巻きでお願いしますとエリザベス様からお願いされたので巻いてきます()駄文注意
あとパズドラのペルソナガチャ回しました。何故か結城君が五体来ました。足立が一体も来なかったので結城君を生贄に捧げてアドバンス召喚してやっとコンプしました。総額?聞くな(白目)
前回、杏と顎(鴨志田)に遭遇したあと竜司と出会い、遅刻しないために近道をしようと裏路地に入った所から話は始まる。
竜司の後を追ってスイスイと一本道の裏路地を進んでいると一瞬、水溜まりに奇妙な赤黒の模様が見えたが蓮は軽くスルーする。害があるわけじゃないし寧ろこれで中に
一応どうしたのかと疑問を持ったような顔を作って隣に出るとそこに見えていたのは学校ではなく・・・物凄く怪しげな雰囲気を醸し出す城が我が物顔で佇んでいた。空の色も青から気味の悪い紫色に染まってしまっている。
いつ見ても悪趣味な外見だと呆れる蓮、チラリとスマホを見てみるとデカデカと異世界ナビのアイコンがこれでもかと表示されている。初見のこれは心臓に悪かったなーと当時の事を振り返っているのに対して竜司は目を見開いて信じられないと言った感じに何度も来た道といつもなら学校だったものを見て困惑していた。
「んだこりゃ・・・学校、だよなここ。道間違えたって訳でもねぇし・・・」
「このラブホっぽいのが学校?」
「いや何言ってんだお前・・・まぁ学校の筈なんだけどよ。看板も合ってるし。」
サラッととんでもないことを言う蓮をジト目で睨む竜司だったが今は変貌した学校の方が気になって仕方がないようだ。どうしようかと迷っていたが蓮のボケのおかげで幾分か冷静さを取り戻した竜司は少し迷った末に覚悟を決めたようで顔をキリッとさせカバンも背負い直して城に入ることにした。
「迷ってても仕方ねぇか。中入って聞いてみようぜ、その方が手っ取り早いし。」
「そうだな」
蓮も特に反対する理由も無いので素直にラブホっぽくなった城という名の学校に入っていく2人。このちょっとヤバい文面だけで変な勘違いをしてはいけない。彼らは決してそんな関係では無いのだ。ないったらない。仕方なく入ってるだけだから。まぁというか入らなかったら覚醒のタイミングを逃すので入るしかないだけだから。
そんな感じで中に入ってみると物の見事に学校の面影はなく、天井から釣り下がるシャンデリア、シンメトリーを意識した柱に階段、そして白黒の床に赤い絨毯。そして自己主張の強いやたら勇ましく描かれた鴨志田の絵。一見気品に包まれてるように見えるが振りまけられたピンクが下品な下心を写してるようだ。しかしそれを入れても完全に城の内部と言った感じの内装へと変化していた。・・・いや、時折空間が揺れて本来の学校と城の内部が重なってみえる。その事にまるで意味が分からないと頭を抱える竜司と動揺もしないが鴨志田の絵に吐き気を催している蓮。あまりにも全てがちぐはぐである。
「どうなってんだよこれ・・・」
「本格的に城っぽいな」
「なんでお前そんな落ち着いてんだよって、ん?」
そんな2人の前に奇妙なものが奥の部屋から現れる。学校には似つかわしくないが、城にいるとすれば全く違和感のない甲冑を来た誰かがガシャガシャと鎧を鳴らしながら近づいてきていた。その手には物騒にも剣と盾が握られている。
見るからにただものでは無いのだが、そんな奴に竜司は警戒心も無く近づいて行った。
「お前生徒か?なんだよ偉く本格的なコスプレしてんな?一体なんだってこんな・・・」
気さくに話しかけていた竜司だったが、鎧を着た相手は黙りとして依然剣と盾を構えたままであった。そんな相手に少しイラついたのか口を開こうとしたが、横や後ろから次々と鎧を着た奴らが現れ2人を取り囲むように陣をとり始めた。
「な、なんだよコイツら!なんかヤベぇぞ!」
ようやく危機に気がついた竜司は焦って1歩後ろに下がるが、その瞬間を狙ったように後ろにいた兵士が手に持った巨大な盾で竜司の背中を殴ろうとする。
「うぉっ!?」
「ム?」
