METAL GEAR × Arknights   作:安曇野わさび

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2日ほど間が空いてすいません、製造兼サービス業は辛いっす。


潜入開始

龍門の市街、スラムに相応しい服装。

エクシアの指示の通りに、露天に並ぶ見切り品の服に着替えたジョン達(ジョンが異常なまでに被り物に興味を惹かれていたのを、アーミヤ達オペレーターが必死に止めた)。

通気性の良い、近世の漢服にも似た、色合いの薄い緩やかな服装。

元のローブとあまり変わらない服装にジョンはすぐに慣れたが、アーミヤ達オペレーターはどこか慣れなそうにしている。

 

また、ジョン達は服装に着替えてからも目立たないように細心の注意を払った。

ゲートから追い出されるように、まるで龍門の中心街に侵入しようとして失敗したように、龍門の兵士たちに追い出される形で、そこを後にした。

自然とジョン達の周りに人が集まる。

 

「あんた達大丈夫か…」「馬鹿なことしたなあ」「命があっただけマシさね」

 

「…ああ、ありがとう」

 

ジョンは集まった人々をかき分けながら、スラムの人々にその存在感を溶け込ませていく。

長きにわたる逃亡生活からか、その手のことには慣れていた。

アーミヤはまだしも、オペレーター達は不慣れなようであったが。

 

「ゴホゴホ…」「いやあ…酷い目にあったー」「痛い痛い」

 

「…」

 

明らかに浮いた何人かのオペレーターの腕をジョンは引っ張って進む。

 

「…良いか、舞台役者じゃないんだ、無理に演技しようとするな」

 

「す、すいません」「こう言うのは初めてで…」

 

「ドクター」

 

アーミヤが民衆の輪から抜け出してジョンの隣に並ぶ。

 

「アーミヤ、他の者達は?」

 

「リスカムさんとフランカさんは既に、別口で先行を…。

ジェシカさんとバニラさんはエクシアさんの指示で動いています」

 

アーミヤの言葉を聞いて、ジョンはスカーフで隠した耳元のインカムのスイッチに手をかける。

 

「…全隊、返答せずにそのまま聞け。

インカムの感度調整も兼ねる。

目立った行動は避け、周りの視線に気を配れ、会話や喧騒の内容を聞き逃すなよ。

報告は目立たない場所で行うこと、常に仲間の位置を把握しろ。作戦開始」

 

その言葉を皮切りに、民衆に溶け込んだオペレーター達が動き始める。

ジョンはスラムに立ち並ぶ露店に、自然な動きで目線をやりながら、ウェイとの会話を思い出していた。

 

 

「…君たちの具体的なプランを教えてくれ」

 

ウェイのその言葉を聞いて、口を開こうとしたケルシーを手で制止し、ウェイは続けた。

 

「しかし、しかしだ。

先ほども言ったが…」

 

ケルシーはウェイのその様子に苛立ちを隠さずに表情を固くする。

 

「…ロドスからの要求が高すぎる、ですね」

 

「その通りだ。

龍門が君たちの提示する「値段」に対し、妥当だと認めるには条件が二つある。

破格の条件だ…そう苛つかずに聞いてほしい」

 

ウェイはケルシーを微笑みまじりに眺めながら、煙管にタバコを詰め始める。

 

「1つ、この龍門に対する脅威に対し、近衛局と協力して全面的に当たること。

チェルノボーグから流れてくる連中もそうだが、既に内部で潜伏、活動している者達も含める。

加えて、感染者に関する情報を得たのであればそれを必ず、近衛局にも共有すること」

 

「妥当だな」

 

ジョンが葉巻を燻らせながら応える。

ケルシーはジョンを睨みつけ、それを見たアーミヤがジョンを肘で小突く。

 

「…では2つ目は?」

 

「2つ目は…そうだな」

 

ウェイはジョンを見ながらに応える。

 

「2つ目はこの体制でこちらの下す任務を終えてから、伝えよう。

もちろん、任務の内容はロドスの能力の範疇内、そしてその意思に反するモノではない」

 

「…意図が分かりません、周りくどいとお答えさせていただきます。

少しだけでも説明をしていただかないと…」

 

