リリカルなのはStrikerS AfterStory ~蘇る緋色の弾丸~ 作:皆川誠司@GPS
ー11月1日 機動六課・部隊長室ー
「2人とも、朝からゴメンな?」
朝食の後、はやてに呼ばれてなのはと一緒に部隊長室を訪れていた。
「気にしなくてもいいよ、はやてちゃん」
「うん、最近は落ち着いてるし全然問題なし」
応接用のソファーに座ってはやてが淹れてくれたお茶を飲む。
ゆりかごの事件が終わってからひと月ちょっと、隊舎の再建や報告書の作成等でバタバタしていたけど、先日ようやく一段落ついたと言うところだ。
「ところではやて、話って何?」
「せやった。実はな、なのはちゃんの代打で教導をしてくれる人が決まってな、これから来るから紹介しとこうと思って呼んだんよ」
あぁ、これは朗報だ。
なのはが作ってくれた指示書を元に私とシグナムの2人でフォワードの教導をやってきたけど、他の仕事も重なっている事もあってまともな指導は出来ていないのが現状だった。
「なんだかいろんな人に迷惑かけちゃってるね」
なのはの元気がない。
仕方がない事ではあるけど、本人からしたらとても歯がゆい状況だろう。
「そんなことあらへん。高濃度のAMFにブラスターシステムの使用、身体に負担がかかる状態で戦い抜いてくれたなのはちゃんを悪う言う奴は私が容赦なく潰してやるわ」
グッと拳を握って立ち上がるはやて。
「はやての言うとおりだよ、今はゆっくりと静養して、体調が整ったらまた頑張ればいいんだ」
「うん、そうだね」
罪悪感が拭えてないのか、なのはが力無く笑う。
取りあえず話を戻そう。
「それで、今日来る人ってどんな人なのかな?」
「それは会ってからのお楽しみや、でもみんな知ってる人やで……っと、ルキノから通信や、どうやら到着したみたいやな」
みんな知ってる? 誰だろう。
なのはならともかく、教導隊の人で私の知り合いなんて極わずかだし、はやてがやけに嬉しそうなのも気になる。
そして数分後、部隊長室の扉が開いてルキノと一緒に入ってきたのは私達がよく知る人物。
「久しぶりやね、フィリア」
頭半分ほど大きな身長。
うなじで纏めたオレンジがかった赤い髪とルビーのような切れ長の眼。
それはかつて、共に空を飛び、4年前に突如消息を絶った私達の友人だった。
「フィリア……ちゃん」
「フィリア……」
なのはと声が重なる。
「3人とも、久しぶり」
表情ひとつ変えず返事をすると、今度は脚を揃え敬礼をする。
「フィリア・アルヴィス空曹長、本日より遺失物管理部機動六課へ配属となりました」
「はい、よろしくお願いします」
無表情なフィリアに対してニコニコ顔のはやて。
そして、なのはは……
「今まで、どこに居たの?」
俯いていて表情は見えないが、これは明らかに怒っている声色だ。
「……ごめん」
「謝罪が聞きたい訳じゃないの! 何をしてたかって聞いてるの!」
室内に怒号が響いた後に沈黙が流れる。
「……教えてくれないんだね」
顔色を変えず黙るフィリアを見てなのはは部屋の出口へ向かう。
「アルヴィス空曹長、後ほど渡すものがありますので待っていてください」
そう告げると、なのはは部屋から出て行く。
「私もいくね。フィリア、後でゆっくり話そう」
私も足早に部隊長室を後にした。