しかし、蓮は余計な怪我をさせないように竜司を引っ張り兵士の一撃を空振りさせた。仕返しに盾に向けて全力の蹴りを・・・蹴りこめるが敢えてしない。ここで抵抗するのも容易いがこちらはまだ生身なので1対1ならまだしもパレス内では多勢に無勢だ。逃げ出しても簡単に追いつかれてボコられる。ならばあっさりと捕まれば結果的に無駄な怪我もせずに済むというわけだ。ループの中で何度逃げても最終的には回り込まれて捕まる事を知っているからこその選択である。
「お、おい!逃げねぇのかよ!」
「数も向こうが多い上に囲まれている、逃げられない」
「・・・ふん、諦めの良い奴だ。連れていけ!」
空振りした兵士はジッと蓮のことを見るがどうやら抵抗する気のないことを察して蓮の腕と竜司の腕をとって連れていく。現状を把握出来ないほど竜司も馬鹿ではないらしく「クソッ!」と悔しそうに顔を歪ませながらも抵抗せずに兵士に捕まった。気持ちは分かるが今は大人しくしておこうと宥める。2人はそのままズルズルと地下へと続く階段へと引きづられて行った。
〜ドナドナタイム〜
「ここで大人しくしているんだな!賊め!」
大人しく捕まった2人はその後、首根っこを掴まれたまま長いこと薄暗い道を進み城の地下へと連れてこられていた。乱暴に2人を連れてきていた兵は2人を突き飛ばし牢の中に入れると、逃れられないように扉に鍵をかけてからさっさとどこかへ去ってしまった。
どべっと転ぶ竜司を華麗に受身をとって転がった蓮が手を取り立ち上がらせる。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ悪ぃ。サンキュー・・・クソ、あの野郎雑に投げ飛ばしやがって!てゆーかここどこだよ!」
「どうやら地下の牢獄に閉じ込められたみたいだ」
そう言ってジロジロと部屋の中を見る蓮に釣られて部屋を見渡す竜司。その顔はみるみるうちに不安に染まっていく。まぁよく分からない奴らにいきなり捕まってこんなオンボロな所に閉じ込められたらこうもなるだろう。
ガチャガチャと扉を開けようとしてるが当然開けられるはずも無くビクともしない。イラつきながら扉を蹴るがつま先を痛めたようで片足でぴょんぴょんと跳ねている。焦っても仕方ないだろうにと蓮はベットに優雅に足を組んで座りながら竜司を眺めていた。そんな危機感も無いお気楽な蓮に竜司は詰め寄る。
「何呑気にしてんだよ!こんなとこ早く抜けだそーぜ!・・・そうだ!なんか使えそうなもんないか?針金とかそういうの!」
「玩具のナイフと銃ならあるが」
「使えねーよ!つか逆になんで持ってきてんだよ!あー、じゃあこの中になんかないか!」
今度は独房の中に何か脱出に使えるものがないか探し始めた。しかし独房にあるものと言えば質素を通り越してボロいベット、壁に付けられた意味があるのかないのかよく分からない鎖、そして全く使えそうにない樽。壁を見ても隙間もなく脱出出来そうな物は無く、抜け道も無い。まさに絶望的状況である。
竜司はとりあえず樽を持って扉に叩きつけるがまぁどうにもなるはずなくがっくしと項垂れて蓮の隣に座った。そんな彼に蓮は肩に手をやってキラキラと微笑みながら励ます。
「気を落とすな」
「いやなんで他人事!?状況分かってる!?・・・ダァー!もうどうすりゃいいんだ!」
竜司が頭を掻きながら叫んでいるとそれと同時にどこからかそれを超える絶叫が響き渡る。只事ではなさそうな声に思わずズッコケて竜司は慌てて扉に駆け寄って耳を済ませてみる。するとさっきと同じような絶叫が幾つも奥の独房から聞こえてきた。自分達と同じような目にあってる奴が拷問でもされているのではあるまいかと、竜司は顔を真っ青に染めていく。
「やべぇ・・・ここやべぇぞ・・・!!」
「絶叫マシンでもあるのか?」
「そうそう、絶叫マシンに乗ってぎゃあーっ!ってんなわけあるか!!」
こんな状況でもボケる蓮と突っ込む竜司。やはりこの2人のコンビとしての相性は抜群らしい。なんて言ってる場合ではない、一刻も早くここから脱出しなければ世にも恐ろしい事になるだろう。
