周回プレイヤージョーカー君   作:文明監視官1966

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皆さんボマーにちわ、最近乾燥してきて風邪やボマーが流行ってるらしいから気をつけるボマーよ。さて、ここで皆さんに言っておかねばならない事がある。俺はボマーだ。

皆さんには命の音が仕込まれている。爆弾の解除方法は簡単、ペルソナ5、5R、5S、5T、5D、ペルソナQ2をクリアするだけ。ちなみに作者もQ2はプレイしてないので対象内だ。誰か除念師を呼んでくれ。

そういえばペルソナ5O.A.ってのありましたよね。入れて割と直ぐにサービス終了しちゃったからほぼ記憶がないけど。やったことある方います?


Who are you?

 

 

時は放課後、もしゃもしゃと蓮お手製アジの塩焼き(塩分控えめ)を食べながらモルガナが口を開いた。

 

「まさか竜司が気に入った絵が中野原の描いたものなんてな、意外と世界は狭いってか」

 

「ね、びっくりしちゃった」

 

「そんなこともあるんだね」

 

「俺もビビったわ〜、アイツがあんな絵ぇ描けるなんて」

 

「縁があった、という事だろう」

 

「ま、何はともあれこれから頑張って欲しいもんだぜ。つーか!それよりも!聞いたかよ清掃活動の事!!チョ〜〜めんどくねー?」

 

斑目パレスを攻略し中野原の心を救った日から少しして、井の頭公園の清掃活動という全く持って聞き覚えのないイベントがある事を担任の川上から聞いた蓮達。学校のそれとしては超外れガッカリイベントだが、ダルそうな竜司とは対照的に蓮は今まで無かったイベントにワクワクしており、目をキラキラさせて楽しみにしている。

 

「俺はかつて掃除屋と呼ばれた男・・・ゴミの一つも見逃さない」*1

 

「お、おう。お前が言うと違う意味に聞こえてくるわ」

 

やる気十分な蓮に寧ろ殺し的な掃除屋を連想する竜司。当然、蓮以外はテンションが下がっており面倒くさそうにしている。

 

「鴨志田の件で下がった学校のイメージ回復が狙いらしいよ、ほんとこの学校って色々終わってるわ。」

 

「しかも全校生徒での清掃らしいからね・・・かなり焦ってわざと大規模にしたんだって。」

 

杏と志帆の補足を聞いてげんなりと肩を落とす竜司。大きく長い溜め息を吐いて頭をガシガシとかいた。

 

「んで俺らが学校の尻拭いみてぇなことしなきゃいけないんだよ、巫山戯やがって・・・めんどくせーしサボってやろうかな」

 

「やめときなよ、あんたタダでさえ目ェ付けられてるのに更に悪化しちゃうよ。」

 

「そうなったら怪盗活動にも影響が出るだろうな。竜司、絶対サボるんじゃないぞ。」

 

「ぬぐ・・・あーったよ、クソっ。ングッ、ゲホッゲホッ!」

 

「わっ、だ、大丈夫?」

 

痛いところ突かれた竜司は仕方なく真面目に清掃活動へ参加することを決め、グイッとモンタを一気飲みしてゲップを・・・出そうとするも志帆が目の前にいることを思い出してすんでのところで我慢した。杏だけだったら何の躊躇も無く解き放っていたが、純粋無垢で清廉潔白な彼女の前で汚い事は出来ないと判断したのだ。

 

そのせいで変に噎せて志帆に心配されているが、その原因を何となく察した杏から冷たいジト目を向けられている。間違いない、あれは志帆がいなかったらぶん殴っていた顔だ。軌道までハッキリと分かった。顎に右ストレートでクリーンヒットだ、命拾いしたな竜司。

 

「あーそうだ、後カウンセリングにも行かなきゃいけねーんだよな。だりぃー・・・」

 

「あ、そっちは別にそうでもなかったよ?丸喜先生と少しダベって終わりだったし」

 

「うん、先生あんまり事件については触れすぎないでくれたし。ほとんどは雑談でちょっとだけ相談事って感じだった。」

 

「ほーん・・・ま、どっちにしろ行かなきゃいけねーんだもんな。適当に話してぱぱっと終わらせて帰ろーぜ。」

 

「ああ、そうだな」

 

そう言って丸喜とのカウンセリングへ向かった竜司。2〜30分もすれば帰ってくるだろうと4人でダベッていたが一向に竜司が帰ってこない。どうせ道草とか拾い物食べてるんでしょとまるで野良犬か猿のような扱いをして杏とモルガナは気にしていなかったが志帆が心配していたので蓮が彼を捜索することに。

