私の初の宝具5はミドラーシュのキャスターさんです。褐色ケモ耳守銭奴重要キャラなお姉さんは好きですか?
それはそうと貯めてた呪術廻戦2期を見ました。メカ丸対真人がめっちゃ盛られてて笑っちゃった。スタッフの悪意が酷すぎて泣いちゃった。ちなみに好きなキャラは脹相です。お兄ちゃん語録がカッコよすぎるし面白過ぎる。特に彼の精神というか、心情が大好きです。それ故に彼の独白はとても刺さりました。
展開の巻き、いいね。私も長編相手であれば積極的に取り入れるべきだと思うよ。
「あばら家が美術館、か。なんとも壮大な解釈だな。」
「これって、つまり、あばら家にそれだけの価値があるって考えてる・・・って事だよね」
「そうなるな」
「あばら家が、美術館・・・?わっかんねぇな」
ギンギラギンにさりげなくどころかド派手に主張している悪趣味美術館を見て話す怪盗団。とてもあのあばら家がこんなになるとは思えないスカルとパンサーは揃って頭を傾ける。
「本人にしか分からないような認知があるってこったろ。きな臭くなってきたぜ〜!」
早くもお宝の気配を感じとったのかウキウキし始めるモナ。腕をブンブン振ってとても楽しげだ。うふふ、可愛い。
「あんな人の良さそうな爺さんがこんなもん抱えてやがったなんて・・・っぱ、人は外面だけじゃ判断出来ねぇな」
「あの話の信憑性も高くなってきたね・・・なんか、複雑。」
あれほど優しい態度で祐介や自分達に接してくれていたのに、蓋を開けてみればドス黒い本性を隠し持っていた。人であるなら裏があるのは当然だが、このパレスという存在はそんな常人を遥かに超える異常性を持っているということ。パンサーが悲しげに顔を曇らせるのも頷ける。
なので、ここは気合いを入れるふりをして空気を変える事にする。
「ショータイムだ!!」
「うおぉびっくりしたァ、いきなりはやめろよれ・・・ジョーカー!」
「なんで怪盗服になるとそんなテンション上がるの?」
「まぁ精神が形を成した物だし、解放されちまうんだろ、色々。」
空気を変えることには成功したが、いきなりのテンション爆アゲにまだ慣れてないメンバーは呆れた目でジョーカーを見る。そんな・・・人をまるでいつもは真面目なのに遊ぶ時だけ奇行を繰り返す変な友達を見るような目で見ないで!・・・全部あってんなこれ。
「でも、皆かっこいいよ!杏はやっぱりちょっと、その、大胆だね・・・。」
「ちょっ!!やめてよ志帆!気にしないようにしてたんだから!」
鈴井の指摘に顔を赤くして手で体を隠すように覆うパンサー。どうやら羞恥心はまだ捨てきれてないようだ。嫌なら他の衣装貸そうか?今手元にあるのモナ用のメイド服しかないけど。彼がこれを聞いたら確実に実は裏で人を殺してた親友を見るような愕然とした目で見てくるだろう。というかサイズ的に入らないだろ。
そして、邪な目で見られてやしないかとスカルの方をキッと睨むパンサーだったが、それに対してスカルは何睨んでんだコイツと言わんばかりに真顔で首を傾げている。もう全くそんな目で見てなんか無かった。なんか逆に負けた気がしたパンサーは更にスカルを睨む。益々混乱するスカルだったが目的を思い出してパッと話を戻した。
「おいおい、ここで無駄話してる場合じゃねぇだろ。とにかく、パレスに入ってみようぜ。」
「そうだな、あばら家が美術館になる理由も分かるかもしれん。もちろん、メインはオタカラだがな!」
目をキラキラさせて楽しげに言うモナにはいはいとリアクションを返すスカル。そんな2人を見て恥ずかしがってるのが馬鹿らしくなってきたパンサーもパレスに入る準備をする。
そして今回一緒に巻き込まれてしまった鈴井はパレス内の入口で待機してもらうことにした。流石に美術館の中にまで連れていく訳にも行かないし、かと言って外で待ってて貰おうにも本人がいる気満々なので、瘴気もかなり薄くシャドウも寄り付かないここなら大丈夫だろうと判断したからだ。それに、万が一にも備えて何重にも秘策は用意してある。
