リリカルなのはStrikerS AfterStory ~蘇る緋色の弾丸~ 作:皆川誠司@GPS
士官学校を卒業した新人が配属されると、教導官を派遣して2週間の基礎教導を行う。
メニューとしては体力錬成や魔力の基礎知識の復習を主に行うかなり地味な訓練だ。
私が受け持っていた陸士隊でもそういったメニューを組んでいたが、当時担当してた新人は士官学校でもエリートと呼ばれるメンバーだった。
「シャマルは私の入局の経緯って知ってるよね?」
「えぇ、はやてちゃん達と同時期の入局だけど、管理局の施設で保護されて教育を受けたあとに試験に合格して入ったのよね」
そう、私は士官学校を出ていない。
士官学校を出た局員は所謂キャリア組、スピードには個人差があるが、よほどの事が無い限りは必ず上にいける。
そのため、試験で入局した局員を下に見る傾向がある輩が一部存在するのだ。
そして、私が受け持っていた新人達はまさしく選民思想の塊のような奴らだった。
「そんな……だって、同じ管理局の仲間じゃないですか」
「そうじゃないのよシャーリー。現にキャリア組とノンキャリア組じゃ待遇が違うの」
なのはと私がいい例だ。
教導隊の隊長に目をかけられて配属されたが、同い年で同期にも関わらず、なのはは4年前の時点で二等空尉、対して私は空曹長のままだった。
「そうそう、デバイスにAIを組み込まない理由でもあるのよ」
デバイスの維持には割とお金がかかる。
教導隊にいる頃からお互いの給金は雲泥の差で、AIを組み込めば維持費用は跳ね上がるのだ。
話が逸れたので戻すとしよう。
そういうこともあって、新人達は私をなめていた。
だから私は、初日に配属された新人5人と模擬戦をした。
結果は一撃も貰わずに全員をKO、10分もかからなかったわ。
「でもね、ソレがさらなる不満を買ったの」
事件が起きたのはその2日後の明け方。
新人達の1人が寝ている私の部屋に侵入して、右目を抉った。
「右目を……」
「うっ……」
再度青ざめる2人、シャーリーに至ってはゴミ箱に吐いている。
「でも、そんな大事件なら記録が残ってるんじゃ?」
「もみ消されたのよ、なにもかも」
シャマルの言葉に鼻で笑って話を続ける。
エリートと呼ばれていた新人達は、実の所は親や親族が管理局のお偉いさんってだけで実力は底辺だった。
蝶よ花よで育てられたから挫折なんて知らなかったんでしょうね、無駄に高いプライドを折られて凶行に走った。
でも全部無かったことにされて、私の右目は訓練中に自分が起こした事故と処理され記録も抹消された。
当時、教導隊長だったテーマ一佐や私が所属してた班の班長だったマスタング二佐は反発した結果左遷、関係者にも圧力がかかり一様に口を閉ざしたってわけ。
ま、左遷の事を知ったのは事件から2週間後の病院のベッドの上で、テーマ一佐とマスタング二佐本人からだけどね。
「ということは、もしかして急に音信不通になったのは」
「シャマルの考えてる通りだよ。こんな事実を知ったらはやて達は間違いなく動くでしょ? だから姿を消したの」
そう、私なりに友人を守るため。
恨まれようが、蔑まされようが、あの3人の将来を守るための行動だった。
「なのはには事実を知ってる教導隊員全員で口裏を合わせて教えないようにしたの。入院してる病院もひた隠しにしてね。その後、私はとある研究所に連れて行かれて台座と眼球を組み込む手術を受けたってわけ」
これが真相、ご静聴ありがとうございました。
「フィリアちゃん、その……」
「待った」
シャマルが近付いて謝ろうとするのを制止する。
「謝らなくていいんだ。悪いのは私、何も言わなかった私に責任があるの」
「うん……」
とりあえず引き下がってくれた。
「さてと、それじゃ今後の話をしよっか」
パンパンと手を叩いて仕切り直す。
「まず右目の事なんだけど、調整をする時にはコレを使って欲しいの」
ガントレットを出したメダルからコードがついた機器が出てくる。
「右目に直接装着すれば状態確認とある程度の調整は可能よ。ソフトウェアもメダルの中に入れてあるから、インストールして使って」
「わかりました」
シャーリーは早速メダルからソフトウェアを呼び出して作業に入る。
「シャマルにはコレね、私のバイタルデータ」
コンソールを呼び出してデータを渡す。
「あと、さっきの話なんだけど……」
「大丈夫、誰にも話さないわ」
「当然です」
胸に手を当てて答えるシャマルと振り向かずに作業を進めるシャーリー。
「ありがとう。これからよろしく」
私は深々と頭を下げて礼を言った。
元教導隊長はアイリス・テーマ一等空佐
元班長はガルド・マスタング二等空佐
昔、別サイトで書いていたリリカルなのはの二次創作で使っていたキャラです。(今は削除されています)