 

ただ探すだけではつまらないのでマイケル・ジャク○ンごっこをしながらBeat itしてフラッシュモブを巻き起こしつつ探していると体育館裏でなにやら数人の男子生徒に絡まれているのを発見。どうやら元陸上部の生徒に詰められているらしい。

 

ここは助け舟を出そうとムーンウォークをしながら近づき、高速ターンからのお馴染みの決めポーズ、POW!!で竜司達の前に躍り出た!(文字通り)

 

「一体なんの騒ぎだAOW!!」

 

「全部こっちのセリフだよ」

 

「な、なんだこいつ!?」

 

両足つま先立ちで喧しく叫ぶ蓮にツッコむ竜司。元陸上部の面々は困惑を極めていた。ゾロゾロと去っていくフラッシュモブの参加者を見送りながら元陸上部のセリフに反応しとある決め台詞を叫び始める。

 

「なんだかんだと聞かれたら答えてあげるが世の情け、世界の破壊を防ぐ為、世界の平和を守る為、愛と真実の悪を貫く、ラブリーチャーミーな敵役、ム○シ!コ○ロウ!銀河をかけるロケ○ト団の二人にはホワイトホール白い明日が待ってるぜ!にゃーんてにゃ!!」

 

「全部一人でやりきったよコイツ」

 

ご丁寧に裏声を使って演じ分けながらロケッ○団の口上を言い切った蓮は満足そうに頷いている。おかげで元陸上部の面々からヤベー奴判定を食らったが元の評判が地に落ちてるのでモーマンタイである。*2

 

「ってこいつ、例の転校生じゃねぇか」

 

「なに、あのナイフを舐めて殺しちゃうよ〜ん?って脅してくると噂の!?」

 

「その噂まだ生きてたんだ」

 

アホエピソードが元陸上部の面々の口から出てきて逆にびっくりした蓮。思わず素のツッコミが出てしまった。よりによってそれかよ。

 

「ふん、問題児同士傷の舐め合いかよ。お気楽だな、こっちは誰かさんのせいで部まで解体されたのによ。」

 

「うっ・・・それは」

 

「舐めんのはナイフだけにしとけよ!」

 

「ナイフも舐めんなよ」

 

「舐めてねぇわ」

 

「ここはもうお前の練習場所じゃねぇ。俺たち元陸上部の『居場所』だ。」

 

正直、口も手も出そうになるがここはグッと堪えて事を見守る蓮。なぜならこれは彼らの、竜司の問題だ。その蚊帳の外にいる自分が今首を突っ込むべきでは無い。ナイフの件に関してはツッコミが出たけど。

 

「鴨志田の野郎には皆我慢してたんだ、無茶苦茶な事言われても何時間正座させられても陸上部の為だってな。それを・・・そのみんなの努力を、お前は踏み躙ったんだよ!」

 

「お前を仲間だと思ってた俺が馬鹿だった・・・それだけの事だ。行こうぜ。」

 

竜司に詰め寄ってそう吐き捨てた元陸上部の中岡はそのまま他の部員と共に去ってしまった。この流れでいや悪いの鴨志田じゃん、とは流石に言えない。蓮は空気の読める男なのだ*3

 

(努力、ね)

 

「・・・わりぃ、変なもん見せちまったな」

 

「彼らは陸上部のメンバーか?」

 

「ああ、俺のせいで部活が解体されちまった・・・ってのは知ってるか。部室もなくなって先の夢も・・・何言われても仕方ねぇよ。まぁ蓮の事一緒くたにして悪く言われたのはムカついたけど。」

 

ポリポリと頬を掻きながらそう告げる竜司、自分の事を罵倒されても何も反論は無いが自分の悪口に対してそう思ってくれた蓮は思わず頬を緩ませて、そして次にはムッとした表情で竜司の目を見て言う。

 

「俺は竜司を悪く言われたのにムカついたぞ」

 

「お、ならソーシソーアイだな!なんつって!・・・ありがとよ、蓮」

 

割とガチの本音なのだが、場を緩ませる為の冗談だと受け取った竜司は笑いながらそんなジョークを飛ばし、蓮に感謝の言葉を伝える。

 

もう!竜くんってば鈍感さんなんだから!と割と昔のお姉さんキャラみたいな事を更に古い少女漫画みたいなぷん☆すこ顔で心の中でお巫山戯する蓮。結構照れてた。

 

