RISKYプレイ前 「うるせぇ!行こう!」ドン!!
RISKYプレイ後 「俺は!!!弱いっ!!!」
お久しぶりです皆様。自分探しの旅を検討し、約3ヶ月。今日も元気に自宅でごろごろしております。
さて、季節はすっかり秋を通り越して冬。最近は気温差が激しいですね、皆さん体調は大丈夫でしょうか。私は四六時中パンツ一丁で過ごしています。職場でもです。外では全裸です。通報よろしくお願いします。
ご都合主義、私の好きな言葉です。
感想及び誤字脱字修正ありがとうございます!励みになっております!じゃんじゃん下さい!
今回も、巻くぜ巻くぜ巻くぜぇ!・・・って言いながら駄文長めです。申し訳ない。
鴨志田パレス攻略から日曜を挟み2日が過ぎた。あれから寄り道もせず各々の家に帰りゆっくりと体を休め、疲労からいつの間にか寝て朝になっているというあるある現象を体験した竜司と杏は*1重い体を引きずりながら登校していた。
「うぁ〜・・・まだ眠ぃ・・・全然疲れが取れねぇ・・・」
「分かる・・・1日かけてリラックスしたのに・・・ふわぁ・・・」
「おいおい、だらしねぇな。そんなんじゃいざって時に動けなくなるぜ。蓮を見習えよ、あの後にもランニングして来るっつってかれこれ1時間は帰ってこなかったんだぜ?しかもその後筋トレもしてっからな。コイツ。」
「えぇ・・・マジかよ。バカじゃん・・・。」
ペシペシと蓮の頭を叩くモルガナ。まさかの追い運動に元陸上部の竜司もドン引きして罵倒してくる始末。まぁあんな事があったのに更に自分を追い込んでしかもその癖自分達の中で1番元気な様子を見たらそんな感想にもなる。
「何だかジッとしてられなくてな」
パレスの中で起こった数々のイレギュラー。その事について整理したくて外に出てた、とは言わずにソワソワして落ち着かなかったと説明する蓮。彼も鴨志田が改心したのか気になって仕方が無いと言った感じに言うと竜司達はそれを信じて「確かにな」と納得言ったように頷く。
(まぁホントはそれだけじゃないんだけど)
そう考えながら「授業だりぃ〜」と何気ない会話をする竜司の頭に飛び乗って説教してるモルガナを横目にスマホを取り出して、今はもう何も表示されていないイセカイナビを見る。
(これで、
かつての数多の世界において、様々な方法で調べなんとか特定した彼女を救う唯一の手段。それがこの4月の時期にしか出来ないというシビアなもので、それ以降になると
『黒羽エリ』
どす黒い大人の闇に汚されたその少女を、勝手だがどうしても助けたかったのだ。
彼女と出会ったのはいつ頃だったか。最初の方のループにはいなかった、と言うよりも気づかなかった、知らなかったというのが当てはまる。いつか、ループ中にとあるミッションから様々な事件へと発展し、偶然彼女の家庭の事情を知った事がある。
それが始まりで、あまりに過酷な境遇にどうにか彼女を救えないかと四苦八苦した。時に校内情報を探り、時に周辺住民の聞き込みをし、時に本人に聞いてみたりした。さすがに最後のは酷く警戒され上手くいかなかったが、少しづつ交流を深めたりして彼女自身から事情を聞いたりしてどうすればいいかを模索し続けた。もちろん、メメントスも使って。
1度、それが起点となってそういう関係になった事もある。まぁそう言った事情もあって使える物を全て使って彼女を救い出す手段を発見したのだ。
それがこの時期、4月の内にメメントスがまだ第一層『思想奪われし路』のみが解放されている中でエリア1に彼女の内縁の父親、そして母親の2人のシャドウがいる事が発覚した。
どうりで今まで気が付かなかった筈だ。流れに身を任せると初めてメメントスに向かうのは5/7から。4月にはメメントスのメの字もない。ループしている自分にしか気が付きようのない特殊条件だったのだ。しかもそれを過ぎるとより深い所へ潜ってしまうというクソ仕様。
たまたま何となくメメントスに潜らなければきっと永遠に見つからなかっただろう。マジのマジでクソ仕様過ぎる。
まぁしかし、見つかってしまえばこっちのもの。彼女が父親から性的虐待を受ける前に奴らを改心させ、起こるはずだった復讐を事前に摘み取る。
