周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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ハーメルンよ!私は帰ってきた!

うおぉおぉおぉおぉぉ!!!!越前止まんねぇ!!(止まってた)

というわけでまた期間が開きました、私です。ここ数ヶ月はとても忙しく、余り手をつけられていませんでした。仕事は多いし、展開は思いつかないし、競馬は負けるし、アメコミと特撮は両方向から激重展開してくるし、シンウルトラマンは面白いし、五等分の花嫁は最高だし。まぁ1番の原因はウマ娘なんですけども()

と言うわけでその分クオリティは上がって・・・・・・る訳では無く、寧ろ下がってる節があるのでご了承ください。


今回は長め

えいえい、巻き!


The LUST

────オタカラ奪還、決行日

 

 

つまるところ、翌日

 

 

朝から気合を入れていつも以上に珈琲を楽しんでから登校した蓮。何やらやる気な感じな彼に「まさか彼女でも出来たか?」と総治郎に変な勘違いをされているとは知らずに学校にまで来ていた。

 

登校中に購買の焼きそばパンの話を耳にしてモルガナと世話話をした蓮は校門を通って直ぐに待っていた3人と合流した。竜司が妙にニヤニヤしてるので既に予告状を貼ってきた後らしい。杏と鈴井の目が若干引いていた。

 

ここでこれまでの展開を覚えている天才ニキ達は「鈴井おるやん!またガバか?」と思われるかもしれませんが、まぁ待て待て(謎の上から目線)

 

何でも、皆が戦うのに自分だけ安全な所で待ってるなんて出来ないと考えたらしく、怖くて堪らないだろうに学校まで来てくれたのだ。何と健気で勇気のある決断だろうか。アーカード兄貴に見せたら絶頂しそう。

 

 

閑話休題

 

 

 

 

「で?作ってきたの?『予告状』」

 

「おう!今朝こっそり提示版に貼ってきたから見てこいよ!最高傑作が出来たぜ!」

 

ふっふーん!とまるで某アイドルでマスターに出てくる輿水で幸子な女の子みたいな胸の張り方をする竜司。相当出来に満足して、自信があるらしい。それを聞いて杏は若干怪しみながらも興味が湧いたようで予告状を見に行った。

 

提示版にびっしりと貼り付けられた予告状、そのうちの一枚を見て内容を読み上げる。

 

「ふーん、自信満々じゃん。どれどれ・・・

 

 

『色欲のクソ野郎 鴨志田卓殿。抵抗できない生徒に歪んだ欲望をぶつける、お前のクソさ加減は分かっている。だから俺たちは、お前の歪んだ欲望を盗って、お前に罪を告白させる事にした。明日やってやるから覚悟してなさい。

 

心の怪盗団より。』」

 

 

提示版に貼ってあった予告状の内容を見てきた杏はなんとも言えない顔をしながら戻ってきた。物凄くコメントに困ってる感じだが、とりあえず思っていることを口にしてみる。

 

「・・・なんかビミョー」

 

「はぁ!?どこが!?ちょーいい感じだろ!なぁ鈴井!」

 

「え!?えーと、あはは・・・」

 

「あれぇ!?」

 

予告状の出来にめちゃくちゃ自信のあった竜司は批評を受けるとそんなはずは無いと鈴井にも聞いてみるが、目を逸らされ意味深な愛想笑いをされる。どうやら、全員に受けが良くなかったらしい。竜司は何故!?と驚愕してる。いや、まぁ、センスがね・・・。

 

「なんというか、頭の悪さが滲み出てるというか」

 

「馬鹿なヤツが背伸びしてる感あるよな、マークもイマイチだし」

 

「で、出てねーし!なぁ蓮!」

 

「出てない出てない」

 

「ほら!」

 

杏とモルガナに切り捨てられ納得のいかない竜司が蓮に聞くとコクコクと人形のように首を縦に揺らしながら棒読みで同意する。赤べこかお主は。

 

「蓮!竜司を甘やかさないの!」

 

「甘やかさない甘やかさない」

 

「ロボットみたいになってる・・・」

 

カクカクとした動きでプログラミングされたように同意する蓮。全自動全肯定思考停止ロボット蓮君の爆誕である。ただし死んだ魚の目をしている。

 

そんなコントを繰り広げていると、モルガナが提示版の前にやってきた影を捉えた。

 

「見ろ、鴨志田だ」

 

「ッ!来やがったか・・・!」

 

全員で振り返ると確かに提示版に貼り付けられた予告状を怒りの形相で食い入るように見る鴨志田の姿があった。その様子は正に心当たりありありと言った感じで、焦りと苛立ちが入り交じった表情をしている。

 

「ッ!!これをやったのは貴様か!あぁ!?それとも貴様かぁ!?」

 

それを見られたからか、周りにいた生徒達にその感情をぶつけるように喚き始めていた。なんとも愚かしい滑稽な姿である。

 

「焦ってる焦ってる」

 

「相当効いてんなありゃ」

 

やがて周りにいた生徒達がその姿に恐怖し立ち去った後、こちらを見つめる蓮達を見つけズカズカと大股で近づいてくる。

 

「貴様らかァ・・・!?」

 

「はァ?んなわけねぇだろ、八つ当たりしてんじゃねぇよ」

 

「こんな事するのは貴様ら問題児しかいないだろうが!」

 

「何それ、いいがかりしないでくれます?」

 

「き、貴様ら・・・!この俺に楯突くつもりか・・・!?」

 

演技派な竜司と演技派(大根)の杏がすっとぼけながら鴨志田を煽るとこれまた分かりやすく激昂し始め、ビキビキと青筋を立て始める。そしてその怒りの篭った目を鈴井に向けるといい的を見つけたと言わんばかりに口を開いた。

 