そういう路線ではないこの作品に男同士のいちゃラブには需要が少ないのでさっさと飛ばして待っていた杏達と合流して学生らしく放課後ブラブラタイムへと突入。更に祐介も参戦して杏オススメクレープを食べたり、ゲーセンでシューティングやプリクラを撮ったり、スタバで新作を飲んだり色々と遊び回った。

 

祐介の分?全部蓮が立て替えたよ(イケメン)、最早パトロンである。なんだコイツら青春か?青春真っ盛りだったわ。

 

途中で杏にモデル関連のメールが来てその相談に乗ったりもしたが、ともかく久々の学生っぽい遊びをくっっそ楽しんだ蓮はウキウキのまま教会を訪れ一二三を困惑させつつもこれまた楽しい将棋(決闘)を楽しんだ。超満喫しとるわこいつ。男性ファン?いなかったよそんな人。

 

その後、将棋の古本を買いに神保町へと赴きそこでイキイキと古本屋を紹介してくれる一二三にほっこりしながら先輩女性棋士を軽く流して持ち前のトーク力で彼女を励ましてから解散した。古本は勿論全種お買い上げだ。

 

そんでもって最後には武見の所へ赴き、ニッコニコで治験を行った。超スマイルで「今だけダブ()食べ()!」と宣う蓮に「は?」とドン引きする武見だったがちゃっかり2回分の治験をしてデータは取っていた。しっかりと関係を深めた(健全)後は惣治郎のお手伝いをしてフィニッシュである。ふっ、コープが順調すぎて怖い。

 

既に惣治郎からコーヒー許可証を貰っている為、閉店後は蓮が料理と共に容れたコーヒーを惣治郎が採点するのが最近の日課になっている。まぁ良くて80点までしかくれないのでまだまだコーヒー道は精進が必要である。*4

 

という訳で、日は飛んで清掃活動当日ッ!

 

公園のゴミを全て消し去る決意を胸にルンルンでやってきた蓮はジャージ姿に軍手や長靴、ビニール袋などを詰め込んだ鞄に文句を垂れるモルガナとお喋りしていると何やら見覚えのある特徴的な髪色の子を見つけた。

 

「ん?あれは・・・」

 

「どうした蓮、おやあれは・・・芳澤か?」

 

彼らの視線の先には鴨志田の一件で少し疎遠になってしまった芳澤の姿があった。はて、何をしているんだろうと思ってよく見てみるとどうやら大した功績も無いのにプライドだけは一丁前に育っていって上は見ない癖に下は死ぬ程見下すような自己中心的な変な輩に絡まれているらしい*5。嫌がる彼女に秀尽の悪評を利用して無理矢理オチカヅキになろうとしてるようだ。

 

うっはー、近年稀に見るレベルの下手くそなアプローチですわ。少し聞いてるだけでも鳥肌が立つくらい。っと、傍観を決め込んでいる暇では無い。芳澤は手首を掴まれてしまっている、早いとこ助けなければ。

 

同じことを考えたモルガナが蓮の頬を肉球でむにゅっと押し込んだ。温い。

 

「おいおい、なんか絡まれてるぜ。助けに行った方がいいんじゃねぇか。」

 

「ファイナルレスキュー!」

 

「大袈裟だな!?」

 

どこぞのCGレベルがえげつないヒーローのように爽快に駆け出した蓮は二人の横から男にだけ圧を向け、両手をポケットに突っ込んだお馴染み不良スタイルで声をかける。

 

「何をしてるんだ」

 

「あ、雨宮先輩!」

 

蓮が現れたことで芳澤はパッと表情を明るくし、男は困惑の表情を浮かべた。

 

「な、なんだぁお前・・・いきなり出てきて」

 

「なんだかんだと聞か(ry・・・そんなことより、嫌がってるだろう。」

 

「ひ、人聞きが悪いな。ただの親切だよ。」

 

「親切?自分よりも歳下の女子の手首を掴んで逃げられないようにして個人情報を聞き出そうとするような下衆な行動が?」

 

「う、ぐ・・・それは・・・」

 

蓮が凍てつくような無表情でつらつらと事実を読み上げると男はしりすぼんでたたらを踏んだ。その際に力が緩んだのか、隙をついて手を振り払い小動物のように蓮の後ろへ隠れる芳澤。可愛い。

 

「な、なんなんだよ。大したこと・・・ヒィッ!?」

 

「?」

 