何とかならないか無い頭を珍しく回転させながら方法を考える竜司とそれを面白そうに無表情で眺めている蓮の耳に、突然だが酷く聞き覚えのある声が道の奥から近付いてきた。
「ほう・・・侵入者だと聞いていたがまさかお前だったとはな、坂本」
「ッッ!?この声、鴨志田!?」
驚愕しながら扉に飛びつくと、薄暗い道の先から兵士がゾロゾロと現れこちらに近づいてくる。そしてそれが目の前まで来ると規則正しい動きで横に掃けて自らの主が通る道を作った。そんな忠誠の道を自信満々と言ったようなノッシノッシと聞こえそうなほど堂々とこちらに歩いてくるマントを着た男。・・・いやよく見ればマントの下には何も着ておらず辛うじて下に海パンっぽいのを履いているだけである。しかもブーメランパンツ。しかもピンク。さらけ出された足にはシダ植物のようなスネ毛が生えていて靴は直履き。
率直に言って・・・とても・・・キモイです(ド直球)
これには思わず蓮もげっそり。需要が皆無過ぎてどれだけ見ても何も言わずに目をそらすレベル。SAN値にメギドラオンである。
「まだ逆らうつもりか?ちっとも反省してないようだな?え?1人じゃどうにもならんからといって仲間まで連れて来おって・・・。」
「てめぇ・・・ふざけんな!こっから出せ!」
「王に向かってなんだその口は!貴様、自分の立場がわかっていないようだな?」
高圧的な口調とまるで目の前に飛ぶ虫を見るかのような目で竜司を見下す鴨志田は、ゲスさMAXの顔で兵士達に命令を下す。
「我が城に忍び込んだ挙句王である俺に悪態を付いた罪・・・死をもって償ってもらうとしよう!」
「は!?死!?てめ、何言って・・・ッ!?」
二チャリと気持ちの悪い笑みと共に放たれた言葉に竜司は心底驚愕して何か罵倒と抵抗をしようとするがそれは牢の中に入ってきた兵士によって阻まれた。兵士はそのガタイによって竜司に一切の抵抗を許さず壁に押し付けて身動きを取れないようにする。
「離せ!離せよ!」
「・・・・・・。」
「くくく・・・いい光景だな、ゴミ虫め!」
「あぐっ!?」
同じく蓮も兵士に肩を押さえつけられ身動きが取れなくなっていた。そんな2人をニヤニヤとゲスな笑みで見ている鴨志田。おもむろに手を振り上げると抵抗出来ない竜司の頬にビンタを放つ。比較的軽くとはいえ鍛えられたプロの手から放たれるそれは竜司に少なくないダメージを与えた。それを何度か、往復ビンタをすると竜司の頬は瞬く間に赤くなっていった。とても痛々しい。
(すまん、竜司。もうちょい耐えてくれ・・・。)
「さて、そろそろ・・・」
その後も何発か叩いた後、鴨志田は飽きたのか兵士から抜き取った剣を持って竜司の前に立つ。どうやら自分の手で因縁のある竜司を処刑しようとしているらしい。それを聞いて「よし来た!」と数瞬後に現れる仮面を剥ぎ取る為に手を動かそうとするがその前に鴨志田が出した言葉に蓮は思わず手を止めてしまう。
「いや、待てよ?」
(んぉ?)
「それでは余りにも
・・・本来ならここでぶった切られそうな竜司を見てペルソナが覚醒するという流れだった。目の前で理不尽に殺されそうになってる親友を見て反逆の心を燃え盛る炎の如く昂らせ覚醒させる感じなのだが、どういう訳かパターン化したそれとは全く違う行動を鴨志田がし始める。
「折角の機会だ。おい!こいつらを
「ハッ!」
(あそこ・・・?一体どこの事を・・・)
「立て賊め!」
こんなことはこれまでのループの中では一回も無かった。予想外の事態に蓮は内心少し焦るが状況を整理する暇もなく兵士に腕を捕まれ無理矢理立たされる。同じく竜司も無理矢理立ち上がらせられ抵抗出来ないように後ろで両手を掴まれて牢から出されてどこかへと連行されていく。それに続くように蓮も連行される。
(どうなってる?あそことはどこの事を指してるんだ?わざわざ処刑を止めて連れていく・・・処刑場?そんな場所このパレス内にあったか?)
