周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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汚いけど美術館とか図書館とかのカーペットの手触りが好きな私です。子供の頃は寝っ転がってました。

いつも誤字報告、感想ありがとうございます!

舞台版1を見ました。ジョーカーの声が思ったより低くて迫力あってカッコよかったです。特に終盤。あと竜司が竜司だし、鴨志田が鴨志田してて思わず笑っちゃいました。しかも原作よりも鴨志田と校長に愛嬌があるし鴨志田いい体してるしでなんか腹立った。紅生姜の下りもめっちゃ笑ったし何より、モルガナ・・・お前・・・なんて姿に・・・。

あと舞台だから当然なんだけど\トツゼンウタウヨ!!/するのがハチャメチャにおもろかったです。演出面も凝ってて凄かった。

あと、ペルソナ5タクティカ楽しいFooooooooo!!!!!!

エル可愛いFooooooooooo!!!!!!

という訳でクリアしました、DLCも。ペルソナも全部解放して大満足。なんか意外と評価が分かれてるみたいだけど私は好きです。ネタバレになるからあんま語れないけどキャラも可愛いしこういう系統のゲームってあんまやったこと無かったけど楽しめました。ただし愛野郎、テメェはダメだ。DLCは私の知らない記憶が挟み込まれてるし。まぁ気にしたら負けかなって。

追加コンテンツの方に切り替えると唐突にかすみの太ももが出てきてビックリしちゃった。うぉ太ももって思わず言っちゃいましたもんね。あれは卑劣な罠ですよ。

前書きに詰め込みすぎました。今回も鉄火巻!



Our next target is…/Part4

 

 

様々な思いを胸にパレスに入り、早速美術館へと潜入するジョーカー達だったがいきなり昨日までは無かった警戒網が御出迎えしてきた。

 

「ん、待てジョーカー。あれを見ろ。」

 

「あぁ?なんだあの赤い線?」

 

「ふむ、赤外線か」

 

あれほど無防備だった美術館の通路には通せんぼするように赤外線センサーが張られており、奥からはシャドウの気配も感じられる。やはりモルガナの予想通りパレスの警戒度は高まっているようだ。触れば警報がなり更に警戒度が引き上がるのは目に見えている。

 

だが、一部のセンサーは故障なのか何故か途切れている箇所があった。ちゃんと整備しといた方がいいよ。

 

「早速警戒されてるって訳か。触らねぇよう気ぃつけないとな。」

 

「一部赤外線センサーがないところがあるようだ。慎重に見分けながら進んでいこう。」

 

モナのアドバイス通り、ジョーカーの観察眼もといサードアイによってセンサーを完全に見切り、ひょいひょいと交わして行く。当然、道中にシャドウもいるのでセンサーを避けつつダイナミックファントムムーブ*1によって即座に戦闘、増援を呼ばれないよう気をつけながらスカルやパンサーに優先的に戦闘を任せつつ始末し先へ進んでいく。

 

「おっと」

 

そして中野原と祐介の絵が飾ってあるベースに入るとそこには夥しい数のセンサーがこれでもかとヤケクソ気味に張り巡らされていた。

 

「なんじゃこりゃ!?」

 

「数ヤバすぎでしょ!?どうやって通るのこれ!?」

 

「スパイダークモノス」

 

「まぁ落ち着け、まずは冷静に周囲を見渡して使えるものが無いか確認するんだ」

 

恒例の仙道のように両手を広げて首を振るモナの言葉に従って周りを見て何か無いか見てみると天井近くに突起があるのを発見した。

 

「ふむ」

 

「気がついたみたいだなジョーカー」

 

「ああ、任せろ」

 

モナの言葉に頷いたジョーカーは右腕を上げてみせると装備しているワイヤーフックが青い光を灯し始める。燃えてるんじゃないかと思うほど激しく光るそれにパンサーが指摘した。

 

「うわ!出たそれ。熱くないの?」

 

「クソ熱い」

 

「え!燃えてるの!?」

 

「萌え萌えきゅん」

 

「馬鹿やってないで早く行け!!」

 

アホみたいな嘘を付くジョーカーの背中をモナが蹴り飛ばし、その勢いのまま赤外線センサーに突っ込みそうになるもその勢いを利用して跳び上がり突起に向かってワイヤーを発射する。そしてすぐさま巻きとると宙を駆ける流星のように赤外線センサーの僅かな隙間をくぐり抜けていく。