「鈴井・・・お前まで俺に歯向かうつもりか?今まで部活で鍛えてやった恩を忘れたかァ?」

 

「ッ!」

 

相手の恐怖心を煽り、屈服させる様な口調。手馴れたその脅し文句に鈴井はビクリと肩を震わせたが、それを見た蓮が彼女と鴨志田の間に庇うように遮って立つ。ギラリと光るレンズの奥に潜む反逆の意思、それを見て鴨志田は苛立ちを隠せなくなったのか彼に手を伸ばすが・・・・・・

 

「どうかしましたか、鴨志田先生?」

 

「ッ!い、いえ、何も・・・少しコイツらに指導を・・・」

 

その時、タイミング良く現れたモブ教師が声をかけるとその手を直前で止め、わなわなと震わせた後に引っ込める。やはりな、と蓮は笑う。プライドが高く、立場が危ぶまれる事を恐れるが故に、第三者がいればコイツはなんの手出しも出来ない。鴨志田の最大の弱点だ。

 

「では私はこれで・・・覚えていろ」

 

モブ教師の前では何も出来ない奴はうっすい作り笑いで誤魔化し、これ以上ボロが出ないうちに去ろうとする前に、そんな捨て台詞を吐いた。

 

 

 

『クズ共が・・・ッ!』

 

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

そしてその瞬間、蓮達の前にパレス内の王が現実の鴨志田とリンクするようにして現れた。先程まで学校の廊下だったのが古ぼけた城の石壁となり、白Tシャツに下ジャージだった鴨志田も変態スタイルのパレスの王となってこちらを睨みつけてくる。

 

 

『盗ってみろ・・・盗れるものならな!!』

 

 

警戒心が上がるサイレンの音と共にそう啖呵を切ったパレスの王が消えると鴨志田の姿も普通に戻り、大股で去っていく背中が見えた。突然の事に身構えていた竜司達はバレないよう抑えていた汗を拭いながらモルガナに今の現象について聞く。

 

「今のは・・・・・・」

 

「あぁ、間違いねぇ。確実に反応していた。これならオタカラも現れてる筈だぜ。」

 

「チャンスは今日しか無いんだよね?」

 

「あぁ、予告状を目にするインパクトは長続きしないし、二度は起こせない。オタカラを盗めるのは今回限り、たった一回だ。」

 

「一日もありゃ十分だ!よっしゃ、なら早速パレス行ってぶんどってやろうぜ!!」

 

竜司の気合いの入った一声を皮切りにそれぞれ顔を見合わせて頷き合う。そして最後に蓮に視線が集まると彼は伊達メガネを外しながら玄関口に向けて振り返り、ニヤリと笑った。

 

「行こう、ショータイムだ」

 

そんな彼の背に竜司と杏も続き、校門を潜ると同時に彼らはパレスの中へと入って行った。そんな彼らを鈴井は見守りながら、両手を握って無事を祈っていた。

 

 

 

 

 

今、怪盗団の始まりの闘いが幕を開ける

 

 

 

 

 

鴨志田のオタカラを頂戴せよ!

 

 

 

 

 

パレスに入って一番最初に感じたのはその警戒度の高さ。昨日までとは違い、シャドウの一匹一匹が鋭い緊張感を纏い、いつものガバ警備とは打って変わって虫の一匹も逃さぬと言いたげなほどパレス全体に厳重な警備が張り巡らされた。それはシャドウの見た目にも反映され、何やら赤いオーラを纏い、目からは赤い光がライトの様に光っている。さながら人型のパトランプだ。

 

「おぉ・・・・・・こりゃ酷く警戒されてやがるな。これまで以上に慎重に動く必要がありそうだ。」

 

モナが耳をピクピクとさせてパレスの雰囲気を感じ取るとそう忠告する。確かに、これほどの警備の中動き回るのは困難を極めるだろう。

 

だが、とモナはニヤリと笑う。既にオタカラへのルートは確保し、警備の傾向からシャドウ達が手薄になる所も把握済みだ。つまり、とっくにこのパレスは攻略されたも同然なのだ。これも鴨志田が慢心の権化だった故である。他人を見下してばっかいるから足を掬われるのだ。

 

「けど、鴨志田の野郎俺たちがもうオタカラまでのルートを確保してるなんて夢にも思ってねぇだろうな!今更焦ってもおせーっつーの!」

 

「ほんとそれ、まぁおかげでリスクも少なくオタカラまで行けるから今だけはその能天気っぷりに感謝だね」

 

パンサーがふんっ、と口を尖らせて皮肉たっぷりにそう言うと全くだとスカル達も同意して城の頂上を睨みつける。そこに存在するオタカラを盗み出す為、彼らは動き出す。

 

「よし、じゃあ一気に行くぞ」

 

「「「おぉー!!」」」

 

 

そうして、予め確保していたルートを影と同化して突き進むジョーカー達。シャドウ達の目も掻い潜り、最速で最短でオタカラへと走る。高まった緊張感の中、闇に潜む蛇のようにスルスルと障害を避けて行く。

 

あっという間に頂上へと辿り着いたジョーカー達は王の間へと侵入する。前に来た時は鴨志田とその護衛がいたそこには誰もおらず、王である鴨志田の姿も見当たらない。恐らく、護衛は他の警備へと当たっているのだろう。鴨志田の行方は分からないが、いないのならば都合がいい。

 

扉の影から中を見回して誰もいないことを再度確認してからジョーカー達はオタカラのある部屋へと向かう。

 

「・・・・・・OK、クリアだ。行こう。」

 

「んだよ、思ってたより警備も厳重って訳でも無かったな。これなら余裕でオタカラ盗めんじゃね?」

 

「油断すんなよ、例え手薄でも何かあるかもしれねぇと考えとけ。お前が覚醒した時みてぇにな。」

 

「うっ、確かにそうだな・・・・・・ありゃもうごめんだ」

 

