周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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どうも、ペルソナ5Xが楽しみでならない私です。

3Rジョーカー君「ダウンショット!ダウンショット!ダウンショット!確殺徹甲弾!!地雷踏んだ奴絶許!死ぬがよい!」

なんだコイツ

というか待ってくださいよ、この作品もう4年経ってるの?なのにまだ斑目なの?・・・・・・まぁ、いっか!気長に行こうぜ!(スーパーマイペース人間)

いつも感想誤字報告ありがとうございます!巻いてけ!



Areas that should not be touched

 

脳裏に蘇り、瞼の裏にまで焼き付いた最悪の記憶(トラウマ)

 

 

かつて自分のミスで失った仲間の命、自分のせいで崩壊した怪盗団

 

 

その光景が鮮明に映し出された瞬間、彼の中でストッパーが一つ音を立てて切れた。

 

まぁ何が言いたいかと言うと・・・ブチ切れである。

 

 

 

ズッ

 

 

・・・と、彼を中心に空気が一変するのが分かる。明かりを消した暗闇の様に一瞬で周囲を包み込んだその空気から感じるのは強者から放たれるオーラによる緊張感、とは違う圧倒的な力を持つ捕食者に狙われる恐怖。

 

純粋無垢な怒りではなく、漆黒の殺意が肌を突き刺す。

 

思わず、スカル達ですら肌が粟立ってしまうほどの膨大な黒い衝動は形を持ってこちらの首を絞めているのではないかと思うほどに色濃いものであった。

 

眠れる獅子を起こす、虎の尾を踏む、龍の逆鱗に触れる。例えるならなんでもいいが、彼の状態はまさにそれだった。普段の落ち着きのある優しげな表情は完全に捨て去られ、阿修羅と言うのも生温いほどの激情を見せる。怪盗団のジョーカーの仮面は剥がれ落ち、周回者としての顔を現していた。

 

 

 

 

ズルリ

 

 

 

『おっと、危ない』

 

 

彼の付ける仮面が一瞬、黒く染まると彼の足下からナニカが這い出ようとしていたが上からアルセーヌが踏みつけると影の中へと戻っていく。

 

一瞬とはいえ顕現しかけたそれが放っていた雰囲気は恐ろしくドス黒く、もしあれがそのまま表に出ていたら、そう考えるだけで鳥肌が立つ程。幸い、ジョーカー以外はその存在を知覚することは無かった。

 

ただ、怒りを真正面から受けていたスカル達の贋作は何かを感じとったのか感情など無いのに、反射的に後ろに下がってしまう。明らかに『怯え』から来る行動、それは彼の前では致命的な隙となる。

 

 

『ッ!なにをしている!そいつを抑え込っ・・・!』

 

 

 

 

バチュッ

 

 

 

 

 

『・・・は、な、何が起こっ』

 

 

 

バゴォッッ!!

 

 

 

『ひいぃっ!?』

 

 

そして瞬時にして周囲の贋作共を文字通り消し飛ばすと目視すら困難なほどの速度で贋作ジョーカーを殴り飛ばし、()()()()()()()()()アルセーヌで更に殴って地面に叩きつけ、バウンドした所を前蹴りで蹴り飛ばす。

 

そしてその間に追いついていたジョーカーがサッカーボールキックで容赦無く顔面を蹴り抜け、仰け反る間にブレイブザッパーを腹に叩き込んで吹き飛ばした。

 

『・・・ッッ!?!?』

 

風に吹かれた紙のように吹っ飛び、無様に地面を転がる贋作。体勢を立て直そうとするがいつの間に接近したのか、胸を足で押され地面に押さえ付けられる。その隙にR.I.ピストルの弾全てを打ち込んだ。

 

それでもなお活動を続ける贋作に舌打ちを零して弾切れを狙って足を弾き飛び上がってナイフで突いてきたのをカウンターで顔面に一発、ぐらついたところにレバーをぶち込み、左フック、最後に回し蹴りで蹴り飛ばす。鮮やかな4連撃に、アルセーヌも拍手を送った。

 

「よくも」

 

