戦姫絶唱シンフォギア 〜子の為に人を止めたモノ〜   作:円小夜 歌多那

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第七話

 4月が終わり5月半ば、翼さん(私の憧れの人です)に変な子と思われただろうこの頃――はぁ……――私の待ちに待った日がやってきました。

 

 翼さんのCDの発売日だ。

 でも、今は未来の課題のお手伝い。早く終わらせて買いに行かなくちゃ。

 

「ごめんね。響」

 

「ううん、気にしないで。まだまだ時間はあるから」

 

 手伝いと言ってもほとんど見てることしか出来ないんだよね~。何やってるのか今一理解出来ないのです。

 

「それにしても、今時CDの実物を買うのって珍しいよね。最近じゃもうネットとかでデータで販売されてるのに」

 

「ちっちっち」

 

 そう、確かにデータでも販売はされて現物よりも手に入れやすい。他にも端末にすぐに入れられるし場所も取らない、音源も凄く良い。

 でも……

 

「現物の初回限定盤はデータよりもより充実した特典がついてくるんだよ。しかもほとんど同じ値段で。だから、ぜ~ったい現物の方が良いじゃん」

 

「そ、そうなんだ。う~ん、響もずいぶん変わったね」

 

「ほえ?」

 

 何処か可笑しなとこがあった? まあ、昔と比べると背も伸びたし体じゅ……ゴホン、胸もちょっとは大きくなったけどそんなに?

 もしかして太った!?

 手足を見たり腰回りを触ってみたけど変わらないはず。

 

「もう響ったら、そうじゃないよ。雰囲気とか性格の話だからね」

 

「あ、そうなんだ。良かった~。でも、何処が?」

 

「う~ん、昔ならデータだデータだって言ってたのに、今は現物だって。それに翼さんのことだって全く知らなかったでしょ。行動も積極的になったし」

 

「あははは、そういえばそうだったかも」

 

 3年前のアレは色々衝撃的だった。初めてのライブでグッときたしあの後に起こった事件でも翼さんたちはかっこ良くて惚れちゃったんだよ。……性格は踊君のせいかな? 基本、踊君と一緒にいたから、たぶんそうだと思う。

 

「踊君って妙に行動的で引きずり回されたんだよね~」

 

「最近じゃ、響が引き摺ってたよね~」

 

「うっ……」

 

 ……未来も変わったよ。メッチャ毒舌になってる。ここ最近。未来の言葉が胸にグッサグッサ刺さってるんだけど……。

 

「響ちゃんのライフはまたもやゼロです。回復させてよ~」

 

「アハハハ」

 

 え!? 何その笑み。怖い……。

 

「あれ? でも、それだったら売り切れになっちゃうんじゃないの?」

 

「…………あ」

 

 あ、話を逸らされた。じゃなくて、しまった~!! 確かにそうだ!?

急がないとやばいかも。

 

「行ってきなよ。私は心配しなくても平気だよ。それに居てても見てるだけだよね」

 

「グハッ!!」

 

 その通りです。うぅ~、また刺しますか……クスン…………。

 

「逝ってらっしゃい」

 

「字、違わない!?」

 

 何か不吉なんですけど!? 大丈夫だよね? ただCD買いに行くだけだもんね。本当に大丈夫……だよね。……私って微妙に呪われてる感があるからな~……。

 

 アレ? ヤバくない!?

 

 何も起こりませんように。

 

     *****

 

 はい、何も起こらないわけないよね。でもこれは予想外かな!?

 

「ひゃぁあああ!?」

 

「追いつかれちゃうよ!?」

 

 わかっちゃいるけど、こっちはもう既に全速力なんですよ!

 何が起きてるかって? 私が聞きたいよ! 何でCD買いに来ただけなのにアレがいるのさ!?

 

「うわぁあぁああ! 来たよ!」

 

 抱えてる女の子が叫んだ。えっと、犯罪じゃないよ? この子はつい先拾った子で親と逸れたみたいで、泣いてて危なかったから、抱えてるだけだよ!

 って、今はそれどころじゃなかった。慌てて道を右に曲がる。するとそれが私が走っていた場所を通過した。

 

『ノイズ警報、ノイズ警報。住人の皆さんは直ちに避難してください』

 

「それ無理ぃぃいい!?」

 

 そう今、私たちはノイズに襲われているのです!

 

「どわっひゃぁあ!」

 

「きゃっ!?」

 

 ちょっとこれマジでヤバいって、死んじゃうって。

 

「ひぃいい!?」

 

 先からスレスレの所をノイズが通り過ぎてる。もしノイズが人間以外を擦り抜けてくれなかったら今頃18禁な状況だったと思うよ。

 

「お姉ちゃん、前! 前!」

 

「ううぇえ!?」

 

 前を見ると目の前に壁があった。車は急に止まれないって言うけどあれって人もそうだよね。だって……

 

「おおぅ……」

 

 止まれなかったもん。頭から突っ込んじゃったもん! うぅ~、痛い。

 

「大丈夫?」

 

「うん。お姉ちゃんは大丈夫だよ。大丈夫だけど……」

 

「「「「「………………」」」」」

 

 状況は全然大丈夫じゃ無い。むしろ悪化しちゃってるね。

 

「まぁ! 何という事でしょう。この視界に入りきらないノイズの数! 溢れんばかりのヘドロ色! さぁて! 響ちゃんはどうやって切り抜けるのでしょう?」

 

「……………」

 

「「「「「………………」」」」」

 

「止めて! そんな冷たい目で私を見ないで!」

 

 何でノイズにまで冷たい視線を向けられてるのかな!? 現実逃避くらいしたって良いじゃんか!

 

「お姉ちゃん……」

 

 そんな可哀想なものを見る目は止めて欲しい。

 

「ハァ……」

 

 そこ、溜息つかない! ……って誰!?

 何時からいたのか傍に黒いマントを羽織った人が立っていた。

 

「……そこを抜けると水路がある。まだ少し冷たいだろうがそこを通って行け」

 

 その人は手にした鎌で細い脇道を指した。あんな所に道があるとは思わなかったけ ど、どうやって行けって言うんだろう? 隙間なくノイズは並び、当然脇道の前にも屯している。

 

「こうするだけだ」

 

 そう言うとその人は徐に鎌を振った。

 

「「え?」」

 

 すると現代兵器が効かないと言われているノイズが真っ二つになり、灰になってしまったのだ。

 

「行け」

 

「は、はい!」

 

 ここにいても邪魔になるだけなのは明白なのでこの人の指示に従って脇道に行くと確かに水路があった。

 ここを通るんだよね。

 

「とう!」

 

 そう覚悟を決めて水の中に飛び込んだのは良かったけど、流れがキツイ。ちょっとどころかかなり速い。しかも何故か異様に深い。昨日、雨って降ってたかな!?

 えっ、ちょっ! 止めて!?

 

 ……ゴボゴボ。

 

「けほ、これはこれで死んじゃうって」

 

 わっぷ、子供が窒息しないように水面から持ち上げるけど、これじゃあ私が窒息しそうだよ。

 うげっ!? 水が……。

 

 

 

「げほっげほっ、死ぬかと思った」

 

 うぅ~寒。

 

 何とか上がれる場所に着いたけど、ここは何処? 避難所に行きたいけど真逆だった気がする。辺りを見ると遠くに工場があるのが見えた。あれくらい高かったら大丈夫なはず。

 

 よし、行こう。

 

 目標を決めたら即実行。これ大事なことだよ。

 女の子を背負って再び私は走った。

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