スカルはあの時の事(七話参照)を思い出して渋い顔をする。あの時はペルソナが初覚醒した時だから良かったものの、四方八方をシャドウに囲まれた四面楚歌の状況など二度とゴメンである。

 

「だとしても手薄過ぎじゃない?なんか罠でもあるんじゃ・・・」

 

「いや、その類は見当たらないな」

 

「吾輩にも何も感じない、多分ホントに何も無いぞ。どれだけ無警戒なんだ?」

 

サードアイで確認するジョーカーとキョロキョロと悪趣味な内装を見渡すモナ。彼の鋭い感覚には何も感じ取れない、まさか自分ですら見抜けない罠があるのかとモナは思ったがあの男にそんな物を設置できるとは思えない。自分の顔のギミックを設置するような奴だし。

 

「ならこのままオタカラまで行っちまおうぜ!」

 

「あ、おい!警戒しろっつってんのに!」

 

罠が無いと知るやいなやオタカラのある部屋へダカダカと走って行くスカル。何の迷いも躊躇いもなく駆ける彼に無警戒なのはコイツもだったと頭を抱えるモナとパンサー。

 

しかし警戒しすぎて身動き出来ないという状況も打ち破るあの頼り甲斐のある特攻隊長の背中が、ジョーカーは好きだった。それでこそだとニヤリと笑ってそれに続くとモナとパンサーも慌ててそれを追った。

 

「オッラァ!」

 

一足早くオタカラの部屋へ突っ込んだスカルは扉を思い切り蹴り破り中へと入るとそこには昨日と同じくオタカラがふよふよと浮いている。しかし、オタカラは靄だった昨日とはまるで大きく姿を変貌させ、実態を持って鎮座していた。

 

思わず、スカルは足を止めてオタカラに目を奪われる。

 

「な、んだこりゃあ・・・」

 

「スカル?どうしたの・・・って、これ!」

 

それに続いて部屋に入ってきて、様子がおかしいスカルを見た後にオタカラを目にしたパンサーも目を見開く。

 

ただただ漂うだけだった靄は暴かれた本心が、大切な物を奪われるという強い焦燥が主にとって大切だと思う物へ形を形成し、眩いまでの欲望の光を散乱させている。

 

その形は正に王の証、その光は正に王の穢れた威光

 

 

「これが、オタカラ・・・?」

 

「ああ、これが鴨志田のオタカラだ」

 

 

そこにあったのは・・・・・・

 

 

 

「でっっっかぁッ!!??」

 

 

 

クソでかい王冠であった!

 

 

 

「デカすぎんだろ!?こんなもんどうやって持ち出すんだよ!?」

 

「三人がかりで運ぶにしてもデカすぎるでしょ・・・」

 

「困ったな」

 

クソでか王冠は今でこそ浮いているが持とうものなら人一人分の大きさに加え豪華な装飾のせいでかなりの重量があるだろう。三人で運んでも時間がかかるし、シャドウに見つかる可能性も高まり、何より邪魔である。カバーアクションも使えないので隠密もクソもない祭りで神輿でも担いでんのかレベルで王の間を真正面から出ていく羽目になるのだ。アホか。無謀過ぎるわ。

 

まさかそんなおバカな盗み方をする訳にもいかず、どうしたものかと王冠を見上げているとさっきから黙っていたモナが体を大きく揺らし始めた。らしくないその挙動にスカルは?マークを浮かべながら声をかける。

 

「おいどうしたんだよモナ、急に震えて。う○こか?」

 

「ニャハーーッ!!もう我慢出来ん!オタカラァーー!!」

 

「は!?」 「え!?」「●REC」

 

しかしその瞬間、モナのテンションが爆発した!普段の姿からは想像できないほどのハイテンションで王冠に飛びついたモナはさながらマタタビに夢中な猫の様に恍惚としている。そりゃもう全身を擦りながら笑っている。ジョーカーは即座に録画し、その映像を脳内フォルダに保存した。なんて素早い仕事、俺でなきゃ(ry

 

「何やってんだこの猫」

 

「まるでボールを追いかける犬だな」

 

「猫じゃないんだ、例え・・・・・・」

 

ジョーカーが適当言いながらその光景を継続して脳内保存し、スカルとパンサーが呆然としている間もモナはすりすりと王冠に頬擦りをしていた。いつもの彼は何処へ行ってしまったのかと思うほどその姿は大変可愛らしかった。

 

「にゃふ!にゃふぅぅ!」

 

「って!何時までやってんだアホ!!」

 

「ハッ!!」

 

スカルの怒号によって漸くこちらに意識が帰ってきたモナは一気に冷静さを取り戻し、急いでオタカラから離れて擦り寄ったことで乱れた身嗜みをマッハで整えて一息入れたら気まずそうに振り返る。

 

「あ、いや、なんだ。レディの前ではしたない真似を・・・・・・。」

 

先程までの醜態を思い返して堪らず顔を赤くしながら頭を搔くモナ。はしたないというよりも微笑ましい光景だったと思うんだが、と1人後方保護者面しながら考えるジョーカーを置いて困惑するパンサーがモナの跳ねた毛を直しながら今の行動について聞いていた。

 

「や、別にいいけど。というか今のなんなの?完全にキャラ変わってたし。」

 

「吾輩にも分からん・・・・・・何故か体が勝手に動いたというか。」

 

恥ずかしそうに呟くモナに何言ってんだ?と言うような視線を送るスカル。とある性質に無意識的に惹かれるという彼独自の特性、というか感性なのでスカルが理解出来ないのも無理はないだろう。自分でも自覚はしてるのか居た堪れない様に目を右往左往させるモナにスカルは「別に責めてるわけじゃねぇけどよ」と軽くフォローを入れた。

 

優しい(幾万の真言)