「…ではこう答えよう、ロドスは近衛局と協力してことに当たり、適切な対処を行う。

さらにその後処理に関しても、全面的に力を貸してくれ。

もちろん、君たちのできる範囲でだ。

…それがまあ、大まかな内容だよ」

 

「…」

 

ケルシーはウェイに疑念の目を送る。

 

「…この点に関しては詳しくは話せない。

だがこれ以上の妥協はないと、考えてくれ。

破格だぞ、これが受け入れられないのであれば、これまでの君たちの努力や我々の譲歩。

その全てが水に流れることになる」

 

紫煙の奥に見えるウェイの表情は、これまで見たことがないほどに硬く。

その言葉が冗談の類でないことを如実に表していた。

 

「…」

 

「ケルシー先生」

 

アーミヤが唇をきつく結んだケルシーに声を投げかける。

ケルシーはアーミヤを見て頷くと、アーミヤはウェイに向き直った。

 

「ミスター・ウェイ、一つだけ、この契約に付け加えたいことがあります。

「本契約の条文解釈にあたっては、甲乙で誠実な協議のもと取り決めて行う」…よろしいですか?」

 

「ほう…ああ、もちろんだ。

なるほど、その一文はロドスが我々に対する敬意…いや、君の敬意でもあるのだな。心得た。

…チェン、君の意見は?」

 

チェンはウェイに質問を投げかけられるまで、ジョンに向けられていた視線を慌ててウェイに向ける。

 

「…は、は!…私もその内容で異存は…ありません」

 

「うむ。

どうやらチェン君も自身の気持ちの整理がついたようだ」

 

ウェイは立ち上がり、ケルシーに手を差し出す。

 

「では、「おめでとう」と言わせてもらおう。

龍門は君たちを迎え入れる、今後の窓口は…そうだな。

普段通り、チェン警司にやってもらうことにしよう」

 

「は?…わ、私ですか?」

 

「かまわんな」

 

「…かしこまりました」

 

チェンの返事を待って、ケルシーはウェイの手を取り、握手に応じる。

 

「うむ。

ああ、君たちの構成員のほとんどは感染者だと聞いている。

いたずらにその行動を許しては、市民の不安を煽る、それでは意味がないからな。

そこで、君たちの任務行動の際は、必ず近衛局の指示に従うように…これは契約に付け加えるまでもないだろう?」

 

ウェイは握手をほどかずに付け加えた。

 

「特にチェン隊長の命令には、な」

 

ケルシーがゆっくりと頷いたのを確認して、ウェイは握手を解いてそのまま、警護人から外套を受け取り、扉に向かって歩き出す。

 

「さあ、客人達よ。

龍門はその扉を開いた…君たちがひかれた道をそれない限りは、龍門はその旅路の安寧を約束しよう」

 

 

ジョンは露店に並ぶ中華人形を目にしながらに考える。

 

(あの長官、相当なやり手だな。

引き際と詰める所はよくわかっている。

…だが、どうしてこちらを試すような真似を?

あれは決してこちらの提示するものの値を下げる、それだけが意図ではない。

…純粋に戦力の把握が目的か、それとも)

 

「ジョンさん」

 

アーミヤが隣に立ち、人形を目の前に差し出す。

 

「…君にそう言われるのは慣れないな」

 

「だってドクターでは堅苦しいし、怪しいでしょう?

だから名前で…いやですか?」

 

「…めっそうもない、お嬢様。

ほら、お人形は置いて、あちらに飲茶のお店がございますよ?」

 

ジョンの悪戯なまでにへりくだった態度にアーミヤは頬を膨らませる。

 

「いやなんですね」

 

アーミヤはぷいとそっぽを向く。

 

「…だからそうではないと…悪かった。

君なりに潜入任務に気を配ってくれているのだろう、私が悪かったよ」

 

「…なら色々見て回ってみましょう!

龍門の市街にはないものばかりで面白いですよ!」

 

「…君は本当に、真面目なのかそうでないのか…。

ああ、こらお嬢様!手を引っ張るな…!」

 

その様子は確かに良家のお嬢様と、その爺やがお忍びで城下に降りてきたようで、スラムの人々も笑顔でその様子を見ている。

ただ1人、路地裏でその様子をのぞいていた、男を除いては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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