感想誤字修正、指摘ありがとうございます。と同時に新年明けましておめでとうございます(激遅)
どうですか皆さん。新年明けて猫が人間になってたり友達が飛び降りてなかったり親が甦ったりしてませんか?してたら反逆の意思でなんとか目を覚ましてくださいね。私は夢の中にいるので(即落ち)
毎回巻きとか言ってるけどあんま巻いてない事実。ペルソナ5回収しなきゃいけないとこ多すぎんよ〜。でも今回は巻いてます!巻貝!地の文減らしてサクサクッと行きます!どうぞ!
『現実世界に帰還しました、お疲れ様でした』
スマホから音声が響くと赤と黒の模様が広がる。世界が捻じ曲がり景色が一変して無事にパレスから現実に飛び出してきた蓮達。走っていた竜司は襲ってきた脱力感によりコケそうになるがグッと持ち堪えると辺りを見渡して帰ってこれた事を確認する。そして長らく晒されていた緊張感から解放された事で額の汗を拭って深く息を吐いた。
「うぉっとっと・・・ふぅぅ〜、何とか帰ってこれたな」
「そうだな」
「お、服戻ってんな。って、俺もか。」
竜司と同じく走っていた筈なのに息も切らさずケロッとしている蓮が手に持っていた武器をカバンに仕舞いながら竜司の後ろから歩いて出てくる。パレスから出た事により反逆の怪盗服から元の制服に戻っている現象にどうなってんだと困惑する竜司を後目にくるりと振り返ると秀尽の校門がお出迎えしてくれた。
ほぼ腹黒人間しかいない魔境学校と知らなければ安心感のある景色なのだがと蓮はカバンから取り出した伊達メガネをかけながら考える。実際、内部事情を知っているとこの光景に安心感など微塵も湧かない。なんなら現実世界にあるパレス的なもんだと思ってる。それぐらいここの人間関係はドロドロしたものなのだ。教師も生徒も。
「うお、鉄パイプはそのまんまかよ」
そう言って無意識に持ったままだった鉄パイプを見て驚いている竜司。武器や装備などは所持品としてカウントされパレス内に入る時も出る時も歪みの影響を受けずに手元に残るのだが、パレス内で手に入れたこの鉄パイプもどうやら覚醒状態の竜司が手にした事でそのカウント内に入ったらしくそのままの形で現実世界に持ち帰ってきたようだ。
しかし制服姿のまま鉄パイプを握る竜司はやはりというかだからこそというか、凄く様になっている。今から喧嘩しに行く不良にしか見えない。バイクに股がって肩にポンポンと鉄パイプを揺らしているのが容易に想像出来る。まぁバイクに乗るのはまた違う世紀末覇者だが。
「竜司、とりあえず鉄パイプは置いた方が良いと思う」
「んぁ?」
そう言われた竜司が蓮の顔を見ると蓮はくいっと顎で軽く校門前の方を指す。竜司が釣られて校門前を見ると女子生徒達がこちらを見てヒソヒソと小声で話し合ってるのが見えた。最初は意味が分からなかった竜司も彼女達の目が危険人物を見るような目付きであったのに気づき、その意味を察した。
「あー・・・、なるほどな」
「一先ずここを離れよう」
「そだな、んじゃこっちから行こうぜ」
どうやら彼女等の目には竜司が路地裏で今にも殴り込んできそうな不良が屯しているように見えているらしく、今にも教師を呼びに行きそうな怯え方をしている。そのことを察した竜司は慌てて鉄パイプを近くに立てかけて蓮の提案により路地裏の奥へと進んで行った。
「にしても疲れたァ・・・腹減って死にそうだぜ」
「ふむ、なら何か食べに行くか?」
「おっ!いいね!ならセントラル街の牛丼屋行こうぜ!あそこなら近いし安いしな!」
「牛丼屋か・・・」