 

「まぁいいや、んで?どうするよこれ。」

 

「ふむ」

 

「ペルソナで運ぶ?」

 

「目立つだろ」

 

「窓から投げる」

 

「それ不法投棄!」

 

「ゴミ扱いなのか・・・・・・」

 

 

とりあえず皆で考えるだけ考えてみる。そして考えついた結果・・・・・・。

 

 

「結局こうなんのかよ!」

 

「しょうがないでしょ、他に方法なんて無いし」

 

結局、3人がかりで王冠を持ち出すというおバカな盗み方をする事となった。怪盗としてこれ以上無いほど間抜けな図である。だって窓から投げ出すとかワイヤー使って外壁を降りるとかミッションなインポッシブルじみた事する訳にはいかないし。というかどう足掻いても奴は来るので戦いやすい様に中にいた方がいい。

 

ので、わざわざ変な案を出さず(当社比)に運び出しているジョーカーはそろそろかなとタイミングを測っていた。

 

「にしても重ェなこれ!」

 

「つべこべ言ってないで早く・・・」

 

「!2人共避けろ!」

 

そして変態の気配を感じた瞬間にそう叫ぶ!そんで同時にジャンプ回避!すかさず2人をアルセーヌの腕に包み、ある程度離れた場所に着地する。王冠を持ってなかったモナも持ち前の勘で察知していたようでジョーカーの近くに華麗に着地した。

 

一方、捨てられた王冠の近くには凄まじい勢いでバレーボールが着弾し、床にヒビを入れていた。あのままあそこにいれば確実に直撃し、痛手を負っていただろう。こんな卑劣な事をする変態は一人しかいない!

 

「な、なんだ急に!?」

 

「ビックリしたァ!いきなり掴まないでよジョーカー!」

 

「すまない、けどそうも言ってられないみたいだ」

 

「え?」

 

混乱している2人を他所に手放した王冠の方へ向くとそこには・・・・・・

 

 

「ふはははは!出てきたなネズミ共め!これだけは絶対に渡さんぞ!お前らの様な下等な奴隷が俺様のオタカラを盗もうなど100年、いや1000年早いわ!」

 

 

先程までジョーカー達がいた場所に見覚えのある変態すね毛野郎(鴨志田)が小さくした王冠を手に持ってこちらを見下していた。最早すね毛が名前になりつつある奴は相も変わらずニタニタと見る者をイラつかせる笑みを顔に貼り付けている。正しく殴りたい、この笑顔。

 

しかもその傍らには認知存在の猫耳ビキニの杏がくっついている。羨まけしからん。だが野郎が脳みそ真っピンクなのは今に始まった事じゃない。ここで変に挑発しても「我、王ぞ?」とふんぞり返るに決まってる。なのでスカル達は斜め上の方向から口撃を繰り出した。

 

「出やがったなこの変態野郎!汚ねぇすね毛見せんじゃねぇよ!」

 

「何なのそのすね毛は!早く隠して!」

 

「巫山戯たすね毛しやがって!」

 

「なんだ貴様ら揃いも揃ってすね毛を弄りおって!いいだろ別に!」

 

まるで事前に話あっていたかの様な華麗なコンビネーション。モナも『うるるる』と威嚇するように唸っている。これには思わず、鴨志田も動揺していた。しかも認知存在の杏に否定させない所を見るに意外と余裕がないくらいのダメージはいってるらしい。自信満々にさらけ出してる所をボロクソに言われたからだろうか。ザマァ。脱毛して出直してこい。

 

何だか妙に足元が落ち着かずにソワソワしだした鴨志田に対してスカル達は自らの武器を取り出して臨戦態勢に入る。そしていの一番にスカルが鉄パイプを肩に起きながらビシッと鴨志田を指さして啖呵を切った。

 

「ハ!ちょうどいいぜ、ここでテメェとの因縁に決着つけてやる!!」

 

「・・・・・・ふん!カスがいきがりおって!俺様が直々に始末してやる!」

 

「お、エンジンかかってきたな」

 

「ジョーカー、黙ってろ?な?」

 

「それはこっちのセリフだっての!何でも自分の思い通りになると思ったら大間違いなんだから!」

 

スカルを見て調子を取り戻した鴨志田はまた傲慢な顔に戻り、その手にある王冠をクルクルと指で回しながらパンサーに向けてにやけ顔を向けた。ジョーカーは茶々を入れてモナに叱られてた。シュンとするジョーカーを置いて会話は続く。

 

「ふっ、それは勘違いだなぁ」

 

「はァ!?勘違い!?あんた何をッ!」

 

ニヤを通り越して『ニチャア』という音さえ聞こえて来そうな程気持ち悪い笑みを浮かべた鴨志田は現実世界では決して公表しない自身が隠している所業を暴露し始めた。

 

「勘違いも勘違いさ、お膳立てをしたのは周りの連中だよ。俺様の実績にあやかりたい奴らが進んで動いていたんだ!分かるか?悪いのは俺じゃない!甘い蜜を求めてきた取り巻き共さ!!」

 

「そんな・・・!」

 

「腐ってるな・・・」

 

奴の口から明かされた事実。薄々、いや大方そうだろうと思っていた事だがそれを現実だと突きつけられるとやはりショックは大きい。余りにも腐り過ぎて聞きたくもない現実に思わず顔を歪ますスカル達。ジョーカーも余り表情は変わらないがその瞳は酷く冷たいものになっていた。やはりどれだけ周回してもこの胸糞悪い事実は聞くに絶えないと。

 

どれだけの人が傷ついてきたと思っているのか、どれだけの人が夢を潰されたと思っているのだろうか。いや、コイツらにはそんなもの全く、微塵も、これっぽっちも興味無いのだろう。なぜなら()()()()()()()()()()

 