父親と母親の二人は心を入れ替え、これからは罪を背負いながら生きるだろう。彼女はそんな二人を許さないかもしれない。彼らとは別れる道を選ぶかもしれない。復讐を防いだからといって、それ以降はこちらでは干渉できない。なぜならこの世界では彼女と自分は他人なのだから。
きっと、辛い道のりになるだろう。きっと、苦しみながら前に進む事になるだろう。それでも彼女なら大丈夫と、僅かだが彼女と過ごした日々がそう思わせるのだ。
どうか、彼女の未来に幸福があるように。過去の重りは捨て去り後悔ばかりの徒花を吹き飛ばして、どこまでも飛んでいけますように。誰も知らない鳥籠の中から、そう願う。
「きゃっ」
なんて、らしくなくシリアスに浸っていると背中にドンッと何かがぶつかったようで軽い衝撃が走る。
何だろうと後ろを振り向くと、蓮は目を見開いた。
「ごめんなさい、ちょっとボーッとしてて・・・・・・」
そこにいたのは、目元にややクマがある光の薄い瞳をした長髪の美少女。つい今まで回想していた相手、『黒羽エリ』だった。
まさかの相手に一瞬固まったが、直ぐに柔らかい笑みを浮かべて返した。
「いや、大丈夫。そっちこそ怪我は無い?」
「ええ、何とも・・・って、貴方もしかして噂の転校生?」
すると、振り返った事で改めて蓮の顔を確認した黒羽エリは先程の申し訳無さそうな顔から一転して警戒した目で彼を見始める。まぁ当たり前だが彼女の元まで噂は届いている様だ。
「まぁ、ね。うん、何ともないなら良かった。それじゃあ・・・・・・」
その事に「それもそうか」とやや悲しげに目元を僅かに歪めた蓮はこれ以上はマズイかなと彼女から離れ少し先にいる竜司達と合流しようとする。こればっかりはどうしようもないとまたため息を吐きそうになる蓮だったが・・・・・・
「あ・・・!」
「おぉ」
そんな彼の腕を彼女がガシッと掴んで止めていた。思わずビンッと張った糸のようになった蓮は疑問符を浮かべながら彼女へと振り返る。しかし彼を止めた張本人である黒羽エリ本人も何故か困惑しており、それによりお互いが困惑するという変な状況となっていた。
「えーと・・・・・・?」
「あ、ご、ごめんなさい!自分でもよく分からないけど、つい止めちゃって・・・!」
「そ、そう・・・・・・」
ワタワタと両手を振るう黒羽エリにやや圧っされた蓮は体を若干反らせながら彼女の瞳を見ていると、必然的に彼女も蓮の瞳を見る形となる。
すると、さっきまで慌ただしく誤魔化していた黒羽エリは人形のように黙り込み、ただ蓮の瞳の
「・・・・・・貴方の目」
ぽつり、と彼女がそう呟く。まるで光を映さない濁ったガラス玉のような瞳で。
「暗いのに光を失ってない。汚れてない。私と似てて、まるで違う目。」
恨むように、羨むように。自分に無いものを持つ蓮に無垢な子供の様な感情を孕んだ瞳で彼女はそう言った。恐らく、彼女はまだ両親の変化に気づいていないのだろう。だから彼女は自分が汚れた人間だと思い込んでいる。
しかし、自分の瞳が綺麗だって?それは違う。それは自分の瞳に彼女の瞳が映り込んでいるだけだ。
「綺麗だよ、君は。」
ジッと、彼女の瞳をしっかり見ながらそう言うとまさか褒め言葉を言われるとは思わなかったのか目をぱちくりとさせ少しの間呆然とするとその目に光を戻しながらクスリと微笑んだ。
「何それ、私が綺麗って」
「事実を言ったまでだ」
「そう・・・貴方、聞いてたよりも優しいのね。うん・・・・・・ありがとう。」
蓮の真っ直ぐで嘘のない言葉に久々に素直な感謝をした黒羽エリの顔はまだ目元にクマはあるが、やはりとても綺麗で優しい顔をしていた。
そんな初対面なのに初対面じゃない不思議な2人の空間を展開していると後ろに蓮がいないことに気づいた竜司達が振り返って蓮を呼んでくる。
「おーい何やってんだ蓮!先行っちまうぞー!」
「ああ、今行く・・・俺は2年D組の問題児、雨宮蓮。何かあれば相談に乗るぞ。」
「ふふ、なにそれ。変な先輩ね・・・私は黒羽エリ、1年A組。よろしく。」