そう呟いた蓮の頭にほわんほわんと蘇ってくるのは初めてあそこでバイトをし始めた時の事。攻略の為に自作のアイテムを作るにあたっての素材に使ってしまい死ぬ程金が足りず仕方無く始めたバイトであったがまぁ酷かったのを古い記憶ながら鮮明に覚えている。
少しマニュアルを読ませ口頭で説明しただけで後はこっちに全投げというお前それ店としてどうなんだと言うほど雑な対応をされ、更に人件費削減と抜かすと蓮以外のアルバイトはおらずたった1人で店を回さなければならないというクソのような仕事であった。
さっさと退散していったあのマネージャーの背中に牛丼をスパーキングしてやりたいくらいのブラックさ加減に2週間も持たずに辞めてやった。まぁ政治家の彼に会えたのは良かったが、二度とあそこでアルバイトはするまい。
あそこでアルバイトしなければ彼に会えないって?そんな事しなくてもの鍛え抜かれた話術で一発ですよ(知恵の泉&超魔術)
「おーい蓮?どうしたんだよボーっとして」
「ん?あぁ、すまんなんでもない」
「そうか?ならいいけどよ、さっさと行こうぜ。」
そう言って路地裏を抜けて初めて出会った道へと出た2人は駅前広場の先にあるセントラル街へ向かった。丁度下校時間と被っているため学生達が多くざわざわと賑わっている。そんな人波を抜けて着いたのが例の牛丼屋『俺のベコ』である。
早速入店するとあの時の自分と同じように1人で接客している男性が汗をかきながらもいい笑顔で「いらっしゃっせー!」と挨拶をしてくれた。そんな彼に蓮はかつての自分を重ねとても微妙な顔をしている。それに気付かず座ってメニューを見始める竜司。蓮も気にしないようにしようと小さくため息を吐くと竜司の隣に座り彼の見ているメニューを覗き見ながら出てきた麦茶を飲む。
「うし!決めた!蓮はきまったか?」
「あぁ」
「んじゃ、すんませーん!」
手を挙げて店員の男性を呼ぶ竜司。それに「はーい!」と元気よく返事して駆け寄ってくる。
「高菜明太マヨ牛丼大盛りで!」
「牛丼とん汁たまごセット、特盛でお願いします。」
「かしこまりましたー!高菜明太マヨ大と牛丼とんたま特ですね!お持ちくださーい!」
独特の略し方をしながらそう言ってバタバタと慌ただしく厨房へと戻っていく男性。そんな彼に心の中でエールを送る蓮。どうか心が折れる前に転職してくれと願った。あんな奴の下など飛び出して辞表を顔面に叩き付けてしまえと。そう考えているとジッと自分の顔を見てくる竜司に気が付き、コテンと首を傾げる。
「?どうした?」
「んー、うんにゃ。やっぱ噂なんかアテになんねーなーって思ってさ。」
「噂?」
蓮は再びなんの事だと頭に?を浮かべたような顔をしながら聞き返した。
「お前ももう知ってんだろ?おかしな噂が学校中に広まってんの、しかも滅茶苦茶レッテル貼られてよ。やれ超凶暴とかやれクスリやってるとか、ナイフ持ってるとか言われてんだぜ?まぁ俺も聞いてちょっとやべーかなと思ってたけどさ・・・話してみりゃ全然良い奴だからさ!」
「そんな事ないさ」
「だからさ、少しでもお前に同じようにレッテル貼ってたのが情けなくてよ・・・俺だって似たような事されてんのに。ごめんな、蓮。」
頭を下げて謝ってくる竜司はいつもの元気がなりを潜めやけにしょんぼりしている。恐らく、自分でも言ったように似たような経験をしてるのに蓮に同じような目を少しでも向けてしまったことを恥じているのだろう。単純で、だからこそ根が良い奴な竜司はその事を強く気にしているのだ。そんな竜司に慈愛の笑みを零した蓮は肩に手をやって慰める。
「そんなの気にしてないさ。寧ろそんなレッテルを気にせず接してくれてる事に感謝してるくらいだ。ありがとう竜司。」