ただ自分達が甘い蜜を吸う為に他人を蹴落としてきた奴らが生み出した負の遺産。穢れ多き王。それが目の前にいる男の本性。

 

それに気がついた時、鴨志田の体に変化が訪れる。

 

 

 

「世の中、結局は他人をどう利用するかだ。道具は使うものだ!誰だってそうだろうが!俺のやってる事は正しい事なんだよ!」

 

 

突如としてボコンッ!と膨張し始める目玉。それは留まることを知らず膨らみ続け、まるで出目金のような不気味な眼が人の何倍にも肥大化する。

 

目玉だけでは無い、その肉体全てが空気を入れられた風船のように、されど肉を流し込むように生々しく膨張していく。ベキベキと嫌な音を立てながら新たに生えてきた2本の腕、元の腕と合わせて4本腕となりそれぞれにナイフにフォーク、鞭にワインを握っている。体はシックスパックだった腹筋が残っているものの見るも無惨な肥満腹となり、ギョロギョロと動く目を填めた頭部はまるで肉食獣のように鋭い歯が生え揃っている。後ろの2つの金玉には触れないで置く。

 

そしてもじゃもじゃの髪から羊のような角が生え、先程ジョーカー達から奪い返した王冠を見せびらかすように被っていた。

 

 

 

そう、その姿はまるで・・・まるで・・・!!

 

 

 

「それを分からないバカが多すぎるんだ・・・・・・俺様は才能ある人間、言わば選ばれし存在!!他の人間共とは違うンだよォッ!!!」

 

 

「ああ、そうだな。お前は王でも、人間でも無い。腐りに腐った人の皮を被った・・・・・・!」

 

 

「ただの悪魔だ!!」

 

 

 

『そうさ!!俺は悪魔!!人の上に立つ者!!至高の存在なのだァァァァァッッ!!』

 

 

 

 

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カモシダ・アスモデウス・スグル

 

 

━━━━━━戴冠━━━━━━

 

 

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「お前ら気を引き締めろ!これまでの雑魚とは訳が違うぞ!」

 

 

「なに、あれ・・・・・・」

 

「へっ、腹の底が見えたな。それがホントの姿って訳だ!お似合いだぜ!」

 

鴨志田がパレスの王としての真の姿、『カモシダ・アスモデウス・スグル』に異世界事情にやや慣れてきていたが流石に理解が追いつかなくなったのか呆然とするパンサー。

 

対してスカルにあまり動揺はない。そも、彼は鴨志田の事を元から化け物と認識していた為か逆に漸く薄皮一枚の下にあった本性を剥き出しにしてやったと戦意を顕にしていた。

 

『潰してやるぞ虫けら共!王に逆らった者は死刑だァ!!』

 

「行くぞお前らァ!」

 

 

「決着を付けるぞ、鴨志田!!」

 

 

 

ナイフを突きつける鴨志田に対し、ジョーカーも同じくミセリコルデを突きつけて応えた。

 

 

 

──────第一関門、開幕だ。

 

 

 

 

『やれ!奴隷共!奴らを倒せば金でも名誉でも何でもやるぞ!勿論、女もなぁ!』

 

『きゃー!鴨志田様素敵ー♡』

 

「最っ低!」

 

「下品な野郎だぜ!!」

 

まず先手を取ったのは鴨志田、鞭を床に叩きつけるとそれに呼応して奴の認知によって奴隷となったバレー部達がどこからとも無く現れ整列し、銃弾のように強烈なスパイクを放ってきた。

 

「うぉ!ボール打ってきやがった!」

 

「気を付けろ、当たると追撃が厄介だぞ」

 

まさに銃弾、いやバレーボールの雨霰。だがその程度ではジョーカー達は怯まない。こんな直線だけの単純な、しかも威力も大した事ない弾幕など彼らは簡単に対処出来る。これならまだシャドウとの戦闘の方が危なげがあった。

 

「ハッ!」

 

「ラァッ!」

 

モナはガルによって軌道を変えることで外し、パンサーは鞭とアギで叩き落とし、スカルは逆にバットで打ち返していた。打ち返したボールは綺麗に跳ね返り、何体かの奴隷を弾き飛ばす。

 

勿論、ジョーカーも皆の様子を見ながら最低限の動きでボールを避けていた。見もしないでひょいひょいと避け、片手間に奴隷を撃って消していると手応えの無さにイラついたのか鴨志田が声を上げた。

 

『ええい何をやっているグズ共が!傷一つ付けられていないではないか!貴様らその程度の事も、ぐおっ!?』

 

腕をブンブンと振ってご立腹な鴨志田だったが余りにも隙だらけだった為にスカルのキャプテン・キッドから放たれたジオが鴨志田に直撃した。唐突なダメージにビキビキと血管を浮かばせながらスカルを睨みつける鴨志田。

 

「おー、わりーなァ?あんまりにも隙だらけだったんでよ?」

 

『き、貴っ様ァァ〜・・・!!よくもぉ!!』

 

「よっと!分かりやすいんだよばーか!」

 

『ぬぐ!?』

 

大層お怒りな鴨志田はスカルに対してフォークを突き刺したがヒラリと躱され、逆に突き出した手に新たなショットガン『ブランコ・サバス』をぶち込まれ思わず手を引っこめる。傷ついてこそいるが目立った傷が見えないのは流石はパレスの主と言うだけはある。

 

しかしダメージを受けたのは事実。どんな小さな傷でも王にとっては見過ごせない大事である。

 

『クソ!王である俺様に傷を・・・・・・!だがしかし・・・・・・!』

 

プラプラと手を振った鴨志田は傷ついた方の手に持つフォークで目の前に置いてあるトロフィーに入った《人の下半身だけの何か》を突き刺すと何とそれを貪り食い始めた!

