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「・・・ん、ワシは、気を失っていたのか?」
意識を取り戻し、ぼんやりする頭を抑えながら立ち上がる家康
辺りを見渡すとそこは先程居たはずの江戸城では無く、荒野の真っ只中だった
「ど、どこなんだここは?確かワシは、城にいて・・・そうだ!忠勝!どこだ!?」
大声を上げて共に居たはずの本多忠勝を探すも近くに彼の姿は無かった
「困ったな。忠勝はいない、ここが何処かも分からない、少なからず江戸でないのは確かだな・・・とりあえず何処かに町か村でもあればいいんだが」
ジッとしても始まらないと考えた家康はとりあえず歩き出して人がいそうな場所を探すことにした
何処かに遠くを見渡せそうな場所等があれば良いが、残念なことに何処を見ても拓けた荒野ばかり
しかし、今の家康には疑問ばかりが脳内を巡る
此処が何処なのかもあるが、江戸城に現れた謎の人物、取り出した後に光出した銅鏡、一体何をおこし何が目的だったのかと答えが出ぬ疑問ばかりがどんどん出てくる
「うーむ、そう言えば最後に何か言っていたな。確か・・・」
家康は謎の人物が最後に家康に語った言葉を思いだす
“運命を変えてください”
“同じ異なる日ノ本の外史をひたむきに歩んだあなたの力で”
「運命を変えてくれとは・・・それに異なる日ノ本の外史とはなんだ・・・ん?」
何かに気づき、目を凝らして前方を見渡すとモヤの様なものが幾つも空に向かって立ちのぼっていた
家康はそのモヤが黒い煙だと瞬時に気づき、そこへ向かって全力で走り出した
________________ ...
「この村の奴らはこれで全員か?」
「へい、他の家に隠れてる奴らはいやせん」
「よしじゃあさっさと終わらせるか。男は皆殺し、女子供は生け捕りだ」
「「「へへへ・・・」」」
広場に集められた村の住人達を囲うように野盗達は各々の獲物を持って少しずつ近づく
頭らしき野盗は縛られた村の長の前に立って剣を向ける
「悪く思うなよこれも俺たちが生き残るためだ」
「生き残るじゃと?貴様らは殺戮と略奪を楽しむだけの外道じゃ!」
「それが遺言か?じゃあなじじぃ」
剣を振り上げ、頭上に振り下ろす野盗に村長は死を覚悟して目を閉じた
ガキンッ!
「・・・ぬ?」
「あ?」
「貴様ら、一体何をしている!」
老人の前に立ち、野盗の刃を手甲で受け止める若人に村人や野盗達も驚いた
家康は跳ね除ける様に刃を押し出し、村長を野盗から遠ざけた
「てめぇ、なんのつもりだ?」
「それはこちらの台詞だ!無抵抗の無辜の民に武器を向けるなどと、その様な暴挙このワシが許しはしない!」
「はっ少しは腕があるようだがじじぃより死に急ぐだけだぜ。てめぇら!こいつを見せしめにぶっ殺せ!」
「「「へい!!」」」
村人を囲っていた野盗達は頭の命令に従い家康を取り囲んだ
「・・・」
「今更命乞いなんか聞かねぇぜ?出てきたテメーが悪いんだからな」
「よかろう。ならばワシも全力で応えよう」
家康は右拳を天高く掲げ叫ぶ
「某、徳川家康!この拳を持ってお前達に挑もう!!来いっ!!」
「「「うおおおおぉ!!!」」」
「はっ!!」
構えを取り、四方からやってくる野盗たちに家康は己の拳を振るう
野盗達が振るう各々の獲物を少ない動作で躱し、的確に打撃を当てる
しかも野盗達はただの布服を来ただけの格好、常に戦場にて鎧を身にまとった兵も関係なく殴り倒せる家康の拳に野盗達は耐えることなぞできる訳もない
一人、また一人と殴り飛ばされ気を失っていった
「ふんっ!」
「ごはっ!?・・・・」ドサッ
「ば、馬鹿な・・・あれだけいた手下共を、た、たった一人に、だと!?」
「さぁ、あとはお前だけになったな」