「蓮・・・!」
蓮の優しい言葉に感極まったのか思わず目元が緩み涙を潤ませる竜司。それを見て蓮は泣かれては困るのでまぁ落ち着けと麦茶を差し出す。ありがとなと二重の感謝をしながら麦茶をぐいっと飲んだ竜司はコップを叩きつけるように、しかし割らないように加減して机に置くとキッと目を鋭くする。あの怨敵を睨むような目だ。
「だからより一層鴨志田の野郎が許せねぇんだ!噂流したのは絶対アイツだからな!じゃなきゃ即バレなんてする筈ねぇ!」
「教師なのにか」
「
鴨志田と一番因縁が深い故にそういった事にも鋭く気がつけるのだろう。奴の本性が腐りきってるのは良く知っているがやはり改めて聞くと何とも陰湿でそれでいてアホらしい嫌がらせが出来るものだ。
「俺は野郎の事が絶対に許せねぇ。何がなんでもぶっ飛ばさなきゃ気がすまねぇんだ!今日パレスに入って野郎に奴隷扱い受けてる奴らの顔は覚えた。そいつら片っ端から捕まえて体罰を吐かせりゃ鴨志田も終わりだ。頼む、体罰の証人探し手伝ってくんねーか?」
竜司がコップをグッと握りながら不安げにそう願ってくる。そんな彼に勿論断る理由なんざ1ミリもない蓮は即答で手を差し出した。
「あぁ、俺で良かったら幾らでも」
「〜〜ッ!あんがとな!蓮!俺も気合い入れていくからよ!」
心強い味方を得た竜司はいい笑顔で差し出された手を力いっぱい握り返した。お互いが強い信頼によって契りを結び、長い付き合いとなる
そして、今ここに契りによって新たなる
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りは即ち
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「戦車」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん・・・
COOPERATION:『坂本竜司』
ARCANA:『戦車』 RANK.1☆
蓮は己の中で新たなる力が芽吹くのを感じ取った。これで絆の象徴であるコープは結ばれた。これのおかげでより強力な戦車のペルソナを生み出せるようになった。因みにこのコープ、上げれば上げるほどいい事があるので是非とも全てのコープ相手のランクをMAXまで上げ切りたい所だ。別にこれを上げる為に契りを結ぶわけじゃないんだが、あくまでも絆を深めた副産物的な物なのでこっちをメインに捉えるのを止めよう。とんでもないことになるぞ(白目)
「お待たせしましたー!高菜明太マヨ大と牛丼とんたま特でーす!」
「おほぉー!きたきた!」
と、そうしているうちに出来上がった牛丼が蓮達の元へ運ばれてきた。湯気を上げた出来たてホカホカの美味そうな牛丼に竜司は目を輝かせて蓮に箸を渡してから自分の箸を取ると直ぐに割って手を合わせ、がっつくように食べ始めた。
「んじゃ早速!いったっきやーす!はぐはぐはぐ!」
「いただきます」
「うんめェ〜〜!!つゆが疲れた体に染み渡るゥ〜!」
「そうだな」
竜司はよほど腹が減っていたのかガツガツと夢中で食らいつき牛丼がみるみる減っていく。思春期男子高校生の胃袋、恐るべし。だが真に恐ろしいのはその隣のヤツ。竜司よりも量が多いにも関わらずあっという間に牛丼が消えていっている。口内ブラックホールか。
それもただ胃に流し込んでる訳ではなくしっかりと咀嚼し、味わい、飲み込んでこのペースなのだ。常人のそれを逸脱した食事ペース。このループの中で何億、いや、何百億と繰り返された食事という行動を蓮は極限まで無駄を無くし、効率化した事により彼の咀嚼はあらゆる早食い選手を凌駕するスピードへと昇華されたのであった。