ぶつくさと文句を垂れる男が芳澤に暴言を吐こうとした瞬間、悲鳴を上げて顔を青くする。蓮の背中に隠れている芳澤は何故男が青ざめているのか分かってないようだが、正面から見ると蓮が伊達メガネを外し猛禽類のように目を鋭くして男をめちゃんこ威圧していた。

 

いいからさっさと回れ右して消えろと無言の圧力放つ蓮に耐えかねた男は「すいませんでした〜!」と情けない声を上げ去っていった。あ、コケた。ヅラだったんだ・・・。

 

まぁとりあえず厄介事は去った事だし、伊達メガネを付け直して芳澤と向き合う。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、はい!すみません、本当にありがとうございました!」

 

「手首の方は平気か?痛みは無いか?」

 

「は、はい。大丈夫です・・・ちょっと怖かったですけど」

 

「少し触ってもいいか?」

 

「へっ!?え、えっと・・・はぃ・・・」

 

真面目な顔でそう聞いてきた蓮にビックリしながらも本心から心配をしていることを素直故に鋭い直感で感じ取れた芳澤はおずおずと手首を差し出した。硝子細工を触るように優しく丁重に触診する蓮。サードアイで視診もしながら様子を確認する。

 

「どうだ?痛くないか?」

 

「大丈夫でふ・・・」

 

「そうか、良かった」

 

体操選手がこんなことで手首を痛めるなんてあってはならないからな、と本当に問題無さそうだと判断した蓮は微笑んだ。顔は良い蓮に顔を少し赤くする芳澤。真剣に診察してくれたのだから照れてる場合ではないと切り替え、彼女は頭を下げてお礼を告げた。

 

「ありがとうございます先輩、ご心配お掛けしてしまって・・・その、こんなこと聞くのも変だと思うかもしれないんですけど、なんで助けてくれたんですか?」

 

「なんでって・・・困ってる人がいたら助けるのは当然だろう?」

 

「当然・・・」

 

蓮がなんでもないようにそう言うと複雑そうな表情で固まってしまう芳澤。きっと、彼女と同じように考えるだろうと思っていた蓮が首を傾げていると見られている事に気がついた芳澤はハッとすると誤魔化すように乾いた笑顔を浮かべて露骨に話を逸らした。

 

「そ、そうですよね!あ、そうだ!先輩もこれから清掃活動ですよね!・・・ん?清掃活動?あー!そうでした!私学校にジャージを忘れてしまいまして、また後で先輩さえよければお話させてください!」

 

「あ、ああ」

 

「ありがとうございます!では、失礼します!」

 

酷く焦りながら捲し立てて足早に去ってしまった芳澤。そんな彼女の背中を困惑しながら送り出すしか無かった蓮は中途半端に手を上げてポカンと立ち尽くした。鞄がズルっと落ちかけモルガナの悲鳴が聞こえたことでハッと意識を戻し彼に謝りながら肩にかけ直す。

 

「・・・行っちまったな」

 

「なにか、様子が変だったが・・・また後で聞いてみよう。」

 

「そうだな、今は清掃活動に向かおうぜ。遅刻したら面倒だしな。」

 

「ああ」

 

チラリと駅の方へ視線を戻すも彼女の姿はもう見えなくなっていた。何をそんなに動揺していたのか、蓮は少しモヤっとしたが今は考えても仕方の無いことだと切り替えて公園へ向かう事にした。

 

先に着いていた竜司達を見つけ、小走りで駆け寄る蓮。顔に気合を入れてキラキラエフェクトを自力で出してヒロインムーヴを演出してから声をかけた。

 

「お待たせ、待った?」

 

「付き合いたての彼女かよ、待ってないけど」

 

「てか、家からジャージ?いいなぁ男子は」

 

「フツーじゃね?つかお前はその格好でやんの?汚れんぞ?」

 

「まさか、トイレで着替えようと思ったんだけど今すごい混んでて・・・」

 

「みんな同じ事考えてたんだね・・・私は部活で慣れてるから着てきちゃったけど。」

 

そう言う志帆は杏とは違い、既にジャージを着ている。運動部であった彼女は杏よりもそういう格好に対し忌避感は薄いようだ。杏はこんなことなら私も来てくればよかったかな・・・でもなぁ・・・と頭を抱えため息を吐いていた。

 

「なるほど、女子は大変だなー。男子ならその辺で着替えるぜ。」

 

草むらを指さして笑う竜司に「なー」と肩を組む蓮。ぐぬぬと歯噛みする杏に微笑ましげに笑みを浮かべる志帆。そんな彼らに声をかける人物がいた。

 

