周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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今回も私の頭が足りないせいでかなり無理矢理な展開になってます。なのでなんかもうそんな感じだと理解して貰えると幸いです。

本当の事言うと・・・行き当たりばったりなんだ・・・この作品・・・

もう1人の僕「そうか・・・そういう事なら、仕方ないよな」

違う!違うんだ!もう1人の僕!俺はあの日、アイデアが思い浮かんででも構想も何も決まって無かったのに・・・俺は、俺を無理矢理説得して作品を投稿したんだ・・・俺はペルソナ作品を増やしたかった・・・!ペルソナ5の素晴らしさを知って貰いたかった・・・時代や環境のせいじゃなくて・・・

俺が悪いんだよ、この作品が中身のない行き当たりばったりなのは俺のせいだ!!

というわけで進撃の巨人を全巻購入してすぐ影響されるパラディ島の悪魔こと作者です。あれは劇物ですね。マジで伏線が敷き詰められ過ぎててヤバい、マジで面白い。なんで発売当初から集めてなかったんだろうって思うくらい。こんなに胸躍らせた作品は久しぶりでした。エレン・・・。

つーわけで今回も立体機動装置のワイヤー並に巻いてくぜぃ。文才を捧げよッ!!



A beautiful rose has thorns!/Part3

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球技大会後日。

 

 

掃除朝食朝コーヒーをキメてきた蓮はすこぶる絶好調。通学の電車で華麗に開眼ビリヤードテクを読んでビリヤードの知識を深めステを伸ばすくらいには快調であった。

 

つまりいつも通りである。

 

午前午後の聞くだけで退屈な授業など語っても何も面白くないので全部ぶっ飛ばして放課後。

 

今日も今日とて周りを萎縮させている途中、授業中に竜司からの連絡で出た杏の親友『鈴井志帆』さんの下へ向かっていた。

 

彼女は女子バレー部に所属しており、それだけで分かる通り鴨志田に練習という名の体罰を受けている子の一人だ。ポニーテールが特徴的でホワホワと見ているだけで癒しを感じる彼女は周りから敬遠されがちな杏の良き理解者である。

 

しかし体罰のせいで常に傷が耐えず、服の下に包帯を巻いてたり痣を隠すために湿布を貼ってたりする。原作でもアニメ版でもサブキャラとは思えないほどの可愛さを誇る彼女を傷つけるとは・・・鴨志田ぜってぇ許さねぇッ・・・!(一般果実神並感)

 

初対面では見ているのも辛いくらい負のオーラを纏って光の無い目をしている彼女だが、実は言うと本来彼女と関わり合うことはあまり無い。と言うよりも関わり合う前にとある()()が起きてしまう為そうそう関われ無いのだ。

 

その事件と言うのが蓮達に怪盗になることを決意させるきっかけになり、杏が蓮達の仲間になるタイミング。つまるところ全ての始まりと言っても過言ではない事件なのだが、それだけにかなり胸糞悪い内容となっている。

 

どれくらいかと言うと説明する気すら起きないレベルとだけ言っておこう。知らない人は調べて欲しい。いや、あまり知らない方がいいかもしれないが。覚悟して調べる事をオススメする。

 

兎に角、彼女は唯一この後の事を知っている蓮が彼女を救う行動を何もせずにこのまま行くと彼女はこの後鴨志田の手によって・・・あぁ、言葉にするのも忌々しい。

 

そんな彼女に話を聞きに行くという事で中庭の方に続く通路へ行く、前に少しトイレに行く事で乱数調整して近くの階段から降りて歩いていく。

 

勿論、この行動には意味がある。用を足すとかそんな事ではなくこれによってとあるアクシデントを引き起こさせるのだ。このアクシデントを発生させるのがなかなか難しく少し時間を間違えるとただの時間の無駄になってしまうのだが蓮はそれを完璧に把握している為確実に発生させることが出来る。

 

そう言っている間にそのタイミングがやってきた。中庭に続く通路に行こうと蓮が歩いていると丁度中庭入口の角で女子生徒とぶつかってしまった。いや、狙ってやったのだからぶつかりに行ったが正しいか。

 

「む」

 

「きゃっ!?」

 

見た目によらず筋肉質でありちょっとやそっとでは揺らがない塗り壁のような蓮に当たった相手は弾かれて転びそうになってしまう。しかしそれを待っていた蓮の行動は早かった。

 