立ち上がり、懲りずに殴りかかってきた贋作の拳を軽く受け止め、万力の如き力で握りしめる。同時に偽アルセーヌが両手で襲ってくるが、それもアルセーヌが受け止め外側へ絞るように捻る事で動きを止めた。贋作の拳をギチギチと音が鳴るほど力を込めると贋作は肘が伸ばされていき、マトモに身動きが取れなくなるとガラ空きの顔面にこちらの拳を叩き込む。

 

「よくも」

 

たたらを踏む贋作の腕を引っ張り思い切り引き寄せると渾身の鉄山靠をぶちかました。

 

 

「よくも、仲間を傷つけたな。しかもその姿で。」

 

 

「立て、存分に壊してやる。」

 

 

ゴロゴロと地面を転がる贋作へ殺意に満ちた光の無い瞳でそう呟くと、フラフラと立ち上がる贋作にナイフを肩に当て、指をクイクイと曲げて超ガラの悪い挑発を繰り出すジョーカー。*1

 

「えっと・・・え、あれジョーカー・・・だよね?」

 

「すげぇ、すげぇ・・・けど、すげぇ怖ぇ!」

 

「全然目で追えなかった・・・あいつめ、まだまだ力を隠してたって事か」

 

「まさに鬼神・・・」

 

 

「チェンジ」

 

 

怒涛の攻撃にジョーカー以外の全員が呆然と彼を見つめる中、一瞬だけアルセーヌから別のペルソナへとチェンジし、スカル達の体力を()()()させると安心させる様に柔らかな笑顔を向ける。金色の光と共に2本角を持つ美女が一瞬現れたことで聖者のような雰囲気すら感じさせたが、その実その笑みはゾッとするほどの怒りに満ちていた。笑顔とは本来攻撃的なものだと思い出させるような笑みであった。

 

「・・・あれが吾輩達に向けたものじゃないって分かってても」

 

「こ、怖かった・・・」

 

「心臓を鷲掴みにされた様な感覚は初めてだ」

 

「ちょっと漏れたかも・・・」

 

再びペルソナを一瞬でアルセーヌに戻したジョーカーは無言無表情でスカル達に攻撃しようとしていた贋作へと迫り、発動した『偽・AィガオN(■■■■■■■)』をまるで意に介さず正面から手で受止め、突っ切ってガシリと手を合わせて強制的にスキルを停止させると逆の手で本家のエイガオンを食らわせた。

 

呪怨エネルギーに切り裂かれながら吹き飛び、壁へと叩きつけられる贋作。流石はジョーカーをコピーしただけあって頑丈だが、それだけであり本物相手に手も足も出ていない。

 

ならばと贋作は偽アルセーヌの翼を広げて飛び立ち、空へと上がって上から『偽・◆逆ノ翼(■■■■■■)』を放つ。広範囲かつ強力なこのスキルはジョーカーどころかまたスカル達を巻き込む故に回避を許さない。

 

だが、忘れてないだろうか。それはこちらが本家本元だと。

 

「『反逆の翼』」

 

『フハハハハ!脆弱!脆弱!』

 

空を埋めるほどに殺到してきていた翼を全て相殺、どころか上回り空中にいる贋作ジョーカーをズタズタに引き裂いていく。

 

『・・・・・・ッ!!』

 

この技は敵が多ければ多いほど威力が高まる特性を持つが贋作単体である為にその真価は発揮されない。それでも並大抵の者は耐えきれずに消滅するそれを直撃しても無駄に硬い為何とか堕ちずに耐えきった贋作。

 

物量ですら叶わないと判断した贋作はならばと偽アルセーヌの翼を羽ばたかせ超高速移動で翻弄しようと縦横無尽に空を駆け始める。ギュンギュンと黒い残光を残しながら飛び、そのまま『偽・AィガオN(■■■■■■■)』を何発も放つ。その姿はさながらステルス機のようだ。

 

「空なら勝てると思ったか」

 

だがジョーカーはこれに対して冷静に全てにエイガオンを正確に当てて相殺し、自分もアルセーヌと共に空へ超速で飛び立った。

 

「ついてこれるか?」

 

『・・・・・・ッ!!』

 

そして始まる軌跡でしか追えない超高速のドッグファイト。パレスの空だけでなく、美術館の外観や室内にすら突入し、斬り合いの火花やスキルがぶつかった小爆発を散らしながら駆け巡る。

 

