L知ってるか、労働による疲労は思考すら奪う。何が言いたいかと言うと文章を言語化出来ずに全く進みませんでした。もうペルソナ5Xが始まってるというのに・・・。まぁ遅いのは今に始まった事じゃないし、ええか。
あ、皆さんグランドセイバー誰にしました?私は紅様です。ちゅちゅん。ちなみにバサカは水着ノッブ、是非も無いよね!
斑目改心を見届けた2日後。打ち上げとしてルブランで鍋パをしようと言う話になり放課後渋谷駅に集まった面々。別高の祐介と合流出来た彼らは早速ルブランへ向かおうとしていた。
「祐介、お前なんだその荷物・・・」
「む?」
「いや、む?じゃねーよ。なんで旅行みてーなキャリー持ってんだっつの。」
竜司がそう指摘すると全員の視線が祐介の荷物に集まる。そこにはキャリーバックに大きめの画材が固定されている。これから鍋パという時に持ってくる荷物では無いことは明らかだが、それを持ってる祐介は指摘されて初めて「ああ」と漸く気が付き事情を話す。
「実は寮を出ることにしたんだ。不潔な上に騒がしすぎる・・・あそこで芸術は生まれない」
「はぁ!?マジかお前!住むとこはどうすんだよ、あばら家も嫌なんだろ?」
まさかの返答に目を剥いて驚愕する竜司。ちょっと人と思考がズレている祐介は何故か堂々と言い切る。健康的、環境的にはあばら家よりマシなのでは・・・という声を竜司はぐっと飲み込んでいた。空気を読む程度には彼も成長しているのだ。
「だからこれから高巻さん・・・いや、杏の家にと。安心してくれ、手土産も当然用意した。ご両親の口に合えばいいんだが。」
「はぁ!?ダメに決まってんでしょ!?」
「ば、ばかな・・・!?」
話の矛先がいきなり自分に向き、しかも突然コナン君ばりの転がみ込みをしようとしてくる祐介に冷静さを保てない杏。当然、すぐさま拒否してぶった斬る。断られるとは思ってなかったのか愕然として項垂れる祐介、そんな彼にニコニコと笑顔を浮かべる阿修羅・・・志帆が近寄って行くのを恐怖に震える蓮は止めることが出来なかった。
「そういや八割本気っつってたな・・・」
「手持ちの全財産をはたいた和菓子が・・・」
「祐介?ちょっと利き手じゃない方出して?」
「む?急にどうしぬおおおおぉぉおぉおおぉぉ!?!?」
そうして素直に差し出された手を躊躇無く捻りあげる志帆。利き手じゃないだけまだ彼女の中の理性と良心は消えてないようだがそれでも一切の躊躇いがなかったのが怖い。
まぁ非常識に人の家に転がり込もうとした事に対する罰だと考えれば妥当だろう。常識人寄りなのに何故たまに思考が極端にぶっ飛ぶのか、これが分からない。
誰かが聞けばお前だけは言うなと総ツッコミをされるであろう事を蓮が考えていると、カバンの中から頭だけを出したモルガナが不敵な笑みを浮かべながら名案があると語り出した。
「ふっふっふっ、吾輩にいい考えがある。祐介は貴重な戦力だからな、ここは吾輩達が一肌脱ごうじゃないか!」
「何か考えあるの?」
「うちに来い!少し薄暗い所だが意外と快適だぞ!」
にゃーん!と自信たっぷりに祐介に同居許可を出すモルガナ。しかし悲しいかな、彼も蓮も居候の身なので決定権など存在しないのである。自慢じゃないが、惣治郎には頭が上がらないぜ(弱気)
「それはありがたい・・・!」
「いやそれ居候先の許可いるでしょ・・・」
「鍋パのついでにダメ元で聞いてみよーぜ、んじゃ案内頼むわ。」
「りょ」
という訳で電車に乗ってルブランへとゴーする蓮達。時折聞こえるバッティングの音や人々の生活音、程よい静寂と活気に包まれた四軒茶屋。駅から少し歩けば直ぐにお目当てのルブランは目に入った。
