ホウエン地方は何処も思春期   作:秋月月日

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欲情浴場パニック

「とりあえず、今日は私の家で身体を休めよう」

 

 そう言ったのはカナタを先ほどプロペラで戦闘不能にしたナギで、彼女を怒らせてはいけないことを全力で思い知らされたツツジとアスナは顔面蒼白で全力で首を縦に振った。因みに、股間を殴打されたカナタは未だにグロッキー状態で気絶中だ。いくら頑丈なカナタでも流石にプロペラでの股間ブレイクは堪えたらしい。

 怖ろしい程に冷たい笑顔のナギの先行で、アスナとツツジがカナタを抱えた状態でナギの家へと向かっていく。ここからはナギの後ろ姿しか黙視できないが、あの前面にはさぞ恐ろしい形相が権限なさっている事だろう。修羅とか悪魔とか、絶対に足元にも及ばない。

 ――と。

 顔面蒼白でぷるぷる震えているカナタを見て、何を思ったのかツツジは「カナタ様っ」と少し嬉しそうな表情で名前を呼び――

 

「おちん――もとい殴られたところをわたくしが擦ってあげますわ!」

 

「待てツツジ! その一線を越えられるのは恋人である私だけのはずだが!?」

 

「二人とも落ち着いて! 論点は絶対にそこじゃないと思うんです!」

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 ナギの家はヒワマキシティの東側に位置しているツリーハウスで、小さい外観の割に中はかなり広い造りになっていた。流石に何部屋も作る事が出来るほどの広さはないが、それでも十分に七、八人は余裕で入る事が出来るぐらいの広さはある。

 絶賛グロッキー中のカナタを部屋の隅に寝かせたツツジとアスナは額に浮かんだ汗を手で拭い、

 

「あ、そういえば、ナギ先輩」

 

「ん? どうした、アスナ?」

 

「アタシたち、フエンタウンを出てからお風呂にすら入ってないんですけど……この家、お風呂とかあったりしますか?」

 

 既に服を脱ごうとしているツツジを抑え込みながらのアスナの問いにナギは「うーん」と腕組みをし、

 

「まぁ、あるにはあるのだが……ちょっとばかし風変わりな風呂だからなぁ……」

 

「風変わり? それってかの有名な五右衛門風呂とかですか?」

 

「いえ、外から透けて見える露出風呂に決まってますわ!」

 

「その風呂には是非入ってみたいところだが、不正解だ」

 

「じゃあどんなお風呂なんですか?」

 

 ナギはふいっと視線を逸らし、

 

「……木の天辺に作られた、特製露天風呂なのだ」

 

「「なにその無駄に豪華な露出プレイ」」

 

 そのツッコミは言葉だけなら同じだが、ツツジの顔には期待が、そして、アスナの顔には驚愕の色が込められていた。

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 ワカシャモとスバメの活躍でテッセンを倒したハルカは、自分の後に挑戦したミツルがダイナモバッジを受け取るや否や、一目散にキンセツシティジムを飛び出した。

 自分の手を引きながら迷う事無くキンセツシティの出口に向かおうとしているハルカにミツルは息を切らしながら、

 

「は、はるっ、ハルカさん……ちょ、ちょっとストップして、ください……」

 

「あぁっ! ご、ごめんねミツルくん! ミツルくんのこと何も考えずに振り回しちゃって……」

 

「い、いえっ、そこは別に、問題、ない、です……」

 

 ゼーハーゼーハーと肩を激しく動かして呼吸を整えようと試みるミツル。生まれつき体が弱いミツルは激しい運動が極端に苦手だ。ただでさえお世辞でも空気が綺麗とは言えないキンセツシティに居るというのに、そこで全力疾走を強要されたらとてもじゃないが耐えられない。こればかりはどうしようもないので誰が悪いという訳ではないのだが、それでもこの身体のせいでハルカに迷惑をかけてしまっているというこの状況は許し難いものがある。