「なんだありゃ・・・」

 

「もうなにがなんだか」

 

目で追うのも馬鹿らしくなるほどの戦いを見てあんぐりと口を開けるメンバー達。マダラメも同様にぽかんとしている。まぁいきなり目の前でドラゴ○ボールかウルト○マンとかでしか見たことの無い板野サーカスっぷりを見せられたらそうなるだろう。すーっごい、見てあれ、意味不明はフェイントと挙動してるよ。鳥人間コンテストに謝って欲しい。

 

しかし、何度もぶつかり合っている内に贋作の方の動きがみるみる鈍なっていくのだけはわかった。

 

急停止、急加速などトリッキーな飛び方にも難なく対応しながら反逆の翼で撹乱し、その中に紛れ込ませたエイガオンでジワジワとダメージを与えていくジョーカー。まるで詰将棋*2のように確実に追い詰めていく。

 

そしてついに贋作が大きく体勢を崩したのを見て王手を掛けに行く。空中戦の末、ドッグファイトを制したジョーカーが追い越す際に爆撃機の如く放った凍結スプレーにより偽物の周囲が凍りつき、弱点を突かれて動きが止まる。凍結による停止を狙ったものだが、弱点が克服出来てなかったのなら好都合。

 

「まずは自由を奪う」

 

その隙に急旋回、背中に向けて急接近し偽物が出しているパチセーヌの羽根をアルセーヌの手で鷲掴むと背中に足をかけて無理矢理引っ張る事で力ずくでもぎ取り、飛行能力を奪う。

 

『ッ!?〜〜ッッ!?』

 

「次だ」

 

自由を無くした偽物は当然落下していくが、その間に片足を持って地面へ突っ込むようにして投げ飛ばす。*3流れ星のように落ちていき凄まじい落下エネルギーにより地面にめり込む偽物だがそれだけでは終わらない。

 

勢いそのままアルセーヌの掌で偽物の顔面を強く掴みそのまま地面が割れるほどの力で押し付けながら低空飛行をして10m程進む。バキバキと一直線に瓦礫の道を作った後、大きく振りかぶりバウンドする位強烈に地面に叩きつけた。ガゴンッ!と人体からは決して鳴ってはいけない音を出しながら宙を舞う贋作。

 

血も涙もない?知るか

 

どうせ墨で出来た偽物だ、手加減する必要も無い。それに仲間へ手を出したんだ。それなりに怒りをぶつけなきゃ気が済まない。

 

「チェンジ、コンセントレイト、()()()()()()

 

また一瞬ペルソナをチェンジするとトランペットを持った影が一つ音を奏でる。すると青白いオーラがアルセーヌとジョーカーを包んだ。それと同時に赤、紫、緑の3色が入り交じった美しいオーラが吹き出す。たった一つで攻防速全てのステータスを底上げするバフ系の上位互換の魔術だ。当然、習得はこの段階ではしないはずの代物。

 

多重強化と精神統一により魔術攻撃の威力が倍以上に増し、雑魚敵どころか中ボスレベルでも近づくだけで消し飛ぶ程の莫大なオーラをアルセーヌの右手へと収束させていく。バチバチと余剰エネルギーが弾け、激光が輝く。

 

そこに呪怨属性・・・()()()()()を混ぜこみ、グッと拳を握り込んだ。

 

「アルセーヌ」

 

『貴様には過ぎた手向けだ、受け取るがいい』

 

そして吹き飛んでいっている偽物へワイヤーを射し込むと無理矢理自身の方へ引き寄せ、目の前まで来た瞬間、桁外れのエネルギーを凝縮したアルセーヌの拳を腹へアッパーで叩き込む。

 

その威力に体をくの字に曲げた偽物を更に力を加えて上空へと打ち上げ、グルグルと回りながら昇って行く偽物から外したワイヤーを巻き取り、怪盗服を翻しながら背を向けて

 

 

ポツリと呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メギドラオン」

 

 

 

 

空を、破滅の凶星が埋めつくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂を食い尽くした轟音が溶け、白が消えていった頃。

 

 

『・・・・・・は?』

 

「・・・・・・は?」

 

「・・・・・・キレーな花火だったね」

 

「それにしては少々禍々しかったな」

 

「いや、無理があるだろ」

 