「じゃあ、鈴井さんはここで待っててくれ。もし危険が迫ったらこの『ドロン玉』を投げて、この『催眠ミスト』や『メギドボム』を投げるんだ。そしてその隙に現実世界に帰還する、OK?」
「う、うん。分かった。」
まるでお出かけ前に子供に色々持たせるオカンのようにひょいひょい道具を渡していくジョーカー。これらは事前にモナに教わった手作り潜入道具で『超魔術』の器用さで量産したもの。素人が自分以上のクオリティの潜入道具を作ったことでモナの自尊心がボドボドになったが、コラテラルダメージと言うやつである。
ちなみに各メンバーにも『ドロン玉』と『催眠ミスト』、加えて『カエレール』を渡してある。いずれもピンチの時に使うようにと説明してあり、『メギドボム』は量産が難しいという体で鈴井にしか渡していない。この時点で渡すと雑魚がヌルゲーになっちゃって経験が詰めないのである。つまりは、甘えるな!という事だ。
念の為、使い方をもう一度説明してから渡してようやくパレスに入る準備が整った。
「よし、では改めて・・・行くぞっ!!」
「やっぱテンション高ぇ〜」
「シャドウにバレるからもうちょっと控えめにねジョーカー」
「鎮静剤打っとくか?」
「あ、ね、ねぇ皆!」
そして、さぁ出発だ!というタイミングで鈴井から声がかかる。
「?どったぁ、鈴井?」
「志帆?ハッ!もしかして体調悪い!?やっぱ帰る!?」
「い、いや!違うの!えっと、その・・・気になる事があって・・・」
「気になる事?」
そう言ってもじもじと指を合わせる鈴井。脳内で可愛いとコメントを打ちまくるジョーカーだったが、次の彼女の言葉に雷鳴に打たれたかのような衝撃を受ける。
「あの、今更だけど、皆は名前で呼び合ってるのに、私は苗字なんだなって・・・うぅ、ごめん!やっぱりなんでもない!忘れて!」
ビシャァーーンッ!!
あったまからつま先までの衝撃の稲妻が突き抜けるが如くショック!その破壊力たるや、パンサー以外にはあまり靡かないモナが感銘を受けるほどであった!
「・・・・・・あー!確かに!ジョーカーもスカルもモナも名前呼びしてない!なんで!?」
「や、何でって言われても・・・特に気にしてなかったっつーか、なんかその、恥ずいっつーか。」
「はぁ!?私の時はそんなリアクションしなかったでしょーが!!」
「お前は別に」
「ふんッ!」
「フリッカーッ!?」
杏の目に見えない程の速度で放たれるフリッカージャブにより地に沈んだスカル。そんな漫才をスルーして普通に反省しているジョーカーとモナ。
「吾輩、全く意識してなかったぜ・・・ごめんな志帆殿」
「済まない・・・本当に、済まない・・・!」
「ううん、大丈夫だよモナちゃん。れ、ジョーカーもそんな落ち込まないで!私も苗字呼びだったし・・・それに凄いことになってるから!頭が埋まる勢いだから!」
土下座どころか土埋座になりかけているジョーカーを見て慌てて止める志帆。類まれなる謝罪をしたジョーカーは前は大丈夫だったのにまさか名前呼びを無意識にしていなかったとは、仲間と言ったのにこれは余りにも失礼だ!と本気で反省していた。
「今度高級スイーツを奢らせてくれ」
「いやそこまでしなくても・・・杏みたいに名前で呼んでくれれば」
「分かった、済まない志帆さん」
「違うよ、謝罪じゃない。そこは肯定だけだよ。」
「わかった、志帆さん」
「さんじゃない、そこは呼び捨てだよ」
「わかった、志帆」
なんか何処ぞのシンシリーズみたいなやり取りをしていた2人。このままWポーズでも決めるか?という感じの所で、パンサーに足を引きずられてスカルが志帆の前まで連れてこられた。
「っのやろ、本気で殴りやがって・・・」
「そんなことはいいから、ほら」
「うっ・・・その、悪かった。ダチッて言ったのに名前で呼ばなくて、その・・・し、し、シ帆・・・」