 なんとか普段通りの呼吸リズムを取り戻したミツルは「ふぅ」と胸を撫で下ろし、

 

「これからどうします? カナタさんたちの指示では、ハジツゲタウンの方角に行けという事でしたよね?」

 

「うん。フエンタウンまでの範囲を捜索して、何も情報が得られなかったらカナタ達に合流する――って指示だったね。だから一応、このままハジツゲタウンに向かおうと思ってるんだけど……」

 

 そう言って、ハルカは仄かに頬を朱く染めてミツルから顔を反らし、

 

「そ、それで、ね、ミツルくん? もし、良かったらでいいんだけど……わ、私と一緒に、その……旅を、してくれないかな? なーんて……」

 

「良いですよ?」

 

「あ、うん。やっぱり駄目だよね…………ん?」

 

 今、何かすごく聞き間違いをした気がするのは気のせいか? ミツルが頷いたように見えたのは私の気のせいか?

 思わず耳を疑ったハルカは大きく深呼吸をし、

 

「も、もしかして今、了承してくれた?」

 

「はい。ユウキさんを助けたいのはボクも同じですし、ハルカさんと一緒に旅をするのも楽しそうだなぁって思っちゃいましたから。……もしかして、やっぱりダメって感じですか……?」

 

 目を潤ませながらしゅんと落ち込んで上目遣いをしてくるミツル。

 その破壊力は一撃必殺級で――

 

「も、もももももちろんオーケーに決まってるよこれからよよよよよよよろしくねミツルくん!」

 

「くぎゅぅっ!?」

 

 ――目をハートにしたハルカはミツルを思い切り抱きしめた。

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 そして。

 公衆の面前でミツルを抱きしめるハルカの姿を遠目で見ていた黄色く小さなポケモンは特徴的な尻尾を大きく振り、

 

「ぴかちゅっ」

 

 トタタッと彼女の元まで一目散に駆け出した。

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 ナギの家の露天風呂は想像をはるかに上回るほどに極楽だった。

 

「ぶふぃー……あ゛~~生き返るぅぅ……」

 

「こらこら。嫁入り前の女がそんな年寄り臭い声を出すんじゃない。ツツジのように婚期を逃したいのか?」

 

「ちょっと待ちなさいなこの鳥野郎。わたくしは貴女と同じ二十一歳なのですが?」

 

「ああ、そうなのか? すまないすまない。あまりにも君がモテていないから、無意識に年齢を間違えてしまったよ」

 

「モテてますぅ! これでも一日に十通はラブレターを貰ってますぅ!」

 

「私にはカナタからの愛情があるから一日五十通のラブレターをすべて焼却処分しているがな!」

 

「滅べッッッ!」

 

「なんでアタシにぶべらっ!?」

 

 フンス、と豊満な胸を張ったナギの顔面目掛けてツツジが洗面器を投げつけるが、ちょうど対角線上にいたアスナの顔面が見事な角度で洗面器をキャッチしてしまった。今のは完全に即死コースだったのだが、アスナは奇跡的に軽傷で済んだようだった。

 しくしくしく、と朱く腫れ上がった鼻を抑えて泣くアスナに苦笑を浮かべながら、ナギはツツジに問いかける。

 

「ずっと気になっていたのだが、どうして君たちは突然旅を始めたのだ? しかもわざわざ有給まで取って……」

 

「カナタさまを鳥女の毒牙から護る為に決まってますわ」

 

「渾身の“つばめがえし”で性的に昇天させるぞクソ教師」

 

「返り討ちにしてやりますわ」

 

「ちょっと待って二度目はない二度目はないわマジでそれは流石に笑えなぶぎゅるっはぁあああああああっ!」

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 深い闇の中から脱出したカナタが目を覚ますと、視界に見覚えのない天井が映り込んできた。

 未だに鈍い痛みを発する股間に顔を歪めながらもカナタは上半身をゆっくりと起こし、

 

「えーっと、さっきの流れ的にここはナギの家って事で間違いねえんかな……?」

 