やや前時代的な、言い換えればレトロな雰囲気を放つルブランの前に立ち尽くしまじまじと眺める竜司達。現代っ子な彼らにしてはどうも物珍しいらしい、蓮とモルガナはその後ろでドヤ顔をかましていた。
「おぉ〜・・・なんっつーかー・・・古い?昔っぽい?こういうのなんて言うんだっけ?」
「時代の波に揉まれながらも根強く現代まで残り、しかし表に出過ぎず影でひっそりと続くノスタルジー溢れる外装・・・まさに『レトロ』を体現したような店だ。素晴らしい。」
「あーそれそれ、レトロな。レトロ。」
「ねぇ、ずっと前で立ってるのも変だし中入らない?」
「おっとそうだな、んじゃおじゃましゃーす!」
杏に促されて早速ドアノブに手をかけ元気よく声を出しながら店内へ入っていく。普段は静かに小さく鳴るドアベルもこの時ばかりは竜司のように喧しく店内に鳴り響く。そんな聞き慣れない音量に少し驚きながらも挨拶を欠かさない惣治郎は店主の鏡である。
「お、おお。いらっしゃい・・・ん?お前さん達・・・」
「どもっす!おお、中もレトロだ。」
「お邪魔します!」
「どうも」
「営業中にすみません」
ぞろぞろと入ってくる目を丸くして学生達に珍しいと思いつつ、見覚えのある制服だと気がついた所で最後に蓮が入ってきて合点がいったと顎を撫でる。
「ああ、別にいいよ。そういや、友達連れて来るって言ってたな。忘れてたよ、俺も歳か・・・。」
「はい、ソウル↑メイト↓です」
「発音おかしくねぇかそれ、にしても女の子まで・・・しかも二人」
意外そうにそう言って杏と志帆を見ると二人はぺこりと頭を下げて笑顔を浮かべる。女子高生の可愛らしい笑顔に惣治郎もメロメロ・・・までは行かずとも目が潤ったのか微笑ましいものを見る表情になる。
「蓮にはいつもお世話になってます!」
「世話かけられてますの間違いじゃねぇの?」
チラリと蓮を見てニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべる惣治郎。そんな彼に失敬な!と言うようにむんっと胸を張る蓮、さぁ二人とも言ってやりなさい!
「いや、まぁ・・・それもあるか、な?」
「でも、寧ろ助けられてる方が多いですよ」
あれ?と二人から出てきた本音にプスンと空気が抜けたようにへにゃる蓮。何度も言うがお前の評価は頼りになるが手のかかる問題児、つまりクレヨ○しんちゃんと同等なのだ。その謎に高い自己評価を改めろ。
そんな蓮の様子に笑いを堪えながら、普段とは違う一面を見た事に一応の保護者として少し喜びを感じていた惣治郎。フッと笑みを零すと彼らのために珈琲を入れる準備を始めた。
「否定はしないのね・・・ま、仲良くやれてんなら何よりだよ。座んな、奢るぜ。」
「どうもどうも」
「お前は手伝え」
我先に座ろうとした蓮の頭をスパンとクロスワードの雑誌で頭を叩き、裏方へ強制的に移動させる。のそのそと手伝いに入る蓮に仲良くやってるんだとこちらも何故だか保護者目線で安心する竜司達。どんだけ各方面から心配されてんだ。
「はいよ、お待ちどうさん」
コーヒーマイスターである惣治郎が持てる技術全てを注ぎ込み、ついでにほんの少しの心を込めて淹れた極上のルブランコーヒーが竜司を除いた3人の前に差し出される。竜司にはまだコーヒーは早いので1人だけコーラフロートである。蓮が勝手にフロートにした。ふはは、目をキラキラさせておるわ。
「ありがとうございます!わぁ、いい香り・・・」
「では早速・・・おぉ、なんという深み」
「ほんとだ、美味しい」
惣治郎手ずから淹れたこだわりのルブランコーヒーを味わう3人。インスタントでは感じられない職人が作り出す深みとコクに思わず唸ってしまう。まだまだ人生十数年の若輩だが、そんな中でもこれが最上級のクオリティだと容易に味わいとれた。