その間に蓮は完全に記憶していたこの城内のマップを頭の中に展開する。本来ならばあの牢の中で未遂とはいえ処刑が執り行われるはずだがそれを中断して他の場所に移すというなら、これから連れていかれる場所は処刑場と考えられる。しかし、鴨志田がわざわざそう呼称するほど処刑場としての役割を持った部屋を蓮は知らない。
体育館は処刑場というより拷問部屋、他に地下にあるといえば牢獄位のもの。かと言って今歩いてるルート的に地上部分に戻るわけでも無いようだ。
(だとすればどこに・・・?)
そう考えている内に歩いていた道の先にあるものが見えてくる。それは本来ならそこにあるはずの無い更に地下へと行く為のエレベーターであった。
「なっ!?」
「何をしている、さっさと乗れ」
驚いている暇もなくそこに乗り込まされるとエレベーターが起動し下へと降りていく。蓮が困惑するのも無理は無い。この城にエレベーターがあるのは1箇所、絵画の裏にある2つのみ。だと言うのにマップ上には存在しないエレベーターがある。蓮はどうやらこのパレスには今までにない要素が存在することを即座に察知した。
その『ズレ』が想像よりも膨大なものだということに気付くのは少し後の話である・・・
そうこうしてるうちにエレベーターは目的地についたらしくガシャンと揺れると兵士に押されて妖しく灯りが揺らめく道を歩かされる。その奥にはコナンのCMに入る時に開閉するやつみたいな門がある。どうやらあそこが例の部屋らしい。その目の前に立つとギギギと軋む音を響かせながら開くとその先にある空間の全貌が明らかになる。
「これは・・・」
その先にあったのはおどろおどろしい雰囲気を漂わせた想像よりも広大な地下空間が広がっていた。しかし驚くべきはその広さでは無い。真に驚くべきはその地下空間の中にある明らかに処刑台と思われる場所を前に
「なんだこれ・・・!?」
信じられないものを見た竜司は目を剥いて驚愕している。蓮も冷静を装っているが冷や汗が一筋流れている。だがそんな2人を無慈悲に兵士は引きずっていき台の上へと連れていく。その様子をシャドウ達はまるで出し物をみる客のようにやんややんやと騒ぎ立てて楽しんでいる。
『来たゾ!来たゾ!』
『カモシダ様の城を荒らした大罪人メ!』
『殺せー!ヒホー!』
「静まれッ!」
処刑される蓮達を見て興奮を隠せないシャドウも鴨志田の鶴の一声によって一気に声を収め物音1つとして立てないようにシンッ・・・と静まり返った。鎧を動かす音すら聞こえないとは中々に統率のとれたシャドウ達だ。そこにだけは処刑台に寝転がされている蓮もちょっと関心する。いやパレス内のシャドウなのだから主に従順なのは当たり前なのだが。
そしていつの間にか現れていた鴨志田は上にある観覧席のような場所で見下ろしていた。
「これより!罪人の処刑を始める!」
鴨志田がそう叫ぶと蓮と竜司の隣に、黄金の鎧を身にまとった普通の兵士よりもまた一段と強い力を持つ兵隊長が姿を現す。決して黄金聖闘士ではない。
「このゴミ虫共は我が城に許可無く忍び込み、その挙句謝罪の言葉一つ無く王たる俺に罵詈雑言を吐き捨てた!その罪は極めて重い!」
『『『然り!然り!然り!』』』
「よってこの二人を王の裁断の元、『死刑』とする!!」
『『『断罪!断罪!断罪!』』』
「く、狂ってやがる・・・!?」
鴨志田の言葉に続くようにシャドウ達は一寸の狂いも無く手を突き上げて熱狂的なまでに声を張り上げている。その様は信仰と言うよりは狂信だ。現実も見ず善悪の区別もつかなくなりただ妄信的に鴨志田を慕う、そんなカルト宗教も裸足で逃げ出すほどに狂った光景であった。