「・・・ううん!大丈夫、ありがとう、スカル!」
「ッ!お、おう・・・」
なんでか、名前を呼んだだけなのに物凄いアオハルを感じさせる食う気になった2人。おやおや?これはまさか?とジョーカーとモナがコソコソニヤニヤしているとパンサーがスカルを押して志帆から引き離した。
「はい!呼んだなら離れて離れて!」
「んだよ!近付けたり離したり!」
「いいから!」
わちゃわちゃしてるスカルとパンサーを見てお淑やかに笑う志帆。パレス内にいるとは思えないほどホンワカした様子だったが、モナがハッと元の目的を思いだした。
「おーい、盛り上がってるとこ悪いが早いとこ中に入ろーぜ」
「あ、そうだった」
「忘れかけてた」
「じゃあ志帆、安全第一でね!危なくなったら直ぐそれ使ってね!あとお腹空いたら私達の事は気にしないで持ち込んだの食べていいからね!あと・・・」
「ジョーカー、連れてっちゃって!あと、頑張って!」
意外と強かな志帆は心配により無限過保護マシーンと化したパンサーを連れてくようにジョーカーに指示する。それに「イエス、マム!」と応じた彼はパンサーをお米様抱っこしてパレスへと旅立っていった。どっちがリーダーだ。
その際、彼の目にのみ映る青い扉に立つジュスティーヌに対し賄賂としてたけのこの里ときのこの山を渡し、「もしもの時は彼女を頼む」と書いたメモも付けてアイコンタクトを交わした。それを一瞬で読み理解した彼女は「・・・仕方がないですね」とたけのこの里を食べながら了承するのだった。断じてお菓子に釣られた訳では無い。*1
そんな訳でたまたま空いていた屋上の天窓から美術館内へと侵入したジョーカー達。外があれだけ混雑していたにも関わらず中は異様なまでに静かで不気味さすら感じる。更に不気味さを増すようにジョーカー達の前には巨大な絵画が幾つも並んでいた。そのどれもが人物画であり、絵なのにぐにゃぐにゃと揺れ動いている。
「何これ、動いてる・・・」
「まぁ、パレスだしそういうのもあんだろ。」
「ふむ、パレスの在り様は主の心の在り様だ。ちょいと調べた方がいいかもな。」
モナの言う通り、この美術館を理解するピースの可能性がある。そう考えた彼らはとりあえず適当に決めた一枚の絵を調べ始める。
「仕掛けっぽいのはねぇな」
「あるのは・・・絵の説明だけだね」
「なになに、書いてあんのは・・・名前と、年齢?」
「単純に絵のタイトル、作者の名前、という訳では無いだろうな」
「ああ、いよいよ臭うぜ」
「え?それって・・・」
何かに感づいたモナとジョーカーの言葉に疑問を持ったパンサーとスカルだったが、確証を得るために更に先へと進もうとする彼らの後を慌てて追う。何枚もの絵を見る度にスカルの顔は意味が分からんと眉間にシワが増え、パンサーの顔は個展の時と違い様々な画風など無く人物画しかない事に困惑を深める。
そして、ある一枚の絵を見つけ疑念は更に深まる事となった。
「ッ、おい、これ!」
「え?あ!この人!」
「・・・確か、中野原だったか。」
目の前でゆらゆらと動く人物画。そこに描かれていたのは少し前にメメントスにて改心させた元ストーカーの中野原夏彦であった。これでプレートに書かれてるのは絵の人物のものと判明したが、なぜ彼がこんな所に人物画として飾られているのか。益々謎が深まり、そして益々真実へと近づいている気配がする。
そして、次に見つけた絵で全ての疑念が、確信に変わった。
「これっ・・・て・・・!?」
「おいおいなんでコイツが!?」
「・・・『喜多川祐介』」
最後に飾られていたのは、見覚えしか無い少年の人物画。青みがかった髪に整った顔立ち、どこからどう見ても祐介本人の絵であった。
どうして彼の絵がここに?そう考えたパンサーだったが、『中野原』『祐介』『マダラメ』『怪チャンの書き込み』など朧気な点と点が線で繋がるように全ての事柄が繋がり、その事実にブワッと鳥肌が立つのを感じる。
