「付いて来な。話してやるよ、全部」
そう言われ、アルヴァさんと共に僕たちは『
全員が全員、困惑状態の半ば
「……さて。全部話してやるとは言ったけども……一体何処から話せば良いのか」
そう言って、椅子に腰掛け執務机に肘を突き、組んだ手を顎に当てながら、アルヴァは少し悩ましそうにする。そのすぐ隣では、ナヴィアさんがばつが悪そうに立っていた。
「まあ、取り敢えずだ。あんたら、フィーリアとは会えたのかい?……あの魔石塔の最深部で、さ」
そのアルヴァさんの問いかけに対して、少し遅れて僕と先輩だけが小さく頷く。サクラさんは、何か考え込んでいるのか俯いていた。
「……フィーリアさんは、自分のことをアルカディアと──『理遠悠神』アルカディアだと名乗って、いました」
僕がそう言うと、アルヴァさんは特に驚く様子も見せず、ただそうだろうねと、一言だけを僕に返した。
再び、その場の誰もが黙ってしまう。執務室が静寂に包まれる。が、それを破ったのは──
「一つ、訊ねたいことがある」
──先程俯き、何か考え込んでいたサクラさんだった。彼女はいつの間にかその顔を上げており、黒曜石と見紛う瞳で、アルヴァさんのことを真摯に見つめていた。
対し、アルヴァさんは口を開かなかった。サクラさんと同じように、黙って彼女もまた、紫紺色の瞳をサクラさんに向ける。それがアルヴァさんなりの了承の合図なのだと僕はわかっており、そしてそれはサクラさんもわかったらしい。少し遅れて、彼女が口を開く。
「お二人は……いや、アルヴァ殿は知っていたのか?この事を……貴女は元から、全て知っていたのか?」
そのサクラさんの問いかけに、アルヴァさんはすぐには答えなかった。……ただ、気持ちばかりその瞳に、翳りを差して。それからゆっくりと、アルヴァさんも口を開いた。
「ああ。知っていたさ」
アルヴァさんの返答に対して、サクラさんが何か言うことはなかった。スッと彼女へ向けていた瞳を細めて、口を開こうとしたが、閉じたのだ。
何か言いたそうにはしていたが、結局サクラさんは何も言わず、少し複雑そうな表情を浮かべ先程と同じように俯いてしまう。そんな彼女の様子を目の当たりにして、妙だなと思いはしたが──それよりも、アルヴァさんに向かって僕は口を開いていた。
「し、知っていたって……フィーリアさんが『
もしそうなら、何故話さなかったんですか。何故今まで黙っていたんですか────僕はそこまでは口に出さなかったが、それでもアルヴァさんには充分伝わった。依然その紫紺の双眸に翳りを見せながら、彼女は言う。
「ナヴィアにはそこまで話しちゃいない。この子にはただ、
そこまで言って、アルヴァさんは躊躇うかのように一瞬黙ったが、こう続けた。
「
世暦九百八十三年。フォディナ大陸首都────マジリカにて。この日この時、彼女は苛立ちながらも、目の前に聳え立つその塔を下から眺めていた。
「…………何だって
心を煮えさせる苛立ちを乗せて、ぽつりと忌まわしそうにぼやく彼女の名は──アルヴァ=レリウ=クロミア。大魔道士と謳われるレリウの名を継ぐ、謂わば今代の大魔道士にして、『六険』序列第二位の元《S》
「全く。やれやれだよ」
尚もそうぼやいて、彼女は懐から一本の
うんざりとした様子で、鬱屈そうに紫煙を吐き出しながら、アルヴァは塔を見つめる──何ら変わりのない、特に変哲のない石塔を。
しかし、アルヴァは知らなかった。その最深の最奥にて、この