「やー、憎たらしいほどいい天気だね・・・」

 

「おう、三島か。」

 

みんな大好き、ネット民三島である。

 

サンサンと輝く太陽を恨めしげに睨みながらとぼとぼと肩を落として歩いてきた彼はなんとなく蓮の隣まで来て反対側から肩を組んだ。仲良しか。

 

「坂本も雨宮もそう思うだろー?」

 

「それな」

 

「せやろか」

 

「異端者だ!挟み込め!」

 

「オラー!」

 

「ぐわあああ!清掃活動反対!」

 

「オセロみたいに反転してる!?」

 

竜司と三島からぎゅむぎゅむと男臭いサンドウィッチをされて意見をひっくり返す蓮。小学生みたいなじゃれつきをしている3人を見て杏が呆れていると今度は背後から別の誰かが声をかけてきた。

 

「やぁ皆おはよう」

 

「あれ、丸喜先生。先生も清掃活動ですか?」

 

何時でも白衣が眩しい謎多き男、丸喜である。ゆるーい雰囲気を纏い、これまたゆるーい笑みで手を振って近寄ってくる姿はカピバラを思い起こさせる。流石はカウンセラー、場を和ませるのはお手の物らしい。

 

「そうだよ、とは言っても違う係だけど・・・」

 

「いた!丸喜先生ー!」

 

「そろそろ仕込み始めますよー!」

 

「仕込み?」

 

説明しようとした矢先に丸喜に向かってそう言いながらパタパタと駆け寄ってきた女子生徒達。その言葉に首を傾げる杏に丸喜は続きを話す。

 

「実は僕、調理係なんだ。腕を振るうから楽しみにしててよ。それじゃあ・・・あれ?里芋買ったっけ・・・?」

 

「里芋?家じゃ入れないですけど・・・」

 

「えー!美味しいんだよ!」

 

女子生徒達とキャッキャウフフしながら去っていく丸喜にシラケた目を向ける竜司。モテるやつは大体宿敵らしい。三島もだった。蓮は料理に関わる者として調理係の方に興味が湧いてきたようでごく自然に丸喜の後について行こうとして志帆に首根っこを掴まれていた。

 

「すげぇ人気だな」

 

「なーに、いずれ怪盗団が追い抜くさ」

 

ニヤリと笑う三島に分かってんじゃねーかと背中を叩く竜司。力が強かったのかゴハッと咳き込む彼に「わりっ」と軽く謝る。そんな事をしてると新島生徒会長の放送が流れ始めた。

 

『秀尽学園の皆さん、おはようございます。間もなく清掃活動を開始します。班ごとに決められた区画のゴミを拾って行ってください。清掃活動終了後は昼食の豚汁があります。』

 

「豚汁かー、その仕込みなんだね。」

 

「楽しみだね!」

 

「ちなみに班の構成は学校側が適当に決めた男女4人組らしいよ」

 

「ちぇっ、俺らはこのままでいいのによ」

 

「寧ろ俺らを一緒にしない為じゃないか?問題児を固めないように」

 

「ご苦労なこって」

 

『それでは各班に別れて清掃活動を始めて下さい』

 

「んじゃ、また後でなー」

 

「私は早く着替えないと・・・」

 

という訳で自分が割り振られた班へやってきた竜司。当然の事ながら遠巻きにされており、まぁこんなもんだろと気にせずに適当にゴミを拾っていると聞き覚えしかない声が響いてくる。

 

「清掃は『戦争』だッッ!!舐めてかかるなよッ!!」

 

「「「サーッイエッサーッ!!」」」

 

見 敵 必 殺(サーチ・アンド・デストロイ) ! !見敵必殺だ!我々の前に落ちているゴミは残らず拾え!全ての投棄物を見つけ、回収し、清掃しろ!命令(オーダー)唯一つ(オンリーワン)、それだけだ!!行くぞぉぉぉぉ!!」

 

「「「ヤーッ!!マイマスターッ!!」」」

 

それは蓮のぶっ飛んだ掃除ガチ勢すぎ振りに短時間で洗脳・・・もとい教育を施された事でエリート掃除屋(スイーパー)として目覚めた班員達の声であった。どうしてそうなった。

 

「通常運転だな」

 

ヒラコー作画になった蓮の班員達と共に周辺のゴミを片っ端から拾い、それだけでなく汚れや落書きなども全て綺麗にしていく鬼気迫る表情の蓮を見ていつも通りかと特にリアクションせず掃除を再開する竜司。だいぶ染まってしまったようだ。