「そんなにかよ、どれどれ・・・」
そんな3人のリアクションを見てそんなに美味いの?と気になってきた竜司。そわそわが隠しきれなくなり、好奇心に突き動かされるままに隣にいた杏のコーヒーを手に取ると迷いなく一口飲んでみた。
「うげっ!?にっっっが!?」
しかし苦味に弱い彼の舌はそのコーヒーのコクを受け入れられずに反射的に顔を背け、しかし零さないようにゆっくりとソーサーに戻してから一気にコーラを飲み、口直しをする。
「に、苦過ぎんだろ・・・俺絶対無理」
そう言って涙目になりながらアイスの甘味と炭酸が苦味を洗い流して上書きしてくれるの待っていると他の三人から生暖かい視線が送られてるのに気がつく。
「お子様舌」
「この深みを理解出来ないとは、哀れな」
「コーヒーは好みが別れるから・・・」
「うっせ!コーラの方が万倍美味いっての!!つーかコーヒー飲めるから大人って思ってる方がガキっぽいもんね〜!」
珍しく鋭い返しをみせた竜司だが、その手にコーラフロートを持ってる為あんまりカッコつかない。はい、1口サイズのプチパンケーキだよ。コトリと目の前に差し出されたそれを竜司は笑顔で食べ始めた。ますますカッコつかない。あ、皆もどうぞ。
「へっ、俺も若い頃は飲めもしなかったしな。ま、いずれ分かるさ。というか、お前さんら鍋パってのをやるんじゃなかったのか。あんま食うとそっちが入らなくなるぞ。」
「あ、忘れてた」
惣治郎が髭を撫でながら微笑ましそうにそう語ると、ふと本来の目的を思い出し学生諸君に注意をする。まぁ育ち盛りで食べ盛りな年頃の彼らには要らぬ心配だろうが、友達同士での楽しみの時間を削ってしまうのも何だか勿体なく感じたのだ。歳食った影響かねとまた顎髭を撫でると洗い物をしている蓮に声をかける。
「鍋は台所から適当に持ってっていいからな。コンロは上にあったろ、それ使え。ああ、あとあんま騒ぎすぎないでくれよ、近所からクレーム来ちまう。」
「ラジャーです」
総治郎からのお願いにビシッと敬礼で答える。普段より上機嫌な事から察するにこいつ友達の前だからはっちゃけてんなとまた彼の年相応な部分を見てやや嬉しそうにしていた。なんだかんだ蓮の事はかなり気に入ってるのだ。
「ありがとうございますマスター!」
「うし!んじゃ蓮の部屋行こうぜ!実はずっと気になってたんだ!上だよな?あ、コーラごっそさんっした!!」
「素晴らしいひと時をありがとうございます、機会があれば是非また」
「ご馳走様でした、本当に美味しかったです。あ、竜司!カバン忘れてるよ!」
「あ、わりーわりー!」
それぞれ総治郎にお礼を言うとワイワイガヤガヤと騒ぎながら蓮の部屋へ上がっていく竜司達。そんな彼らの後をエプロンを解きながらついて行こうとする蓮を総治郎はニヤニヤしながら揶揄う。
「へっ、学生らしく騒がしいこった。にしてもお前、あんな可愛い子達と友達とは、中々やるじゃねーか。で?どっちの子が本命なわけ?」
まさかこの時期にこの手の弄りをしてくるとは想定外だった蓮は吹き出しそうになるのを何とかこらえた。こういうのは派手にリアクションをとると更に弄られるのだ、スキを見せるわけにはいかない。
「フレンドでライクですよ、ハニーでラブじゃないです」
グッと一瞬硬直し、拗ねるように顔を背けながらそう答える蓮にへぇ〜と更にニヤニヤを加速させた総治郎が彼の頭をガックンガックンと激しく撫で回す。総治郎程の年齢の人は恋愛関係の話になると途端に面倒くさくなるのだ。蓮にしては非常に珍しく嫌そうな顔をしている。
「冗談だよ、なんだ案外可愛い反応するじゃないの。意外と初心か?」
「シャーッ!!」
ケラケラと笑いながら撫で続ける総治郎の手から逃れ、まるで猫のように髪の毛を逆立たせながら威嚇する蓮。流石に揶揄われ続けるのは嫌だったらしい。