 

着地も完璧内村航平。これには思わずメンバーオール10点カードである。

 

「おおー、カッコイイ!」

 

「流石の身のこなしだぜ!」

 

「ふ、まぁ中々だな。吾輩も?出来るけどな?出来るけど、な?」

 

「分かった分かった」

 

パンサーに褒められているのを見て対抗心を燃やすモナの頭を乱暴に撫で回しグルングルンと回すスカル。取れるわぁッ!と手を弾くモナだったが、パンサーの手は寧ろ嬉々として受け入れにゃうにゃうと声を上げる。猫か、猫だったわ。

 

「猫じゃねーよッ!」

 

「うおっ、何だよ急に」

 

「ん、いや、なんか急に猫と言われた気がして・・・」

 

「取り敢えず早く来てくれ」

 

着地した先で侵入した部屋に繋がっている扉のロックを外したジョーカーにそう言われ、そそくさと来た道を戻ってジョーカーと合流した3人。コントをしている場合じゃないぞと言うと3人から無言の肩パンを食らった。

 

気を取り直して奥へ進むジョーカー達、道中遭遇するシャドウ達をボコして何体かはペルソナとして取り込みどんどん進むと何やら金ピカのツボが展示されたブースに出た。

 

「ん?何だあれ?壺か?」

 

「壺だね」

 

「壺だな」

 

「罠だよな」

 

「罠だね」

 

「罠だな」

 

「にゃ、にゃ、にゃ〜・・・!」

 

「あ、やばい」

 

「発作か!」

 

左右に開けた部屋のど真ん中にドンと置いてあるその壺は見るからに罠の臭いがプンプンするのだが隣でうずうずし始めたモナが静止をする暇もなく近づいていってしまった。

 

「うひゃ〜!オタカラまでとは行かずとも中々の値打ち物〜!ニャブッ!?」

 

「まぁ落ち着け」

 

「にぎゃーっ!?」

 

だが勿論、わざわざ罠を起動させる訳もない。ワイヤーフックを加減して尻に刺して無理矢理止めると巻きとってむんずと後頭部を掴み、お尻に塗り薬を塗ってあげる。悲鳴をあげながらHPを回復するモナ、ギャーギャーと騒ぐがどうやら正気は取り戻したようだ。

 

「あにすんだゴラァッ!!」

 

「こっちのセリフだバカ猫!何自分から罠にかかりに行ってんだ!!」

 

「もう!なにやってんのモナ!」

 

「メイド服着せるぞ」

 

「うにゃ・・・わ、悪かったよ・・・なんかオタカラ見た時みたいに惹き付けられたっていうか・・・っていうか待て、なんか不穏な言葉が・・・おい!チラつかせんな!どこで買ったそんなもん!」

 

キレ散らかしてたが、逆に3人から責められて萎れるモナ。ジョーカーが懐の謎空間から引っ張り出したメイド服を見て震え上がっていた。どこって有料DLCだよ。

 

そして縮こまったモナをまた暴走しないように抱きかかえてながら壺を観察する。

 

「惹き付けられた、か。オタカラでは無いんだよな?」

 

「ああ、だがこの雰囲気は・・・」

 

冷静になったモナが罠にかからないよう気をつけながら再度壺に触ろうとした、その時!

 

突如壺が弾けるようにその形を崩し、煌びやかに光る巨大な宝石へと変貌した!それを見たモナはビーンッ!と尻尾を上へ伸ばし、声を荒らげる。

 

「うにゃ!こいつが居たのか!おい逃がすなよ!『宝魔』だ!」

 

「宝魔?」

 

「金銭が美味しいレアシャドウだ!ジョーカー!ペルソナとしても役立つかもしんねぇ!捕まえとけ!」

 

「分かった」

 

モナの声に驚いたのか即座に逃走しようとする宝魔の前へジョーカーが立ち塞がり、逃げられないように四方を取り囲む陣形を取るメンバー。周囲を見て逃げ道が無いと悟ったのか、戦闘態勢へと入り宝石の中から隠れていたシャドウが飛び出してくる。

 

 