「この絵達って、まさか、斑目の『弟子』の人達?」
今まで見てきた人物画達、その数は十を優に越している。つまり、もし盗作などの話が真実ならそれだけの数の被害者がいるということになる。勿論、目の前にある祐介も。
「なるほど、な。弟子は自分の『作品』・・・いや、もっと歪な、『作品を生み出す物』って事か?」
「恐らく、その認識でほぼ合ってるだろう」
「んだそりゃ!?弟子なのに、作品!?つまり、どういうこった!?」
「静かにしろ、多分だがもう少し進めば分かると思うぜ。ここはパレス、思ってる事は隠せねぇ。認知は必ず形になってる筈だ。」
モナの落ち着いた言葉にスカルも確かにそうだと納得する。ならばと早いと先に進もうとするスカルの首根っこを掴んで警戒しながらファントムムーヴしていく。
ご丁寧に置いてある館内のパンフレット『見取り図・上』をおひとつ頂戴し、先のゾーンへと進むとこれまた派手な黄金で彩られたオブジェクトが鎮座していた。
「うわ、なんかあるぞ!」
「こりゃまた随分と・・・」
パッと見では壮大で開放感のある芸術品に見えなくもないが、ちゃんと見てみると金の中には人の形をした装飾があり、それらはどれも金に囚われもがき苦しんでるように見える。近代芸術やオカルト品と言い訳を付けてもなお悪趣味だと感じるそれを見て彼らは全員顔を顰めた。
「んだこりゃ、なんか気持ち悪ぃな。」
「プレートになんか書いてある。えっと、タイトルは『無限の泉』・・・?
『彼らは斑目館長様が私費を投じて作り上げた作品群である。彼らは自身のあらゆる着想とイマジネーションを生涯、館長様に捧げ続けなければならない。それが叶わぬ者に、生きる価値無し』・・・!?」
「はぁ!?」
「なっ・・・!」
パンサー含め読み上げられた内容に絶句するメンバー達。酷いなんて言葉では収まりきらない程の悪意がこの文章には詰め込まれていた。斑目本人の嘘偽りの無い本音。これにより、彼の悪性は確定的なものとなった。
簡潔に言うとこう言いたいのだ、自身の弟子は『金の成る木』と。
「これ、多分盗作のことだよね・・・」
「クソ!とんだ食わせジジイだ!腹の底真っ黒じゃねぇか!」
怒りに任せて台座を蹴るスカル。いつもならモナから叱咤するだろうが、この事実に怒りと嫌悪感を抱いているのは彼も同じ。故に今回ばかりは目を瞑っているらしい。
「弟子は俺の『物』ってとこか。これがホントならマトモな絵描きですらないぜ。画才のある弟子の着想を、生活を保障する代わりに盗んでる事になる。」
「ということはやっぱり・・・」
「ああ、あの人物画は『認知上の弟子』で確定だな。にしても、生きる価値無しとまで来たか。こっちは多分虐待の事じゃねぇか?役に立つうちは置いとくが用済みになれば・・・チッ、言っててヤになるぜ」
「巫山戯てる・・・!まるで奴隷や道具じゃない!」
パンサーも拳を握って怒りを顕にしている。当たり前だ、これほどまでに悪意を煮積ませた物を見せられて冷静でいられるはずも無い。しかし、この先に進むのならその感情は返って邪魔になってしまう。
だからジョーカーは一度パレスから帰還するように上手く誘導する事にした。
「個展の時も、飾ってあった絵を褒めたら様子が変だったの。もしかしたらあの絵は喜多川君の・・・」
「育てて貰った恩義があるからって、こんなの許される訳ねぇ!なぁ、コレもう斑目がターゲットでいいだろ!?」
「ああ、しかしその前にもう一度喜多川に事実を確認しよう」
「うむ、吾輩も賛成だ」
「ああ!?んだよ確認って!?」
「実際に悪事があったのかどうか、『ウラ』を取っといた方がいい。」
「その通り、その方が揺さぶりが効くしな。それにまだ斑目の事何も知らなさ過ぎるだろ。悪人である事は確定的にしろ、現実でもその裏付けをしておいた方がいい。吾輩達は遠慮が無くなるし、奴は逃げ場が無くなる。」