空いっぱいに広がった破滅の光に目をひん剥いて思考停止してしまうスカル達。いやまぁ、流石にこれはスカル達が正しいリアクションである。

 

文字通りレベルが違う力を見せつけられた彼らは逆に震えすら起きずにマダラメも揃って空を見上げて呆けている。

 

「・・・っく」

 

(やり過ぎた☆)

 

しかしそうしてるのも束の間、ガクリと膝を着いてしまったジョーカー。どうやら力を使いすぎてガス欠・・・の演技をしているらしい。

 

激情に任せて結構好き勝手やった自覚があるのか『これジョーカーにこのまま任せればいいんじゃね?』となってしまわないように、怒り☆パワーで想定以上の力出しちゃいましたアピールをしてるのだ。

 

所謂、申し訳程度の人間アピールという訳である。

 

「すまない、いかりにまかせてちからをつかいすぎてしまっタ。しばらくはうごけそうにないナ。ふがいなイー。」

 

「え?あぁ、ま、まぁあんだけ暴れりゃそうか。流石のジョーカーもガス欠か」

 

「あ、はい」

 

「凄かったもんね、うん。」

 

「後は俺たちに任せてくれ」

 

という訳で微妙な空気の中*4、戦闘続行。マダラメもワタワタしながら贋作を作って迎え撃つ。なんかグダグダしながらもジョーカー抜きで戦うスカル達。普段の戦闘でもジョーカーのサポートを受けて戦っていた彼らだが、勿論それに頼らなければ戦えないなどと甘ったれた教育・・・もとい経験をしてきた訳では無い。

 

「パンサー!強化解除だ!」

 

「うん!ついでにこれも!」

 

「攻撃アップ!ナイスだぜ!オラァ!!」

 

「速度も上げておこう、赤の足止めは任せろ」

 

それぞれの役割、回復、バフ、デバフを上手くこなしてまだ動揺している贋作達を追い詰めていく。

 

『くっ、お、おのれ・・・!』

 

「フッ、流石だ皆」

 

マダラメは圧倒的な力を見せつけてきた後方師匠ヅラ鈴井のお手製おにぎり爆食いジョーカーに警戒して気が散っているのか、いつそれがこちらに向くかと彼をチラチラと見ながら歯噛みしている。

 

それに釣られて贋作の動きもガタつき、更にスカル達に攻め込まれ一体、また一体と倒されていく。焦って贋作を追加するも、そのクオリティは下がっていく一方で、最初の強さから何段階も落ちた粗悪品しか作れずそれを蹴散らされる悪循環。ジョーカー達の贋作に多くリソースを割いたのも原因の一つだった。

 

『おのれおのれおのれ!こんな、こんなはずでは!?こんな!』

 

次々と贋作を作っていたマダラメだったが、やがて黄金が集まらなくなりピタリと贋作が作れなくなってしまった。幾ら手を振ろうが、筆を振ろうがもう贋作は現れない。

 

もう奴を守る化けの皮は破られてしまった。

 

「ふぃー、さてと」

 

「どうやら、これ以上贋作は作れないようだな」

 

ザリ、と狼狽えるマダラメの前にスカル達が立ちはだかる。自身を守るバリアすら消えた奴はビクリと肩を跳ねさせて一歩一歩後退していく。だが、その後ろにはヨロヨロと回復し切ってない、という演技をしたジョーカーが立っていた。

 

『う・・・!』

 

「壁になる奴はもういないって訳だ」

 

「どうする?ここで罪を認めるか、それとも私達に叩きのめされるか」

 

前門の虎後門の狼、八方塞がりとなったマダラメはオロオロと首をひっきりなしに動かして、逃げ場が無いとようやく理解した後にパンサーの言葉に俯き震え始める。

 

 

『ワシは・・・!』

 

 

『ワシはァ・・・!!』

 

 

 

 

 

『ワシは!!世紀の巨匠、マダラメだあぁぁあぁぁぁッッ!』

 

 

「・・・そうか、ならば」

 

 

今度は、お前が筆を折る番だ。

 

 

 

ブチィッ!