お互いに自己紹介をして握手をした蓮と黒羽エリの間には確かな絆が結ばれていた。アルカナは解放されないけど、それでも彼女と知り合えた事がとても嬉しい。今自分は酷く浮ついた笑みをしていると思う。それくらいには嬉しいのだ。
「それじゃ、またね?雨宮先輩。」
「ああ、また。後輩。」
そんなやり取りをした後に黒羽エリは最初よりも明るい顔をして蓮よりも先に学校へも向かっていった。まさかの会遇にウッキウキで超ご機嫌になった蓮の傍に竜司がやって来て耳打ちする。
「誰だ今の!まさか、まさか彼女かァ!?」
「まさか、ぶつかったから謝っただけだよ。」
「嘘つけぇ〜!それだけであんな仲良さげになる訳ねぇだろ〜!ホントの事言えって!な!レンレン!あれなんで俺の頭に手を当てテテテテテッ!?!?」
「ほら行くぞ竜司、遅刻してしまう」
「わか、分かった!分かったから離しテテテテテッ!?!?とれるっ!こめかみとれるっ!」
酷くニヤついた顔でからかってくる竜司の頭に強烈なアイアンクローをお見舞しながら学校に向かい始める蓮。余程痛いのか絶叫しながら無理矢理引きずられる竜司を見てモルガナは「えげつねェな・・・」とキャットエンペラータイムを使いそうな顔をしながらそう呟いた。対象にされる側なのに。
「ふふ、2人共仲良しだね、杏。」
「そう、だね?」
あのやり取りを見てぽやぽやした笑顔でそう言う鈴井に苦笑いしながら同意?をする杏。まあ男同士の友情なんて割と雑なもんなのであってはいるのだが、それにしても鴨志田から解放されてから親友の天然気質が増してきてる気がする杏であった。
何はともあれ、痛ましい過去の清算及び未来に起こる事件の未然解決を達成し、朝からルンルン気分の蓮は笑顔で授業を受けながら放課後までクラスメイトの胃を追い詰めていた。
そんなこんなで既に放課後。本来ならまだ鴨志田パレスを攻略してる途中だが、最短ルートでぶっちぎった為決着がついてしまっている。そして鴨志田の罪の告白も元の期限である5月2日まで結果も分からない。つまり、暇なのだ。
ならば勉強すればいいじゃない。
知は力なり、エロい人もそう言っている*2
せっかくだし4人で勉強しようかと思ったがどうやら皆予定があるそうなのでソロで図書室にレッツゴーである。ちなみにあくまでもソロだ、ぼっちでは無い。これ大事。
ちなみに知識は知恵の泉なのでこれ以上は上がらない。なら何故勉強するかと言うと、ある人物に会うためである。
「へぇ、率先して勉強しようなんていい心がけじゃないか」
「学生の本分は勉強だからね」
カバンに隠れてるモルガナとそんな話をしながらガラガラと図書室の扉を開けると図書委員の生徒が先にこちらを見るやいなやガチンと固まってしまった。今話題の超高校級の問題児が唐突なエントリーをかましてきたのだ、悲鳴を上げ無かっただけマシなリアクションだろう。
恐怖と緊張で固まったその子の前を通り過ぎて堂々と図書室に入る。すると異変に気がついた図書室内の生徒達が一斉に蓮の事を視界に入れて、図書委員の子と同じように彫刻のように固まった。
こしょこしょと小さな声で会話していた女子生徒達も、目当ての本を探していた男子生徒も、「検索を始めよう」と目を閉じて集中していた生徒(?)も・・・いやこいつは元から固まってたわ。
皆一様にして蓮を見ていた・・・・・・
「・・・・・・。」
円形の机を1人で使い黙々と勉強をしている女子生徒、その姿からは近寄り難い雰囲気を感じ、いかにも堅物というようなイメージを抱かせる。キリッと整った顔は僅かに眉間に寄った皺も気にならない位の美少女、いやこの歳にして美女と言えるほどであった。
彼女こそ、頭脳明晰、品行方正、文武両道。生真面目故に手が抜けない苦労人。この秀尽学園の生徒会長『新島真』である。バチくそネタバレすると後の怪盗団のブレーン役を担う少女だ。
そう、図書室に来た理由は彼女との接触である。しかしこれで後の展開に大きなブレが起きることはほぼ無い。なぜならこの時点では彼女の立場は完全に学園側であり、言ってしまうと蓮達とは対立した状態だ。しかも彼女の耳に入るのは蓮の悪評のみ。つまりどう足掻こうと一定から好感度が上がることは無い。精々噂よりもマシ程度だ。
なら何故彼女に会うのか?