 

「なっ!?」

 

「なにしてんのあいつ!?」

 

これには思わず口を抑えるパンサーと嫌なもん見ちまったと顔を顰めるモナ。だが、それを口にしてから鴨志田の体にある変化が起き始めたのをモナは見逃さなかった。

 

「おいあいつ、回復してるぞ!?」

 

「げぇ〜、気持ち悪っ!」

 

そう、なんとあんなものを食っただけで鴨志田は瞬く間に負ったダメージを回復してしまったのだ。ジオによってやや焦げ付いた肌も、スカルに負わされた手のダメージもすっかり完治し、元気いっぱいになってしまっている。なんつーインチキ。

 

だが目の前で食っててそのカラクリは全部お見通しな訳で。

 

「どうやら、あのトロフィーにあるゲテモノで回復するらしいな」

 

「それじゃあれを壊せば」

 

「もう回復は出来ねぇな!」

 

「狙いをトロフィーに絞れ!」

 

秀でた者が得られる金のトロフィー、そこに入った生贄らしき人々の下半身。何やら濃い闇を感じるが今はそんな事気にしている余裕は無い。ジョーカーの鋭い狙った一言によって狙うべき物を判断したスカル達は奴隷の攻撃を捌きつつ、トロフィーに向けて攻撃を仕掛ける。

 

『な!止めろクソガキ共!これがどれだけ価値あるものか知らないのか!?』

 

「止めろと言われると!」

 

「逆にやりたくなるな!」

 

鴨志田の必死の制止も虚しく、言われて直ぐにトロフィーを攻撃し始めるモナとスカル。いつもの犬猿の仲ならぬ猫猿の仲な様子はどこへやら、スカルの背にモナが立ちまるで幾年も共に戦ってきた戦友のように息ぴったりの連携を繰り出す。

 

トロフィーを守ろうとした鴨志田をモナのパチンコで抑え、邪魔な奴隷達をガルで吹き飛ばし、取りこぼしたバレーボールをスカルが弾きつつ、ジオで再び鴨志田の動きを封じる。

 

「今だ!パンサー!ジョーカー!」

 

「トロフィーをぶっ壊せ!」

 

「ああ」

 

「任せて!」

 

相手の攻撃を完璧に潰した2人は残る2人にバトンタッチをして決め手を任せるとパンサーとジョーカーは前に躍り出る。それぞれのペルソナ、カルメンとジョーカーはペルソナチェンジによってジャックランタンを呼び出すと互いにアギを唱えた。

 

「俺が合わせる、同時に行くぞパンサー!」

 

「OK!行くよジョーカー!」

 

『やったるひほー!』

 

「「 FIRE!! 」」

 

そしてジョーカーがパンサーに合わせて同時に同出力のアギを放つ。カルメンの掌から、ジャックランタンのランタンの灯火から撃ち出され完全なタイミングで二方向から放たれたアギはやがて突き進む中で交わり、一つの強力な炎塊となってトロフィーに炸裂した。

 

その炎塊は瞬間的な火力はアギの上位版、中級魔術であるアギラオを超える程であった。勿論、そんな攻撃をトロフィーが耐え切れる筈もなく呆気なく炎塊によって破壊される。その余波で鴨志田もダメージを受けたようで熱そうに手を払っていたが、トロフィーが破壊されているのを見て酷く狼狽え始めた。

 

『あ、ああぁあ〜〜!!ト、トロフィーがぁぁ〜〜!!??全日本で優勝の時のぉ・・・・・・!!』

 

それほどショックだったのか、予想以上に動揺している鴨志田。そして攻撃がピタリと止んだこの瞬間を見逃す程、ジョーカー達は甘くなかった。

 

「よし!一斉攻撃だ!」

 

「しゃあっ!」「行くよ!」「トゥッへァー!」

 

一気に袋叩きにしてやろうと鴨志田達に一斉攻撃を仕掛けるジョーカー達だったが、それは他ならぬ鴨志田自身によって阻まれた。

 

『よくも、よくもぉぉおぉぉ!!絶対に許さんぞ虫けら共!じわじわとなぶり殺し、いや!確実に()()()()()くれるわぁ!!』

 

トロフィーを壊された事によって怒りが爆発した鴨志田は怒号を上げると同時に強い魔力の突風を吹き出し、それでジョーカー達を吹っ飛ばして強制的に引き剥がした。突然の事にも動じずに綺麗に着地をしたモナとジョーカー、何とか転ばずに済んだパンサー、派手にすっ転ぶも直ぐに起き上がるスカル。

 

「くっ、無理矢理距離を引き離されるとは!」

 

「あっぶな・・・!もう、悪あがきすんなっ・・・・・・て!なんかアイツ変じゃない!?やばくない!?」

 

パンサーの驚愕した声につられて鴨志田の方を見ると確かにヤバめな雰囲気を纏っている奴がいた。ドロドロと毒のような魔力が溢れ出し今まで無かった悪魔感を増幅させながら鴨志田はこれまでで1番力を込めて鞭を床に叩き付けた。

 

『おい奴隷共!!()()持ってこい!!』

 

鴨志田がそう叫ぶとまだ残ってた奴隷達が慌ただしくダカダカと喧しい足音を立てながら奴の指す()()とやらを持ってきた。

 

「あれは・・・・・・」

 

「またバレーボールかよ!」

 

その()()とやらは先程までの奴隷達が使っていたのとは大きさが段違いな鴨志田専用のバレーボールであった。悪魔状態の鴨志田の顔面程の大きさもあるそれを見てモナは警戒を引き上げる。

 

「ありゃあやばいぞ!注意しろ!」

 

ジョーカーを除く2人よりも経験豊富なモナからの一言でただの攻撃ではないと認識したスカルとパンサーは身構える。戦闘の勘においてはジョーカーにさえ並ぶモナのその予感は正しく、これから放たれる一撃は鴨志田にとって最も高威力な技であった。