「めんどくせぇ・・・ま、けどやるしかねぇか。」
パレス攻略する気満々だったスカルも納得したのか渋々ながらもジョーカー達に従う。パンサーも同意し、全会一致となった彼等はそこで引き返してパレスの入口まで戻ってくるとわたわたと出迎えてくれた志帆を抱えてすたこらと現実へと帰還する怪盗団。
その際、志帆を見守ってくれていたジュスティーヌに
後日、杏がモデルの話を受けることで喜多川を釣り話を聞こうと決めた彼等はそこで解散しそれぞれ帰路についた。その頃には日は沈んでしまっていたが、そのまま帰るのも何となく勿体なかったのでアンタッチャブルへと寄り、あのモデルガンについて聞いてコープを結ぶことにした。ついででやる事じゃねぇ。*2
「らっしゃ・・・おめぇか」
「どうも」
店のドアを開き、店主がこちらを確認すると面倒なのが来たと言うようにしかめっ面で睨んできた。とてもカタギに出せる雰囲気では無い。だがそんな事知らねぇと言わんばかりに蓮はズンズンと距離を詰め、例の紙袋をカウンターに置いた。大胆不敵である。
「これについて聞きたくて」
「・・・・・・けっ、お構い無しかよ。まぁいい、そりゃ俺が極限までリアルに改造したカスタムガンだ。」
「ほう」
蓮が全く怖気付かずに聞いてきたことで誤魔化しは効かないと判断した店主は大人しくカスタムガンについて話し始める。
「ちょいとアテがあってな、お前が運び屋やってくれて助かったよ。デカに目ェ付けられずに済んだ。・・・要は、共犯ってことだ。妙なことチクるなよ?うちの防犯カメラにも映ってる。」
それにしては簡単に話しすぎでは無いかと思った貴方、大正解。クイッと親指でカメラを指差す彼の顔には巧みに裏を取ったことで悪い笑みが張り付いていた。これには思わずモルガナも絶句である。
(セ、セケェ〜!ほぼ、いや完全に脅しじゃねぇか!)
MAX脅しを真っ向からぶつけられた蓮。普通ならばここで踏み入る話では無いと判断し、芋を引くような場面だが、あいにく彼はイカレ具合が違った。
「ああ、それはいいんですけど。他のはありませんか?良ければ見せてもらいたいんですけど。」
「へぇ・・・」
(おばー!?蓮ー!?)
いつの間に取り出したのか紙袋に入っていたカスタムガンを手に持ちカチャカチャと色んな角度で見つめる蓮にモルガナは心の中で絶叫した。なんでお前こんな場面で刺激するような事するんだ!と考え顔を青くしながらチラリと店主の方を見る。
「・・・ちょっと裏で話そうか?」
(こ、怖ぇ〜!!??)
不機嫌気味に吊り上げられた帽子の裏から覗く鋭い眼光が蓮を射抜いていた。これにはもうモルガナもショッキングピンクである。完全にスジモンオーラを出している店主の後を極めていつも通りにのほほんとした顔でついて行く。
そして店裏に連れ込まれると奥の方に立たされ、1つしかない出口を完全に封鎖されてしまった。こんな時くらいポケットから手を出せ。
「何モンだよ、お前」
「タダのガンマニアですよ。気に入ったんです、アレ。」
眼前まで顔を詰められ、目線だけで人を殺せるんじゃないかと思うくらい迫力を叩きつけられているのに全く動じない蓮を見て、数秒は様子を見るように動かなかった店主は小さく笑って身を引いてコロリと飴を転がした。
「ハ、その歳でか?・・・まぁたしかに、その執念はマニア独特かもな」
蓮の態度に並々ならぬ執念を見た店主はとりあえず納得し、その後小さく「待てよ?」と呟くと少し考えこんだと思えばまた小さく悪どい笑みを浮かべて蓮を見た。
「・・・クク、なるほど、ガキってのもありか」
そう言う彼の前にはクルクルとカスタムガンを回してガンマンごっこに興じる蓮がいる。「・・・多少アホだが、まぁ許容範囲だ」と見なかったことにして話を続ける。モルガナは白目を剥いた。
「いいぜ、お前の望み。叶えてやってもいい。だが、金はあるんだろうな。一丁数十万で取引してるシロモンだぞ。俺の気分次第で百にも千にもなるぜ?」
