周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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息抜き小話です

本編とは関係無い話なのでアンソロジー的なもんだと思って下さい。これからもちょくちょく出していきます。


幽霊とジョーカー君

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吾輩は猫である、名前はもうある。モルガナという高貴でエレガントな名前が。

 

 

 

吾輩は居候である、現実世界では猫になってしまう厄介な性質を抱えた吾輩は仲間であり取引相手である男『雨宮蓮』が居候しているルブランという静かな小さい喫茶店に居着いている。居候の居候というのも何ともややこしいが姿を隠すにはうってつけな場所と言っておこう。

 

さて、そんな吾輩だがここ最近面白い事があったのだ。

 

実はついこの間からルブランには幽霊ってやつが住み着いちまってたらしくて霊障、所謂『ポルターガイスト』ってのが度々起こってたんだ。そのポルターガイストを起こしてる霊は律儀なのかどうなのか知らんけど何故か営業時間にはその現象を起こすことは少なく、営業時間前や閉店後に活発化するという奇妙なものだった。

 

営業時間前のも可愛いもんだ。ものが勝手にズレ落ちたり、スプーンや蓋などが落ちたり、テレビの写りが悪くなったり、軽い笑い声がしたりと実害はあるが大したことは無い感じのものばかり。

 

本番は閉店後だ。

 

つまりは夜。幽霊のホームグラウンド。そりゃはしゃぎ回ると言うもの。激しく階段を昇り降りしたり、夜中にいきなり電気が消えたり、ロッカーから掃除道具が飛び出したり、皿がズレ落ちたりなど・・・昼の大人しさはどこに置いてきたのかと思うほどはっちゃけるのだ。

 

吾輩も一時期まいってたが、蓮は違った。

 

階段から音がすれば追いかけるように階段に向かってシャドーボクシングを始めたり、ワイヤートラップを貼ったり、電気が消えても毛ほども気にしなかったり、掃除道具も淡々と片付けて鍵をつけたり、皿は落ちる前に華麗にキャッチしたりと、とにかく幽霊に対して攻撃的かつ的確な処置を行っていた。

 

 

吾輩は引いた。

 

 

しかしある日、心臓に剛毛でも生えてんじゃないかってくらい図太い精神をしている蓮には幽霊も流石に勝てないと悟ったのか、陰険な手法に切り替えてきた。

 

それはいつも通り夜中に起こった。慣れてきた吾輩が耳を塞ぐほどバチバチとラップ音が鳴り響く中、ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら『飴と鞭と大五郎』という意味不明な本を読んでいた蓮。ふと、トイレに行こうと席を立ち扉の前に立つが違和感に気づく。

 

 

鍵が閉まっている。

 

 

蓮はそう言うとドアノブを何度も捻るが一向に開く気配は無い。しかも中で煽るように物音がたっている。何ともいやらしいやり方に流石の蓮もどうしたものかとちょっと困っていた。

 

ここまでは良かった。

 

幽霊のやつはここで満足して手を引くべきだった。深追いなんてするべきじゃなかったんだ。

 

結果的に幽霊は虎の尾を踏むような行動に出てしまった。

 

 

何をやらかしたと思う?

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

ジャ〜〜ってな。もうその瞬間、思わず吾輩は終わったと口に出しちまったもんさ。

 

 

 

なぜなら、吾輩の視線の先にはブチ切れた蓮が写っていたから。

 

 

蓮はドタドタと騒がしく2階に上がったかと思うと直ぐに降りてきて、ドンドンと扉が壊れるんじゃないかと思うくらい喧しく叩き、いや正確には殴り始めた。

 

その右手に持てるだけのナイフと左手にゴツいダブルバレルショットガンを持ちながら。しかも口には何時ぞやに時価ネットたなかで買ったお祓いグッズの棒を加えている。目は血走り殺意MAXハザードと言った感じであった。

 

 

「おい、いんだろ?いんだろそこになぁ。開けろやコラ、開けろ。なぁ、今まで黙って見過ごしてやりゃあ調子付きやがって、あぁ?てめぇが無意味に流した水はよォ、総治郎が水道代として払うんだぞ?てめぇが使ってもねぇ水でだ。どういう意味か分かるよな?お前は超えちゃいけないラインを超えたんだよ。分かったならさっさと開けろ、もう一度殺してやる。逝けねぇってんなら俺が送ってやるよ、地獄の底の底まで。だからさっさと開けろ、開けろっつってんだろうがクソ霊が!!」

 

 

鬼気迫るってああいう事を言うんだなって、吾輩逆に冷静に思っちゃったもんな。しかも怒る論点そこ?っていう感じ。いやまぁ確かにそうだけども。蓮はご主人の事を偉く慕っているからな、そこが地雷だったんだろう。

 

その後も罵詈雑言飛ばしながらドアを叩いていた蓮と必死にドアを死守する幽霊の攻防は続き、蓮がやっと開いたドアを思い切り開きまるで見えてるかのように何かを追いかけ回した。

 

ブンブンとナイフとお祓い棒を振り、2階に行くとショットガンをぶっぱなすバーサーカーっぷりに吾輩はただ傍観することしか出来なかった。怖いもん。

 

そんなことが起こってからというもの、ポルターガイストはピタリとなりを潜めた。目に映らない幽霊もブチ切れた人間には勝てないと言うことが吾輩には良くわかった。というかあれは幽霊じゃなくても勝てない、誰だって逃げ出す。近くで見てた吾輩なら分かる。

 

だって幽霊が「すみませんでした」って書き置き残すレベルだからな。しかも誠意を込めた達筆で。

 

けどまだいるっちゃいるらしく、蓮がたまに目で追っていたりする。吾輩もたまに気配を感じるがあれはもう悪さをすることは無いだろう。なんなら家事を手伝い始めているのだからあのことが余程トラウマになってるのだろう。幽霊なのに。

 

吾輩は誓った、蓮だけは絶対に怒らせないようにしようと。

 

 

 

ガチャーーンッ!

 

 

 

あ。

 

 

 

 

「エェエェエエェェイメェエェェェンッッッ!!!」

 

 

 

その後、鬼を背負った蓮を前に見えないはずの霊が綺麗な土下座をしているのが吾輩には見えた。

 

 

それにしても聖職儀礼済みの銃剣(バヨネッタ)なんて何処で手に入れたのだろうか。

 

 

 

ともかく、吾輩は決して龍の逆鱗には触れないようにしようと固く決意したのだった。

 

 

 

ガチャーーンッ!

 

 

 

あ。

 

 

 

 

「モルガナ・・・・・・?」

 

 

 

 

Amen(白目)

 

 

 

 

 

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ジョーカー君:メンタルが強過ぎてビビらない。基本的に温厚だが金が絡むとガチギレする(総治郎に迷惑がかかる場合)

モルガナ:語り手。幽霊を慰めるという貴重な経験をした。

幽霊:加害者兼被害者。何としてもビビらせたいが為に変な方向に進んだ結果、修羅に出会った。物理無効な筈なのにジョーカーの攻撃に当たり判定があったのでボコボコにされた。その後はトラウマを抱えて一切イタズラをせず逆にお手伝いをする事がある。なんだかんだ居着いている。
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