「おわっ、モルガナみてぇな反応しやがって。ほら、お前もさっさと行けよ。あんま友達待たせんな。」
「フギャーッ!!」
分かっとるわい!と言わんばかりに人語を失い、威嚇をしたまま鍋を持ち、ドタドタと竜司達の後を追う。その挙動はもう完全に不機嫌になった猫そのものだった。
「やれやれ、へそ曲げちまったか。後でコーヒーでもやってご機嫌取らねぇとな」
「あの・・・・・・」
本当に猫のような扱いをし始めた総治郎は後で腕を奮ってコーヒーを振る舞おうと考えているといつの間にか入店してきていたのか、パリッとしたスーツ姿の男性が立っていたことにようやく気が付いた。
最近、ちょくちょく来店するようになったお客であり常連になりつつある男性である。特徴として何故か右手にだけ手袋をしてるので最近物忘れをし始めた頭でも大変わかりやすい。
「ん?ああ、すまねぇ気が付かなかった。いらっしゃい。ご注文は?」
すぐさまカウンターに入り注文をとる総治郎。その切り替えの早さに男性は少々面食らっていたが彼もまたマスターを待たせる訳にはとささっとカウンター席に座り上のメニューを見てから注文をする。
「あ、いえ。お気になさらず・・・えっと、ブレンドで。それと・・・カレーを。」
「あいよ・・・っと言いてぇとこなんだが上がちょいと騒がしくなる予定でね。出来るだけ大人しくするようには言ってあるんだが・・・落ち着いて飲めねぇと思うし、店側として言うのもあれだが店変えるなら今だぜ?」
申し訳なさそうに首の後ろを触りながらそう伝える惣治郎、まさかの提案に男性も丸くしている。本来なら1人でも引き止めたい筈の店側が店を変えることを勧めてきたのだ、驚きもする。しかしマスターとしても安らぎを求めてやってくる客側の立場も考えねばならない。彼はそういった気配りもパーフェクトなのだ。
「え、ああ、もしかしてバイト?の彼の・・・誕生日か何かで?」
「うんにゃ、そういう訳じゃねぇんだが」
「何にせよ、構いませんよ。ああいった青い春を感じさせる喧騒は嫌いではありませんので。」
フフン、と少しキザっぽくそう答える男性に惣治郎も客側がそう言うのなら、と笑みを浮かべながら準備に取り掛かった。
「・・・そうかい、悪いね。ならちょっと待っててくれ。今用意するからよ。」
「ありがとうございます」
そうお礼を言った男性はカウンター越しに慣れた手つきでコーヒーを挽く惣治郎の手元を眺めながら、先程の自分の発言を頭の中で反復させていた。
「・・・・・・青い春、か」
ポツリ、と惣治郎にも聞こえないほどの小ささでそう呟く。僅かに力が込められた右手。ギチリと繊維の悲鳴が聞こえる。そこに含まれていたのは過去の懐旧か、それとも・・・・・・。
バサッ・・・
「・・・・・・?」
手元を見ていた男性は何かがはためく音に顔を上げ、周囲を見渡す。しかし店内には風などふいていないし、テレビもただのニュースだけが流されていて音の発生源とは思いにくい。
ではどこから?不思議に思ったが、別に気にすることでもないかと考えると今度は入れ替わるように仕事や家庭のあれこれが頭の中に浮かんできてこれはこれで考えるの嫌だっ!と頭を振り、最終的に惣治郎の了承を得て古いクロスワードをやることに落ち着いた。
その後は豆を挽く音と、テレビのニュースの声をBGMにして無心でクロスワードを解く男性というちょっと面白い構図が出来上がり、少しして出てきたコーヒーとカレーを堪能した男性は良い休息になったと来た時より晴れやかな表情で退店するのであった。
そんなこんなで場面は竜司達が蓮の部屋に上がった所まで巻き戻る。
「おわーっマジか、めちゃくちゃ物置じゃん」