「ええ、是非とも」
ここで現金を叩きつけると愕然とした顔を見れるが逆に高値の客扱いされて終わってしまうのであえて表面だけは強気な学生を演じる。
そして言い淀んでしまっても根性無しと判断されるので、ネジがちょっと飛んじゃってる系男子を演じて*3ニヤリと笑いながら返すと少し驚いたように目を剥いてから更に笑みを深めて蓮を見る店主。どうやらお眼鏡に適ったようだ。
「ハッタリか、ますます使えるぜ・・・よし、いいだろう。ただし条件がある。お前、俺の『シゴト』を手伝え」
「シゴト?」
「運び屋、証拠隠滅、etc・・・その報酬として特別メニューを案内してやる。ガキでも払えそうな良心価格でな。どうだ?悪い取引じゃねぇだろ?」
聞いただけでも、カタギの仕事では無い怪しさ満点の内容。正気ならばこんなもんと関わりなんて持とうとしないだろう。というか絵面からしてヤバい、どう見ても裏取引に騙される学生だ。それとは違うのは、騙される側が全てお見通しで、その上で滅茶苦茶悪い顔をしながら交渉にノリノリに乗ってることだろうか。
「面白そうだ」
「くく、更にイカれてるときたか。いいだろう、お前は使えそうな駒だ。」
互いに利害が一致した事により契約が結ばれ、青い縁がコープを紡ぐ。
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りは即ち
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「刑死者」のペルソナの生誕に
祝福の風を得たり
自由へと至る、
更なる力とならん・・・
COOPEARTION:『岩井宗久』
ARCANA:『刑死者』 RANK.1☆
「コンゴトモヨロシク・・・」
「・・・なんだ?急に寒気が・・・」
悪魔と契約したのは果たしてどっちか。少なくとも、意地悪く笑っている方では無いのは確かだ。
ってな訳で、アンタッチャブルの店主『岩井宗久』とコープを結んだ蓮。ご機嫌になってカスタムガンを堂々と握ったまま外に出ようとした彼の後頭部を殴り阻止した岩井はそれを彼のカバンにネジ込み、無理矢理外に連れ出す。
「ったく、仕事についてはおいおい連絡する。念の為言っとくがこの事は誰にも話すなよ、お前は指示に従えばいい。これも一応言っとくがお前が補導されたりパクられたとしても俺は無関係だ、いいな?」
「了解」
連絡先を交換した後、後頭部を腫らした蓮は敬礼する。岩井はもう完全にアホを見る目で見ていた。
「ちなみに今日はいいんですか?」
「へぇ、やる気じゃねぇーか。ま、そうガツガツすんなよ。今日は遅いしな、準備が出来たら連絡する。まぁ、うん、期待してるぜ?」
「うす、おなしゃす」
僅かな時間で壮絶な奇行を見せた蓮に契約相手を間違えたかもしれないと若干後悔が見え隠れする岩井。しかしもう遅い、コープが結ばれた以上最早逃げることなど出来んぞと脳内でキラのような笑い声を上げながら頭を下げると、スッタカターと四茶に帰り、思ったよりも時間が余ったので今度は武見の所へ訪れた。
モルガナを退避させてから診察所に着くと嫌そうな目で見てくる武見。何故だろう、そんな目をされる様な事をした覚えが全くない*4。そう考えながらそんな彼女にまるで青い青春を共に過ごした親友の体を乗っ取ったやつみたいな軽さで挨拶をする。
「やっ、武見先生」
「・・・どうも、何か用?」
「つれないなぁ、私と先生の仲じゃないですか」
「私達、出会って3回しか顔合わせてないけど?」
「量より質、そう思いません?」
「量に質が伴ってないけど」
「・・・・・・それは置いといて、治験しましょ」
「ハァ、全く・・・どうぞ。」
完全に論破された蓮は分かりやすく話題を逸らす。そんな彼に呆れながらも治験をすると言うならば成果の為追い返す訳にはいかず、彼を診察室へと招く。
