ユウキがカガリと名乗る女にさらわれた。
その現実を改めて認識するにはあまりにも辛く、あまりにも悲しい気持ちだった。それはカナタだけではなくハルカやナギも同じようで、特にハルカに至っては二時間ほどもぶっ続けで泣き続ける始末だった。
そして、ユウキが攫われた日の午後十一時。
泣き疲れて眠ってしまったハルカをベッドに寝かせたカナタは「ふぅ」と重い息を吐き、
「わざわざごめんな、ミツル。本当はお前を家に帰してやりたかったんだけど、今のこの状態のハルカを宥めるにはお前の存在が必要不可欠だったから……」
「だ、大丈夫ですよ、これぐらい。ボクが力になれることがあったらどんどん言ってください」
「ああ、サンキューな」
ベッド傍のソファーにちょこんと座っているミツルにカナタは疲労に満ちた声を返す。ハルカのように表には出していないものの、心へのダメージで言ったらカナタも相当なものを負っている。大事な幼馴染みが誘拐されたのだから致し方ない事だろう。
心配そうな顔で見てくるミツルに「大丈夫だ」とぎこちない笑顔を見せるカナタ。明らかに無理してる感が否めないのだが、ここでそこを指摘するほどミツルは空気が読めない子ではない。今はカナタが復帰するのを待つ。――これが何よりもの最善策だろう。
ミツルの向かいのソファに腰を下ろし、「はぁぁ」と力なく溜め息を吐く。いつもだったらここで「溜め息ではなく喘ぎ声を吐いて欲しいものだな」とか言う思春期女がいるはずなのだが、今はその姿はどこにもない。
その事実に気づいているミツルは一瞬だけ戸惑いながらも真正面からカナタの目を見据え、
「そ、それで、あの……ナギさんの様子は、どのような感じなんですか?」
「っ」
カナタはギリィッと歯を食いしばり、
「……隣の部屋に閉じこもってからずっと出て来ねえよ。声をかけても応答はねえし、ドアの向こうからはすすり泣きの声が聞こえてくる始末だ。……本当、どうしてこうなっちまったんだろうな」
本当に、な。
ミツルに聞こえないぐらいの声量で同じことをもう一度呟いたカナタに、実は聞こえていたミツルはとても悲しそうに顔を伏せた。
カナタ達のチームが普段からどんな感じだなんてことは今のミツルには分からない。別に昔からの知り合いという訳でもないし、そもそもミツルとカナタは今日知り合ったばかりだ。これで互いの事を理解しろという方が不可能というものだろう。
――しかし、このままではいけないという事は十分に理解できている。
ユウキが攫われた。この事は凄く悲しいし辛い。――だが、このまま悲しみに囚われていていいはずがない。
別に空元気を見せろという訳ではない。ミツルが言いたいのは、ネガティブな思考からポジティブな思考へのシフトを図る事。攫われたユウキを助けるための作戦を練る方向へと思考を向ける事。――この二つだけなのだ。
その為には、カナタとナギとハルカの復活が必要不可欠だ。自分でも実力不足だと分かっているミツルだけではユウキを助けることは出来ない。というか、ユウキを助けるのはミツルではなくカナタ達三人こそが最適なのだ。
その事が分かっているミツルは膝の上で拳を握り締め、確かな意志の灯った瞳でカナタを真っ直ぐと見つめた。
「カナタさん」
「……何だ?」
「ナギさんと話をしてきてください。今のあの人を救えるのは、ボクでもハルカさんでもない――カナタさん、あなただけだと思います」
「…………無理、だよ。俺みてえな奴じゃナギさんを救えない。ユウキも救えないしハルカも救えない。俺はそこまで万能じゃないんだ」
ダメだ、完全に心が折れている。
このままだとユウキを助けるどころかポケモンリーグを目指す事すら不可能になってしまう。……まだボクは諦めるわけにはいかない。
生きた屍状態のカナタに気圧されながらも、ミツルは自分に喝を入れて話を続ける。
「無理かどうかを決めるのはカナタさんじゃありません。救われるかどうかを決めるのはカナタさんじゃありません。それを決めるのはカナタさんではない誰かであり、他者であり、仲間であり、そして――ナギさん自身なんです」