ぶつかってしまった相手の体に素早く手を回し、まるでラブコメの王子様キャラみたいに頭と腰を支え首などを痛めないようにして抱き止めたのだ。

 

「すまない、大丈夫か?」

 

「え、あ、はい・・・大丈夫です・・・」

 

抱き止めている為、所謂ガチ恋距離といわれる程の至近距離でそう聞くと女子生徒は今にも蒸気が出そうなほど顔を赤らめ困惑しながら何とか返事をした。顔も相まってもう完全に乙女ゲーの王子様キャラみたいな事をしている蓮に周りで見ていた女子生徒達は静かに沸き立ち、男子生徒達は嫉妬で舌打ちを零した。作者もそちら側である。チッ、爆発しろ。

 

そんな事気にせずに女子生徒を割れ物を扱う様になるべく慎重に立たせると蓮はぶつかった事を謝罪する。

 

「角を注意するのを怠っていた、本当にすまなかった」

 

「う、ううん。私もボーッとしてたし・・・というか私が飛び出してぶつかっちゃったから、私の方こそごめんなさい」

 

そう言い合い、お互い頭を下げた状態から顔を上げると目を合わせて少し無言になってからクスリと笑う。

 

「じゃあ、オアイコってことで」

 

「フフ、そうだね」

 

なんかいい感じを出しているところ申し訳ないが、説明させて貰おう。

 

実はこのやり取りをしている相手こそ蓮が探していた相手『鈴井志保』さんである。上着を脱いだ白い制服に右足のサポーター、そして先程言っていたポニーテールが特徴的な薄幸そうな雰囲気。間違いなく彼女だ。

 

「・・・あの、もしかして貴方D組の転入生?」

 

「あぁ、この頃噂の転入生だ」

 

「フフフ、何それ。余計なお世話で噂なんか気にしないで良いって言おうと思ったけど、なんか大丈夫そうだね」

 

ジョークに微笑んだ鈴井を見て蓮も微笑みを浮かべる。ボロボロの彼女の心が少しでも晴れてくれているのを感じ取れて嬉しかったからだ。

 

「まぁ人に誤解されるのは慣れてる」

 

「そっか・・・私の親友もね、見た目だけで色々誤解される子で・・・あ、ごめんいきなりベラベラ喋っちゃって。」

 

「友達思いなんだな」

 

1人で初対面の人に色々と喋ってしまった事に羞恥を感じている鈴井に対して蓮はそう言った。それを聞いた鈴井は一瞬、嬉しそうにしたが直ぐにそれは鳴りを潜め暗い表情に隠れてしまった。

 

「ありがとう、でも私は・・・」

 

そこまで言って顔に影を落とした彼女はハッと何かを思い出したように顔を上げて時計を確認すると焦り始める。その表情は嫌という程見た、バレー部全員が浮かべていたあの表情だ。鴨志田によって歪められた心の反映だ。

 

「もうこんな時間、ごめん私そろそろ部活だから・・・またね」

 

暗い顔のまま、思い出した恐怖に目を濁らせながら鈴井は蓮の横を通り過ぎてバレー部の練習へと向かって行ってしまった。

 

()()()()に行くのなら彼女はこのまま練習に行ってそして言葉に表せないほど悲惨な体験をする事となる。余計な手を加えずに筋を外れるという少しのリスクも排除するというのなら、それを知っていたとしても彼女を行かせた方がいいのだろう。

 

何故ならその方がこの後の流れが読みやすくなるからだ。

 

蓮はこのループを抜け出したい。その為ならどんな事もするつもりだ。だからこそこれは仕方の無い事だ。彼女という犠牲を見逃すのは、自由と天秤に掛けた上で切り落とすべきものだと自分を納得させこの場から去る彼女の背中を見送る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それでも蓮は選択した。

 

 

「待った」

 

これから地獄に向かう彼女を止める者がいた。勿論、蓮だ。

 

横を通り過ぎた彼女の手を取って止めると、鈴井は戸惑いながら蓮の顔を見る。不安げに自分を見つめる彼女に蓮は決意を込めた真剣な目で見つめ返す。

 

「えっと・・・何、かな?」

 

ただ何も言わずにジッと彼女を見ていた蓮はグイッと彼女の腕を痛ませない為に加減をして引っ張って近くに寄らせる。そしておもむろに手を伸ばすと、反射的にビクリと目を瞑った彼女の額に手をやって息を吸い込み・・・

 

 

「熱ッ!!凄い熱じゃないか!通りで少しふらついてると思った!」

 

 

周りにも聞こえるようにハッキリとそう叫んだ!!