治験最高治験最高イェイイェイと腕を振り上げながら喧しさ全開で入室する蓮に後ろから鎮静剤でもぶち込んでやろうかと考える武見だったが、治験結果に響かれても困るのでそれは後回し*5にして早速例の液体を目の前の馬鹿に押し付けた。
「はい、じゃこれね。」
「うーん、色と臭いのダブルコンボ」
「イッキイッキ」
「加えてノミハラ*6・・・役満ってとこか」
まぁ別に気にしないけど。そう考えながら武見のコールに応えてグイッと一気に飲み干す。口の中に苦味と酸味、そして生臭さとほんとに薬ですか?と聞きたくなるほどの不快感のアイドル達が武道館コンサートを開いている。
しかし、昔から良薬口に苦しと言うものだ。甘んじて受け入れよう。更に言えば所詮は味覚。初回の内部からスリップダメージを与えてくる劇物ほどでは無い。これくらい、余裕だ。
そう考える蓮の顔はシレッとしているものの、まるでバグった機械のようにカタカタ小刻みに震えている。人体で非常に敏感な部位である舌に化学兵器をぶち込まれたのだ。いくら彼でも反応はしてしまう。
「うん、効力は出てるみたいね。どう?ボーッとしない?」
「あれは彗星かな?いや違う、違うな・・・彗星はもっと、バーッて動くもんな」
「反応も上々っと。じゃあ次、体温と血圧。後は血も抜かせてもらうわね?」
「オレサマオマエマルカジリ・・・」
メタル系バンドみたいにグワングワンと頭を振る蓮からパッパとデータと血を取っていく武見。その姿に容赦というものは存在しなかった。まぁ蓮だし。
そんなこんなでついでに運動検査まで終え治験を済ませた蓮達だったが、そこで予想内の部外者が乱入してきた。
「悪いわね、運動検査までさせちゃって」
「いえ、役に立てたなら何よりです」
「ふぅーん、殊勝なモルモット君だこと。ま、おかげで最終調整までいけたし。」
「なんだ、いるじゃないか」
ガラリと診察室に入ってきたのはなんとなんと警察官。ふてぶてしい顔でズンズン中に入ってくると武見の前に仁王立ち。とてもでは無いが正義感を持つ者とは思えない圧のかけ方である。
「・・・診察中ですけど?前にも言ったよね?捜査したいなら証拠見せてって」
「今日は通報があったんだよ。医療報酬明細書だったか、あとカルテ一式も見せてもらおう。流石に誤魔化すヒマも無かっただろ?」
「・・・医局長の差し金、か。まぁいいや、どうぞ。」
「む?」
ニヤリと嫌味ったらしい笑みを浮かべていたが、武見のあっさりとしたリアクションに困惑する警察官。
「今日の患者はこの子1人。医療費の明細を見せろってことは、その通報は不正請求疑惑ってとこ?でも、そもそもレセプトなければ本末転倒でしょ。」
「ど、どういうことだ・・・?」
「踊らされたね、その通報、ただの嫌がらせだよ。私に対する・・・ね。」
「む、ぐ・・・!き、君!どうしてこんな病院にいるんだ。見たところ体調も悪くなさそうだし、ここで何かやましいことをしてたんじゃ・・・」
自信が騙されたと知りプライドが傷ついた警察官は何とか罪でも疑惑でも作り上げようと今度は蓮を標的にするが、残念ながら武見よりも腹黒く更に警察嫌いを持ってる彼に目をつけたのは完全に間違いである。普段より数段冷えた視線で睨み返し、ド正論パンチでカウンターを放つ。
「どうして他人で素人のあなたが僕の健康を判断するんですか?」
「う・・・ぐぅ・・・!」
キレッキレの返しに警察官は口篭り、武見は小さく笑う。それが更に警察官のプライドを刺激したのか顔を真っ赤にしている。タコみてぇ。
「ふ・・・で?他に容疑は?こっちも忙しいんだけど」
「・・・もういい。本当に面倒な医者だ。『疫病神』とはよく言ったもんだ」
「・・・・・・。」
最後の最後まで嫌味ったらしかった警察官は置き土産に意味深に見えて全然そうでも無いことを言ってそそくさと帰って行った。ぺっ、素直に謝罪も出来ない無能警察官め。二度と来んな、と背中に中指を立てていた蓮は武見とシンクロしてため息を吐く。
