ストーリー・フェイト──巨人も魔獣も悪魔も邪竜も神さえも悉く討ち斃す最強の先輩が、ある日突然女の子になってしまったのですが。一体、後輩の僕はどうすればいいのでしょうか── 作:白糖黒鍵
「えー、それでは作戦会議を始めるとしましょう」
朝。場所はホテル『
「……作戦会議、ですか」
「はい。作戦会議です」
こほん、とそこで一旦息を整えて、フィーリアさんが続ける。
「まず、私たちがこの街に来てから、今日で二日目です」
「そうですね……」
そう、僕たちがこの街に訪れてから、既にもう二日目である。つまり今回の
──なのに、僕はなんの情報も掴めてない……。
その事実に対して、打ちひしがれる僕に、フィーリアさんが言葉をかけてくる。
「そう気に病む必要はありませんよ。ギルザ=ヴェディスに関しての情報は、私が粗方集め終わっているんですから」
「そ、そうですね……はい……」
恐らく僕のこの様子を見かねての言葉だったのだろうが、残念ながら逆効果である。
無力感と劣等感に苛まれる僕を、少し気の毒そうに眺めて、それから先輩やサクラさんにも視線を送って、フィーリアは口を開いた。
「まず、ギルザ=ヴェディスに関してですが──当然、相当用心深い性格で、表舞台に出てくることはまずないでしょう」
「…………」
まあ、裏社会の住人が進んで表舞台に顔を出す訳がない。つまりそれが意味することは──
──間に合うのか?僕たちは……。
だが、そんな僕の不安を見透かすように、フィーリアさんは不敵に、小さく笑った。
「ですが明日──奴は間違いなく、表に出てきます」
「え?」
得意げにしながら、フィーリアさんは懐に手を差し入れ──そこから三枚の小さな封筒を取り出した。
そしてその封筒を軽く宙にへと放り投げる。無造作にも放たれたその封筒らは、散らばることはなく、それぞれが僕たちの前に着地した。
「……あの、フィーリアさん。これは?」
未だに得意げにして、「フッ」という台詞が付くような微笑を携える彼女に、僕は尋ねる。
「これですか?これは、招待状です」
「招待、状……?」
困惑しているのは、僕だけではない。フィーリアさんを除いた二人──先輩とサクラさんも、恐らく僕と同じような表情を浮かべていた。
そんな僕らに、やはり得意げにしてフィーリアさんが喋り出した。
「実は明日、この街の──まあ、俗に言う
「ほう。舞踏会か」
サクラさんの相槌にフィーリアは得意げなその表情を少しも崩すことなく、さらに続ける。
「ええ。それでこういった催し物には
そう言って、ふふんと得意げな表情を、今度は挑戦的なものに変えてフィーリアさんは僕らに差し向けた。
彼女の言葉に、頭を回転させる。
──広告主……ああ、なるほど。
結論を出すのに、さほど時間はかからなかったが──
「ギルザ=ヴェディスが広告主、ということか」
──僕よりも先に、サクラさんが
「その通りです、サクラさん。それとウインドアもわかっていたみたいですね」
そこでカップを持ち、静かに
……ちなみに、言うまでもないというか、言うことではないこともないかもしれないが、先輩は特に考える素振りも見せず、ただただ目の前にあるケーキを食べていた。実に美味しそうに。
まあそれはともかく。ごくんと珈琲を喉奥に流し込んで、フィーリアさんが口を再度開く。
「ですので、今日はその
「え?」