 

 

 

『ギャアアアアアアアッッ!!!???』

 

 

プライドにより負けを認めなかったマダラメは総攻撃を食らい、完全に反撃する力を失った。回復手段である筆も全て吹き飛ばされ、風に晒され下の地面へと落ちて消滅する。

 

教え子から全てを奪った男が、今全てを失ったのだ。

 

「・・・・・・決着はついたな」

 

『う・・・ぁ・・・』

 

ズタボロになったマダラメを、フォックスが見下ろす。その手に抜き身の刀を握って。

 

それを固唾を呑んで見守るスカル達。しれっと復活してるジョーカーはマダラメが落としたオタカラのサユリを回収している。

 

『芸術など・・・真の芸術など、誰も・・・望まなかった・・・欲しいのはその、『ブランド』だけ・・・ワシの芸術も・・・お前らの芸術も、所詮・・・』

 

「・・・・・・。」

 

『金だけだ・・・結局は金が、ものを言う・・・のし上がるのには・・・ワシの名を・・・憧れは・・・』

 

途切れ途切れに紡ぐ言葉には確かにマダラメが辿ってきた道の闇が、失望が刻まれていた。だが、それを伝えるには積み重ねてきた罪が大き過ぎる。それを伝えるにはあまりにも汚れ過ぎている。最早、誰の心にも届かない。

 

握りこまれた金が、ボロボロと崩れ落ちる。

 

フォックスは静かに1度目を閉じると、揺れ動く心を鎮めてからゆっくりと開き刀を鞘に収めながらマダラメへ背を向けた。

 

「・・・貴様がなんと言おうと、貴様はただの外道だ。芸術を語る資格は無い。」

 

『・・・殺さんのか、ワシを・・・』

 

「殺す必要など無い、価値もな。現実の自分に帰り、今までの罪を告白しろ。全てだ。」

 

そう切捨てるフォックスにマダラメは観念したのか、それとも心底心が折れたのか全身の力が抜けて力を込めていた手もダランと脱力する。そして諦観の瞳を宙へ向けながら、不意にポツリと呟いた。

 

『・・・黒い仮面の男とは違うとでも言うのか』

 

「ん・・・?」

 

その言葉にフォックスは小首を傾げ、ジョーカー達の方へ向いたが彼らもなんの事かさっぱりだった為同じように首を傾げた。約1名を除いて。

 

「黒い、仮面?」

 

「なんのこった?」

 

パンサーとスカルが顔を見合せて頭に?を浮かべてる間、モナはその言葉の意味を理解し驚愕に目を見開いていた。

 

「・・・まさか、吾輩達以外の侵入者がいたってのか・・・!?」

 

それはつまり、自分達以外のペルソナ使いが存在するという事。そして、マダラメの口ぶりから察するにそいつはその力を使って悪事を働いているという事に気がついたのだ。

 

「おい!それについて詳しく・・・うぉ!?」

 

ここに来てまさかの情報を得たモナは更にマダラメから情報を聞き出そうとするも、その直後にパレスが大きく揺れ、辺りからは崩壊音が響き始めた。なんと間が悪いことにパレス崩壊が始まってしまったのだ。

 

「ぐっ!ダメだ、聞く時間もねぇ!急いで脱出すんぞ!!」

 

「お、おう!」

 

「なんかよくわかんないけど、フォックスも早く!」

 

ボムンとコミカルな音をたてて変身したモルガナカーに急いで乗り込むスカル達。ジョーカーは運転席に乗り込み何時でも発車できるようにエンジンを吹かしている。それにフォックスも続こうとするとマダラメが彼の背に手を伸ばしながら声をかける。

 

『・・・祐介、ワシは・・・』

 

「・・・有終の美は、せめて虚飾のない自身の作品で飾れ。それが俺からかける最後の言葉だ。」

 

フォックスはピタリと止まるが一瞥もせずにそう言い残し、直ぐに歩き始めてモルガナカーへと乗車してしまった。彼が乗って直ぐに発車するモルガナカー。離れていく愛弟子であり、息子でもあった彼の離れていく背中に思わず手を伸ばし続けるマダラメ。

 

『祐、介・・・お前は、ワシの・・・』

 

後悔か、はたまた敗北感からか。涙を流し、フォックスの名を呟くと淡い光となって消え、本体の元へと還った。孤独な元芸術家の孤独な最後であった。最後に何を言おうとしたのかは、彼にしか分からない。

 

そして主が居なくなったパレスは崩壊の一途を辿る。ガラガラと崩れる足場を汚い悲鳴をあげながらギリギリで走り、なんとか入口まで戻ってきた彼らはワタワタしてた志帆を回収して光の中へと飛び込んだ。

 

 

 

斑目パレス 攻略完了!