 

だがそれよりも驚く事が起きる。

 

『よし、来い!三島ァ!』

 

 

「はいぃ!た、ただいまぁ!!」

 

「は!?」「えぇ!?」

 

鴨志田がもう一度鞭を叩くと、奥の方からジョーカーとパンサーのクラスメイト、そしてスカルも知っている地味めな男子『三島由輝』が足をもつれさせながら走ってきた。現実世界と寸分違わぬ彼の姿にスカルとパンサーは大いに動揺し、思わず構えを緩めて彼に声をかけてしまう。

 

「三島!?おまっ、なんでここにいんだ!?」

 

「どうやって入ってきたの!?私の時みたいに巻き込んで・・・・・・」

 

「落ち着け!ありゃただのシャドウだ!本物がここに居るはずが無いのは分かってるだろう!」

 

動揺する2人に対し、ピシャリとそう言い放つモナ。その通り、自分達が異世界に入る時に誰も巻き込まないように確認してから潜入したのは分かっている。そもそも彼は教室に居るはずだ、巻き込まれようがない。だがやはり目の前で本物そっくりのシャドウが現れると反応してしまうのは仕方がないと言える。ご丁寧に傷や包帯なども再現してるのが腹が立つ。

 

(アイエエエエエエ!!??三島!?三島なんで!?)

 

かくいうジョーカーも内心割とビビってた。一瞬で切り替えたものの、三島シャドウなど今まで見た事も無かったので「え!?三島覚醒フラグ!?」と結構動揺して珍しく目をまん丸にしていた。

 

『遅いんだよ愚図が!呼んだら1秒以内に来いといつも言ってるだろうが!』

 

「も、申し訳ございません!」

 

そんな三島シャドウが鴨志田の横に来ると彼に鞭を叩きつける。他の行動と同じく普段から行われている体罰の現れだろう。胸くそ悪くなるが今から来る攻撃はそれに気を取られていると一瞬でやられてしまう大技だ。3人を庇えるよう前に出てて何時でもアルセーヌを呼び出せるようにしておく。

 

『まぁいい、さっさとトスを上げろ!』

 

「は、はいぃ!!」

 

そうこうしてる内に鴨志田はその巨体では考えられないぐらい軽やかな動作で飛び上がり、それに合わせるように三島シャドウは奴隷が上げたクソデカボールを特に苦もなくトスで鴨志田の元へ上げた。マジかお前。

 

まさか、と感づいたジョーカーを除く3人だったが既に鴨志田はスパイクの体勢に入っている。阻止しようにも既に遅かった。

 

『見せてやろう、これが現役の頃ブイブイ言わせていた俺様の必殺スパイクだ!!『必』ず『殺』すスパイクだァ!!』

 

奴は信じられない位のど外道だが元オリンピック金メダリストの実力は伊達では無い。その醜悪な見た目からはおよそ似つかわしく無い程綺麗なフォームでボールを捉え、無駄を排除し、しならせた体の力を最大限伝えた完璧なスパイク。

 

名を『金メダル級スパイク』!

 

 

まんまじゃねぇかッッ!!

 

 

『これが世界を掴んだ一球だァッ!!』

 

 

ドンピシャなタイミングで叩き込まれたスパイクは殺人的な加速力を持ってまるで流星の如くジョーカー達へと放たれた。予想以上の迫力に碌に防御体勢も取れてないスカルとパンサーを庇うようにモナがゾロを召喚して何とか弾こうとするが咄嗟に取った行動の為、このまま行けばモロにボールの威力を食らうことになるだろう。

 

だからこそ、それを事前に知っていたジョーカーが前にいたのだ。

 

 

「アルセーヌッ!!」

 

 

『ハァッ!!』

 

 

予め溜めていたエイガオンを金メダル級スパイクに向かって放つ。少しでも勢いを殺す、あわよくば返してやろうと考えていたがここでジョーカーは思わぬ誤算に気がついた。

 

(今までよりも威力が、()()ッ!?)

 

 

これまでの周回の中で同じようなことをしてスパイクを防いでいたジョーカー、しかし今回のスパイクは比べものにならない程、威力が向上しておりこのアルセーヌをもってしても相殺できず、逆に押し返されている。

 

(この威力では逸らしても後ろの3人が巻き込まれるかもしれない・・・・・・なら!)

 

 

「済まない、頼むアルセーヌ」

 

『クク、構わんさ。我は汝の片割れ故にッ!』

 

 

予想外の事態にも焦らずに状況を整理、即座に最善の判断、決断を済ませる。覚悟がガンギマッているジョーカーはアルセーヌに謝罪しながらスパイクを止める為に、エイガオンを掻き分けてきた金メダル級スパイクに向けて鋭利な爪を立てて『ブレイブザッパー』をぶつけた。

 

 

その瞬間、轟音と衝撃波が辺りに響き渡った。

 

 

「ぐ、うぅ!」

 

『これは、中々・・・・・・!』

 

本来ボールからは鳴らないであろう金属音をギャリギャリと響かせながらアルセーヌの爪とぶつかり合う金メダル級スパイク。エイガオンで威力を減らしたにも関わらず拮抗するのを見るとどれだけの威力か伺える。手が裂け、血が飛び出るのを感じながら少しでも力を抜けば確実に押し負けると確信し、床を力強く踏み締めて耐える。

 

「ジョーカー!?」

 

「嘘だろ!ジョーカーでもキツイのかよ!」

 

「馬鹿!言ってる場合か!手を貸すぞ!」

 

「っ!そうだ、悪ぃ!今助けるぜ!」

 