宝魔 リージェント

 

 

「あ、なんか可愛い」

 

「カタツムリみてぇに宝石の中に隠れてやがったのか!」

 

「弱点は分からん!取り敢えず攻撃を仕掛けてみろ!」

 

モナの言葉通り、各々ペルソナの属性攻撃を仕掛けるがイマイチ効果が見られない。耐性がある訳では無さそうだが防御力が高く大したダメージになっていない。銃撃と物理は耐性を持っているようで更に効果が薄い。このままではジリ貧で逃げられてしまう。

 

「かっってぇ!?(ジオ)も銃も殴りもあんま効かねぇぞ!?」

 

(アギ)も効いてないみたい!」

 

「吾輩の(ガル)もだ、ジョーカーの呪怨(エイガオン)も通るには通るがダウンが取れないな・・・ジョーカー!他の手はあるか!」

 

「任せろ」

 

頼られたことでやる気満々となったジョーカーはペルソナチェンジでアルセーヌから別のペルソナへ切り替え、新たな属性で攻撃を試みる。

 

「『シーサー』ッ!」

 

『ガゥッ!』

 

仮面が砕ける音と共に現れたのは見たまんま、沖縄県で魔除として屋根などに設置されている伝説の獣像のシーサーであった。

 

「『核熱(フレイ)』!」

 

ジョーカーが指示を出すと「バウッ!」と元気に返事をして口を大きく開き、そこからフレイをリージェントに向けて吐き出した。着弾すると青い光を散らして爆ぜるフレイはリージェントの弱点だったようで大きく仰け反ってダウンする。

 

「おぉ!すげぇ!」

 

「炎?とは違う、今のは熱?」

 

「ダウンを取れた!今だジョーカー!」

 

「ダイナミック交渉!」

 

その隙を見逃すジョーカー達では無い、即座に一斉攻撃で畳み掛ける!・・・事はせずにリージェントにワイヤーを巻き付けて身動きを封じた後に手元に手繰り寄せる。流石にボコすと倒してしまうのでここは交渉により確実にペルソナとして確保することを優先した。

 

『・・・我を屈服させるとは、見事。我が名はリージェント、お前の中に居場所を移すとしよう。』

 

ジョーカーと視線を合わせたリージェントはそう言い、その姿を仮面へと変えてジョーカーのペルソナとして宿った。このリージェントは金銭などでもそうだが、戦闘能力もこの時点では優秀なペルソナだ。というのも、原作ゲームではリージェントだけに関わらず宝魔は戦闘では使用出来ないのだが、ここではそんな事関係なく使う事が出来る。全属性の全体攻撃、『マハ』系統が使えるので大抵の敵の弱点を突きダウンさせる事が可能なのだ。

 

しかし、反面殆どのステータス、特に防御面が低いので使うタイミングを誤れば大ダメージを受けることになるので要注意である。

 

「いい拾い物をしたなジョーカー。これからも見つけたら積極的に狙っていこうぜ。」

 

「宝魔っつったか?あれもイシとかと似たようなもんなのか?」

 

「いや、ありゃそういうのじゃない。高価な物や価値のある物に取り付くレア物ってだけだ。あれだ、はぐれメタルみたいなもんだな。」

 

「おー、わかりやすい」

 

という訳で宝魔をゲットしたジョーカー達は引き続き、パレス探索に勤しむ。その過程でトリックアートに翻弄され、女子トイレにまで潜入してパンサーに殴られ、なんやかんやイシを1つゲットした一行は広い庭園に行き着いていた。

 

これまでのブースよりも遥かに広くそして派手なそこには立派な襖が中央に鎮座している。それを開けようとジョーカー達が近づいた途端、襖がいきなり開き、しかも奥に何枚も置いてあったようで連続してスコココココン!といい音を響かせながら開いていく。

 

「うおおおお!?」

 

「めっちゃ開いた!」

 

「随分派手な演出だな、こりゃ先にあるのは何か特別な・・・んな!?」

 

まるで来るなら来いと言うような演出に警戒しながら進んでいくと次に彼らの前に現れたのは一層大きな襖。そしてそれを守るように何重も展開されている赤外線による厳重な警備体制。とてもではないが現状、これを突破するなど不可能だ。

 