 

「えぇ!?」

 

当然、全く事実でないことを指摘された鈴井は大きく困惑した。熱?ふらつく?一体何を言ってんるだと頭の中が『?』で埋め尽くされていく。しかも何故それを大声で叫んだのか、周りの人がポカンとしながらこっちを見てるでは無いかと困惑に更に羞恥が混じった鈴井の頭は混乱が加速していく。

 

しかも、蓮はここからもっと意味不明な行動に出た。

 

「そんな状態で歩くなんて危険だ!直ぐに保健室に連れてくからしっかり掴まっててくれ!」

 

「え、や、ちょ!?えぇ!?」

 

またしても意味不明な言葉を続けた蓮は何と流れるように鈴井をお姫様抱っこしたではないか!!何やってんだこいつ!

 

鈴井も急展開過ぎて最早思考がついて行かずただただ蓮の顔と抱えられている自分の体を狼狽えながら交互に見る事しか出来なくなっている。

 

そして中庭の通路を抜け、保健室への廊下を進んでる最中にようやく自分がどうなってるかを正しく理解し、しかし抵抗も出来ないので奇っ怪なものを見るような目をしている他生徒達の視線に気が付き顔を真っ赤に染め手で覆い隠すしか出来なかった。

 

だが蓮はそんな事知ったことかと言わんばかりに猛進する。そのまま保健室へ辿り着くとノックもせず「失礼します」とだけ言って足で乱暴に扉を開け、そしてこれまた乱暴に閉めた。前置きしたにしても失礼過ぎる。先生がいなかったのが救いだった。

 

羞恥に茹でダコのようになりながら思考停止している鈴井をベットに座らせると蓮は体温計を探し出しピッと起動させ、先っぽを指で適度に擦り始めた。摩擦熱で体温を偽装しているのだ、学生の時よくお世話になっていた(良い子は真似しないで下さい)

 

「な、なんて事だ。体温が37.7もあるじゃないかー(棒)これはもう完璧に風邪的なあれだーこんなんで練習なんて出来るわけないー(クソ棒読み)」

 

そしてピピッと表示された37.7という数字を見てこれまたわざとらしく棒読みでそう言った。保健室には他に誰もいないので真顔で大根演技をしながら鈴井の方を振り向くと急に冷静になりながら肩に手を置いた。

 

「というわけで、今日はもう帰った方がいい」

 

うん、意味が分からない。鈴井も全く理解出来ずに真顔でこちらを見ている蓮に困惑を極めている。漸く動くようになった覚束無い口で何が言いたいのか聞こうとした。

 

「え?えっと、あの〜」

 

帰った、方が、いい

 

それに対して返ってきたのはゴリ押しであった。凄んだ顔で鈴井を圧する蓮に鈴井はカタカタと小動物のように怯えてしまった。ああ可哀想、可哀想だが狙い通り。わざと脅かして罪悪感が刺激された感じを装い、ここで仕方ないと言うようにため息を吐く演技をしてスムーズに本当の目的について零し始めた。

 

「・・・正直に言おう、鈴井さん。もう知ってるだろうけど俺達問題児組は今鴨志田の体罰について調べている。」

 

「え・・・」

 

鈴井はそれを聞いた瞬間、やはり鴨志田を思い出したのか更に怯えたような顔をし始める。しかしそれを想定していた蓮はここでカードを切る。

 

「かく言う俺もその被害者でな、これもそれ関係だ。」

 

蓮は昨日の球技大会の時に負った怪我を隠す為、包帯を巻いた腕を上げて見せた。鈴井の信頼を少しでも得る為にそれを鴨志田の体罰で負ったものだとでっち上げたのだ。別に鴨志田のせいで怪我したのだから間違ってはいない。

 

おかげで鈴井も自分と同じ被害者と感じ、警戒心も下げてくれたようで少し強ばっていた肩の力が抜けた。話を聞く姿勢にもなってくれたようだ。こっちに来てまだ数日しか経ってないのに体罰を受けている事に言及されたら面倒だったがそれには触れられなかったのは幸運だった。

 

「じゃ、じゃああそこに来たのも偶然じゃなくて私に会いに・・・?」

 

「そうだ、でもそれだけじゃない。君を守るためだ。」

 

「え?」

 