綺麗に掃除し整頓されているとはいえ、その風貌は間違いなく物置部屋。ここに住んでんの?と目を丸くする竜司とは裏腹に杏や祐介は感心した様におぉーと声をあげる。
「思ってた以上に綺麗じゃん!男子の部屋だしもっと散らかってると思ってた!」
「ああ、このノスタルジックを感じさせる雰囲気・・・素晴らしい」
2人共若干言葉の意味の違いがありそうだが、とはいえ褒められるのは悪い気がしない。寧ろめっちゃ嬉しい。蓮は鍋を片手で持ちながらいや〜と照れりこ照れりこと嬉しそうに後ろ髪をかいた。
「全然ホコリも汚れもない・・・蓮って綺麗好きなんだね」
「まぁモルガナもいるし、汚れてると飲食店的にね」
「あ、そっか」
「吾輩の尽力があってこその清潔感だぜ?なんだって吾輩、綺麗好きだからな!!」
えっへんと胸を張る彼をモルガナは凄いね〜と撫で回す志帆。いや掃除すんの主にコイツだろと蓮の肩にポンと手を置く竜司。喧嘩になるからお口チャックで。たまに外から汚れて帰ってきたモルガナの手入れの方が大変なのは心に閉まっておこうと慈愛の笑みで誤魔化し、鍋の準備をする。
棚に置いてあるこの日の為に綺麗にしておいたコンロを杏が持ってきて机の上にセットする。もちろんボンベもセット済みだ。
「コンロコンロ、あ、これか」
「うし、後は具材だな。んじゃ早速買い出し行こうぜ!蓮、スーパーまで案内頼むわ!」
「任された、というわけでれっつごー」
「「「「ごー!!」」」」
全員でゆるーく拳を突き上げてスーパーへ小走り・・・しようとしたが下でお客さんが食事をしてるのを見てすぐに静かになって迷惑にならないようにそそくさと店を出る。お客さんからの生暖かい視線に気恥ずかしくなったが、蓮だけは最近ちょくちょく見る
それに気づいた男性も、フッと笑みを浮かべて軽く手を上げて応えた。彼と蓮が顔を合わせるのは精々2、3回程度だが割と関わりを深めているらしい。
というのも、やはりこれまで常連どころか客として来店したのを覚えている限りでは見たことがない相手なのでこの人も何か重要なキーになるかも、という考えから不快にならないよう注意しながら出来る限りのコミュニケーションを取っているのだ。まぁまだ彼が仕事に疲れた社畜マンな事と何か酷く闇深い何かを抱えていること、妻がやべー人という事しか聞けてないが。
しかし、やはり彼には何か特別な
「何鍋にするよ、鶏鍋にチゲ、もつ鍋とかもいいな」
「シンプルな水炊き、あごだし、いや塩も捨てがたい・・・」
「豆乳は?まろやかで美味しいよ!」
「トマト鍋とかもいいかも」
近場のスーパーであるムラマサは徒歩1分もしないほど近くにある為すぐに着いた。蓮がカゴを持ち皆仲良く色々物色していく。まずは何鍋にするか、具材はどうするか、ついでにあれやこれやと思いつきで余計な物を買ったりしながら買い物を続ける。
「お、唐揚げの大パックが売ってんじゃん。買おうぜ買おうぜ!あと何個か惣菜系買ってくか!」
「刺身も買おう、出来るだけ鮮度がいいものを!」
「白菜に長ネギ、大根人参白滝、後はつみれとかお肉・・・ってこら!何も考えないでばかすかカゴに入れんな!そんなに食えないでしょ!」
「蓮、豆腐とか色々持ってきたよ」
「ありがとう志帆、む、新玉ねぎが安い。これも入れよう。」
「きのこも忘れんなよ!鍋の影の主役だからな!」
「ポテチ!コーラ!」
「じゃがりこじゃがりこ!」
「デカガキ共!バカみたいに菓子を持ってくんな!」
「杏、何だかお母さんみたいになってる・・・」
「こちらの方が鮮度が・・・いや、こっちか・・・?」
「蓮、主夫のこだわりはいいから早く買おうぜ・・・」
まぁ紆余曲折あったが無事買い物を済ませ、重いレジ袋を五人で分担して持ち帰ったら念願の鍋パの開催である!