「んだこれ!?辺り全部センサーだらけじゃねぇか!?」

 

「これじゃ通れないね・・・」

 

一度触れば警備シャドウがわんさか湧いてくるであろうその守りの硬さに呆然とするパンサー。先の襖の演出はこの守りに絶対の自信があったからこそのものだと理解する。悔しいが、確かにこれは城壁のように堅牢だと認めざるを得ない。

 

「あ、なんか立て札ある。なになに、『警備員各位。展示期間中、宝物殿への扉は殿内の警備室のみで開閉が管理される。外からの開錠は不可能となる為、各員とも注意されたし』・・・えっと、つまり」

 

「外から絶対あかねーって事かよ!ンなのありかよ!」

 

「ふむ、パレスの主、斑目の認知に影響を受けてるなら絶対に開けられない理由があるだろうが・・・」

 

ジョーカーがそう呟き、奥の襖へ視線を移す。それに釣られて3人も襖を見て何か心当たりがないか考えてみる。しかし、あの場で祐介の部屋にしか通されていないスカルとパンサーには分かるはずもなく、頭から煙を出してショートしてしまう。

 

しかし、代わりに暇潰しと称してあばら家を探検していたモナはあることを思い出した。

 

「あの襖の模様・・・喜多川の家で見たな。」

 

「ん、ほんとか」

 

「ああ、やたらゴツイ鍵で閉められてたが・・・そういうことか!」

 

「お?まさか開け方分かったのか?」

 

「おう、だがここからじゃ無理だ。一旦パレスから帰還しなきゃならねぇ」

 

「はぁ!?なんでだよ!」

 

「うるせっ、耳元で叫ぶなよ!」

 

「あ、わり」

 

「ったく。いいか、この襖は現実の斑目の家に()()()()()()()()

 

「は!?こんな最後まで赤外線たっぷりの襖がっ!?」

 

「ちげーよ!逆にあったかこんなスペース!?」

 

あまりにもおバカな発言をするスカルに思わずツッコむモナ。ごめんね、その子あの家に行ってからエロ本探しに熱中してたの。

 

「吾輩が見つけたゴツイ鍵付きの襖。それが厳重な警備の襖になってるんだ。自分以外誰にも開けられない秘密の部屋って認知がこの特性を付与してると考えていいだろう。」

 

「なるほど・・・あ、じゃあ逆に現実世界でその鍵を開けちゃえば!」

 

「こっちの守りも無くなるって訳か!」

 

攻略法見つけたり!と顔を見合せてはしゃぎ始める2人。大変微笑ましい光景にジョーカーはニコニコしていたがそこでモナが釘を刺す。

 

「ああ、だが一筋縄ではいかないぞ。ただ鍵を開けただけじゃこの襖は開かない。斑目本人の目の前で開けて見せなきゃいけないんだ。」

 

その言葉にはしゃいでいた2人が露骨に顔を顰めてモナの方を向いた。言葉にせずとも「なんでそんな面倒な事を?」と顔に書いてある。ジョーカーもその言葉で気がついたという風にリアクションを取り、2人に分かりやすいように言葉を纏める。

 

「そうか、本人に守りは破られたと『認知』させなければならないのか。」

 

「うぇ。それかなり面倒くさくね?」

 

「だがこれ以外に方法が無いのも事実だ。方法は・・・まぁ喜多川に頼むしかないだろうな」

 

「でも、大丈夫かな・・・喜多川君かなり参ってたし・・・」

 

「けどそうしなきゃ斑目改心できないんだぜ。俺もあれだとは思うけど、やるしかねぇだろ。」

 

当然ながらその手段は喜多川を頼らざるを得ないもの。しかし今の彼に精神的負担をかけるのは如何なものかとパンサーは後ろ向きだったが、スカルのもっともな反論を聞いて少し押し黙る。しかし直ぐに切り替えて今度は腹を括った顔で提案を出した。

 

「・・・分かった。なら私が行く。」

 

「大丈夫か?」

 

ジョーカーの心配に強く頷くパンサー。どうやら意思は固いらしい。

 

「うん、そもそもこの件は私から始まったようなものだし。その件で訪問したって言えば本人がいても怪しまれないでしょ?」

 

「ふむ、確かに。そう考えると適任か。」

 

「けど鍵はどうすんだ?パンサーにキーピック使えんのか?」

 

スカルがそう聞くとジョーカーが懐から指に挟めるだけ挟んだキーピックを取り出して見せる。パンサーはそれを見て目を見開くと、やる気満々だったのが目線を逸らして語気も段々尻すぼみになっていった。

 

「そ、れはちょっと自信ない・・・」

 

「パンサー、安心してくれ!吾輩がチャチャッと開けてみせる!猫の手でもその位は容易いさ!」

 

まさに猫の手も借りたいと言った具合のパンサー。その時、1匹の猫がにゃーふ!と立ち上がった!