そこまできて蓮は言いづらいように少し頬を指でかき、眉を下げて汗を滲ませる。これから伝えるを躊躇ってますアピール、効果は上々らしく鈴井も不安そうな顔をする。これくらいの演技は朝飯前だ。

 

そして、少し間を開けて言葉を溜めた後に喋り始めた。

 

「・・・たまたま耳に入ったんだ。鴨志田が妙な言動をしていると。その内容は・・・君の親友、高巻さんについてだった。」

 

「そ、それって!!」

 

ガシャンッ!とベットが大きく軋むほど身を乗り出した鈴井。そんな彼女に蓮も言うのを決心したような顔で残酷な事を伝えた。

 

「あぁ、恐らくあいつは・・・彼女に手を出すつもりだ。」

 

それを聞いた鈴井は大きなショックを受け、口に手を当て顔を青くして力無くベットに腰掛けた。親友が狙われていると知れば動揺するのは当然だ。だが蓮は彼女に視線を合わせるように椅子に腰掛け、顔を更に引き締めさせて重要な事を話し始めた。

 

「けどその場合1番危険なのは彼女じゃない、君だ。鈴井さん。」

 

「私が?な、なんで・・・?」

 

青い顔と光を失った目で震えている鈴井は頭が回らず、ただ蓮にそう聞き返した。そこで蓮は少し言いずらそうにした後、悔しそうにちょっと顔を顰める演技をしながら説明し始めた。

 

「高巻さんがもしも脅されたとしてその材料として君を使うだろう。あいつの事だ、脅しではなく直接手を出してくる可能性もある。そして、最悪の場合・・・。」

 

「ッ・・・!」

 

「突拍子のない話だとは思うがどうか信じて欲しい」

 

頭を下げる蓮の言う最悪が何を指すのか鈴井も察したようで青かった顔が悪化して白くなっていく。とても残酷な事だ、出来ることなら伝える事はしたくなかったがこうしなければ彼女を説得するのは難しいだろう。本当にそうなってしまうよりは遥かにマシなのだ・・・そうなってから後悔しても遅いのだから。

 

「・・・すまないが、高巻さんに電話できるか?彼女に連絡して合流してくれ。一応、護衛として俺もついて行く。」

 

「・・・うん、分かった。」

 

鈴井はそう言うと震える手でスマホを取り出し、杏に電話をした。その間に蓮は鈴井の教室まで行き事情を話して脅し荷物を預かり再び保健室へ戻った。戻ってくる時には電話も終わっていたようで鈴井がベットの上で不安そうに待っていた。あんな話をした後だ、不安にもなる。だがその不安が自分では無く親友に向けたものなのが彼女がいかに杏を思っているのかよく分かるだろう。

 

「悪い、遅れた。鴨志田に見つからないうちに帰ろう」

 

「うん・・・」

 

やはり暗く苦悶の表情で頷く鈴井。そんな彼女を見て蓮は少し考え、素の姿では行動しづらいかもなと思った。ちょっと頭を捻りピコンと思いつく。なら、変装してしまえばいいと。

 

「ふむ、このままでは見つかった時直ぐに止められるかもしれないな・・・そうだ、鈴井さん。ちょっと・・・」

 

「え・・・あ、なるほど・・・ん、分かった」

 

蓮の考えを聞いた鈴井は素直に従い、少し見た目に変化を加えた。

 

具体的に言うと蓮から伊達メガネを借り、ポニーテールを下ろしてストレートにして前髪もピンで右側に寄せいつもとは全く別の髪型にした。制服も上着を着てリストバンドもサポーターも外している。文系美少女と言った感じでかなりのイメチェンだ。

 

しかしこれだけならよく見れば鈴井だと気が付かれるだろうが、その隣にいる奴のおかげでそれも対策されている。

 

いつもは止めてる制服の前を開き、髪を少し上にかき上げてワイルドさが増している。更に伊達メガネを貸しているため素面の状態で多少睨みつけるように眉間にシワを寄せ、ポケットに手を突っ込んでいる。そんな不良感の増した蓮である。

 

「お、おいあれ・・・」

 

「こっわ・・・」

 

「やべぇ・・・なんだあれ不良漫画に出てくる奴だよ・・・」

 

「こいつぁクセェ!ゲロ以下の臭いがプンプンするぜぇ!!」

 

「・・・今説明王いなかった?」

 