 

「張り切ってるなー、蓮」

 

「私も頑張らないと!」

 

ちなみに杏と志帆も同じ様にノーリアクションで清掃活動を行っていた。普段から彼の奇行を見ている彼らにとっては慣れたもんである。

 

というわけで主に一組の影響でかなり綺麗になった公園。本来なら即座に別れて世知辛さを感じる流れだったのが何故か蓮を隊長と崇めて敬礼をする掃除屋(スイーパー)チームになっていた彼らは豚汁片手に別れを惜しんで涙を流していた。皆の器を打ち合う。いつか再び、チームを結成する事を信じて。

 

なにこれ?

 

「あ!先輩!やっと会えました・・・って、お取り込み中でしたか・・・」

 

そんな彼に芳澤が声をかけてきたがなんかやばい宗教じみた事をしてる蓮達にドン引きして退散しようとしたが、メンバー達が気を利かせて身を引いてくれた。ビシッと姿勢を正して蓮に挨拶してから迅速に去っていく。

 

「いえ!大丈夫です!それでは隊長、またいつの日か!」

 

「「いつの日か!!」」

 

「ああ、また会おう。友よ。」

 

ツーっと涙を流してそう呟く蓮に恐る恐る聞く芳澤。

 

「えぇーと・・・その、大丈夫でしたか?お邪魔してしまったのなら私は後でも・・・」

 

「いや、大丈夫だ。話があるんだろ?」

 

「あ、はい。その、今朝のお礼をちゃんと言いたかったので探してたんです。」

 

「別にいいのに」

 

「私がしたいんです!それと、もし宜しければ豚汁・・・一緒に食べませんか?」

 

「いいぞ」

 

ぷりぷりと怒った後に不安げにそう聞いてくる芳澤があまりに小動物的だったので思わず地母神の優しさが溢れ出しそうになったが何とか抑え込んで了承する。

 

芳澤の分の豚汁も持ってきたことでまたお礼ラッシュが始まりそうだったのを手で制して今は豚汁を楽しむことを優先する。労働(?)の後の暖かい飲み物は身に染みる・・・2人でホッコリした後に今朝の話題に戻ってきた。

 

「では改めて、助けて頂いてありがとうございました。ああいうのって実際に体験するとすごく怖いんですね・・・。」

 

「怪我がなくて良かったよ、本当に」

 

「はい・・・先輩が来てくださって本当に安心しました。それで、その・・・ええと」

 

「?どうした?」

 

言い淀む芳澤に今度は何の件だろうとキョトンと首を傾げているとブンっと勢いよく頭を下げてきた。その際、ベチンとポニーテールが顔面にぶつかったが大人な彼はリアクションせずスルーする。また謝罪祭りになりそうだし。

 

「この前は、すみませんでした!」

 

「この前・・・?なにかあったか?」

 

本気でなんの事か思い出せない蓮は顎に手をやって?を出していると芳澤が続きを話してくれる。

 

「前に鴨志田先生とお話されていた時の事です。鴨志田先生から聞かされたばかりだったので思わずあんなことを・・・他でもクラスの子とかが噂で話しているのを聞いてしまって・・・」

 

それを聞いてやっとそれかと合点がいった蓮は「あ〜」と言って手をポンと叩いた。別にあれは彼女のせいじゃなくて顎のせいだし、そもそも全く気にしていなかったので謝らなくても・・・と思ったが少し意地悪心が湧いてきたので軽くニヤリと笑って聞き返す。

 

「がっかりした?」

 

「そんな訳ないです!」

 

それに対して芳澤はガバッと顔を上げて否定する。その際にまたポニーテールが当たったがこれもスルー。ご褒美です。

 

「電車でのやり取りを見れば先輩はそういう人じゃないって分かりますから。勝手な決めつけとか噂とかで判断するのは嫌ですし。まぁでも、先輩が本当に噂どおりのことをしてたら話は別ですけどね!何でしたっけ、強盗、殺人、象牙の密売・・・?なんでこれ皆信じてるんでしょうね?」

 

「さぁ?」

 

ほんとになんでだろうね。

 

「噂なんてあてになりませんね。なのにみんな先輩の名前が出ただけで怖がったり・・・あっ」

 

和解出来て肩の荷がおりた芳澤がにこやかに話していると紐を離してしまったのか目の前で歩いていた子供の風船が宙へ飛んでいく。子供はあっと声を上げて手を伸ばすが風船はあっという間に空の彼方に・・・

