二つに断たれた【
「……え……?」
それを最後まで見届けたフィーリアは、そんな間の抜けた声を漏らさずにはいられなかった。直後、彼女は僅かに震える声音で続ける。
「
と、まるで
「一体何をしたんですか『極剣聖』ッ!?そんなただの鉄の塊一本で、こんなのいい加減
もはやフィーリアに余裕はなかった。今まで取り続けてきた、傲岸不遜な態度がまるで嘘だったかのように。すっかり動揺してしまい、恐慌に囚われた見た目相応の醜態を。今はただ、彼女は晒すしかないでいた。
そんなフィーリアに対して、サクラは静かに答える。
「斬った。ただそれだけだ。別に何も特別なことはしてないよ」
「ふッざけんなッ!それが土台無理な話だからわざわざ訊いてるんですよ私は!貴女自分でもどんな無茶苦茶吐いてるかわかってます!?」
「……君
と、申し訳なさそうにそう言うサクラ。そんな彼女の話を聞いたフィーリアといえば、まるで自分には全く以て理解不能な
──昔から……?いや、何ですかそれ。
君も────そこから察するに、自分と同じような反応をされるのはこれが初めてではないらしい。一体どういう経緯かは知る由もないが、サクラによって己が魔法を斬られた顔も知らぬ
──一体、何なんですか……?本当に、貴女は……。
思わず地面にへたり込んでしまいそうになる虚脱感に苛まれながらも、それでもどうにか両の足に力を入れ、フィーリアは立ち続ける。無意識の内に、息も荒くなる。
「それはそうと、前言撤回だ。そして今までの非礼、どうか許してほしい」
そんなフィーリアの状態を知ってか知らずか、何の脈絡もなくいきなりサクラがそんなことを言い出す。
「……急にどうしました?」
と、フィーリアは静かにそう返す。時間が経ったからか、ようやっと頭が理解してくれたからか、はたまた自らの敗北を悟ってしまったからか────
そんな自分に対しても、理解不能と思うフィーリアに。サクラは正面から、きちんと向かい合って、彼女に言う。
「
──嫌味かよ。
口にこそ出さなかったが、フィーリアはそう呟かずにはいられなかった。
こちらの魔法が一切通用しない上に、【
閑話休題。ともかく、先程も自分で挙げた通り、もうここでフィーリアは敗北を悟っている。正直、勝てる気がしない。
……なのに。
「故に改めて、是非とも立ち合いたい────『天魔王』フィーリア=レリウ=クロミア」
自分にここまでの敗北感を、二十年の月日を経てようやっと覚えた敗北感を与えた張本人は、この決闘を続ける気満々で。
「……」
違和感。本来であれば、そうはしなかった。
「はい。私も、是非────『極剣聖』サクラ=アザミヤ」
もはやラグナ=アルティ=ブレイズなどどうでもいい。既に費やした労力と釣り合わない。これ以上は時間の無駄────だというのに、何故。
──私、どうしちゃったんだろう。
そしてそれは今に始まったことではない。つい先程も、フィーリアはこれを感じていた。だがその時はただの気の所為だと切って捨てた。
故にだからこそ、ここにきてフィーリアは理解した────否、気がつかされた。
「では、続けようか」
「ええ、続けましょう」
そこで唐突に、フィーリアは思い出す────
『私以外に負けんじゃないわよッ!この貧乳合法幼女ォ!!』
──負けたくない。
そして今になってようやく、フィーリアは自覚した。
──そっか。私って、負けず嫌いだったんだ。