シンプルなものだがかなり効果的だ。事実、ただでさえ問題児として騒がれている蓮が不良感を増しただけで周りは直ぐに彼らを避け目を逸らしている。これで鈴井に視線が集まることは無い。蓮の評判が落ちるだろうが既に地に落ちている為問題無い。唯一英語教師の蝶野先生のみが「あらっ、いい男♡」と彼に熱視線を送っていた。

 

「よし、出られたな。急ごう。」

 

「う、うん」

 

こうしてあっさりと学校から出ることの出来た2人は直ぐに集合場所に指定した駅へ向かった。道中、上着を直し前髪もいつも通りにした蓮は鈴井の案内の元、駅地下モールを歩いていると鈴井が杏を見つけたようで小走りで彼女の下へ向かう。そんな彼女に杏も気がついたのか影を落としていた顔がパッと明るくなり、向かってきた鈴井を抱き止めた。

 

「杏ッ!」

 

「志帆ッ!良かった無事で・・・!本当に良かった・・・!」

 

抱き合ってポロポロと涙を流す2人を見て友情の美しさを眺めほっこりして歩いていた蓮が近くに来ると杏は一気に警戒度を上げて鈴井を庇う為に後ろに隠し、蓮を豹のように睨む。

 

「杏!雨宮君は・・・!」

 

「分かってる、けど・・・」

 

「いや、高巻さんが正しい。いきなりこんな事になったんだから怪しむのも無理は無い。」

 

威嚇する杏に対し、両手を上げ1歩下がって距離をとった。自分に敵意は無いと示すために。それを見た杏は警戒度を多少和らげて睨むのも止めてくれた。

 

「それで・・・どういう事なの?あんた何考えてんの?いきなり変な事を志帆に吹き込んで・・・!鴨志田にも手を出そうとしてて!!そもそも最初から怪しいと思ってたの!嘘と脅しで周りを怖がらせて何がしたいのよ!?」

 

「杏・・・!」

 

「ねぇ、答えてよッ!」

 

親友が巻き込まれたと知り激情を顕にする杏。しかもその相手が蓮と来れば更にヒートアップしても仕方が無い。何を考えているか分からず、鴨志田にちょっかいをかけ、親友を巻き込もうとした。

 

杏の蓮に対する評価は最低だ。というかぐうの音も出ない。反論の余地も無い。だがそうなってもしょうがないことをした。蓮もそこは割り切っている。だからこそ質問には答えず話を進める為にある事を振った。

 

「高巻さん、鴨志田から電話か何か来ていないか?」

 

「なっ!?なんでそれを・・・!?」

 

「杏!そうなの!?」

 

まさかピンポイントで動揺する話題を突かれるとは思わなかったのか杏はつい反応してしまいそれを聞いた鈴井に問い詰められる。最初はグッと口を閉じようとしたが、心配でいっぱいになっている親友の瞳を見て耐えられずに鴨志田から電話があったことを白状した。

 

「・・・・・・うん、ついさっき。」

 

「鴨志田は、なんて?」

 

「・・・・・・この後、ひ、1人で、部屋に来いって・・・そうしなきゃ志帆がタダではすまないって・・・私、私・・・!!」

 

「そんな・・・ッ!?」

 

杏は嫌な事を思い出してしまい震えて蹲ると小さい嗚咽が聞こえ始めた。相当恐ろしかったのだろう。いや、それはそうだ。つまるところ意味するのはさっき鈴井に話したものと同じなのだから。そんな杏を落ち着かせる為に鈴井は彼女を優しく抱き締めた。

 

空気の読める男として定評のある蓮も彼女が落ち着くまで離れる事にして、とりあえず水を買ってきた。泣けば疲れ喉も乾くだろう。そして杏が落ち着いた頃に戻り、目元を赤くした杏に水を渡した。貰い泣きした鈴井にも渡し、蓮も自分の水を飲んだ。

 

「落ち着いたか」

 

「うん・・・ごめん、気が動転しちゃって・・・」

 

先程まで余程切羽詰まっていたんだと分かるほど大人しくなった杏。度重なるセクハラを受けて心を擦り切らせていたのだろうと誰でもわかるほどに精神的に参っていた所にあの電話だ。寧ろこれだけで済んでるのが幸いと言えるだろう。

 

「雨宮君は志帆を守ってくれたんだよね・・・ありがとう」

 

「いや、お礼なんて」

 

「ううん、あなたのお陰で志帆は無事だったんだもん。私なんて、何も出来なかったのに・・・」

 