 

「はっ!・・・っと」

 

飛んでってしまう前に芳澤が綺麗な前後開脚ジャンプで跳び上がり、華麗に風船の紐をキャッチしてみせた。その跳躍は細やかな技巧と美しくみせる繊細さを兼ね備えており、それを詰め込めるまでにどれほどの練習を重ね技を磨き上げてきたのか知りたくなるほどに惚れ惚れするものであった。

 

これには秀才型の蓮も思わず見惚れてしまい、数秒時が止まったかのように固まり凝視してしまう。その両眼には今の彼女の美しい技が焼き付けられていた。

 

「す、すげぇジャンプだったな・・・ん?なぁ蓮」

 

「・・・え、あ、あぁ。どうした?」

 

「なんか足元に落ちてるぜ」

 

モルガナの声で意識が戻ってきた蓮は吃りながら答えるとモルガナがちいちゃな手で足元を指さす。視線をそこへ持っていくと確かに何か四角形の見覚えのある物が落ちていた。

 

拾い上げて砂を払い、裏を見てみると芳澤の写真が貼ってある。もしかしなくとも生徒手帳だった。どうやら風船を取るために駆け出した時に落としてしまったらしい。戻ってきたら渡そうと考え、ハンカチで少しの汚れも残さぬように拭いていると彼女の名前に目がいく。

 

当然、そこには『芳澤かすみ』と書かれている。

 

だが、何故か蓮はそこに妙な違和感と既視感を感じた。

 

(・・・?なんだ、何か、忘れてるような・・・)

 

 

 

 

 

 

 

『あの子を、■■■をどうか・・・』

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・思い出せない)

 

どうにも思い出せないことにモヤモヤしていた蓮だったが、芳澤と子供のやり取りが聞こえてきた事でひとまずそれをしまい込み、彼女の方へ視線を向ける。

 

芳澤はジャンプの後にゴロンと前転することで勢いを殺し軽やかに立ち上がると子供に風船の紐を差し出してしっかりと掴んだのを確認してから手を離していた。

 

「間に合った・・・はい、大事なものは離しちゃダメだよ?」

 

「うん!ありがとうお姉ちゃん!」

 

「っ!う、うん・・・ばいばい」

 

子供がにぱっと笑ってお礼を言うと、何故か苦しそうな顔をした芳澤。それに気が付かずに子供は手を振ってパタパタと走って行ってしまった。蓮は心配して近寄って手を差し出し芳澤が手を掴んだ後にゆっくりと立ち上がらせる。

 

「大丈夫か?」

 

「はい、一瞬頭痛が・・・今は大丈夫です。すみません、話の途中で。」

 

「気にするな、それよりこれ」

 

蓮が生徒手帳を差し出すとはっとしてポケットなどを確認した後にいそいそと両手でそれを受け取る芳澤。

 

「あ、私の生徒手帳。落としてたんですね、拾ってくれてありがとうございます。」

 

「ああ。それにしても、素晴らしい動きだったな」

 

「そうですか?意外とコツさえ掴めば簡単なんですよ、こう、トントーンって!」

 

そう言って芳澤は蓮の前で軽くステップを踏んでみせる。軽やかな足さばきを観察して、何となくやり方を理解した蓮はその場で実践してみせた。

 

芳澤のよりはぎこちないが流石は怪盗、初心者とは思えない軽やかさを見せる。

 

「こうか?」

 

「おお!先輩上手です!そんな感じですよ!後は足をこう・・・」

 

「なるほど」

 

「いや、ここでやるのかよ・・・」

 

そして芳澤による新体操講習が始まってしまったが、ここは公園であり更に清掃活動が終わった直後。当然、視線が彼らに集まってくるが蓮達はそんなこと気にせずにジャンプの練習に熱中している。モルガナは呆れてこそいるが、まぁ怪盗業に使えるかもしれないしとちゃんと見守ってくれていた。

 

ザワザワと騒がしかった周囲も最後の方には蓮のジャンプの美しさに涙し、拍手を送るほどに感動していた。ミュージカル映画か。

 

「先輩すごいです!初心者でここまで動けるなんて!」

 

「鍛えてますから。それにしても楽しいな新体操、久々に新しい刺激だ。」

 

つま先立ちでクルクルと回りながらそう言った蓮に芳澤はキラキラした顔で詰め寄った。

 

「先輩、新体操に興味おありですか!?」

 

「ああ、良ければ色々教えてくれないか?」

 