そして最後に鴨志田は身を乗り出して蓮達に向かって親指を下に向けて捲し立てる。
「罪人に死を!拭いがたき屈辱を!底知れぬ恐怖を!今ここに教えてやる!真の支配者が誰なのか!さぁ!さぁさぁ!せめて死に際くらいその首晒して綺麗に終わらせてみろ掃き溜めに群がるゴミ虫めッッ!!」
唾を撒き散らしながら出たのは最早清々しいまでの我欲にまみれた罵声であった。ようは気に入らないから死ねということだ。自分に従わないやつは徹底的に潰す、そんな鴨志田の本性が一発でわかるものだった。
「よし!では先に坂本・・・と行きたいが、お前は後だ。先にそいつを殺して最大限に恐怖と絶望を高めてから殺してやる!」
そう言うと鴨志田は兵隊長に向けてハンドサインを送る。それを見た兵隊長は敬礼をしてから蓮を立たせてシャドウ達に見やすい様に処刑台の一番前まで持っていくと上から潰すように押し付けて膝立ちの状態で固定する。
「なっ!止めろ!そいつは関係ねぇだろ!おいっ!鴨志田ァッッ!」
「黙っていろ!」
「ガハッ!」
蓮の処刑を止めようと懸命に兵士の拘束を抜け出そうとするがもう1人の兵隊長に腹を蹴られて強制的に黙らされてしまった。それでもなお蓮を助けようと必死に手を伸ばすが台の最前にいる蓮に届くはずも無い。ただ蓮と自分の手が重なるのみである。
(クソォ・・・!また、また俺のせいで失うのかよ・・・!)
竜司は絶望のどん底にいた。自分があの道を通らなければ、自分があの時鴨志田に悪態をつかなければ、せめてアイツだけは逃がせてやれたのではないかと。しかし今となっては後の祭り。自分のせいで今、無関係の名前も知らないような奴が殺されようとしている。義理堅く、そして人一倍正義感と思いやりが強い彼だからこそ感じる後悔であった。
こんな状況でも自分を責め、他人の事を思う。そこに竜司の人の良さが詰まっていると言えるだろう。
・・・しかし心配は無用だ。
何故なら彼が手を伸ばしている男はこの程度、
「フ・・・フフ・・・フハハハ・・・!!」
俯いている蓮は小さく、しかし愉悦の篭った笑みを浮かべていた。
絶対的な窮地に頭がおかしくなった訳では無い。ただ
恐怖と絶望に震えるしかない死に塗れた処刑台?
いやいや、とんでもない!
これこそ、最高の
(敵のど真ん中!絶体絶命な状況!こんなにも素晴らしい晴れ舞台があるだろうか!余りにも素敵な舞踏会じゃないか!)
ただひたすらに歓喜に打ち震え、笑みを深める蓮。それを近くで真下から見ていたが故に唯一気づいていたシャドウ、ジャックランタンが目撃し高揚した気分は一転、言いようのない恐怖に駆られ蓮の放つ異様なプレッシャーに耐えられずにガタガタと震えながら他のシャドウ達の足元をくぐり抜けて気付かれないように逃げ出してしまった。
そうとも知らずに兵隊長は蓮の首を跳ねるために剣を上に掲げる。人の身には大きい大剣だ。ギラリと光を反射するそれは確かな切れ味によって蓮の首を容易く跳ね飛ばす事だろう。後は鴨志田の指示があればすぐ様剣は振り落とされる。それを確認した鴨志田は気持ち悪い笑みを更に歪めて手を上に挙げ・・・
「や、やめ・・・ッ!」
「やれッ!」
「御意!」
────────そして、運命の刻がやってきた。
『・・・これは極めて理不尽なゲーム、勝機は無いに等しい。』
『けれど、この声が届いているならまだ可能性は残っているはず』
『どうかお願いします、マイトリックスター』
「・・・・・・あぁ、勿論だ」
ドクンッ!!!
(さぁ、約束の時間だ。契約者よ。)
ゴウッ!!!