「…………」
「ちょっとだけ、勇気を振り絞ってみてください。出会ったばかりでこんな事を言うのは失礼かもしれませんけど……ナギさんはカナタさんの大事な人なんでしょう?」
「…………」
ミツルへの返事はなかった。
しかし、カナタは言葉の代わりに行動で示した。
カナタが部屋から出て行った事で静かになった空間に取り残されたミツルは「ふぅ」と疲れたように息を吐き、
「……ボクももっと強くならなくちゃ」
弱い自分と離別する決意を固めた。
☆☆☆
ナギを救えるのはカナタだけ。
そんな先ほどのミツルの言葉が頭で反芻され、カナタは今世紀最大級の溜め息をセンター内の廊下で吐き出した。
現在、彼の目の前には『206』と書かれた扉がある。この扉の向こうには大切な相棒・ナギが閉じこもっていて、今も深い悲しみに囚われている真っ最中であるはずだ。実はヒワマキシティジムのジムリーダーらしいが、それについては本人の口から聞かされるまでは保留という事にしておこう。
右の拳をドアに向け、迷う事無くノックする。――返事はない。
「……やっぱりか」
別に予想できていた事だ、何の問題もない。本当に問題なのは――ここで引き下がってしまうという事だ。
鍵が閉まっているのなら開ければいい。そう判断したカナタはボールの中のキルリアに小声で指示を出す。
「(キルリア、“ねんりき”で鍵を開けろ)」
《(あいあいさーッス)》
相変わらずの緊張感のない声に脱力しそうになるも、相変わらずの性能でスムーズに開けられた鍵に思わず苦笑を零してしまう。……あ、この褒め言葉もキルリアには聞こえてるんだっけか? まぁいいや。
無理やり開錠した扉のドアノブを掴み、勢いよく開け放つ。
部屋の中にはナギの姿はないが、ベッドの上には謎の毛布の塊が顕現なさっていた。――どう考えてもあれだな、ナギさんは。
隠れるつもりあんのか? と思わず呆れ返りつつも、カナタはベッドの上の毛布の塊へと足を進め――
「ナギさん、見ーつけた」
「っ!?」
――流れる手際で毛布を華麗に剥ぎ取った。
毛布の中にいたのは普段の服装のまま膝を抱えているナギ当人で、目元と鼻が真っ赤に腫れてしまっている。顔はグシャグシャに歪められていて、涙目状態ながらに時折嗚咽が漏れている始末だ。
今まで一度として見たことがないナギの疲弊っぷりに思わず動揺してしまう。――だが、ここで引き下がるわけにはいかない。
ミツルの激励のおかげで覚悟を決めているカナタは迷う事無くナギを正面から抱きしめ、彼女の頭を乱暴且つ優しく撫でた。
「~~~~ッ!?」
「大丈夫、大丈夫っすよ、ナギさん。俺はあなたに乱暴はしねえし、俺はあなたに立ち塞がらない。寂しいのなら俺を使って良いし、悲しいのなら俺の胸で泣いて良い。――だから、元気を出してください。あなたの泣いてる顔なんて、俺は微塵も見たくはない」
「っ……うぅ……えぐっ、ひっく……――っ!」
囁きかけるようなカナタの声が心の奥へとスッと入り込み、ナギの悲しみをひとつ残らず外へと暴発させた。
☆☆☆
ナギが子供のようにひとしきり泣き喚いた後、二人はベッドの上で肩を並べて座り直した。因みに、二人の肩を覆うように被せられている毛布は先ほどカナタが投げ捨てたものだ。
膝を抱えてしゅんとしているナギにドキッとしながらも、カナタは早速本題に入る。
「ナギさん。一つだけ聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「……嫌だと言ったら?」
「ナギさんが折れるまで何度も問い質しますよ」
「ははっ、そうだな。君はそういう奴だった……」
そう言いながらもナギは哀愁に満ちた表情を浮かべ、
「いいさ、答えてやる。どんな質問だろうが私が盛大に答えてあげようじゃないか」
今の発言に下ネタが含まれてないからまだ本調子じゃねえな、と思った俺はもう手遅れなのだろうか?