会いたいからですが何か?(侠客立ち)
「なんだ?お前が入ってから皆黙り込んじまったぞ?」
「かくかくしかじかで怖がられてるから」
「・・・なるほどなぁ、完全に厄介者扱いって訳か。鴨志田の野郎、とことん下衆な奴だぜ。改心させてもこっちは残っちまうんだからやりきれねぇ。」
「なに、気にしなければ良いだけの話さ。」
まぁ二割くらいは自業自得な所もあるけど*3
というわけでとりあえず彼女の視界に入る場所までスタスタと移動。そうすれば微かな会話も無くなり急に静かになった周りに違和感を感じた真が顔を上げてこちらを視認してくれる。ここまで来たら彼女の方から話しかけて来るのでごく自然にコミュニケーションが取れる。
ふ、完璧な作戦だ*4
「あら、貴方噂の転校生ね?問題児の貴方がここになんの用かしら?」
「そう言う貴女はジョナサン・・・・・・失礼、生徒会長さん。なに、少し静かな所で自習でもしようかと思いまして。自分もこの学園の生徒ですので問題は無いでしょう?*5」
「・・・・・・まぁ、そうだけど。」
そう言うと彼女は反論が出来ず押し黙ってしまう。腐ってもここの生徒ではあるので強くは出れないし、別に悪さをしようとしてる訳でもなくただ学生らしく勉強しようとしてるだけ。それを責める程、彼女は意地の悪い人間では無かった。
「ここ出会ったのも何かの縁、同席させて貰っても?」
「え?あ、あぁ別に構わないわ。私専用って訳でも無いもの。」
「ありがとうございます、では失礼して」
やや強引に相席することにした蓮は遠慮なく彼女の真ん前に座り、筆記用具と教材を広げて早速勉強を開始した。その事に少しの間呆然としていた真だったが、その後すぐに人の事を気にしている場合ではないと自分も勉強を再開した。
(相変わらず肝据わってんなコイツ・・・・・・)
モルガナがカバンの中で蓮に向けて引いた目を向ける。初対面の、しかも年上相手にこうも手玉にとるとは最早肝が無いんじゃないかと思うくらいのライオンハートだ。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
当然ながら、勉強中なので互いの間に会話は無い。ただ文字を書く音だけが静寂の中に子鳥のさえずりの様に鳴っているだけだ。しかし、真はどうも目の前の問題児が気になるようで時折チラリと目線を彼に向けている。蓮もそれに気づいていたが別に指摘するつもりは無かった。
ちなみにモルガナは寝始めている。
そして真の目線は蓮のノートへと移る。見るからに普通のノートだが、その内容に彼女の目が僅かに見開いた。
「・・・・・・それ」
「はい?」
「2年生のレベルじゃないわね、それどころかかなり先の・・・・・・」
そう、蓮が解いていた教材は今学んでるものよりも先のレベルの物。作者の頭が悪いので詳しくは書けないが某東大レベルの難題が記述されているものだった*6
「随分勉強熱心なのね、正直意外だわ」
「よく言われますよ、ただ知らない事を理解するのが好きってだけなんですけど。勿論、復習して自分のものにするのも。」
ペンを止めずにそう言う蓮。これは正直な本心であり、昔は嫌いだったがいつの間にか勉強は趣味の一部になっていたのだ。知識は幾つあってもいいし、結果もハッキリしてる。それに知を蓄えてるという感覚が妙に癖になるのだ。竜司には理解できないと言われたが。
「・・・好き、ね。」
「会長もそうですか?」
そう聞くと、真の手がピタリと止まりちょっとだけ思考してから口を開いた。
「いえ、私は・・・・・・どう、なのかしら。好きと聞かれると・・・必要だからやってるの方が正しいんじゃ・・・」
「そうなんですか」
「・・・それより、そんなに勉強してるならやっばり大学も良い所を狙ってるのかしら」
「うーん、いえ、今の所それは考えてませんね。」
蓮がペンを軽く口に当てながら言うと今度は顔を上げて蓮を見る真。まさかと予想していなかったと伝わるくらい目には困惑が映っていた。
「え・・・・・・なんで?」