剣が蓮の首に触れるその瞬間、大きな鼓動が響くと蓮を中心として突如突風が吹き荒れ兵隊長をその剣ごと吹き飛ばしてしまった。それだけでは無い、竜司を拘束していた兵士や近くの兵隊長、そして近くにいたシャドウすらも吹き飛ばしていた。鴨志田も思わず顔の前に腕をやって風を凌ぐ。
「な、なんだ!?一体何が・・・!」
何が起こったのか分からない鴨志田は、突然風が吹いた原因であろう蓮を見る。そこには・・・
「・・・・・・フッ」
先程までは付けていなかった奇っ怪な仮面を付けた蓮が怪しい笑みを浮かべながら処刑台の上に堂々と立っていた。その余りにも威風堂々な立ち姿に理解が及ばず声が出ない鴨志田とシャドウ達。竜司も目を丸くして蓮の後ろ姿を見ていた。
そして皆の視線の中心となった蓮は出現した仮面に手をかけある言葉を口ずさむ。
それは己の分身を召喚する為の詠唱、そして力を取り戻す為に紡ぐ言の葉。
『我は汝、汝は我・・・』
「ペ」
『地獄の輪廻に繋がれようとも、尽きぬ怒りの業火と共に我が名を呼べ・・・!』
「ル」
『例え夢幻に囚われようと全てを己で見定めてきた強き意志の力で・・・!』
「ソ」
『我が名は・・・』
『ナ』
言葉と共に血を吹き出しながらも痛みを感じていないように徐々に剥がしていた仮面を最後に一気に引っペがすとその勢いのまま仮面を血を滴らせながら自身の真上へと高く放り投げた。
「来いッ!!アルセーヌッッ!!」
バキィィンッッッ!!!
放り投げられた仮面はその甲高い音と共に空中で青白い光を灯しながら割れると、その光はとてつもなく膨大な青き炎へと変換され勢いよく溢れ出す。そして中からの羽根の羽ばたきによってその炎が弾け飛び、余波だけでシャドウが消えていく。しかしそんなもの些細なこと。この場にいる全員が出てきた
「・・・すげぇ・・・。」
鎖の音と共に蓮の後ろに降りてきたのはまるで夜会服を思わせる気品に溢れた、しかし禍々しさも感じさせる赤と黒のスーツを着ており、頭部には黒いシルクハット、顔がある場所には普通の顔は無く代わりに角の生えたバイザーのような仮面に絶えず炎のように揺らめく顔が映っている。
そして背面にはまるで鴉のような、しかしそれとは比べものにならないくらい美しくそれでいて気高く、見惚れてしまうほどに上品な黒翼が広がっていた。玉虫色のように光の反射で僅かに色が変化し赤みを帯びたりしているのが一層美しさを際立たせている。
その名を、『アルセーヌ』。蓮の反逆の魂からいでし者、逢魔の掠奪者アルセーヌである。
そしてアルセーヌの登場と共に蓮の姿も大きく変化していた。先程まで着ていた制服が青い炎に包まれると全く違うものへと変貌していき、最終的にはアルセーヌのスーツとは真逆に黒いタキシードのようなロングコートに身を包み手には真っ赤な手袋を填めていた。その容姿は正しく
『フハハハハ!!再び相見えたな契約者よ!此度の初戦は随分と派手なものとなったな!』
「フッ、俺達の初陣には最高の舞台だろう?」
まるで旧友のように接する彼らにようやく復活したシャドウ達が一気に臨戦態勢へと入る。それを見た蓮・・・いや、この姿ならば『ジョーカー』と呼称するべきか。ジョーカーとアルセーヌはニヤリと悪どい笑みを浮かべて前へ向き直り、手袋をキュッと直して締める。そんな2人に鴨志田の怒声が降りかかる。
「何をやっている!?早く殺せ!殺すのだ!」
『クハハ!間違いない!では行こうか!己が信じた正義の為に、無限の冒涜を省みぬ者よ!我等の反逆、その始まりをここにッ!』
「あぁ!ここからは、俺達の
そして、このセリフと共に異世界における最初の戦いの幕が切って落とされた。
『死ねェーッ!』
『キエロォッ!』
『ブルァーッ!!』
先手を打ったのはシャドウ達。圧倒的優位な数から放たれる無数の魔法攻撃がさながら雨霰のようにジョーカー立ちに向かって降り注ぐ。だがジョーカーは極めて冷静に手を前に出すとアルセーヌに指示を出した。
「『コンセントレイト』」