なんと意味不明な技術だろうか。聞いていて頭が痛くなる。流石は胃袋ビックバン級の男、頭もビックバンなのだろう。
まぁそんな感じで特盛をペロリと平らげてしまった蓮はゆっくりと豚汁を啜っていた。すると突然竜司が何か思いついたようで口周りの米を舐め取りながら蓮に向き直る。
「そーいやさ、なんで転校になったんだ?別に悪さした訳じゃねーんだろ?あ、いや答えたくねーならいいけどよ。ちょっと気になっただけだし。」
「いや、大丈夫だ。そうだな、竜司の話だけ聞いて俺の話をしないのも不公平だし。特に面白くもない話だが。」
口元を拭きながらそう前置きをして自分が転校するきっかけとなった事件について話し始めた。
「そう、あれは突然デルト〇クエストが読みたくなり近くの図書館へと行った帰りだった・・・」
「いや、開幕一番でもう面白いぞ」
ほわんほわんれんれん〜
ここからあの回想→
薄暗ーい夜の道を歩いているとなにやら男女が言い争っているのが聞こえた。野次馬根性が働き「お?修羅場か?」なんてちょっとわくわくしながら見に行ったらなんとびっくり、いい歳したハゲのおっさんが女性に乱暴しているではないか。
「思ってたよりやべー展開になってんなおい!」
よく見るとハゲの顔は真っ赤で一発で酔っていると分かるくらいふらふらしていた。凄まじくアウトな光景にこりゃまずいと思った俺はもしもしポリスメンしようとおもったが何とここでハゲが強行手段に出る。なんと自分の車に女性を無理矢理乗せようとしたのだ。どこからどう見ても拉致です本当にありがとうございました。
「ホントにヤバいやつだなそのハゲ・・・」
警察に通報する時間も無いと判断した俺は女性を助ける為、颯爽登場。とりあえずハゲのドたまに落ちていたビール瓶を伝統芸に従いスプラッシュ・・・はせずに普通に女性の目の前へ割り込みモウヤメルンダッッ!!とハゲを止めようとした。だがハゲは完全に酔っているためかフラフラしながらこっちに寄ってきて掴みかかろうとしてきた。その瞬間鼻を貫く独特の酒息と酔ったおっさん特有のきしょく悪さにちょっと無理と感じた俺はそれを女性と共に回避。
するとどうだろう。ハゲは勝手に一人で転び挙句には額から血を出してるでは無いか。ダサい、余りにもダサい。無様すぎて憐れみすら湧いてくる。全人類の恥がここに固まっている気がした。
「めちゃくちゃ罵倒するじゃん、どんだけヤだったんだよ・・・」
すると痛みで酔いが覚めたのか頭を抱えたまま立ち上がったハゲは訴えてやるだかなんだか喚き始めた。額を傷つけたそのまま頭蓋骨までかち割れてしまえばいいと思いながらそれを眺めていると女性がハゲに果敢にも反抗した。しかしどうやらハゲはそれなりの地位を持っているらしく逆に女性を脅し始め、女性もそれに屈してしまった。
そしてあれよあれよと時が進んでいき、結果的に俺がハゲに暴力を振るったという歪んだ事実が捏造されなんやかんやあり今に至るわけだ。
ちゃんちゃん
←回想終了
「・・・・・・とまぁ、こんな感じだ。」
「んだよそれクソすぎんだろ!お前なんも悪くねぇじゃんか!そのハゲ絶対に許せねぇ!!」
「落ち着け、米が飛ぶ」
蓮の話を聞いてとても腹を立てている竜司。その気持ちは嬉しいのだが牛丼を食っている途中だったので色々と飛んできそうになっていて行儀が悪い。それを指摘された竜司は1度しっかりと口の中のものを飲み込んで水を飲んでから再び話し始めた。
「聞いてるだけでも腹たってきやがるぜそいつ!・・・そんで地元からこっちに来て居候か・・・お前も苦労したんだな」