「別に良い所に行かなくてもやりたいことはやれますし、選択肢は増えるんでしょうけど、そこまで拘りは無いですから」
たははと笑いながら後頭部をかく仕草をする蓮。そしてこの先でコミュを進めやすくするために彼女が
「参考にお聞きしたいんですけど会長はどうですか?なんかやりたいこととか先に考えてる事とか何かありますか?」
「・・・・・・やりたい、こと・・・・・・先・・・・・・?」
「会長?」
蓮の質問に対し、うわ言のように呟いてフリーズしてしまった真。
そう、この質問こそ彼女に揺らぎを与える言葉。彼女自身も気がついていなかった根幹への刺激。
言わずもがな、彼女は大変優秀な人間である。しかし、持って生まれた生真面目さ故に他人の干渉を受けやすく立場による板挟みも多い。
他人の敷いたレールの上を歩き、しかしその事に内心疑問を持つが逆らうことも出来ない少女。それが新島真なのだ。
そのことを、敢えてこの時点で触れて彼女の中にある疑念を大きくする。そうする事で後々、彼女と関わる時に絆が深まりやすくなるのだ。あとは単純に下手したら見つけられなかったり変に拗らせる可能性があるので早めに向かい合わせたかったってのもあるのだが。
「あ・・・いえ、ごめんなさい。私は、その・・・・・・」
「あ!」
自身の境遇とふつふつと湧いてきた疑念に苛まれながら蓮の質問に答えようとした所で何かを思い出した風に声を上げて立ち上がると真もビックリして思わず声を上げた。
「え!?」
「すみません、今日ワンピー・・・用事があるの思い出したので。今日はこれで失礼します。」
「あ、あぁそう・・・え、ちょっと待って?ワン〇ースって言いかけなかった?最新刊買いに行こうとして無かった!?」
「ははは、まさか(棒読み)。では、ありったけの夢をかき集めなくては行けないので。相席ありがとうございました。」
「ちょ、ちょっと!・・・・・・行っちゃった。何だったのあの子・・・・・・。」
よし、これでフラグ準備は完了。あとは時が来るのを待つのみである。蓮はそう考えながら僅かに笑を零した。
爆発するように突如現れ、嵐のように過ぎ去った蓮に困惑を極めた真は質問の事もあって勉強に集中出来ず悶々としながら帰宅したという。
そしてその原因である蓮は学校を後にして、渋谷駅に向かっていた。
途中で起きたモルガナが寝ぼけ眼を擦りながらカバンから顔を出すといきなり景色が変わっていて驚いていたのがとても可愛かった(小並感)
さて、渋谷駅に来たのは言わずもがなとあるコープの進展のためである。このコープというのは中々に意地が悪いもので基本的に流れに沿っていけば殆ど解放出来るのだが、中には自分から行動しなければ解放されないものも存在する。
その内の1人がこれから向かう場所にいる人物、指し示すアルカナは『太陽』。意外と存在を忘れられがちだが、国の未来と真摯に向き合っている数少ないマトモな大人。
『吉田寅之助』である。
過去に若さゆえの不祥事を起こし政治家失格の烙印を押されているが、そんな自分を改め今度こそ国の為に尽くそうと渋谷駅前で街頭演説を行っている。
しかしそんな背景を持っているからか彼の演説に足を止める人は少なく、心無いヤジが飛ぶこともあるのだがそれに対して自分の不甲斐なさを痛感するという懐の広さと誠実さを持つ大人の鏡みたいな人だ。
いやほんと秀尽の奴らこの人見習ってくんねーかな。
「ん?なんだありゃ?」
そんなこんなで寅之助がいる渋谷駅まで来た蓮達は早速彼の所までやって来ていた。モルガナも熱心に民衆に語りかける寅之助に興味が湧いたのかそちらの方に顔を向ける。そして蓮もそれに続いてごく自然に彼の方へ向かって行った。
「街頭演説みたいだ」
「ほーう、熱心なもんだな。人となりも良さそうだし、言ってる事も悪くない。後はあれが真実かどうかってとこか。政治家ってのはどうも胡散臭いからな。」
「全くだ」
主にハゲとか、あとハゲとか、それとハゲとかな。
モルガナとそう話していると立ってこちらを見ている蓮に気がついた寅之助が区切りのいい所で演説を止めて蓮に声をかけてきた。
「やぁ、私の演説を聞いてくれてたのかな」