「ちぃっ!!」チャキ
野盗の頭は剣を構えるが家康は関係なしと構えを解きながら近づく
「もうよせ、決着はついた。武器を捨てて降伏しろそれ以上悪行に手を染めては駄目だ」
「・・・うるせぇ、なに勝った気でいやがる。降伏だと?何様のつもりだてめぇは?!」ダッ
家康の言葉に聞く耳を持たない野盗は両手で剣を振り下ろす
「はっ!」
ガキンッ!・・・・ザッ
駆け出したと同時に正拳を繰り出す家康
その直後、拳から放たれた風圧の塊が一直線に野盗の持つ剣へと放たれ、鈍い音と共に背後に折れた刃が突き刺さる
家康の得意とする技の一つ「天道突き」
貯め(チャージ)無しなら拳による風圧のみだが、力を貯めて放てば厚い石壁すらも破砕する槌ともなる
しかもそれを右拳のみならず左拳と二連続で放つ事も可能だ
「あ・・・ああ・・・・・・」ドサッ
剣を折られた野盗の頭は戦意を喪失しその場に崩れた
「言ったはずだ。決着はついたと」
________________ ...
「ありがとうございます。見知らぬ方に助けて頂けるとは」
「いや、当然の事をしただけだ。それにもう少し早ければ被害を抑える事が出来たのに、済まなかった」
「顔をお上げください。命の恩人に頭を下げさせるなど」
野盗達を倒した家康は村の男達と共に縄で拘束し、1箇所に集められ数人の監視をつけて見張っていた
しかし、家康一人に対し数十人で挑みながら大敗を喫した野盗達の目には既に反抗の意思さえ残ってはいなかった
「何もお返しは出来ませんがもし何かあればお力になりますよ旅のお方」
「村長殿のご好意、感謝する。ワシの名は徳川家康と言う、それで村長殿にお聞きしたい事が」
「用が済んだならさっさとこの村から出てけ!」
「むっ・・・」
「これ!命の恩人になんということを!」
「村長!そいつはもしかしたら“黄巾党”の一味かもしれないですよ!助けたと安心させて、今度は俺たちの村に略奪に来るはずだ!」
「なに、黄巾党?」
村の若者が家康を指差しながら叫び、彼が言い放った黄巾党という言葉に家康は反応する
「惚けたって無駄だ!お前の格好は黄巾党の一味だって言ってるようなものだ!俺は騙されないぞ!!」
「止めぬか馬鹿者!」
「待ってくれ村長殿」
家康は村長を静止し、そのまま若者に近づく
「な、なんだ?」
「そなたの村の皆を思う気持ち、固い絆をしかと聞き入れた。今から言う事は口約束にしか聞こえないだろうが聞いてほしい」
「ワシはそなたが言う黄巾党の一味でも賊の仲間でもない。ワシはこの村に一切手を出す様な事はしない、もしまた賊やそなたの言う黄巾党がこの村を襲う様な事があるならばワシが全力を持って守る事を誓おう!」
「くっ・・・好きにしろ!俺は騙されないからな!」
家康の言葉に若者はその場から離れた
「申し訳ない、うちの若者が」
「いや、あのような事があってからでは皆疑心暗鬼になるものだ。ワシは気にしていない・・・それで村長殿、ワシはあなたに聞きたい事がある」
家康は村長に質問をする
この場所、時代、そして“黄巾党”と言う存在について
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その頃
「まさか道中で賊と遭遇するとは。件の村への到着がだいぶ遅れてしまった」
「ふむ、不可思議な事もありますな。しかもあの賊達は何やら怯えて逃げていたようにも見えた」
「怯えて・・・確かに様子からは何かから逃げていた用には見えたが」
「まぁ、それもこれから向かう村に行けば何か分かるやもしれんな。先の賊は白蓮殿が何とかするだろう」
「・・・(果たして本当に賊に襲われたと言う件の村と関係があるのだろうか。まあ後方には鈴々を置いているから桃香さまは大丈夫だろう)」