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

『目的地が、消去されました』

 

 

現実世界へと帰還した彼らはナビの音声を聞いてた斑目パレスが消えた事を確認した彼らはドッ押し寄せる疲労感に息を吐き出し、手を膝についた。鴨志田の時より慣れてマシとは言え、やはりパレスの主と戦うのは骨が折れる。

 

そんな彼らを労いながらスポドリや食べ物をくれる志帆マジ天使女神この世全ての善。

 

「つっがれだァ〜〜・・・」

 

「ほんと、動き回ってお腹ぺこぺこ・・・」

 

「皆お疲れ様、はいこれ。良かったら食べて?」

 

「うはぁ!これこれ!パレス後の志帆ご飯!いただきやーす!」

 

「あ!ちょっと竜司!抜け駆け禁止!!」

 

「焦らなくてもまだあるから大丈夫だよ」

 

流石に斑目宅の前で食べ始めるのは如何なものかと近くの公園まで移動し、いの一番にがっつく竜司とそれに続く杏。

 

「美味すぎる・・・!!」

 

そしてその隣で志帆お手製唐揚げを頬張りながら涙を流している祐介。さっきまでのシリアスモードはどこいったといった感じにヒョイパクヒョイパクと食べ進めている。しかもその全てに感涙してるので非常にやかましい。普段の食生活がどんなものか垣間見えていた。もっと食えお前(親戚のおじちゃん並感)

 

「吾輩も!吾輩も!」

 

「へいお待ち」

 

「うみゃー!!」

 

そんな彼らの姿を見て食欲が抑えられなくなったモルガナに彼用の物を達人の腕前で食べさせる蓮。そんなこんなで楽しい食事を終え、ひと段落した後に持っていたサユリを祐介へと手渡す。

 

「母さん・・・まさか、斑目の歪んだ欲望の正体がこの絵だったなんてな。これを描いた母さんが知る由もないのが、せめてもの救いだ。」

 

「そうか、アトリエにある絵は塗りつぶされちまってるもんな・・・」

 

「皮肉にも、今やこっちが真実の自画像という訳か」

 

斑目の手によって汚されてしまっている事に気がついたモナ達は残念そうにそう呟く、少しだけ空気が重くなってしまったが杏がサユリを覗き込んで優しく微笑んで祐介に目を向けた。

 

「・・・すっごくいい絵だね。それに、時間はかかっちゃったけど・・・ちゃんと祐介に届いた。」

 

「・・・ああ、本当に感謝している。だけど今更この絵が認められる事は世間的にもありえない・・・けどそれでもいいんだ。母の想いはこの胸にある。それを継いで、これまで以上に自分を磨かなくてはな。」

 

「祐介・・・」

 

杏の言葉を聞いて彼もニコリと優しい笑みを浮かべて母の想いが詰まったサユリを愛おしそうに撫でて精進を決める祐介。そんな彼の強さと決意を見て蓮達も自然と笑顔になっていた。

 

「それにしても、これが母さんか・・・顔なんてハッキリ覚えてない筈なんだが・・・この絵を見た時の衝撃、間違いじゃなかった。」

 

「つか、これからどうすんだ?俺達はこれからも悪人をシバいてくけど。」

 

記憶の奥底にあった母の面影にしげしげとサユリを見つめる祐介にスポドリを飲みながら竜司が聞くと彼はサユリを置いて姿勢を正してから真剣な表情で竜司達へと向き直る。

 

「・・・斑目の改心に協力した手前無粋な質問だとは思うが、何故そんなことを?」

 

「あん?そりゃ世の中の悪人が許せなくて・・・そんで、そういう奴らの身勝手に苦しんでる奴らとかを救ったり勇気付けたりしてぇんだ。それでいい結果になるかは分かんねぇ、けどやってみなきゃその先もねェだろ?」

 