「えぇ、まぁ」
「ははは、そうか。それは嬉しいな。君のような若い世代が耳を傾けてくれるとは。それとも政治に興味があったのかな?」
「両方です。貴方の話に共感したので。」
「ほう、そうか!いや嬉しいものだね。面と向かってそう言って貰えるのは。今日はたまたまズレてしまったが、何時もは日曜日の夜に演説をやっているんだ。気が向いたら聞きに来てくれ。」
それでは、と演説に戻る寅之助。小さく「今日の牛丼は美味いだろうな」と呟いているのを聞き、ホッコリしているとモルガナが少しだけ顔を出して寅之助の背中を見ていた。
「あのおっさん、中々の貫禄だったぜ。あの感じだと演説の内容も嘘じゃないかもな。今時珍しい正統派って雰囲気だ。」
「そうだな」
「ああいう弁舌は将来役に立つぜ、教えて貰うといいんじゃないか?」
「ふむ、考えておく」
怪盗のスキルを育たせる気満々のモルガナを軽くいなして今は深く関わらず退散する。そして来週の日曜日に偶然を装って逢いに行くのだ。後は過去に本人から教わった話術で彼の演説の手伝いをする。くく、完璧だ。
さて、このまま帰ってもいいのだが折角なのでもう1人コープ構築準備をしておこうと思う。
ので、真反対の神田へと出発進行〜。その事にモルガナが何故わざわざ反対方向に?と疑問を浮かべてるので「神の啓示が降りてきた」と返すと残念な人間を見るような目で見てきた。
まぁ別に止めやしねぇけどよとカバンの中で寝始めるモルガナを極力揺らさないようにして目的地へと向かっていく。神田、まぁ正確には水道橋駅で降りて約10分ほど。見えてきたのは立派な西洋風の建物、屋根の上に付いた十字架。
そう、教会である。
普通なら教徒以外入る事は無いし、入ろうと思っても躊躇するであろうそこへ何の躊躇いも無く突入していく。キィ、と小さく擦れる音を立てる扉を開くと静かで少し薄暗いが不気味では無く、寧ろそれが心に安らぎを与える。
中を見回してみると全く人はおらず、神父様も今は留守なようだ。しかし1人だけ、こっちに背を向けて椅子に座っている人が目に入る。
その人、いや彼女の髪は薄暗い教会内でも絹のように美しく夜空の様に吸い込まれそうな黒。講談に近づく振りをしながら彼女の所まで歩いていくと、彼女もこちらに気がついた様で手元から目線を上げて見つめてくる。
そうして顕になった彼女の容姿は良く整っていて、その雰囲気はクールでミステリアス、左髪につけた赤い髪飾り。正に大和撫子と言った美少女であった。
彼女こそ目的の人物、将棋を打ち自分を通して怪盗団の戦術強化をしてくれた"美し過ぎる将士"と呼ばれる少女。
指し示すアルカナは『星』。
『東郷一二三』である。
「あ、教徒の方ですか?今神父様はちょっとした用事で留守でして・・・」
サラリ、と流れる髪を耳にかけ直しながらそう声をかけてくれた。どうやら教徒だと勘違いされたらしく、彼女のせいでは無いのに申し訳なさそうに言う姿に少しの罪悪感を覚えながら言葉を返す。
「いや、教徒じゃないんだ。少し教会に興味があって、調べて気になったから来てみたんだ。」
「そう、なんですか。すみません、いらないお節介を・・・」
「そんな事は・・・ん?」
自然な動作でチラリ、と彼女の手元に視線を落とし将棋盤を見た。
「将棋、か。1人で指してるのか?」
「あ、はい。新しい戦術を考えてた所でして。それにはこういった静かな場所で1人の方が・・・って、すみません。興味の無い話ですよね。」
「いや、何となく分かる。昔少しチェスにハマっていた時期があったんだ、確かに戦術を考える時は1人で黙々と考えてた方が良く捗った。」
「そうなんですか・・・あ、ちなみに将棋は・・・」
「指せるぞ、良ければ一局。」
「!そうですか、ありがとうございます。丁度新しい戦術を思い付いたので試したかったんです。」
そう言うと駒を定位置に戻し、こちら側の駒も揃えてくれた彼女にお礼を言いながら反対側に座る。
そしていざ対局開始という直後、彼女の目付きが目に見えて鋭くなり纏う雰囲気も勝負師の
それ即ち・・・・・・
「「
は?