 あそこに飛行服が何着も折り畳まれてるからきっとそうだな、とカナタは鋭い洞察力を駆使して勝手に納得する。

 カナタは膝をがくがく震えさせながらもゆっくりと立ち上がり、辺りをキョロキョロと見回す。何故かナギたち三人の姿が無い。どこかに買い物にでも行ったのだろうか? ――いや、それだったら何かしらのメモを残しているはずだ。ナギとはそういう性格の女なんだから、何の音沙汰もなく外出するなんてことは皆無に等しいだろう。

 それでは、彼女たちは一体どこへ行ってしまったのか? そんな素朴な疑問に頭を悩ませるカナタだったが、直後に彼の耳にこんな会話が聞こえてきた。

 

『ま、マズいぞツツジ! アスナが息をしていない!』

 

『あ、あああ焦ってはダメですわナギ! ま、まずは人工呼吸と心臓マッサージを――ってこの巨乳を合法的に触れる奇跡の瞬間キターッ!』

 

『何ィ!? そ、それなら私が心臓マッサージを担当する! 君は人工呼吸を頼む!』

 

『今のわたくしのノリとテンションをもう一度鑑みてその言葉が言えるとするなら貴女は生粋のクズですわ!』

 

「こんな大声で随分ゲスな会話してんなオイ!」

 

 そして何気にアスナが命と貞操の危機に瀕している!

 このままでは数少ないツッコミ仲間が社会的な死を迎えてしまう。それだけはなんとか避けなければ。別にナギとツツジだけにアスナの胸を触らせるのが嫌という訳じゃあない。ちょっと俺も触ったり揉んだりしてみたいなとか思ってる訳じゃあない。そこんところの勘違いだけはやめてくれ!

 心の中で言い訳をしながらも何故か喜色満面なカナタはドダダダダッ! と勢いよく階段を駆け上って屋上へと移動し、

 

「罪なきツッコミ役に一体何してんだおま、え、ら…………」

 

「「へ?」」

 

 脳が震えた。

 

 今、カナタの目の前に広がっているのは、男なら誰だって気絶してしまう程の理想郷だ。

 全裸で気絶しているアスナの爆乳を上から右手で押し潰しているのは、これまた全裸で体の隅々までもが露わとなってしまっている美乳のツツジ。普段はツインテールにしている髪が水に濡れて下に降ろされているのがなんとも艶めかしい。

 そして。

 アスナの爆乳を揉み潰しながらもツツジの左手に自信の胸を揉み潰されている――例外なく全裸のナギの姿。胸の先やら股の間など、絶対に見えてはならない箇所が全てカナタの目を釘付けにしまっている。

 気絶している一人を除き、裸を見られている二人の少女はキョトンとした顔でカナタをまじまじと見ている。

 あまりにも予想外すぎるラッキースケベに恐怖したカナタはニッコリと心の底から満面な笑みを二人に向け、

 

「三人とも、最っ高にエロいっすね!」

 

「「…………~~~~ッ!?」」

 

 直後。

 顔を紅蓮に染めたジムリーダーコンビによりカナタがモザイク処理必須な肉塊に変えられることになるのだが、それについての描写はあえて書き記すまでもないだろう。

 

 




カガリ「最近、ユウキを虐めることに性的快感を覚えてきたアタイがいる」

ホムラ「それをオレに言ってどうしろってんだよ……」

カガリ「アタイがユウキへの拷問で絶頂出来るまでの間、アタイの仕事を代わりにこなしといてくれないかい?」

ホムラ「うっわ予想外に面倒臭ェ事頼まれた」

カガリ「嫌そうな顔するんじゃないよ。これは――上司命令だ」

ホムラ「こういう時だけ上司面すんなよ鬱陶しい」

カガリ「じゃあ、そんな訳だから、今日の仕事は任せたよー」

ホムラ「お、おい! マジかよ冗談じゃねェぞ……」

 ――山積みになった書類――

ホムラ「オレ、机上仕事とか専門外なんだっての……ッ!」


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