「あぁ、竜司ほどじゃないけど」
「まぁでもなんつーか、やっぱり俺ら性根が似てんのかもな。周りから厄介者扱いされて居場所無いとかさ・・・わり、暗くなっちまったな。」
そう言ってしんみりとしながら牛丼を一気にかき込んでいく竜司。絵に書いた様な豪快な食いっぷりは見事という他ない。それにしてもこれだけ他人に寄り添えて気持ちも共有できる良い奴だと言うのにレッテルを貼って問題児扱いする秀尽の人達はやはりどこか良心が欠けていると思うのは自分だけだろうか。蓮はそう訝しんだ。
「そういや住んでるのって四茶だっけ?地下鉄、この時間ラッシュだから少し時間ずらした方がいいぜ。あ、それと連絡先教えてくれよ。チャットのIDも。なんかあった時、連絡取れた方がいいかんな。」
「あぁ、分かった」
そう言ってお互いの連絡先を交換し、登録する。これで正式に取引相手兼仲間として成立したと言ったところだろう。
「うし、んじゃあ明日から本格的に行くぞ。まず奴隷にされてた奴らに話を聞く。球技大会あんだろ?鴨志田のバレー大会とか胸糞悪ぃがそんなもん今はどうでもいい。おかげで午後は授業ねぇしみんな浮かれてる、ウロついてても気づかれにくいはずだ。」
竜司、意外とこういう時は頭が回る男である。普段からは考えられないほどしっかりと予想を立てツラツラと練ったプランをあげていく。地頭が良い、というよりこれは本能的なセンスだろう。極たまに竜司はその部分が覚醒し、突出したセンスを見せるのだ。そういった意味では怪盗団随一の爆発力を持っていると言える。
「まっ、詳しい話は明日に改めて話そうぜ。今日はもう遅いしな、さっさと会計済ませて明日に備えて早めに帰ろうや。」
「そうだな」
「んじゃ・・・」
「「ご馳走様でした」」
器の中をピカピカにするほど綺麗に平らげた二人は手を合わせ感謝を込めて頭を下げた。その後、会計を済ませ店を出ると地下鉄のラッシュから時間をずらす為に本屋に寄り、少し立ち読みをしたり何となく目に付いた『開眼ビリヤードテク』という本と小説を何冊か買って時間を潰した。竜司は集めている漫画の最新刊を何冊か買って軽くなった財布に嘆いていた。可哀想だが自業自得なので放っておく。
そうしていい感じに時間を潰せたので本屋を出てラッシュが収まり始めたであろう地下鉄に向かおうとして、少しよそ見をしていた為か道行く人にぶつかってしまった。その拍子に買った本を落としてしまい、相手も私物のハンカチを落としてしまっていた。
「あっ、すみません」
慌てて自分の本よりも相手のハンカチを汚れてしまう前に拾い上げ、パッパッと払い謝罪しながら手渡す。するとどうやら相手も同じように考えていたらしく自分の本を拾い上げ汚れを払って渡そうとしてくれていた。
「こちらこそ、ごめん。話に夢中で余所見をしてしまっていたよ。怪我は無い?」
そして、その声を聞いて思わず絶句してしまった。
そこに立ってニッコリと笑みを浮かべるのは蓮が良く知る男であり、巷ではイケメン高校生探偵として有名であり、そして嘗て
『明智吾郎』
彼を簡単に説明するとこの頃流行りの女の子・・・では無く先程言ったように有名な高校生探偵。成績優秀、品行方正、容姿端麗と全てが揃った正にパーフェクト王子様と言った感じの青年だ。才色兼備を欲しいがままにする彼はこれまでに様々な事件を解決へと導いてきたらしい。
傍から見れば一分の隙もない美しき白鳥のような彼だが、一皮剥けばその羽根は作り物であることを皆は知らない。彼の心の奥にある真の姿を・・・まぁこの話については来るべき日にするとしよう。
