれって私が用意したものじゃないんだよね~。ニールハートを正規の手順で起動したら勝手に着せ替えさせられちゃってるだけで、ぶっちゃけ私もよく知らないんだよね」

 

 言ってなかったけどあの日まで私は学校指定の紺色のISスーツを着てました。今は昔のように白黒橙の三色のガングニールカラーのものになっていて、鏡を見ても違和感がない姿になってます。

 いや~、戦ってる間は自分じゃ見れないし、ISの装甲で白いジャケットが再現されてるから中がどっちでも大抵の人には大差ないからすっかり忘れてた。

 

「え、聖君ってISスーツまで作れるの!?」

 

「まあ、そういうことになる、のかなぁ?」

 

 クラスの人にはニールハートを踊君が作ったと言うことを知らせています。勿論ISコア云々に関してではなくて、外郭の装甲とか武装の設計のことです。それだけでも十分すぎるけど先輩の中に似たようなことをした人がいたらしく大きな噂にはならなかった。

 

「作れないとは言い切らぬが、ニールハートのそれは別用に使っていたものを調整するために当てはめただけである。故に本来のものを作れるとは言えぬよ」

 

「あ、やっぱり?」

 

 結構な声量で話してたから聞こえていたみたい。後ろで立って瞑想していた踊君は私たちの所に来るとそう訂正した。

 別用のっていうのは間違いなくガングニールのことだと思います。もとになったペンダントも踊君が置いていったものだったし、あのISスーツはシンフォギアとISを結び付ける機能があるんじゃないかな。

 

「そうそう、聖君は織斑君のを頼まないの?」

 

「頼まぬよ。我はああいった密着した格好は好まぬ故な」

 

 あはは、踊君って大体ひらひらした服だもんね……。

 踊君は和服のようなゆったりした格好の方が好きで、洋服を着る時も一回りくらいは大きいものを選んでる。水着とかそういったぴったりフィットする格好をしている姿は見たことが無かったりします。

 踊君に掛かればISの制服は着物に姿を変えてしまったし、ヴァルファの時も全身を覆い尽くすほど大きなマントをはためかせて、ちらっと見えるマントの下だって邪魔にならない程度のゆとりがあるものだったし。

 

「でもそれって、機能的に悪いんじゃないの?」

 

「確かISは動かせても、反応速度が鈍るとかっていう奴だったよな?」

 

 私もよく覚えてない。電位がどうとかっていう話だった様な気がするけど……、うーん?

 

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を読み取り、操縦者の動きをダイレクトにISへ伝達する役割を行っています。また、このスーツは耐久性にも優れていて、一般的な小口径拳銃の銃弾なら完全に受けきることができるんです。あ、でも衝撃は消せないのであしからず。なので聖君もちゃんと着るようにして下さい」

 

 スラスラと教えてくれたのは我等が副担任まや先生です。

 

「山ちゃん詳しい!」

 

「一往先生ですから。……て、山ちゃん?」

 

「山ぴー、見直した!」

 

「今日が申込開始日ですから、ちゃんと予習してきてあるんですよ。……て、山ぴー?」

 

 まや先生の愛称がどんどん増えていく。まだ入学してから2ヶ月なのに既に8つ目です。慕われてる証拠なんだろうけど、最終的にいくつになるのかちょっと不安、あと見直したはおかしくよね? 今まで皆まや先生をどう見てたんだろ?

 ドジッ子? ……あ、納得。

 

「山田教諭、問題はありません。我の身体は少々特殊故にスーツがなくとも問題なく伝播可能、それにこの衣の強度も同程度に施しているため、それらの必要はありませぬ」

 

 機械だもんね~。わざわざ間に読み取らせる工程を挟まなくても直渡ししちゃえるし、耐久性だって踊君なら1から織ればできちゃうでしょうよ。

 でも認識、判断に人より時間を割くため最終的結果は特に変わらず卑怯とかにはならなかったりする。

 

「そんな体質………………。あ、でもそうでしたね。わかりました」

 

 あの日の戦いを思い出したみたいです。首を傾げながらも制服姿で打鉄を自在に操っていたのを見ていたので納得してしまった。納得しなければ踊君のインナー姿をわら……見ることができたのに。

 

「やっぱりマヤマヤの方が良かったのかな?」

 

「前のヤマヤじゃない?」

 

「あれは止めて下さい!!」

 

 話が逸れてる内に後ろであだ名会議がひっそり進行中。でもヤマヤになにかトラウマでもあるのか、聞こえるかどうかのこそこそ話にも関わらず物凄い反応で即拒絶した。

 

「と、とにかくですね。ちゃんと先生を付けて下さい。わかりましたか? わかりましたね」

 

「「「はーい」」」

 

「「「山ちゃん先生/山ぴー先生/マヤマヤ先生」」」

 

「先生を付けたら良いって訳でもありませんからね!?」

 

「「「きゃー! ヤマヤ先生が怒ったー!」」」

 

「もう! 止めて下さいってばー」

 

 あははは……、当分まや先生のあだ名は増えそうです。

 

「諸君、おはよう」

 

 賑やかだったのが嘘のように教室内は静まりかえった。よく訓練された軍人さんも舌を巻くくらい、迅速かつ精密な動きで足音一つ立てずに整列すると座席に付いた。

 

「今日から本格的に実戦訓練を開始する。訓練機とはいえISを使用しての授業になるので各人気を付けるように。ISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないように。忘れた者は代わりに学校指定の水着で受けてもらう。それもない者は、まあ下着でも構わんだろう」

 

 構います!! ちゃんと目の前下方と後方を見て下さい! 男いるんですけど!?

 クラス一同(踊君除く)に戦慄が走り、女子一同絶対に忘れないと誓った瞬間でした。

 

「では山田先生、ホームルームを」

 

「え、あ、はい!」

 

 隣で笑みを引きつらせていたまや先生に不意でバトンが移った。先生でもちー姉の前で油断しちゃダメみたいです。いつ指示が飛んでくるかわかったもんじゃないから、わたわたと教壇に上がった。

 

「ええっとですね。今日は皆さんに転校生を紹介します! しかもお二人です!」

 

「……え?」

 

 転校生? 二人? ………………マジですか?!

 

「「「えぇぇええええっ!?!?」」」

 

 いきなりすぎて理解が遅れたけど、すると同時にクラスのざわめきが唸るはうねるはで動揺が止まらない。三度のご飯より噂が好きな女子が多い中(勿論、私は前者優先です)、一切話題に上がらなかったなんて不思議です。

 

(て、なんでこのクラスに? ここには急遽入学した踊君がいるし、それに入るにしても普通分けるものなんじゃ?)

 

 ハテナは尽きないけど、ガラガラと扉を開けて入ってくる二人を見て理由があっさり分かっちゃった。

 眼帯を付けた一人はピリピリした空気を放っていて一匹狼のような子で、ちー姉みたいな人じゃないと教師でも簡単に足蹴にしそうな問題児っぽい。

 そしてもう一人が……。

 

「失礼します」

 

 踊君たちと同じ男の娘……じゃなくて、これじゃ一兄までそうなっちゃって気持ち悪いから、えっと男の子だったんだもん。




 25話にしてようやくシャル・ラウに突入です。











 ……ごめんなさい、五反田一家。
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