あの普段は余裕すら見せるジョーカーでさえ苦戦する威力に驚愕する2人だったがモナの喝に気を取り戻し、自分達もボールを止めるのに加勢する。その声を聞いたジョーカーは瞬時に後ろに下がり、その代わりにすかさずスカルとモナがボールに攻撃を加える。キャプテン・キッドの舳先とモナのレイピアの先端がボールに突き刺さり更に勢いを殺す。

 

「ハァァッ!!」

 

「オラァ!」

 

アルセーヌのブレイブザッパーでかなり威力を下げられていた為、2人の攻撃で金メダル級スパイクは弾かれ部屋の窓を突き破って外へと飛んで行った。何とか渾身の一球を防いだジョーカー達。

 

(何とか凌いだか)

 

その事に少し安堵するジョーカーに駆け寄り体を支えるパンサー。

 

「ジョーカー!大丈夫!?」

 

「ああ、少し右手を痛めた位だ」

 

「痛めた位って、血が出てんじゃん!」

 

ペルソナ使いは己の半身であるペルソナとは感覚がリンクしてる為、受けたダメージがそのままとは行かずとも返って来てしまう。だがジョーカーの場合はそのリンクを極限まで高めて精度やステを底上げしているのでほぼ全てフィードバックされてしまうのだ。

 

それ故にジョーカーは先のスパイクのダメージを諸に受けて手から血を流していた。手袋によって直接は見えないが恐らく中は酷い有様になっているだろう。

 

だが死ぬこと以外は無傷が心情のオリハルコンメンタル持ちである蓮は顔色一つ変えずに懐から武見印の『ナオール錠50mg』を取りだし、口に入れて噛み砕く。するとなんということでしょう、現実ではありえない速度で傷が治り血も止まって手が元通りになったではありませんか。

 

「よし」

 

「えぇ!?それだけでそんな直ぐに回復するの!?」

 

「これくらいならな、パンサーは大丈夫か?」

 

「あ、うん。ジョーカーが庇ってくれたし。」

 

「なら良かった、怪我したら直ぐに回復してくれ。スカルとモナもな。」

 

「庇ってくれた奴に言われちゃ立つ瀬がねぇな!」

 

「済まないジョーカー!反応が遅れた!」

 

金メダル級スパイクを弾いた2人もジョーカーの元へ下がってきて負傷を治した彼へそう声をかける。「大丈夫だ、問題ない」と問題ありそうな返答をしたジョーカーだが、その目は先の悪魔から外されていない。それはそうだ、なぜならこれはただの()()なのだから。

 

「大丈夫だ、それより警戒しろ。()()()()()()()()()

 

「「「 !! 」」」

 

 

『うぅ〜ん、やっぱり三島じゃ調子が出ねぇなぁ。おい、目障りだ!さっさと消えろ!!』

 

「も、申し訳ございません鴨志田様ァ!」

 

 

ぐるぐると肩を回しながら三島を怒鳴って下がらせる鴨志田。なんと驚くべき事に今のジョーカーですら止めきれなかった一撃が本調子では無かったのだ。ありえない、アレだけの威力があって不完全だと言うならば本調子の一撃を食らえばどうなるか。想像に容易い。下手しなくてもゲームオーバーである。

 

「う、嘘だろ?あれが本気(マジ)じゃねぇってのかよ!?」

 

「あれ以上と打たれたりなんかしたら・・・!」

 

そう戦慄する3人を他所に、鴨志田はまた鞭を叩きつけて奴隷共に向かって叫び散らかした。

 

『次だ次!さっさとボール持ってこい!』

 

あんなものを二度も打たれたらとてもではないがこちらの身がもたない。何とかしてスパイクを阻止しようとジョーカー達はボールを待って無防備な鴨志田に向かって攻撃に移ろうとした。

 

「打たせてたまるか!その前に潰してやる!」

 

「っ!!ちょ、ちょっと待って!!」

 

スカルが鉄パイプを握り締め今まさに特攻を仕掛ける!という所でパンサーが大きく声を上げた。出鼻をくじかれた様な形となったスカルが「あんだよ!?」と苛立ちげに叫ぶとパンサーが鴨志田の後ろからゆっくりと歩いてくる人物を指さした。

 

 

「今度は誰だっつーんだ・・・よ・・・」

 

「な、あれは・・・・・・!?」

 

 

コツコツと足音を鳴らしながら歩き()()の人柄を知っていれば断じて着るはずもない破廉恥な白のバニーガールのコスプレをして鴨志田に対して媚びるように尻尾を揺らしている。()()()()というのがこれ程似合う状況は無いと思う程に、その人物が現れるのは予想外過ぎた。

 

 

「なんで・・・・・・」

 

 

 

 

そう、彼女の名前は。

 

 

 

 

 

「何で、志帆がいるの・・・・・・!?」

 

 

 




瞬殺がパレス内でも適用されることに2年近く気が付かなかった男!スパイダーマッ!

あとペルソナコンプして、パーフェクトアルセーヌを作って各属性最強ペルソナを作ったりなんだりして満足してた俺氏、アワードコンプでめちゃ強アイテムを貰える事を知らなかった(アホ)

しかもそのうちの1つに『愛大き怪盗紳士』という対俺特攻の項目が・・・・・・ラスボスより攻略ムズいってか、めんどくねー?

あ、そうだ。考えるだけ考えて小話の方に出なかった逆位置ペルソナ置いときますね。適当なのであまり深く考えないで大丈夫です()

(アルカナ)(ペルソナ名)
(魔術師)サマエル、ヒュドラ
(女教皇)カーミラ
(女帝)ヘラ
(正義)メアリー・スー
(運命)アラクシュミー
(剛毅)カーマ
(刑死者)タルタロス、イクシオン
(死神)ペスト
(節制)サンソン、ギロチン
(悪魔)ディアブロ
(塔)バベル
(星)テスカトリポカ
(月)ヒュプノス
(太陽)コキュートス
(審判)アンラ・マンユ



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