「・・・はぁ、めんどくさ」
「まったくだ」
珍しく年相応のむくれた顔を見せる蓮に意外なものを見たと笑みを作る武見。
「へぇ、気が合うじゃない。ま、気にすることじゃない。通報したの、前の職場の上司だから。警察けしかけてプレッシャーかけてるつもりなんでしょ。」
「大変ですね」
「まぁね、さて。治験も終わった事だし、もう帰ってもいいよ。それともお買い物してく?」
「あ、じゃあこれとこれとこれを」
「ん、毎度あり。」
無事治験も終わり、回復アイテムの補充も完了した。更にコープが進み、武見との関係が深まるのを感じる・・・。
ARCANA:『死神』 RANK.2☆☆
そして診察所からの帰り道、怪盗団のグループチャットにメッセージが届く。
>『恩人なら何でも許せるもんなのかな』
>『なんかよく分からなくなってきた』
>『どした、急に』
『話聞こか?』<
>『蓮?』
『ウス』<
>『喜多川くんの話だと、斑目問題なさげじゃない?』
『というと?』<
>『斑目は悪いやつだって分かってはいるんだけど・・・』
>『被害にあってる人を実際に見てないからかな?』
>『まぁ確かに、そこは鴨志田の時とは違うよな』
>『極論かもしれないけど』
>『どんな悪いやつでも誰にも迷惑をかけてないなら』
>『私達が出てかなくてもいいんじゃないかって』
>『迷惑かどうかは祐介が決めるってことか?』
>『確かに・・・そうかも』
>『まぁな、でも俺だったら絶対許せねぇけどな!』
『まずは真実を探ろう』<
『その判断はその後でもいいはずだ』<
>『そうだね・・・悩むのは後にする』
>『じゃあ明日、放課後の渋谷でね』
>『おう』
>『うん』
『OK牧場』<
>『いやだから古いってそれ!』
「ふーむ、なるほど。当人達の問題に割り込むのは逆に迷惑になるかもって事か・・・。しかし、もしもそれで誰かが被害を受け続け搾取されるのなら・・・吾輩は手を出すべきだと思うけどな」
チャットの内容に自分なりの見解を出すモルガナ。そんな彼の顎を撫でながら、ルブランへと帰宅する。
正義と善意は時に傲慢と成りうる。その境界線を見誤れば、自分達とてそうなるだろう。そうならぬよう、怪盗団を導く。それこそがリーダーである蓮の役目。
「ふ、世話が焼ける・・・」
「こっちのセリフだアホ。さっさと手伝え」
「ウス」
カッコつけて呟いた蓮に本当に珍しく繁盛している店を手伝うように叱る惣治郎。彼に頭の上がらない蓮はあの警官のようにそそくさと上にあがり爆速で着替えると直ぐに手伝いに入るのであった。
そして、注文を受けた客に一言。
「オリエンタルな味と香りの店、ルブランへようこそ!」
「やめろアホォ!」
「ポレポレッ!?」
諦めず完全に定着させに来ている蓮の後頭部にジャガイモがクリーンヒットする。常連さんはそれを見て仲良くなったわねぇとほっこり。
今日も、ルブランは平和です。
お気に入りの作品画いつの間にか更新停止していたり、好きだった作品の作者さんがアカウントを消していたり、そんな小さな絶望が人を大人にするのです。
・蓮
顔だけはいいのでルブランに彼目的で来店する人が増えた。チェキは断っている。
・惣治郎
イケおじなので彼目的の人も割といる。チェキは断っている。
・ルブランコーヒー
美味しいので彼目的の人が大半。チェキは断っている。
・ルブランカレー
美味しいので彼目的の人も大多数。チェキは大歓迎。
・観葉植物
彼らをある人物と共に優しく見守っている。
・この世界の警察官
は? クズ やめたら?この仕事 圧倒的無能 馬鹿なん? ワロタ まず謝れや猿ぅ!と散々なコメントをうたれる人。なお、反論出来ない模様。
ゲーム版になると志帆はマダラメパレス以降パレスの入口で待機してて、攻略中に1回だけHPとSPを半分回復してくれます。ありがてぇ。