 

「ホントに?じゃあ一緒に行こっか!」

 

「うむ!うむ!!」

 

パンサーが提案に乗るとそれはもうふにゃふにゃのでろでろに溶けた顔になるモナ。どれだけ嬉しいのかが一瞬で分かるその蕩け具合にスカルは引き気味になる。

 

「あからさまにデレデレしやがって・・・ま、そういうことなら鍵はそっちに頼むぜ。俺とジョーカーは襖が開いた後の警備室にカチコミかけっからよ。」

 

「ああ、任せとけ。吾輩とパンサーのスーパーコンビネーションで秒で開けてやる!秒で!!」

 

「分かった分かった」

 

一気にやる気満々となったモナが眼前に迫るほどアピールしてくるのを顔面を引っ掴んで引き剥がす。 それでもなおテンションが上がって仕方ないのかスカルの手の上で喜びの舞を踊っている。器用だね。

 

そうと決まればスタコラサッサ。美術館から抜け出して志帆を回収、彼女の手作りおにぎりを食べながらパレスから撤退する。ぐにゃぐにゃと捻れる景色を突破して、誰かに見られないうちにあばら家の前からも撤退。

 

その後は軽く作戦会議をしてから今日は解散。それぞれ帰路に着いた。勿論、蓮はそれで帰る訳もなくちょうど岩井から連絡が来たのでコープを上げてから帰った。特に何でもない依頼だ。レストランで飯を食いながら下っ端ヤーさんの電話を盗み聞きして岩井に報告するだけの簡単なお仕事でした。

 

一般人に会話ぶっこ抜きされるとか恥ずかしくないの?と言いたくなるほどのガバガバっぷりを見せてくれた下っ端に感謝しつつ店を後にしてルブランへと帰る。こんな簡単な仕事でコープ上げられるなんて、ありがとう下っ端。お前が海に沈むまで忘れ・・・誰だっけお前(鳥頭)

 

ついでに早くコーヒーを入れる許可を貰う為に総治郎の手伝いを全力でしてから床に就く。この調子ならもう少しでコーヒー許可証を貰えるだろう、楽しみ。

 

 

 

そんなこんなでワクワクしながら眠りについた次の日。祐介に事前に連絡してあばら家へと訪れた杏とモルガナ。手筈通り、蓮と竜司はパレス内で襖の前に待機している。鈴井も杏の方について行こうと思っていたが、もし斑目が強行に出た時を考えると出来る限り少人数の方がいいというモルガナの判断もあって彼女はパレスの入口で待機している。

 

「よし、行くよモルガナ」

 

「ああ、行こう杏殿!」

 

杏の足元で初めての共同作業〜・・・♡と浮かれていたモルガナも杏の言葉に身を引き締める。多分、杏にいい所を見せるぞというやる気が大半を占めているだろうがまぁモチベーションは大事だし、問題ない。

 

チャイムを押すと、少し元気の無い祐介が扉を開けてくれる。

 

「高巻さんとモ、モ・・・モルカーだったか?」

 

「ちげーよッ!モルガナだモルガナ!!名前どころか種族ごと変わってんじゃねぇーか!」

 

「すまん、どうも覚えづらくてな」

 

「わざとだろ!!」

 

「まぁまぁ、それよりもその、斑目先生は・・・」

 

怒るモルガナを宥めながらあばら家に上げてもらい、前に来た部屋に招かれる。画材の独特な匂いが漂う中で祐介の出した茶を飲む2人。その最中で杏は本題について問いかける。異世界や改心について諸々の説明を受けていた祐介は少し間を置いてから話し始めた。

 