☆☆☆
「それで、私に何を聞きたいのだ?」
「絶対に言いたくねえと思うんですけど、まずは一つ目。――ナギさんがヒワマキシティジムのジムリーダーだってのは、本当ですか?」
「早速大ダメージな質問だな」
「すみません」
「ああ、いや、別に謝る必要はない。逆に謝らなければならないのは私なのだからな。……そうだ。私はヒワマキシティジムのジムリーダー、飛行タイプ使いのナギだよ」
「……どうして今まで黙ってたんですか?」
「…………そ、それについてはまた今度でもいいか? それよりも、今は他に聞きたいことがあるのだろう?」
「いやまぁ、別に良いですけど……それじゃあ、二つ目の質問――というか、俺が聞きたい本当の質問です」
「…………」
「ナギさんの過去に何があったのかを聞かせてくれませんか?」
「……君は本当に失礼な奴だな」
「すみません」
「よりにもよって私のプライバシーを侵害する作業に出てくるとは……相手が私で無かったら処刑ものだぞ?」
「すみません」
「……まぁ、いい。君は私にとって特別だからな。特別待遇で話してやろう」
「…………」
「それでは、心して聞いておくといい。私ことナギの辛く悲しく夥しい追憶の物語を――」
☆☆☆
むかーしむかし、ヒワマキシティと呼ばれる街に、それはそれは可愛らしい女の子が住んでおりました。
女の子の名はナギと言い、父親がジムリーダーなだけあって、ポケモンバトルの実力もそれはそれは筋金入りのものでした。同年代で彼女に敵うものはなく、年上でも彼女と対等に渡り合える者は極々少数でした。
ナギは思いました。もっと強くなりたい、と。
ナギは考えました。強くなるために旅に出よう、と。
全力の熱意で両親を説得したナギは荷物をまとめ、相棒のチルタリスと共に修行の旅を始めました。
旅は困難を究めました。
どこまで続くのかすら分からない平坦な道、死んでしまうのではないかと錯覚してしまう程の灼熱の砂漠、足がとられて前に進めない火山灰の道。比較的平和だとされているホウエン地方の旅は、弱冠十歳の少女にとってはとてつもない程に困難なものでした。
そんな時、ナギは一人の青年と出会いました。
赤い髪と高身長が特徴のその青年は、マツブサと名乗りました。
マツブサは海に沈みつつある大地についての研究をしている若者で、半端じゃない程の実力を持つポケモントレーナーでもありました。
マツブサは幼いナギにこう言いました。
「そんなに幼いのに一人旅をするだなんて君は偉いな」
そう言って、優しく頭を撫でてくれたマツブサにナギは心を許してしまいました。別に恋心を抱いたという訳ではありませんが、自分に優しく接してくれるマツブサを心の底から信用してしまったのです。
ナギとマツブサは一緒に旅をすることにしました。
マツブサの研究に付き従う傍ら、ポケモンバトルの修行に励む。それはとても効率が良く、それはとても充実した旅でした。この調子で旅を続けていれば、私もマツブサも目的を達する事が出来る。なんて素晴らしい循環なんだ――と、この時のナギは思ってしまっていました。
しかし、そんな彼女を悲劇が襲いました。
それは、二人がルネシティと呼ばれる街を訪れたときに起こりました。
立ち入り厳禁である『目覚めの祠』という遺跡に無断で侵入した二人は、そこで信じられないものを目にしたのです。
「だ、ダメだ、マツブサ。やはり不法に侵入するのは良くない事だ……っ!」
「何を言っているんだナギ! この先に、私が追い求めていたものが在るんだぞ!? 海を干上がらせ大地を創造する、世界最強の古代ポケモンが!」
この時に、ナギは気づくべきだったのです。
この時に、ナギは逃げるべきだったのです。
しかし、ナギはマツブサの後を追ってしまいました。ここで彼を裏切るわけにはいかない、と。ここで彼を一人にするわけにはいかない、と。