水の入ったペットボトルをギュッと両手で握り締めながら悔しそうに項垂れる杏。

 

「高巻さん・・・」

 

「杏・・・」

 

「雨宮君、言ってたよね。自分が正しいと思う道を行くって。だから鴨志田と戦ってるんだよね。坂本も・・・。いいな・・・私にもそんな強さがあれば・・・」

 

「・・・高巻さん、俺は強くなんかないよ。」

 

「え?」

 

ポロポロと弱った心を吐き出す杏に蓮はそう返した。意外な返答に杏は顔を上げて蓮の顔を見る。うるうると涙を溜めている美しい青い瞳を真っ直ぐと見つめて蓮は微笑みながら拳を胸の前で握りしめた。

 

「俺も悪に立ち向かうのは怖い、何度立ち止まろうとしたか分からない。出来ることなら逃げてしまいたい。」

 

「雨宮君・・・」

 

「けれど俺は許せなかった、何もしないで後ろを向くのは。俺はただ諦められなかっただけだ、何も。ただ、それだけなんだ。」

 

「許せない・・・立ち向かう・・・」

 

「だから俺達は鴨志田に歯向かう道を選んだ。奴の影響は大きい、けれど策はある。内容は言えないけど・・・きっと上手くいく。だから安心してくれ。高巻さんや鈴井さん、そしてバレー部の皆も必ず解放してみせる。」

 

まるで何か不安に怯える小さい子を安心させるように杏の両手を包んでそう言った。ニコリと笑みを浮かべる彼にとても暖かい気持ちが溢れてきた。そして杏は蓮の瞳の中にある確固たる意志を見て、心の底から憧れの感情を向けた。

 

あぁ、なんてカッコイイんだろう。きっとヒーローとは彼のような心を持つ人の事を指すのだろうと憧憬した。そして思い出した、自分もかつて憧れた存在がいた事を。

 

なんで忘れてたんだろう、私もそんなカッコイイ人を目指していたはずなのに。私も自分の意思で道を開く人になろうと決めていたのに。

 

杏は空っぽの掌を見つめ、自分に対する失望と怒りを募らせる。

 

「高巻さんと鈴井さんはここ数日は自宅で待機して欲しい。特に鈴井さんには。鴨志田との因縁はその数日で決着を付ける。それまでは耐えてくれないか?」

 

「・・・うん、分かった。雨宮君を信じるよ。」

 

「私も。貴方なら出来るかもって感じるから。」

 

「2人共ありがとう・・・おっと、すまない。用事が出来てしまった、今日の所はこれで。奴は必ず俺達で何とかする、それじゃあ!」

 

この短い時間の中で強い意思を見せつけ2人の信頼を勝ち取っていた蓮。すんなりと蓮の言う事を聞いてくれた杏と鈴井の前で今度はスマホを取り出し、竜司から連絡が入ってたのを確認すると彼女達と別れ学校へ急いで戻って行った。

 

こうして完全に頼りの道筋を自分の意思で改変した蓮は走りながらも肩の荷を降ろしてフゥ、と脱力の息を吐いた。

 

(さて、これでもう後戻り出来ない・・・)

 

鈴井が犠牲になるというシナリオを丸々塗り替えたのだ。筋から大きく外れもう何が起きても不思議では無い。もしかしたらこの時点で全く予想だにしない出来事が起こるかもしれない。折角、何かが違う世界に来たというのにそれが崩壊してしまうかもしれない。それほどまでにこの改変は大きなものだ。

 

だがもう逃げない、目を逸らすこともしない。その選択が例え未来を不確定にするとしても。

 

この選択をしたからにはもう戻れない。けれど、筋から外れたとしても人の道を外れるより万倍いい。

 

 

だからこそ、蓮は手を取ったのだから。

 

 

それは確かに、悔いなき選択だった。

 

 

 

 

 

 

「私も、なりたい・・・彼みたいに!」

 

 

そしてその覚悟は、1人の少女の心に炎を宿した。

 

 

 

 

 

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今回マジで雑でした・・・すみません、どうにも文章化するのが難しくて・・・でも鈴井さんは救ったから許して・・・

信じられるか?こんな色々してるけど転校して数日しか経ってないんだぜ、こいつ

アニメでも恐らくルート確保は一日で済ませてたので1周目でこの速さってやべーなこいつらって思いながら見てました。プレイヤー視点で見ると実際すごい。

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