「先行は私から!!私はノーマルソルジャーを進軍!ターンエンド!」
いきなり作画が切り替わった東郷がデュエルディスク(将棋盤)の歩をセットするとソリッドビジョン(セルフイメージ)によって軽装の歩兵が現れ一歩先に動いた。
「後行、俺のターン!勇み足の突撃兵を前進!ターンを終了するぜ!」
ビッ!とカードを引くように歩を手に取った蓮は独特な手の形で歩を進めるとこれまたソリッドビジョン(セルフイメージ)から足軽が姿を現し一歩前進した。
これこそが
「私のターン!再びノーマルソルジャーを進軍!」
「俺のターン!・・・・・・!」
「私の・・・・・・!」
「ちくわ大明神・・・・・・!」
・・・・・・・・・
「ゆけ!
まぁあれからなんやかんやあり、何となく蓮が優勢みたいな感じとなった盤面。飛車から竜王と成り、どっかで見た事のあるドラゴンが彼の背後に陣取る。その迫力に、どこぞの社長の過去の姿のような顔で勝ちを確信している蓮。
「くくく、これじゃMeの勝ちじゃないか・・・この盤面!この布陣!もう勝負は決まったも同然ナノーネ!敗北は有り得ないデスーノ!」
余りにも小物過ぎる顔で小物以下のセリフを吐く蓮。慢心という名のインクに塗りたくられたインクリングはマンメンミを浮かべながらナイスを押しまくっている。 下手すれば煽りイカと呼ばれそうな程の表情をしていた蓮はこんな状況下でも不敵な笑みを浮かべる東郷に眉を顰めた。
「ふふふ・・・・・・それはどうでしょう」
「何?何を言って・・・・・・」
「敢えて言わせて貰おう、それを待ってたと!」
「ひょ!?」
カン☆コーン
「刮目せよ!我が兵は地を抉り、天を割り、星を掴む!現れいでよ!ジ・エンペラー龍馬ッ!!」
ドゴォンッ!!
爆発のような着地音を響かせながら現れたのは煌びやかで重厚な鎧に身を包んだ巨人兵であった。その手には禍々しい漆黒の魔剣が握られており、青眼の究極竜王にも怯まずに真正面から向かい合っている。
「ダニィ!?馬鹿な・・・・・・まさか!」
「次に貴方は『これも全て計算の内かJOJO!』と言う!」
「これも計算の内かJOJO!・・・・・・ハッ!?」
「その通り!何から何まで計算づくなのです!これでとどめ!