そんなこんなで余りの驚愕で一瞬、頭が真っ白になってしまったが直ぐに再起動して答えながらハンカチを手渡す。
「大丈夫、そして改めて済まない。ハンカチが少し汚れてしまった、弁償しよう」
「あぁ、気にしないで。こんなの洗えば済む話だから。それと、はいこれ。君の本だろう?こっちこそ落としてしまって傷つけてしまったんだから弁償しようか?」
「いや、読むのに支障はない。気を使わせて悪かった。」
「こちらこそ」
そう言うと互いにハンカチと本を手に取り、同時に私物を受け取る。明智はハンカチを少し確認してから問題無いと判断したのかポケットにしまい込んだ。蓮も本を受け取るとちょっと確認してカバンにしまい込む。そうして改めて明智の方へ向き直ると彼の後ろにまたまた見覚えのある顔が見えた。
嘗て蓮を追い詰め、最後には取引をして引き込みその優秀さで裏方を支えてくれた美しい灰色の長髪をした女性、『新島冴』が何をやってるのと言うような呆れた目でこちらを見ていた。そして蓮の視線に気づいたのか彼の事を見るが興味が無いのか直ぐに目を逸らしてしまった。
この頃はまだツンケンしてるなと思っていると明智が手榴弾の如くとんでもない発言をぶっ飛ばしてくる。
「ふむ・・・ねぇ、君。どこかで会ったことあるかい?」
「!?・・・いや、無いと思うが・・・」
その質問に思わず内心、意味もなく焦ってしまったが勿論この時点で彼との接点などあるはずも無い。初対面もいいところだ。
なんらかのメッセージか?いや、彼はそんなに回りくどい事はしない。彼の性根ならその時点で何がなんでも行動を起こす事を蓮はよく知っている。もし、仮にこの彼に自分と同じ様に『記憶』があるのだとしたら、その時点で自分は殺されるなり何かしらの変化があるだろうがそれも無い。その為、蓮は彼が記憶を持っていることは無いだろうと判断した。
あとは可能性があるとしたら・・・自分と同じ『性質』を持っていたから、だろうか。波長が合った為にそう感じた、とか。いや今は考えてる暇はない、蓮は努めてポーカーフェイスで焦りを見せずに普通に困惑した感じで返した。
「そっか、なんでだろうね。一目見てどこかで会ったかなと思っちゃって。」
「明智君、そろそろ」
「あぁ、すみません。そういう事だから、悪かったね変な事聞いて。あ、それと僕がこの辺にいたってことはネットには書き込まないでね?色々と大変だから・・・それじゃあね。」
そう言って新島さんに急かされた明智は手を振って去っていった。相変わらずキザったらしい奴だ。本当はそういうのとは真逆な性格のくせに。それにしてもなぜこんな所に居たのだろうか。いや別に居て悪いとかそういう訳でもないのだが。
彼らが訪れるとしたら十中八九何かしらの事件だろうが・・・まぁいいか。考えても仕方ない事は考えない。たまたまエンカウントしてしまっただけで特に心配することも無いだろう。
「おーいレンレン!なんで立ち止まってんだよー!居ると思ってずっと喋ってたんだぞ!おかげで俺独り言言ってる感じになっててクソ恥ずかったんだからなー・・・って、なんだ今の?知り合いか?」
「ん、いや、ただの明智吾郎だった」
「は?明智?あー、なんか聞いたことあるような・・・無いような?ま、いいや。それより早く行こーぜ、つーか恥かかせたんだからなんかねーの!なんか!」
「悪かった、詫びとしてジュースを奢ろう」
「やりー!炭酸な!強いやつ!」
「はいはい」
そうして二人で並んで駅まで行き、ジュースを奢ってから少し話をしてそれぞれ帰りの電車に乗って別れた。蓮が四茶に着く頃には日は沈み、空は暗くなっていた。