その魔法は一度だけ繰り出す魔法の威力を倍以上にはね上げる補助魔法。それを発動するとアルセーヌが蒼白い光のオーラに包まれる。だがこれはあくまでも補助魔法、降り注ぐ魔法群は止められない。しかし発動の際に発生し溢れ出た余剰エネルギーが壁としての役割を果たし、なんと強化と防御を両立させてしまった。
初撃を完全に塞がれたシャドウ達だがだからなんだと攻撃を続ける。再び魔法の雨に見舞われたジョーカー達はその攻撃によって出来た土煙の中に消える。その後も絶えず降り注ぐ魔法群に誰もがジョーカーの死を確信し勝利を感じ取るが、そう簡単には行かない。そんなに簡単にやられるならば彼はここに立っていないのだ。
突如として土煙から何かが飛び出したかと思うとそこにはかすり傷すら負っていないジョーカーとアルセーヌが宙へと美しく舞っている所であった。シャドウ達の上へと飛び出たジョーカー達はそこから攻撃を仕掛ける。
「『エイガオン』」
『ナッ!?うぎゃぁぁぁぁああああ!?』
ジョーカーの指示と共にアルセーヌは両手にとてつもない呪怨エネルギーを収縮し、一点に集中したそれを一気に解放、強大な威力を持ったエネルギー波として放つ呪怨属性の魔法『エイガオン』をシャドウ達に向けて放つ。そして放たれたエイガオンは途中で無数の強靭な針のようになってまるで敵を呪う怨念のように突き進んで一気に多数のシャドウを葬る。本来なら単体攻撃魔法の筈なのだが強力過ぎた為に攻撃範囲が広まったらしい。
『喰らいなさい!』
その攻撃をしている最中に空を飛べるシャドウがジョーカー達に近づいてそれぞれ攻撃を仕掛ける。その中にはアルセーヌの弱点を突けるシャドウの『エンジェル』が多数存在していた。
アルセーヌに迫る多くの祝福属性攻撃と他の属性攻撃。
・・・だが悲しいかな。このアルセーヌにそれは
キィンッ!
『グギャッ!?』
『アベッ!?』
『え!?な、なんで!?』
攻撃したエンジェル達が困惑している。それもそうだろう、自分達が攻撃したと思ったら何故か自分達以外の仲間シャドウが甲高い音と共に消えてしまったのだから。
「『祝福反射』・・・弱点は対策するに決まってるだろ?」
そう言いながらジョーカーはいつの間にかカバンから取り出していた銃『R.I.ピストル』をエンジェル達に向け、命乞いをする前に発砲した。その正確無比の弾丸を受けたエンジェル達は額に穴を開けて一人も残らず消滅する。
重力に従って処刑台へとリロードしながら着地するジョーカー。その隙を狙って兵隊長が変化したシャドウ、べリスがジョーカーに向けて槍を突き付ける。
だがそれすらも見切っていた様で踊るようにステップを踏んで躱すと華麗に跳躍、回転しながら袖の中に隠していたナイフ『ミセリコルデ』でべリスの横を通り過ぎる一瞬で首を掻っ切り消滅させる。
それと同時にもう一体の兵隊長をアルセーヌが『ブレイブザッパー』によって周りの兵士諸共切り飛ばしていた。完全に処刑台を鎮圧したジョーカーは竜司の下に行って肩を貸す。
「大丈夫か」
「あ、あぁ・・・大丈夫だけど、お前なんなんだよそれ・・・服変わってっし変なの出てるし!」
「それよりも今はここを脱出しよう」
「そ、そだな!とりあえずそうしよ・・・って!うわぁぁぁ!!来てるぅぅ!!」
竜司の絶叫にジョーカーは後ろを振り向くとどうやら湧いて出たようで無数のシャドウがこちらに向けて突進を仕掛けてきていた。物量で押し潰そうとしているのだろうが残念ながらそうはいかない。ジョーカーは笑みを深めて綺麗な指パッチンと共にアルセーヌに指示を飛ばす。
「アルセーヌ!『反逆の翼』!」
『喰らえ!我が誇り高き翼を!』
そう叫んでアルセーヌが己の黒き翼を羽ばたかせると、翼から青き炎を纏った羽根が突風と一緒にまるで銃弾のように無数に飛んでゆき弾幕を張る。羽根が途中で分裂し倍々に増えていくと翼の壁のようになり、そのまま波のように襲いかかるシャドウ達をあっという間に殲滅してしまった。
『ヒ、ヒホー・・・』
