地球と呼ぶ星でありふれすぎている職業で世界最強……? 作:Doelman
場は静まり返り各々がどうやって帰還できるかを模索するなか、現状として誰が発言してもすぐさま大きく燃え上がるため誰も彼も口を開かない。だがこの空気のなかで重たい口を開いたのはハジメだった。
「イシュタルさん。どこかに盗聴される心配の無い部屋はありますか?」
「フム、それであるならば人払いでも……」
「いえ、イシュタルさん
「私もですか。それはなんでまたそのようなことを?」
「僕たちはいきなり召喚されて戦争参加してくださいとつい先程言われました。だからと言ってすぐさま肯定の意を示せるほど柔軟ではありません。そのため戦争参加の有無の方針を決定するための時間が欲しいのです」
「そうであるならば仕方ありませんな。確かにいきなり来ていただいて右も左も判らないにも関わらず参加を強制するのはあまりにも酷でありますからな。分かりました、案内いたしましょう」
「有難う御座います」
イシュタルが席を起ちこの巨大な広間のなかで唯一の観音開きのドアに向かう。その他も少しづつ席を離れイシュタルの後ろを着いていく。体感にして数十分後、先程よりも小さな扉の前で立ち止まった。
「皆様が入ることができる広さの部屋ですとここが最大となります。これ以上小さくなると身動きが取れなくなりますが」
「ええ充分です。有難う御座います」
「既に人払いは済ませております。会議はご存分に。あぁそれと時間はいつぐらいがよろしいですかな?」
「では二時間後でお願いできますか?」
「分かりました。後程従者を行かせましょう。ではこれにて」
「はい後程」
イシュタルが去り皆部屋に入り席に座る。ある程度のグループに別れつつ現在主導権を握っているハジメの方を向く。遠藤に頼み盗聴機の類いを調べさせてから漸く話始めた。ちなみにここまで天之河が騒がない理由はあの広間から出る直前に坂上から猿轡を咬まされた挙げ句両手足を縛り上げられ俵担ぎで運ばれたためである。現状は更に椅子に括り付けられているが。
「皆ここで口を閉じても何一つ変わらない。まずはここで戦争参加の有無を決めようと思う。細かいことはあとで考えて、勿論彼らの戦争理由も。僕たちが現状手段で帰還できる方法は魔人族を倒し戦争を止めること、そしてエヒトと呼ばれる神様に頼むこと。これ以外にも手段があるならはそちらも参考程度に。それらを踏まえた上で方針を決めない限り僕たちが居た世界には還れない。還るなら早めの方がいいと思うんだ」
「それは間違ってはないんだがなにも判らない以上どうも出来ないだろ」
「ここでこうやってもたついて時間を浪費するよりも幾分かましな論だぜ、彼奴よりも」
「うん、最終的な結論はそこに行き着くよね。けど無条件に話を信じこんで戦争になった理由を知りもせずに参加するのは広義の意味での狂人に該当するよね」
「その部分は今は置かせてもらうね。じゃあ現時点でのことを決めようか。周りに流されずに自分で決めてね。戦争参加の人は挙手をして」
「ありがとう。では不参加の人は挙手をして」
「最後にまだ定まってない人は挙手をして」
「うん、これで決定だね」
これが全てだった。参加不参加の自由は個人であるし、一人の決定が全体の意思ではないことは明白であった。
「賛成の人たちはひとまず訓練かな。たぶんここの人たちが場所を提供してくれると思いたい。反対の人たちは情報収集を。特にこの世界の歴史と戦争の原因を調べて欲しい。その部分を知らないとなんのために戦争を行っているのか、根本的なものが揺らぎかねないからね。不明瞭の人たちはどっちについても構わないよ。僕たちには強要させる謂れはないからね」
そう締め括り細かなことの説明、情報の整理、生存率をあげる上で何が必要なのか等々、様々なものを議論しきっちり二時間後に来た従者に案内され広間に戻った一行はイシュタルに参加する人員などを報告。自分達の安全を確保するための宣誓書を取り付けまず第一の関門をクリアした。*1
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翌日から訓練と座学が始まり全員に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。訓練の前にいきなり板状の物を渡され拍子抜けた顔をする一行にハイリヒ王国騎士団団長
「むしろ面倒な雑事を副長(副団長のこと)に押し付ける理由ができて助かった!」
と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫であろうが、副長さんは大丈夫ではないためハジメは心の中で合掌した。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
身分証明書にしてはデカすぎる。現代の生活様式に慣れたハジメは彼の性格だったり話し方を特に気にしておらず全く的外れなことを思い浮かべていた。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
アーティファクトという聞き慣れない単語に天之河が質問をする。
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
学生時代に父親の手伝いをしていたためこの方面に対することは結構知っているものの、良くも悪くも社会に染まりなおかつ技術に対する保護が徹底的に強い職業に勤めているためそういうことに敏感になっているハジメだった。
全員が針に指を刺しプレートに血を垂らすとプレートが光りステータスが表示された。
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南雲ハジメ 30歳 男 レベル:1
天職:錬成師 軍人
筋力:120
体力:150
耐性:210
敏捷:70
魔力:50
魔耐:40
技能:錬成・誘導・射撃・圧力耐性・視覚強化・射程延長・第六感・武術・体術・最適処理*2・レーダー照射*3・ステルス*4・兵器同時管制*5・グラスコックピット*6・ワイルドウィーゼル*7・言語理解
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ゲームのステータスのように表示されてはいるがどう考えても
「ハジメくん、どんな感じだった?」
「ハハハ……今ちょっと現実逃避してる……」
「どういうこと?」
「これ見れば分かるよ」
ステータスプレートを渡し技能の欄を指差す。
「あー、成る程。けど私もそんな感じだったよ?」
「え゛」
そう言って香織はステータスプレートを見せた。
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南雲香織 30歳 女 レベル:1
天職:治癒師 軍医
筋力:60
体力:70
耐性:40
敏捷:60
魔力:390
魔耐:300
技能:回復魔法・光魔法適性・魔力高速回復・応急処置*8・高速縫術*9・ダメージコントロール*10・地形把握*11・言語理解
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確かにそういう感じで記載されている。一部は完全にこの世界由来の技能であることは明白にしても、ダメージコントロール・・・通称ダメコンはどうあがいても処置方法であって技能じゃない。プレートを見ていきながらハジメの顔から表情が消えたのは仕方なの無いことかもしれない。二人が見せあいをしている間に国庫の武器大放出だったり勇者の天職が現れたなどと歓声が上がったりしていたがハジメにはほとんど聞こえてはいなかった。ちなみに後で合流した八重樫のステータスプレートを見せてもらったときも同じ顔をしていたが。*12
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天之河光輝 30歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:250
体力:250
耐性:250
敏捷:250
魔力:250
魔耐:250
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・魔力高速回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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籐賀愛子 38歳 女 レベル:1
天職:作農師
筋力:15
体力:30
耐性:20
敏捷:30
魔力:300
魔耐:50
技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
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八重樫雫 30歳 女 レベル:1
天職:剣士 自衛官
筋力:70
体力:90
耐性:80
敏捷:120
魔力:60
魔耐:60
技能:剣術・縮地・先読・レンジャー徽章・格闘徽章・空挺徽章・射撃徽章・体力徽章・言語理解
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高速魔力回復の技能ですが言い回しが何か変だったので魔力高速回復に変更しました。