「嬉しいです!私で良ければぜひ!・・・と、そうだ。その、その代わりって言うのもあれなんですけど・・・私からもお願いがあって。」

 

「?なんだ?」

 

蓮に不安げは表情でモジモジとしていた芳澤はお願いの内容を喋り始める。

 

「実は最近、演技の調子があまり良くなくて。色々考えてしまうんです。なので、都合がいい時にちょっと相談にのってもらえたらなって・・・」

 

「全然構わないが、新体操の事はド素人だぞ?」

 

ピョコピョコと飛び跳ねながら大丈夫か?と聞く蓮。ジッとしろ。

 

「あ、いえ。技術的な指導というよりも、時々話を聞いて頂ければ・・・私、何だか周りから遠巻きにされてるみたいで。あまり気安く話せる人がいないんです。でも先輩は私としっかり向き合ってくれるので・・・。」

 

なるほど。思うに、彼女の特待生という肩書きが周囲に近寄り難さを与えてるのだろう。容姿や生真面目さがそれに拍車をかけてるのもありそうだ。全く、これだから秀尽は。ほんとにこれだから。

 

「ああ、俺でよければ」

 

「本当ですか!ありがとうございます!取引成立ですね・・・なんちゃって。」

 

ニコリと万人ならば勘違いしてしまいそうな麗らかな笑顔で手を差し出してくる芳澤。それに応え蓮もフッと笑みを浮かべて握手する。

 

すると、契約による彼女との特別な繋がりを感じて自身の中からいつもの声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

我は汝・・・汝は・・・

汝、ここにたなる契りを得たり

 

契りは

囚われをらんとする反逆の翼なり

 

我、「信念」のペルソナの誕に

祝福の風を得たり

 

へと至る、

更なる力とならん・・・

 

 

 

 

COOPEARTION:『芳澤 かすみ』

 

 

ARCANA:『信念』 RANK.1☆

 

 

 

 

「よろしくな、芳澤」

 

「はい!よろしくお願いしますね、先輩!あ、そうだ。連絡先交換しませんか?その方が何かと便利でしょうし・・・あれ?」

 

あまり他者とそういったことをしたことがないからか、ワクワクした表情でスマホを取り出す芳澤だったがスマホを見てなぜか首を傾げる。トントンと画面を何度か触るとふぅとため息を吐いた。

 

「どうした?」

 

「電源が落ちてて・・・すいません、最近スマホの調子が悪くて。あ!つきました!また消えちゃわないうちに交換しましょう。」

 

スマホの調子が悪いから無しでとか言われなくて良かったと内心少し安心しながらスマホを取り出して連絡先を交換する。やったぜ。

 

「交換完了!時間ある時にでも連絡しますね!」

 

ニコニコする芳澤に釣られてニコニコする蓮。悪役みたいな笑みである。そうこうしていると新島生徒会長の放送が聞こえてきた。

 

『まもなく清掃活動終了です、食べたあとのゴミは捨てずに所定の場所に集めてください。今日はそのまま解散になります、お疲れ様でした。』

 

どうやらもう清掃活動は終わりらしい。まぁほとんど綺麗にしたの蓮達だけど。

 

新島生徒会長の放送が聞こえると周囲の生徒達もどんどん帰宅していく。しかし彼らはまだ新体操の練習をしたりないらしい。

 

「清掃活動は終わりみたいですね、折角ですしもう少し基礎練やっていきますか?」

 

「ぜひ頼む」

 

芳澤の提案にすぐさま承諾する蓮。二人揃ってステップを踏み、微笑み合う。まだ拙い蓮をリードするように芳澤は華麗に踊り、舞う。軽い準備運動程度で終わらせると笑顔で握手をした。ディズニー映画みたいなことしてんな。

 

「分かりました!先輩ならきっと立派な新体操選手になれますよ!」

 

「押忍!」

 

「なんか目的すり替えられてないか?」

 

 

めちゃくちゃ新体操の練習をする彼らをバックに、モルガナのツッコミは青空の果てに消えていった。

 

 

練習のおかげで少し早めにタンブリングを習得した!

 

ついでに動きがより軽やかになった!速ステータスが上がった!

 

 

*1
そう語る本人の蔑称は屋根ゴミ

*2
そうか?

*3
おまえは何を言っているんだ

*4
なお、惣治郎の顔には笑みが浮かんでおり超鬼MAXスパルタモードであるとする

*5
チクチク言葉




この作品、脱線ばっかりしてんな

謎の声、一体誰なんだ・・・

次回、べっきぃ
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