暗く険しい洞窟を抜け、二人は広い空間へと出ました。
そこは、熱さと冷たさが混在する、不思議な広間でした。
――そして。
ナギは見ました。
熱く燃えたぎるマグマの中で眠る――巨大な紅いポケモンを。
深く揺らめく冷たい海の中で眠る――巨大な蒼いポケモンを。
其の二体のポケモンを視界に収めたマツブサは迷う事無く紅いポケモンの方へと駆けより、涙を流しながらこう叫びました。
「素晴らしい、素晴らしいぞ! 私の研究は正しかった! こ、これこそが私が追い求めていた超古代ポケモン、大地の創造主――グラードンだ!」
目覚めの祠の入り口まで聞こえているのではないかという叫び声でしたが、紅いポケモンと蒼いポケモンは目を開く事すらしませんでした。ナギは直感で思いました。このポケモンたちは、絶対に起こしてはならない存在なのだ――と。
ナギはマツブサの腕を引き、こう言いました。
「ま、マツブサ、もうここを出よう! これ以上ここに居てはいけな――ひっ!」
そして、ナギは見ました――いえ、見てしまったのです。
大地に魅せられた愚かな青年の狂った顔を。
既に手遅れでしかない青年の異常な表情を。
青年はナギを見るなり彼女を押し倒しました。ナギは激しく抵抗しましたが、何歳も年上のマツブサを引き剥がすまでには至りません。
恐怖で涙を流して震えるナギに覆い被さりながら、マツブサはこう言いました。
「ナギ、
「お、おかしい、そんなのおかしいよ、マツブサ……正気に戻ってくれ、頼むからぁっ」
「正気? ははっ、いきなり何を言うかと思えば、くだらない。見ての通り、私は至極正気だよ」
「マツブサぁっ……」
「ん? なんだ、その反抗的な目は。まさかこの私に盾突こうとでも言うつもりか? バカバカしい。貴様が私に勝てるはずがないだろう?」
悔しいですが、それは認めざるを得ない真実でした。
長い旅のおかげでナギの実力は中々のものになっていましたが、それでもマツブサには及びません。彼を追い込む程度の活躍は出来るかもしれませんが、勝利するところまでの実力は持ち合わせていなかったのです。
恐怖と悲しみで涙を流すナギにマツブサは妖しい笑みを向けました。
そして。
マツブサは彼女の服を破り捨て、
「そうだ、お前には今の私のこの興奮を覚ます役目をしてもらおう。なぁに、これが最後の役目だと思ってくれればいい。十歳の割には成熟しているお前なら、私の相手も問題ないだろうからな」
「い、いやっ、いやぁ……いやぁあああああああああああああああああっ!」
その後、ナギの悲鳴を聞いた目覚めの祠の守衛さんたちがマツブサを取り押さえ、目も当てられない状態だったナギを病院へと搬送してくれました。
その後の事は、ナギはよく覚えていません。
☆☆☆
「――と、いう訳さ。マツブサという男に捨てられた私は自分の身を護る為にジムリーダーとなり、自分から他人を遠ざけるために下品な事を言う女へと変わったのだ」
馬鹿な女だろう? とナギは悲しそうに笑った。
そんな笑顔を浮かべる彼女を見たくなくて、カナタは静かに静かに彼女の身体を抱きしめた。「え?」という声が耳元で聞こえたが、カナタは聞かなかったことにした。
カナタはナギを強く抱きしめたまま、思い思いの言葉を吐き出す。
「辛かったな、
「カナタ……」
「これからは他人を警戒しなくていい。これからは自分に閉じこもる必要はない。――お前は俺が守るから。どんな脅威からもどんな危険からも、俺が絶対に守って護ってみせるから」
「…………うん」
「俺はお前を裏切らないし、俺はお前を見捨てない。例えこの身が滅びようとも、俺がお前を護ってやる」
だから、とカナタは付け加える。
本当に言いたいことを伝えるために、カナタは大事な事を付け加える。
「一人で強がらないでくれ、頼むから。どんな時でも俺が一緒に居てやるから、どんな時でも俺があなたを愛するから――たった一人で強がるのだけはやめてくれ。俺は、あなたの悲しむ顔なんて見たくない」