今回はやっぱりシンプルに楽しみたいよねということで癖のない寄せ鍋にした彼らはぐつぐつと煮立つ鍋を囲って手を合わせる。
「んじゃ、準備も出来た事だし!リーダー!ここはいっちょ音頭を頼むぜ!」
「よし、では。今回は斑目改心の打ち上げということで、かたっくるしいのは抜きにして早速・・・・頂きます!」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
声を揃えていただきますをして、早速鍋を食べ始める。初手肉の奪い合いを始める竜司と蓮とモルガナのバカ3人、呆れた顔で野菜をよそう杏と微笑ましそうにしている志帆、汁を飲んで感涙する祐介。やいのやいのと下に迷惑の行かない程度に騒ぎながら楽しく鍋をつついていく。
「おらっ食えっ!祐介肉食えっ!」
「きのこ食えおら!」
「待て、俺はまだ野菜の深い味わいを・・・むごご!?」
「杏殿〜吾輩に豆腐食べさせてくれ〜!」
「はいはい、あ、志帆!これも美味しいよ!」
「ん、ホントだ。美味しい!」
「新玉ねぎ食え!祐介!玉ねぎ食え!」
「待て、俺は今白菜と対話を・・・むごご!?」
「モナ!刺身食えモナ!」
「おい吾輩を巻き込むな・・・むごご!?」
「・・・・・・!」
「・・・!」
━━━━━━━━━━━━━━━
「はー、食った食った。腹いっぱいだ。」
「これで数日は食わなくても動ける・・・」
「いや、飯は食えよ・・・」
買っておいた惣菜系も食べていって、すっかり鍋も空っぽになり祐介待望の締めのおじやも楽しんだ後、腹を休めつつ談笑をする蓮達。
「あ、そうだ。今思い出したんだけど社会科見学どこにするか決めた?私達はテレビ局にしたけど」
「あ?あ〜!社会科見学の事すっかり忘れてたわ〜、9と10だっけ?2日後か〜ダリ〜」
杏の質問にだらーんと椅子に寄りかかっていた竜司が顔を起こしてそう愚痴ると更に溶けたようにぐでーーんと椅子に倒れ込む。ほんとに嫌そう。
「めんどくせ〜・・・サボってやろうかな」
「おいおい、お前もう忘れたのか?目ぇ付けられんなって言ったろ。そういう行事にゃしっかり参加しとけ。」
「わーった、わーったよ。行きゃいいんだろ行きゃァ・・・」
「でもほら、テレビ局なら有名人とかいるかもしれないよ?」
「そーそー、女優とかいるんじゃない?」
「女優・・・」
もう顔に嫌ですって書かれてるぐらい嫌がっていた竜司の表情が志帆と杏の適当なフォローにみるみるにやけていき、最終的にノリノリになっていた。わかりやすくて助かる。
「性欲の奴隷め」
「すけべパツキンモンキーが」
「んだと!?これが健全な優良少年の反応だわっ!」
「まて、すけべ枠は魔性の男である俺に相応しいのではないか?」
「お前はお前で何言ってんだ!?」
下心しかないのが丸分かりな竜司に冷ややかな視線を向ける祐介とモルガナに思春期ボーイとして反論する。途中の屋根ゴミナルキッソスは気にしなくていい。
「アホ共だわ・・・ふぁ〜あ、なんか眠くなってきちゃった。ごめんちょっと寝させて・・・」
「おいおい食ってすぐ寝ると鶏になるぞ」
「それを言うなら牛だ、しかし肉付きの変化によるバランスの相違という点では許容が・・・」
「2人共、シャラップ」
失礼の極み、デリカシーという言葉を何処かに落としてしまった2人の眉間に怖い笑顔を浮かべた志帆が投げた菜箸が突き刺さる。それぞれ苦悶の声を上げて仰け反り、痛そうに眉間をさする。その間に杏は志帆の膝枕の上ですやすやと寝息を立てていた。
「寝るの早っ、なんつーかすげーな、胆力が。昔っからそうだったけど。」
「ふと思ったんだが、竜司。杏とはどういう関係なんだ?時折昔を知っている口ぶりだが。」
蓮に入れてもらった食後のお茶を美味・・・と堪能していた祐介がそう聞くと竜司は膝に肘をつき、手のひらに顎を乗せていたのを解き、話しやすいよう体を起こして両手を後頭部へ持ってきた。
「ん?ああ、こいつと俺
「昔の杏殿はどんな感じだったんだ?」
モルガナの興味津々な声にんー、と少し溜めてから答える。