残ったのは奥の方で物陰に隠れ怯えているジャックランタンのみ。まぁ敵意が欠けらも無いので放って置いても問題ないだろうと判断したジョーカーは先程まで鴨志田がいた場所を見るが、そこには鴨志田の影も形も残っていなかった。巻き込まれた訳では無いだろうから早々に離脱していたんだろう。ここで死なれても困るし別にいいけど。と、考えながら蓮は竜司の肩を担ぎ直す。
『どうやら逃げられたようだな』
「いいさ、今は脱出の事だけ考えよう」
蓮は竜司の肩をしっかりと持つと指を真上に上げる。それを合図にアルセーヌがエイガオンを真上に向けて放ち、天井を破壊して無理矢理上への道をぶち抜いた。その衝撃で地下全体が大きく揺れる。崩れ落ちてくる瓦礫をアルセーヌが跳ね除けながら2人を抱えて上へと昇って行く。
それを見ていたジャックランタンはキラキラした目でジョーカーを眺めていた。あれだけいたシャドウは消え果てポツンと処刑場の中で佇むジャックランタンはある事を決意した。しかし今はともかくここから出ようと、ジョーカー達の後を追うように出来た穴から上に昇っていった。
そして無事に牢のある地下の階まで登ってこれたジョーカー達はアルセーヌの腕から降りて辺りを見渡す。どうやら戦力を下に集中させたから見張りも居ないようだ。
「とりあえず敵はもういないな」
『ふむ、そうか。ならば我は汝の中に戻るとしよう。何かあれば呼ぶがいい。』
「あぁ、頼りにしてる」
『フハハハハ!そうか!それは光栄な事だ!ではまたな契約者よ!』
そう言って最後までハイテンションのまま仮面となってジョーカーの中へと戻っていくアルセーヌ。ペルソナが中へと帰ったことでジョーカーの顔に白黒のドミノマスクが復活した。それを見た竜司が目をぱちくりさせていたが、流石に脳のキャパを超えたのか何も突っ込まずに目頭を揉むだけ。これだけの事が立て続けに起こればそうなるだろう。
「あーもう何が何だか分かんねぇよ・・・頭の整理が追いつかねぇ・・・!」
「行こう、時間が惜しい」
「・・・色々言いてぇことあるけど、それもそうだな。」
もう色々と疲れている竜司は大人しくジョーカーの後に続いて走っていく事にした。連れてこられた道をスイスイと駆けるジョーカーとブランクによって若干疲れている竜司。
「少し休むか?」
「ハッ!?いや、行けるし!まだ余裕、だし!」
ちょっと顔色がヤバい。説得力が皆無だ。そんな竜司に若干ペースを落としながらカバンから開けてない水を渡して走っていると、どこからか声が響いてきた。
「ちょちょちょーっと待てよお前ら!頼む!待ってくれ!」
そう悲願するような声が聞こえたため「お、来た」と考えながらジョーカーが急ブレーキを踏むと、竜司がデコをジョーカーの後頭部にぶつけて悶絶する。しかし何故かジョーカーはケロッとしながら声のした方に向き直った。
「おぉ!良かった気づいたか!」
そこに居たのは牢屋に捕まっている1匹の猫・・・のような二足歩行かつ喋っている謎生物であった。
ー To Be Continued ー
〜NGシーン〜
空気の読めない蓮「来い!サタナエル!!」
サタナエル「チーッスwww」
鴨志田「ちょっ」
流石に初期から使えたらヌルゲーなんてもんじゃ無くなっちゃうからね、そりゃ使えないよね
殆どはアルセーヌの大暴れの為だったこの回。蓮君のアルセーヌはループの中で成長しまくって全ステ99です。
技構成
・エイガオン
・コンセントレイト
・ブレイブザッパー
・祝福反射
・呪怨ハイブースタ
・反逆の翼(オリジナルスキル)
反逆の翼
漆黒の翼を羽ばたかせて敵全体に呪怨属性の大ダメージを与える。敵の数に応じてダメージが上がる。ここぞと言う時の切り札。青き炎を纏ってるけど火炎じゃない。この作品オリジナルのスキル。何となく思いついたので入れこみました。
因みに何故かこのアルセーヌ君、氷結弱点も消えてます。無敵やん・・・。さすが事故セーヌやで工藤。
変なとこで切ってすみません。ただこのまま続きやると長くなってだれるかなと思ったんで・・・モル〇ナの出番はまた次回に!