「…………う、ん。ごめん、ごめんね、カナタ……」
「だから、謝る必要なんてねえんだっての」
そう言って。
カナタとナギは超至近距離で見つめ合い、
「この世の全てが敵になっても、俺が絶対に守ってやる」
「この世の全てが敵になったら、君に全力で護られるよ」
――二人の唇が優しく触れた。
☆☆☆
「やっぱり、行くのか?」
「ああ。もう、決めたことだしな」
「また二人での旅になってしまうとは……寂しくなるな」
「大丈夫、ハルカにはミツルがついてるかんな。寂しくはねえだろうよ。――それに、ちゃんと置手紙もしてきたし」
「そう、だな。いつまでもくよくよしてはいられない。ハルカたちに西側を任せて私たちが東側を捜索する――これが最善策だと二人で何度も話し合ったものな」
「二手に分かれることで時間を短縮させる。ハルカたちが普通のジム挑戦ルートを進んでいる間に、俺と
「ああ。今はそんな事をしている場合ではないからな。君の言う通りにするよ――旦那様っ☆」
「~~~ッ!? い、いきなり何言ってんだテメェ! べ、別にそんな、旦那様とか意味分かんねえし……」
「照れなくても良いではないか、カナタ。私は君にならこの身体の全てを捧げても良いという覚悟までしているのだぞ? どうしてもというのなら、ここで野外セッ〇スをするというのはどうだろう?」
「お前本当は心の底から下ネタ好きなだけだろ! 他人を寄せ付けないようにだとかってのはただの建て前なんだろ!?」
「……ノーコメントで」
「目を逸らすなぁっ!」
「ま、まぁイイではないか、そんな事は。とにかく今は先を急ごう。ユウキを救うためにも、マグマ団とアクア団の暴挙を止めるためにも――な」
「体よく話を逸らされた気がするんですけど?」
「さ、さてはてなんのことだろうなー? と、とにかくっ、ハルカたちが起きる前にヒワマキシティへと向かおう! 話はそれからだ!」
「はぁぁ……ったく、また騒がしい事になりそうだな」
「なーに、心配も問題もないだろう。だって――カナタが私を護ってくれるのだろう?」
「……うっせーよ。改めて言うな恥ずかしい」
「あははっ、そんなところも大好きだぞ、カナタ☆」
「~~~~ッ! い、いいからさっさと行くぞ! ぼさっとしてたら置いてくかんな!?」
「相変わらずカナタはツンデレで照れ屋さんなのだな~」
「誰がツンデレだって!?」
翌朝。
目を覚ましたミツルとハルカは全力で二人の姿を捜したが、カナタとナギを見つけることは叶わなかった。
ツツジ「…………ぐふっ」
アスナ「つ、ツツジさぁん!? 温泉から上がって数秒で吐血って一体どういう状況ですか!?」
ツツジ「心成しか、誰かさんに先を越されてしまった気がしてならないのですわ」
アスナ「はぁ? 誰かさんって……誰の事ですか?」
ツツジ「こうしてはいられませんわ! アスナ、ちょっとこれからヒワマキシティに行きますわよ! 有給二ヶ月フルスロットルで!」
アスナ「アタシも行くんですかぁ!? ツツジさんだけで行ってくださいよ……」
ツツジ「何を言っているのですかアスナ! 女の勘がビビッと来た時には即行動。これがいい女の鉄則なのですわ!」
アスナ「意味分かんない。この人が言ってることがマジで意味分かんない」
ツツジ「そうと決まれば何とやら! ほら、さっさと旅の支度を始めますわよアスナ! さもなければ――全裸でフエンタウンを駆け回ってもらいます!」
アスナ「全力でお供させていただきます、ツツジさん!」
ツツジ「それなら早く準備に行きますわよ! 待っていなさい、ナギ。カナタ様を貴女なんかに渡してなるものですかーっ!」
アスナ「い、いつもアタシばっかり貧乏くじを引かされてる気がするぅぅううううううううううううううううっ!」