リリカルなのはStrikerS AfterStory ~蘇る緋色の弾丸~   作:皆川誠司@GPS

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今回ははやて視点です。
基本的にはフィリア、なのは、フェイト、はやての4人の視点で話を書いていこうと思ってます。


第3話:友達として

 なのはちゃんとフェイトちゃんが出ていって、私とフィリアが残された室内には普段はあんま気にならへん空調の音だけがしてた。

 

「改めて、久しぶりやねフィリア」

「えぇ、お久しぶりです」

 

 ずっと会うてなかったが、身体的な変化は無いように見える。

 目鼻立ちがしっかりしていて、所謂美人に分類される顔。

 身長は170cm後半で私達の中で一番高いけど、身体の凹凸が少ない。

 まだ腹に力を入れると腹筋は割れるんやろうなぁ。

 

「立ってるのもあれやし、座って待ってて」

「はい……失礼します」

 

 カップ2つをテーブルから下げて、あらかじめ用意しとったフィリア用のカップを持ってきてお茶を注ぐ。

 

「はいどうぞ」

「ありがとうございます」

 

 礼は言うものの口を付ける気配はなく、再度静寂に包まれる。

 ていうか、フィリアの口から敬語は違和感しか感じんなぁ。

 以前のフィリアは、良く言えば男勝り、悪く言えば粗暴な性格やった。

 でも今は……他人行儀って言葉が一番当てはまる。

 そして、十数分の沈黙を破って言葉を発したのはフィリアやった。

 

「あの、八神二佐……」

「『はやて』でええよ」

 

 言葉を遮るとフィリアは黙る。

 

「今は私とフィリアしか居らん。昔のままでええ」

「それは……出来ません。貴女と私では階級も立場も違いすぎる」

 

 確かに建前としてはそうやけど、違うな、本当はもっと別の要因や。

 

「うーん、ほな私から先にいくつか言わせてもらおか」

 

 隣に移動してフィリアの手を取る。

 

「まず4年前の事や。何があったかは私らは知らん。調べようしたけどなんもわからんかったしな」

 

 これは事実。

 いろんなツテを使って調べても記録が出て来んかったし、当事の教導隊長や同僚に聞いても一様に口をつぶるばかりやった。

 

「いきなり音信不通になったことについて何かしらの後ろめたさを感じとるんなら、そんなんは一切気にせんでええ。なのはちゃんとフェイトちゃんはわからんけど、私はなんも思ってへん。フィリアの口から顛末を聞くまでいくらでも待つよ」

 

 唖然とするフィリアを見ながら話を続ける。

 

「それにフィリアの事や、私らに余計な負担をかけたくなかったんやろ? それだけ一大事やったって事は容易に想像できる」

 

 先日改めて、ここ4年間のフィリアの経歴や戦闘記録がまるっと閲覧不可指定されとるのも確認した。

 こういう事になる時は、大抵管理局の上層部かその関係者が関わっとる事が多いんや。

 今回、クロノ君の元に集められたら映像記録に偶然にも映ってて、閲覧不可になる前に確認できたから見つけられたのは奇跡に近かった。

 

「せやから、昔と同じように接してほしい。友達なんやから、な?」

「ありがとう、ごめん……ごめんね」

 

 握っている手に顔を当てて泣き崩れる。

 当分の間、嗚咽を続けるとフィリアは顔を離して涙を拭った。

 

「はやて。改めて、今日まで連絡しなかったことを謝る」

「うむ」

 

 鼻声に左目まで真っ赤にして、美人さんが台無しや。

 

「で、一応聞くんだけど。なのはとヴィータの復帰予定はいつ頃なの?」

「せやなぁ、ヴィータはちょいと検討がついてないけど、なのはちゃんはとりあえず後2ヶ月はドクターストップや」

 

 まぁシャマルの見立てではもう少し短いんやけど、念には念をってやつやな。

 

「OK。じゃあなのはが復帰するまでは新人の教導を受け持つよ」

 

 落ち着いてるけど、かなり昔と同じ感じになった。

 

「でさ、その後なんだけど」

「ん? 今回の人事は完全な異動やからなぁ。フィリアには来年の4月末までウチに居ってもらうよ」

 

 逃げ道を塞ぐと舌打ちされた、それでこそのフィリアや。

 

「わかったよ。その代わり、3つほど条件を出させて貰う」

 

 条件とな?

 

「1つめは、緊急時以外は私の部屋には絶対に誰も入れさせない事。特に寝るとき、鍵をかけるからマスターキーとか使って入ってこないで」

 

 プライベートに踏みいる気はさらさら無いけど、やけに警戒しとるな。

 

「2つめ、バイタル並びにデバイスのチェック時は担当者以外の立ち会いを禁止にして他の職員には閲覧させないで」

 

 シャマルとシャーリー以外は席を外せって事とその2人以外は閲覧不可か。

 うーん、なんとなくフィリアの身に起きたことが見えてきたな。

 

「3つめ、時々隊舎に居ない日があるけど監視とかは付けずに行き先の詮索もしないで。必ず夜には帰ってくるし、前日には申請を出す。あと、その日の朝練はちゃんとやるから」

 

 堂々と職務放棄宣言はして欲しくないけど、まぁ今回は無理言って来て貰っとるしそれくらいなら。

 

「ええよ、その条件のもうやないの」

「ありがと」

 

 礼と同時にグッとお茶を飲み干したため、もう1度カップに注いだ。

 

「それから、この後なんだけど。バイタル担当とデバイス担当にあらかじめ話をしておきたい事があるんだわ。デバイスルームに集めてもらえる?」

「了解。じゃあシャマルとシャーリーに伝えとくわ」

 

 コンソールを呼び出してメッセージを送信する。

 

「よし、そうと決まれば行動だ」

「フィリアちゃん?」

 

 フィリアが立ち上がるのと同時に部屋の扉が開き、なのはちゃんが入ってきた。

 

「なのは」

「んん……アルヴィス空曹長、これを返還します」

 

 渡されたのは制服の肩につけるパーソナルデータが入った端末だ。

 

「これがないと正式な教導はできません。一応、教導官資格の更新もしてありますので」

「そっか、なのはが持ってくれてたんだ」

 

 端末を受け取るとなのはちゃんを抱き寄せる。

 

「なのは、ごめんね? 今はまだ話せないけど、全部終わったら洗いざらい話すから。だから、それまで待ってて欲しい」

「えっ?」

 

 突然の事に呆気に取られるなのはちゃん。

 

「それまで……ううん、その後もだね。なのはが納得出来ないって思うならいくらでも責めてもらっていい、覚悟は出来てるから」

 

 そういうと、フィリアは残っていたお茶を再度飲み干して部屋を出て行った。

 

「えっと……はやてちゃん?」

「まぁ、1つ吹っ切れたんやろ」

 

 返答にキョトンとするなのはちゃんをよそに空になったカップを下げる。

 

「そうそう、4年前にフィリアに起きた事なんやけどね。右目が関係すると思うんよ」

「右目?」

 

 部屋に備え付けられたら給湯室で洗い物をしながら話を続ける。

 

「あの右目、義眼や」

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