「ああ、先生なら連絡した通り帰ってくるまで後2.30分ほど・・・しかし、あの話は本当なのか?」

 

「本当だ、あの鍵付きの襖。あれを開けなきゃ吾輩達は先に進めない。悪いが協力してくれ。」

 

「・・・・・・先生を、改心させるためにか」

 

「ああ」

 

「・・・・・・。」

 

「喜多川君・・・」

 

モルガナの説明を聞いて彼は黙り込む。顔は俯き、表情は見えない。しかし強く握り締められた手を見れば彼がどんな心境かは簡単に見て取れた。また少し時間を置いてから震える声で彼は自身の気持ちを吐露する。疲弊した表情も相まって、まるで罪を懺悔する迷い人のようだ。

 

「分かっては、いるんだ。それが正しい事だとも。ただやはり同時に、先生を信じたい自分もいる・・・本当に先生は改心させるべき人なのか?何かの間違いじゃないのか、と・・・。」

 

疑念と信用の間で揺れ動く心に苦しむその姿はあまりにも痛ましく、人の心に寄り添える杏も彼を見て苦しげな表情を浮かべる。そんな中、その苦悩に天啓を降らせるが如くモルガナが重要な情報をだしてきた。

 

「気持ちは分かるぜ。そして多分、その答えがあの襖の奥にある。」

 

「え?」

 

「それは、どういう・・・」

 

泥沼に差し伸べられた手を見るように目を見開いて当然食らいついた祐介にモルガナは机の上に飛び乗って自身の考察を話し出す。

 

「考えてもみろ、認知に絶対防衛を取らせるほどのもんなんだぜ?余程大事なもんが先にあるに違いねぇ。それこそ()()()()()()()()()()()を隠してるんじゃないか?」

 

「バレたら相当」

 

「マズイもの・・・」

 

「ああ、例えば・・・『サユリ』、とかな。」

 

「「ッ!!??」」

 

「誰もどこにあるか知らなかったのに盗み出された、なんておかしいだろ。寧ろ、嘘八百振りまいて後生大事に隠し持ってるって方が納得出来ないか?」

 

いきなり出てきたその名前に2人は瞠目して思わずモルガナを凝視する。特に祐介の動揺は酷く、手で口を覆ってよろよろとたたらを踏み勢い余って画材の山へと背中をぶつけてしまった。だがそれを気にすることも無く、あるいは気が付かずにブツブツとその考察の可能性へ頭を回していた。

 

「いや、だが、それは・・・辻褄は、合うが・・・しかしそんな・・・」

 

「喜多川君!大丈夫・・・?」

 

「あ、あぁ・・・大丈夫、だ。大丈夫・・・。」

 

何を馬鹿なと思いながらも決して否定出来ない考えに激しく狼狽している祐介を気遣い、背中を摩る杏。それが効いたのか段々と呼吸が安定してくる。その間にもグルグルと考えを巡らせ、それをぶつけるように宙に絵を描くように指を走らせる。そして、考えが纏まり先程までの迷いなどが全て吹っ切れたのか決意の籠った目でモルガナを見た。

 

「・・・すまん、動揺した。先生が帰ってくるまであと10分ほどだ。準備を始めよう。」

 

「どうやら腹は決まったようだな。よし!早速取り掛かろう!杏殿、キーピックを!」

 

「う、うん!分かった!」

 

行方を眩ませた自身の始まりとなった名画、そして師の汚職。その真実を明るみにする為に結託した彼らはすぐさま斑目が帰ってくるまでに鍵を開けるというミッションに取り掛かった。杏がポケットから取り出したキーピックを口にくわえ、鍵の下へ向かったモルガナはその猫の手で持ち前の器用さを発揮し、カチャカチャと鍵穴を弄る。

 

「おお、よくその手でそんな正確に動かせるな」

 

「これでも、元の姿より、かなり、劣化してるん、だけどな!」

 

「やるじゃんモルガナ!」

 

「お、おう!うへへ、杏殿に褒められた・・・うおおお!待ってな2人共!吾輩が直ぐに開けてやるぜ!」

 

祐介が感心するのも分かるほどに確かな技量でキーピックを動かしていくモルガナ。その普段の可愛い姿とは違って怪盗としてのスキルを魅せ付けるモルガナにときめき・・・はせずとも尊敬の目を向ける杏。その視線でより手先が早くなる。この調子が続くのならば!