「そんな変わんねぇよ、高校からは別クラスになったり問題起こしたりしてめっきり喋んなくなったけど・・・友達は少なかったな。」
「帰国子女で見た目もコレだからな、派手なヤツは勝手に嫌うし地味なヤツは寄り付かない。ほんっとくだらねー。」
「そうだったのか・・・」
「杏・・・・・・」
杏の見た目は言うまでもなく派手だ。髪色、容姿、服装。どれも彼女を構成する大事な尊い要素だが、『普通』からはみ出たその杭は叩かれるには十分過ぎた。思春期の、特に未熟さの大部分がさらけ出る時期にはその排他意識を敏感に刺激する。
持ち前の人懐っこさでいじめまではされなかったものの、その人懐っこさもおかしな噂に捻じ曲げられてしまったり。孤立はしなかったが、孤独感は強かっただろう。
その話を聞いた祐介は下らない決めつけにこの美が分からんとはと腹を立たせ、志帆はその過去を知っていたが改めて彼女の背負った傷を思い、彼女の頭を優しく撫でた。
「ではお前らはどうだったんだ?俺は過去をすっかり知られてしまったしな、お互いの事を知るために聞かせてくれ。」
「あー、別にいーけどよ。ただの親不孝モンの話だけどな・・・」
祐介の言葉に少し表情を暗くした竜司は自分の過去を話し始める。そこに普段の活発さはなりを潜めて懺悔をするように重苦しく言葉を紡いでいく。
「小さい頃、親父消えちまってさ。ずっとお袋と二人で暮らしてきたんだ。だからホントは陸上で特待生になってお袋に楽させたかったんだけどよ。けど高一ん時に鴨志田に手ぇ上げちまって、それでお袋学校に呼び出されて、教師連中から言いたい放題言われて・・・」
当時を思い返して、グッと握る拳に力が篭もる。自分の中の正義と短絡さの相乗により後先考えずに行動してしまったあの時。あの行動を間違ったとは思っていないが、その結果多くの物を失ってしまった。居場所も、夢も、歩む道さえも。今でこそ振り切っているが当時は酷く思い悩んだものだ。
「お袋、じっと我慢してたんだ。あん時のお袋の顔、今でも忘れらんねぇ。帰りに謝られたよ、片親でごめんってさ・・・ちげぇんだ。俺はお袋にそんな顔をさせたかったんじゃねぇのに。謝るのは俺の方だってのに・・・。」
手段を、選択を間違えた事で大事な母に辛い思いをさせてしまった。その後悔はずっと竜司の中で重く固く残り続けていたのだろう。それは怪盗団になった今でも変わらない。
そんな彼の姿を見て祐介も神妙な面持ちで口を開く。
「・・・学校は『みんな平等』と教えるが、現実はそんなに綺麗事ばかりじゃない・・・気持ちは、俺にも分かる。」
大人の悪意という理不尽に振り回されたもの同士、寄り添うことが出来る。祐介なりの励ましに竜司は暗い表情を消してニッと笑うと隣に座る蓮の肩に腕を置いて親指で指さした。
「ま、レッテルって言ったら蓮も大概だけどな。」
「例の話か」
「そういえば詳しく聞いたこと無かったな。」
竜司の言葉に反応した祐介とそこそこ寝床を共にしてるにしてはその辺踏み入ってなかったなとモルガナも興味を示す。志帆も聞いていいのかとちょっとモジモジしていたがやはり興味はあるようだ。
そんな彼らの反応を見てひとつ頷くと手に持ったコーヒーをゆっくりと机に置き、自身の過去、その詳細を語り始める。
「そうだな、俺も話しておこう。思えばあの日から全てが変わった────」
前は巫山戯た感じだったからな、こんかいは真面目に語るとしよう。
そう、この物語の序章にして地獄の入口・・・・・・
『
雨宮蓮に対するみんなの認識は手のかかる弟かつ頼りになる兄、ハスキーのようでラブラドール。かけがえのない友達。
謎の男性・・・一体何統志郎なんだ・・・尚、コミュを重ねても自分の身分や過去はほぼ話してくれない模様。まぁ政治家が完全プレイベートで来てるのにそんな事話す訳ないし・・・しかも段々仕事と家庭の板挟みで精神を蝕まれ来店回数も減っていく。
会話イベントを重ねると最終的に『??の旗(偽)』が手に入る。スキルは追加スキルでパルチザン。この世界では彼との接触がとあるルートのフラグになるらしい?
ていうか何気なくお気に入り作品を古い順に見返そうと思ったら初手で非公開になってて超絶萎え