グッと拳を握りしめながら蓮達へと目配せすると彼らも賛同して頷いた。誰かの救いになれるように、誰かの痛みを無くせるように。正義の味方とはいかなくても、誰かの味方でありたいと。

 

そんな彼の心からの言葉を聞いて祐介もフ、と笑みを浮かべる。

 

「・・・抗う心、それは己次第か・・・なら、今の俺と同じだな。俺もそのうちの一人だ。それにパレスとやらの探索をすれば着想の幅が広がるかもしれん。」

 

「お!つーことは!」

 

「美しくない計画には乗らないぞ?」

 

「大丈夫、私と志帆がいるし!」

 

「え!?私も!?」

 

「それにターゲットは全会一致で選ぶのが決まりだから!」

 

「祐介がいれば予告状もハッタリが効いたものになるな」

 

「これからよろしく頼む、祐介」

 

「こちらこそ、期待には答えてみせる」

 

こうして、新たな仲間祐介が正式に怪盗団加入となった。やったぜいぇいいぇいと盛り上がって彼と肩を組んだりして喜んでた蓮達だったがふと、斑目が残したあの事について思い出して話し始める。

 

「にしても、気になるな。吾輩達以外の侵入者、か。」

 

「黒い仮面ってだけじゃ、個人とも限んないよね」

 

「私達みたいに複数人の可能性もあるのかな・・・」

 

「つってももう確かめらんねぇよな、パレス無くなっちまったし」

 

崩落する寸前に聞いた為、詳細を聞き出せなかった事にうーんと頭を悩ませる彼らだったが、祐介が助け舟を出してくれた。

 

「斑目を探ってみよう、何かわかるかもしれん」

 

「でも、平気?その・・・」

 

祐介の精神面を気遣った杏がそう聞くと、祐介は平気だと微笑んで答える。

 

「そう無茶はしない、何かあれば連絡するさ」

 

「なら連絡先交換しとくか、グループもな」

 

「画家と怪盗の2足のわらじか。一度きりの人生だ、それもいいだろう。」

 

「あ、なんかめっちゃ名言っぽい」

 

そうして全員と連絡先を交換して今日の所は解散、と言ったところで竜司が何かを思い出したのかあー!と声を出して手をポンと叩いた。隣で耳を抑えて睨んでくる杏を無視してスマホを操作し、ある写真を祐介に見せる。

 

「そうだ!なぁ、祐介。お前この絵の作者知ってっか?」

 

「む?ああ、これなら・・・」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

別日、渋谷駅地下通路にてとある人物を呼び出していた。

 

 

その人物とは・・・

 

 

「どうも、中野原さん。来てくれてありがとうございます。」

 

何を隠そう、斑目ターゲットの発端である中野原である。再び徹底的に正体を隠して相対した彼に軽く挨拶をすると彼は興奮冷めやらぬといった感じで蓮に詰め寄ってきた。

 

「いえ、そんな・・・それよりも!ホントなんですか?あの斑目を・・・」

 

「ええ、近日中に奴は自ら罪を告白するはずです。」

 

そんな彼を落ち着かせながら肩を抑えて距離を取る蓮。流石に顔面ドアップはあれだ。そして蓮から肯定が得られた中野原は心底安心した様に顔を伏せて噛み締めるように声を漏らした。

 

「そうですか・・・そう、ですか・・・!!良かった、本当に・・・!!」

 

グッと拳を握り込む様子からかなり感激しているようだ。己の夢を潰した仇を改心したと聞けばこうもなるだろう。

 

「怪盗団の方々に伝えて下さい、本当にありがとうございました、と・・・」

 

「勿論です、ああ、それとこれを・・・」

 

「え?これは・・・手紙?」

 

涙を堪える中野原に懐から出した一通の手紙を差し出す。白の封筒の中から出てきたこれまたシンプルな白の便箋を見て困惑して蓮と手紙に視線を行ったり来たりさせている。

 

「はい、()()()()()()()()()()()()ものです」

 

「え・・・・・・」

 

蓮(交渉人の姿)を思わず数秒硬直して凝視するほど驚愕した中野原は直ぐにハッとして手紙の中身を読み始める。そこには蚯蚓が這ったような、ギリギリ文字と認識できるくらいの正直汚い文字でこう書かれていた。

 

『中野原 サンへ ついこないだやってた斑目の、個展だったか。そこで見た絵にすげーグッときたっつーか、心惹かれた?んだよ。そんで後から聞いたんだけどそれ、あんたが描いた絵なんだろ?