鈴を鳴らしながらルブランのドアを開けると暇そうにカウンターで座りながらクロスワードをしている惣治郎がいた。店としてどうなんだと思うだろうがこの時間はほぼ客がいないので別に問題無いのだ。たまに武見先生や気取った男などの常連の客が来ることもあるが。
「ん、おう。帰ったか。今日はちゃんと学校行ったんだろうな。」
「友達が出来ました」
友の前に悪が付くが、出来たことは事実である。
「ほぉ、そいつは良かったな。だが妙なのとツルむなよ。面倒起こしたら流石に放り出すからな。お前は自由の身じゃねぇんだ、そこんとこしっかりしろよ。」
「勿論、分かってます。」
ミリも分かってないがいい笑顔で返事をする蓮。その警告をゴーミ箱に捨てちゃえ〜と言わんばかりに破って捨てている事を惣治郎はまだ知らない。
そんな蓮にほんとに分かってんのか・・・と呆れ顔になる惣治郎。すると誰かから連絡が来たのか蓮のスマホが震えた。ポケットから取り出して画面を見ると連絡先を交換したばかりの竜司からメッセージが来ていた。
>『早速連絡したぜ!』
>『届いてる?』
『届いてない』<
>『届いてんじゃねーか!』
>『まぁいいや、明日は頼むぜ』
『OK牧場』<
>『ふっる!!古いわそれ!』
>『ともかく!頼りにしてるからな!』
>『俺らで体罰されてるヤツらを助けてやろうぜ!』
やる気満々といった感じの竜司に蓮も気合いが入る。明日は球技大会に加え体罰の調査があるから早めに休もうと考えて二階に向かおうとすると惣治郎が声をかけてきた。
「俺はもう上がる、もう客もこねーしな。ほれ、これやるよ。」
そう言って惣治郎は何かを蓮に投げ渡してきた。難なくキャッチした蓮は渡された物を見てみるとそれは何かの鍵であった。まさかと思い惣治郎の顔を見ると彼は軽く頷き、ドアを親指で指さした。
「ここの鍵だ。つってもスペアだがな。銭湯行ったりすんだろ、渡しとく。だからって余計なとこまでほっつき歩いてくんじゃねーぞ。」
「佐倉さん・・・ありがとうございます!」
「ふっ・・・んじゃ俺は行くからな。鍵は頼んだぞ。」
「はい!!」
珍しく素直で元気な返事にフッと笑みを零しながらドアを開けて帰宅した惣治郎。それを見届けると蓮は初めて貰ったスペアキーに感動し、「ヨシッ!」とガッツポーズをとった。何だか惣治郎とのコープが深まった気がした。契約結んでないのに。
あまりの嬉しさにスキップしながら銭湯に行き、笑顔で買い物をして、ニッコニコで作ったハンバーグを食べて寝巻きに着替えてからベットに寝転がるとスペアキーを眺めた。まるで恋する乙女のようだが残念ながら惣治郎は攻略対象に含まれていない。残念。
しかしスペアキーなんて貰ったのは初めての経験であった。まさかここまで早く信頼してもらえるとは。早い段階で信頼している人に心を開いてくれていると考えると蓮はとても嬉しくなった。
その後、竜司から異世界ナビが入っていたと連絡が来てるんるんで返信したらちょっと引かれた。そしてこの後イゴられる事を忘れながら笑顔で眠りについた。
長々とイゴールの話を聞いていた蓮が終始不機嫌だったのは語るまでもない。
士郎、僕はね・・・苦境の果てに大切なモノを失って皮肉にも其れが最強の力を手に入れるトリガーになる、みたいな展開が大好きなんだ・・・でも、最後には夢や光を思い出して失ったモノを背負って更に進化するって展開もそりゃもう死ぬほど好きなんだ・・・
爺さん・・・王道はどうなんだよ?
大好きだ!大好きだ!バカヤロォォォオォッッ!!うわぁぁぁぁぁ!!
オーマジオウとかウルトラマンオーブとか大好きです、切嗣も士郎もエミヤも好きです。ヒーロー物・・・いいよね・・・