 

「凄い、これならあっという間に・・・!」

 

 

数分後・・・

 

 

「開かないッ!」

 

 

開かなかった。

 

まぁそら猫の手ですし。

 

最初の勢いはどこへやら、明らかに落ちたペースに杏と祐介は焦りを隠せない。チラチラと玄関を気にしながら苦戦中のモルガナを急かす。

 

「モルガナ早く!帰ってきちゃうって!」

 

「や、その、やっぱり猫の手だとやりにくくて・・・」

 

「急いでくれ、そろそろ先生が・・・ハッ!?」

 

こんなはずではと涙目のモルガナ、可哀想可愛い。

 

そうこうしていると祐介が気配を感じて取り、バッと玄関に目を向ける。そこには見覚えのある人影がガラスに映っていた。

 

祐介は確信する。あれは確実に己が師であると。

 

「ま、まずい・・・!」

 

なんとタイミングが悪い事か、ここに来て斑目が用事から帰ってきてしまったようだ。まるで死刑宣告かのようにガチャガチャと玄関の鍵が開けられる音が廊下に響き、間もおかずに扉が開かれてしまった。

 

「帰ったぞ・・・ん?祐介、それに君は・・・そんなところで何をやってる!」

 

当然、玄関からモロに見える場所にいる祐介と杏は簡単に見つかり普段とは違い優しい態度が崩れかなり圧の籠った声を上げる斑目。その豹変ぶりに驚きながらもどうにか時間を稼ごうと2人は口を回す。

 

「せ、先生、これはその・・・」

 

「えーと、その〜私がモデルに飽きちゃって〜家の中をイロイロ見たいってイイマシテ〜アハハ〜!」*2

 

(ぼ、棒読み・・・!)

 

「そ、そうなんです!それを止めていたところで・・・そうだ、先生!今度の絵についてなんですけど・・・」

 

「そんな事よりも早くそこから・・・!」

 

終わった、と思いながらも騙し騙しで足止めをしようとしていた2人だったが、ガチャリという希望の音が聞こえたことで一気にそちらに振り向いた。当然その音は斑目の耳にも入ったようで聞き覚えのある音にまさかと慌てた様子で駆け寄ってくる。

 

「よし!開いたぜ2人共!」

 

「ナイスモルガナ!喜多川くん!」

 

「うぉ!?」

 

「なっ、待てッ!その部屋はッ!」

 

モルガナが鍵を取り外して開けた襖からドタドタと部屋になだれ込んだ2人は真っ暗闇の中を歩き、何とか明かりのスイッチを見つけて部屋に光を灯す。そのタイミングで斑目も部屋に入ってきたが時すでに遅し。祐介はこの光景を既に目にしてしまっていた。

 

「祐介ッ!」

 

「こ、これは・・・ッ!?」

 

「何、これ」

 

 

 

言葉を失った。それ程までの衝撃を3人は脳に叩き込まれていた。

 

 

そこにあったのは

 

 

 

 

部屋中に置いてある『大量のサユリ』だった

 

 

 

 

師の口より盗まれたと語られていた自身の原点、それが劣化された贋作とはいえ量産されているというおぞましい光景。フリーズから復帰した祐介はまるで顔を泥で塗りたくられるような最大限の侮辱を受けた様に感じていた。

 

「なんだ、なん・・・何故、こんな・・・説明を、説明をして下さい先生ッ!!これは一体なんなんだ!!」

 

吹き上がる激情、混乱、悲哀、失望など多くの感情が入り交じった声で斑目に説明を求める祐介。今にも殴りかかりそうなのを必死に押さえつけながらまさに鬼気迫る表情で睨み付ける。

 

返答次第では容赦はしないという凄まじい怒気に観念したのか顔を手で覆った斑目はこれだけは見られたくなかったと哀愁の籠った顔で呟く。

 

「・・・・・・見られてしまったのなら、黙ってはおけんな。」

 

その態度に祐介の怒りは更に燃え上がり、今まで上げたことがないような乱暴な怒声を浴びせかける。

 

「答えてくれッ!」

 

それを聞いてようやく斑目はその口を開き、同時に気まずそうに視線を逸らす。

 