 

すげーよ、あんな絵ぇ描けるなんて。なんつーかさ、ガキの頃のお袋との記憶を思い出した感じ?そういう、なんか、大事なもんを思い出させてくれるような暖かさがあってさ。心奪われたとか、絵に感動とか初めてだったんだ。まぁつまり!あんたの絵、めちゃくちゃ良かったぜ!』

 

「これ、は・・・」

 

祐介ほどでは無いが審美眼を持つ彼はそんな文字を難なく読み進め、その内容に呆然とした。それは所謂ファンレターと言うやつだった。文字は汚く内容も子供じみた粗暴な書き回しだが、それ故に裏表の無い心からの言葉だと理解出来る。

 

彼の耳に入ってくる自身の絵の感想は斑目の作品としてのものばかり。久しく聞いていなかった正真正銘、自分に対する賛美の声。それを見た中野原の声はか細く震えていた。

 

「『故郷』と付けられたあの作品、貴方の作品なんですよね」

 

「ああ、元は私の母との思い出を描いたものだったんだ・・・斑目に盗作されてしまったが、そうか、私の絵は、誰かの心に届いたのか」

 

フルフルと手紙を持つ手が震えてくる、ぽたぽたと我慢できずに涙と鼻水が溢れてくる。

 

ああ、ああ、そうか。こんなにも、こんなにも。

 

「・・・う"・・・ぐすっ・・・!こんなに嬉しいことは無い・・・!!」

 

それは芸術家としての本能、自身の作品を通じて想いを届ける事が出来た歓喜。絵画という自分の一世界を誰かに評価され、共感され、勇気づける。そうだ、私はそんな絵を描きたかったのだと。

 

中野原は人目など気にせずにその場に泣き崩れ、自分の中にまだ残っていた灯火に気づかせてくれた誰かの手紙を胸に当てて感謝した。それな彼の背中に手を添えて優しく見守っている。彼が泣きやみ、落ち着いた頃に大の大人が人目を憚らず泣いていた事に恥ずかしさを覚えたのか蓮の手を一度力強く握ってもう一度感謝を告げてからそそくさと退散した中野原。

 

その足取りは、これまでの人生の中で最も軽いものだったと彼は思う。

 

自分の頭を押えつけていた重圧はもうない、鮮やかな世界を目に写し青い空を見渡す事も出来る。月並みな言葉だが、全てが輝いて見えた。

 

「ふふ・・・今更だけど、もう一度筆を握ってもいいかもしれないな・・・」

 

ポケットからどうしても捨てられ無かった筆を取り出して、空へと掲げる中野原。一度は奪われた夢が、今再び彼の中で息を吹き返していく。

 

後に有名な日本画家として名を馳せる、一人の男の再生の物語があったとか無かったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ギャラリー追加☆

 

 

故郷』→『陽向』

 

 

 

*1
待機モーションのあれ

*2
一二三「将棋王(デュエル)!?」

*3
ベジットのあれ

*4
フォックスは通常運転





最後は駆け足気味、許せサスケ。中野原救済ルートはなんか知らんけど急に生えてきたので採用。故郷だけ斑目の作品にしようかと思ったけどなんか腹たったので止めました。あと斑目の過去とか慟哭とか後悔とか書くつもりだったけどグダるし後味も悪いので消しました。悪役は悪役のままでいいんだよ悪人にはそれが上等だるぉん!?

贋作がなんか弱いのはマダラメの再現性が低かった事と単に再現出来るキャパを大幅に超過していたから。

ジョーカーブチ切れで出てきかけたのは真っ黒黒すけです。あるいは蛇、あるいはトカゲ。何しくさんじゃワレェ!!ってヤーさん的な感じで出てこようとしてボスにしばかれました。その後は大人しくすやぁしてます。途中で出来た回復したのとバフかけたペルソナはなんでしょうね(すっとぼけ)、皆当ててみてね!

アルセーヌがメギドラオン撃てた理由?さぁ、なんでやろ。真衣ちゃんに聞いてみよか。
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