「ぐおぉぉぉおぉぉっ!?参りまし、た・・・ッ!!」
「粉砕!玉砕!大☆喝☆采!!」
巨人兵が振り下ろした魔剣の一撃は究極竜王を容易く切り裂き、王将である蓮を討ち取った。その衝撃で何故か吹き飛んだ蓮は教会の壁に叩きつけられ、自身の敗北を認めながら地へと倒れ伏した。
かくして、激闘の末勝利を収めたのは新たな戦術を見出したキャラ崩壊を起こしている美し過ぎる将士の東郷であった。
将棋とは────?*8
「いや驚いた。強いな君は。」
「これでも将士の端くれですから」
壁から剥がれ落ちた蓮は何事も無かったかのように立ち上がり服を叩きながら元の位置に戻ると彼女を称賛する。それに謙虚に対応する東郷だが、その顔は満更でもなさそうだった。可愛い。
「リベンジいいか?」
「勿論」
まるで今まで本気じゃ無かったんですけど?と言うように上着を脱いで腕まくりをした蓮は再び彼女に決闘を挑み、まさかの第2回戦が勃発した。
そんなこんなをしている内に時間はみるみる過ぎていき、すっかり夜になってしまった。実は途中からちゃっかり帰ってきて楽しそうに将棋をする東郷を見守っていた神父様が声をかけてくれてようやくその事に気がついた蓮は慌てて時間を確認した。
ついこの間門限も解除されたものの余りに遅いと店を閉められず惣治郎がお冠になってしまう。それはまずいとここで切り上げる事にした。
「もうこんな時間か、つい熱中してしまったな」
「え、あ本当ですね。私も気が付きませんでした・・・」
将棋に夢中になっていたのは彼女も同じな様で結構な時間が過ぎていた事に気が付き、母親が心配してしまうと焦り始める。
「すみません、つい夢中になってしまって・・・」
「こちらこそすまない、こんなに将棋が出来る人が周りにいなかったからつい・・・」
2人揃って謝り倒した後に何だかシンパシーを感じて顔を見合せてふふっ、と笑い合う。
「もう遅いから駅まで送ろう。と言っても俺も電車なんだが。」
「ふふ、ありがとうございます。よろしくお願いしますね?」
そうして片付けを済ませて神父様に礼をしてから教会を後にした2人は道中は学校の事や将棋の事を話しながら駅まで歩いていくとあっという間に着いてしまった。最後に別れの挨拶を済ませる前に蓮が彼女にある提案をする。
「もし良ければ時間がある時にまた将棋を指さないか?」
「え?」
「君との勝負は勉強になる事が多かったし、何より楽しかった。」
「それは・・・ありがとうございます。私も貴方との勝負はとても有意義な時間でした。是非、またやりましょう。」
「ああ、よろしく頼む」
そうして、再び彼女と将棋を指す事でコープを深める準備を済ませた蓮は手を差し出し、東郷もそれにおずおずとか細い綺麗な手を伸ばして軽い握手をした。
「じゃあ随分遅いけど自己紹介を。俺は秀尽学園2年、雨宮蓮だ。よろしく。」
「私は洸星高校2年の東郷一二三と申します。以後、よろしくお願いしますね。雨宮さん。」
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りは即ち
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「星」のペルソナの生誕に
祝福の風を得たり
自由へと至る、
更なる力とならん・・・
COOPEARTION:『東郷一二三』
ARCANA:『星』 RANK.1☆
星コープGETだぜ!
この後、惣治郎にそこそこ怒られた。ぴえん。
・黒羽エリ
ペルソナ5のコミック、『メメントスミッション』にて登場するキャラクター。多分本編にはいない(作者が見落としてる可能性もある)。見た目は冴さんに似てる。恐らく茶髪か薄紫とかだと思う、瞳も勝手にイメージ。カラー版がないので妄想でカバーして貰えれば・・・
ネタバレになるので細かい事は書けないけどめちゃくちゃ辛い目にあってる子。あの作品で報われなかった分、幸せになって欲しい。
今作ではまだ父親に汚されていない。これは作者の個人的な解釈で彼女の父親は元々彼女を虐待していたが高校生になってからバイト代を奪う→それが過激になっていく→彼女に手を出す→事件へ。的な流れかと考えたからです。ええ、ご都合主義さ!
蓮と偶然話した事で少し心が救われた。蓮を止めたのは何故か既視感を感じたから。この後両親が改心したことを知り、更に前向きになって行く。この後の出番は不明。
・黒羽エリの父親
ゴミカス。死んで正解だったがこの世界では罪悪感に押し潰されかけながら生きてる。一生そうなってて欲しい。
・黒羽エリの母親
ゴミカス2。ついでに改心された人。罪悪感に押し潰されかけながら生きてる。もしかしたら和解するかもしれないし、ダメかもしれない。知る由もない。
というわけでコープ回でした。ゲームと違って最速でコープ相手に会えるのがこの世界のいい所。ちなみに私は将棋のょの字も知りません。
ゲームの最初に総治郎宅のインターホンを残酷な天使のテーゼのリズムで押すと最速で双葉に会えるらしい。