 

「・・・・・・実は、借金を抱えているのだ」

 

 

「しゃ、借、金・・・?」

 

 

それを聞いた祐介の体がピシリと固まる。

 

師の口から出てきたのは、余りにも当たり前で、厳しい現実の話であった。まるで鈍器で頭を殴られたかのような衝撃が祐介を襲った。クラクラと視界が定まらなくなるほどにショックを受けている中、斑目は説明を続けている。

 

「ああ、このサユリは私自身が模写をして特別なルートで売ってもらっているんだ」

 

「ど、どうしてッ・・・」

 

「本物のサユリは昔の弟子に盗まれてしまった・・・厳しくし過ぎた事を恨んだのかも知れん。その事が酷くショックでな・・・それ以来、スランプに陥っている」

 

「苦悩から、弟子の着想を譲ってもらった事があるのも事実だ・・・このままではいかんと、私は何度かサユリの再現を試みた。だが出来上がるのは所詮模写・・・」

 

「そんな時、その模写でいいから譲って欲しいという人が現れてな・・・・・・全て私の責任だ。有名税というものを払いきれなかったのさ。期待され、活動を広げていかねば、多くの方々に迷惑が掛かるようになった。」

 

ツラツラと語られる衝撃の真実。最初のショックから更に現実的な情報を得た祐介の脳はもう限界状態であった。見たこともない師の表情。そこに染み渡る師の言葉。苦渋の決断だったと言われてしまえば、祐介はそこに同情を芽生えさせてしまう。

 

そうすれば、恩がある彼の目はその情報に眩まされ斑目の情報を鵜呑みにする状態へとなってしまうのは時間の問題であった。

 

「祐介、お前の才能を伸ばすのにも・・・金がいる。不甲斐ない師を、どうか許してくれ・・・!」

 

「や、やめてください先生・・・」

 

弟子である自分に頭を下げる師を目の前にしてとうとう祐介は斑目の耳さわりのいい言葉に翻弄され・・・

 

 

「・・・やっぱなんか変」

 

 

そして、杏の発言で直前に引き戻された。

 

斑目の言葉をぶった斬るように発された声に2人の視線が杏に集中する。

 

「え?」

 

「何?」

 

「元絵は盗まれたんでしょ?それでどうやって模写したの?」

 

「それは、画集用の精密な写真が残っていてね・・・」

 

「絵を買う人ってそれなりに芸術分かる人なんじゃないの?なのに写真の更に模写が売れるっておかしくない?本物を知ってるなら尚更。」

 

「ッ!素人に何が分かる!」

 

鋭い指摘に言葉を詰まらせた斑目。苦しい言い訳も通じずに切り捨てられた事で苦し紛れにそう叫ぶと祐介の目はまた疑念の色を帯びていった。この反応は何かを隠していると。

 

それに気がついた斑目はまたその場しのぎの言い訳を考え、この部屋から2人を追い出そうと画策するがそこでモルガナが状況をひっくり返す為に飛び出した。

 

「杏殿、こっちだ!」

 

そう叫びながらモルガナはある物に飛びつく。それは不自然に一つだけ布が被せられたキャンバス。そこにかけられた布をモルガナが口で引っ張ると中からある絵が姿を現した。

 

それは部屋の中にあるものと同じく、サユリ。しかし隠されていたの言うのなら。

 

「これは・・・」

 

「怪しさ満点だぜ、さしずめこれが本物の・・・!」

 

祐介は驚愕に目を開く。それを見て勝利を確信したモルガナだったが、

 

 

 

斑目がその裏でニヤリと頬を歪めていた。

 

 

 

「ち、違う!これは()()()()()()()()()()ッ!」

 

「ニャッ!?」

 

 

 

 

*1
全力で殴りかかりながら仮面を剥ぎ取る

*2
演技力パンサー




核熱と火炎って正直違いがよく分かってない。調べた感じ熱攻撃か原子と波動かって違いらしいけど、ほーん?ってなりました。なるほど分からん。

こまけぇこたぁいいんだよ!!(AA略)

火力が出れば何でも一緒よ。属性なんざ関係ない、ブースタ積んでコンセライザ真言で炭も残さなきゃ勝ち(脳筋の鏡)
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