METAL GEAR × Arknights 作:安曇野わさび
非常アラート
AM 1;37
曇天
有視界度17.5Km
移動都市 ロドス艦橋 管制塔
「艦内空調コントロールにトラブル…メイヤー技師のラボだ、またか…」
「ダメージコントロールの出動は?」
「必要ないだろう…フロントブリッジより通達。
至急、当該地区を警備担当中のオペレーターは、第3セクター、外部企業研究棟、M12−1へ応援に迎え、スプリンクラーが作動中、対応は任せる…今月に入って5度目だぞ…」
管制オペレーターの1人がコーヒーを片手にため息を溢す。
『ユニット5−11がすでに現着、現場は「そんなぁ!!子ミーボ!!ああー!!」…白煙に包まれている。
火は上がっていない、ブリッジ、この土砂降りを止めてくれ』
「了解、散水を停止する」
オペレーターが画面上の赤く光る箇所をタップする。
「また新しい「子犬」作りにご執心なんだろう、龍門の企業に玩具のベースユニットとして発注を受けているそうだからな」
「それでなんで爆発だ?
メイヤー技師は子供を爆弾と遊ばせる気なのか?」
「案外そういう刺激が、今時の子供達にはいいのかもな」
栄養バーを口に含んでもう1人のオペレーターは含み笑いをする。
「笑えないよ」
ロドスのブリッジ、艦内のあらゆることを管制する司令塔。
そこには様々な機器に向き合う複数のオペレーターが、夜遅くでも忙しなく管理に取り組んでいた。
『ブリッジ、こちら入港ゲートB2。
予定にあった物資搬入車両が到着した、チェッククリア、今そちらに繋ぐ』
「了解した、担当オペレーターに回す」
一拍置いてインカムを起動した女性オペレーターが入港ゲートからの通信を受け取る
「こちらはロドス管制塔です、ようこそロドス・アイランドへ。
ご用件は?」
『こちらは龍門フロッグトランスポート、ご注文の物資の搬入に参りました。
今そちらにデータを送ります』
「お疲れ様です…パスを確認しました、医療用物資ですね。
現場の職員の指示に従って搬入をお願いします。
…今日は少し遅れましたね、困ります、時間通りに搬入していただかないと」
『す、すいません。
途中でタイヤがパンクしてしまって』
「ああ、なるほど、そういうことでしたか、それは災難でしたね」
『申し訳ありません』
「いいえ、事故であれば仕方ありません、ご苦労様でした」
女性オペレーターは通信を切ると隣の男性に話かける。
「最近、車なんて全然乗ってないですよね」
「まあ、ここに勤めてたらそうそう使わないからな」
「…たまには私も、何も考えず、縛られず、気の向くままにドライブしたいわぁ…」
女性オペレーターはそう言って肩を鳴らすと、目の前の電子機器に向き直る。
オペレータ達の指示を送る声と、電子音、軽い雑談。
空調の効いた部屋で、ロドスの管制オペレータ達はいつも通りに日常を過ごしていた。
その時、チーフ管制オペレーターの端末に、金切りのような呼び出し音とともに、別の管制塔からの連絡が入る。
『ブリッジ、こちらは中央管制塔、動体センサーに多数の感あり、右舷側、距離約20Km。
そちらのセンサーに反応はあるか?確認してくれ』
「どうだ?」
問いかけられた各センサー担当オペレーターは目の前の機器を注視する。
「…反応ありません、範囲外かも」
「セントラル、こちらには映っていない、範囲外のようだ。
セクター2管制塔、確認を求める」
『こちらセクター2、確かにセンサーに感がある。
赤外線も同様だ、距離が遠くて細部まで確認はできない。
…だがこれは野犬じゃないか?』
「チーフ、これ…!」
センター担当オペレーターが、画面を指差す。
「ちょっと待て…セントラル、ブリッジのセンサーも動体を感知した」
その画面には赤い光点が一つ、また一つと灯り始めていた。
「…増え続けてるぞ」
「これは…野犬なんかじゃない!」
センサー担当オペレーターはコンソールを鬼気迫る表情で操作する。
「多数の熱源感知、なおも増加!!これは……人、車両…!!チーフ!!」
「龍門政府からの事前通告は!?
軍事演習…本艦付近での行動通知は!?」
「…ありません!」
「…セントラル!オーダー、ファイアコントロール!」
チーフ管制オペレーターはインカムに叫ぶ。
『了解、中央管制塔から要請!
PRTS火器管制システム、オンライン!』
『ーーー・・・…PRTSは火器管制システムを起動しました』
「PRTS、右舷側の全武装を動作チェック!」
『ーーー・・・…全砲門、管制状況オールグリーン』
「非常アラートを鳴らせ!」
管制オペレーターの1人がインカムに指示を投げかける。
「全職員に通達!コードイエロー!繰り返す、コードイエロー!
本艦はこれより、フロントブリッジの臨時管制下に入る!」
…
移動都市ロドス、物資搬入口、B2
「はい、じゃあここにサインしてー」
重装オペレーターの1人が、トランスポーターの男性と、入庫のやり取りをしている。
「パンクね、災難だったな」
「…最近変えたばっかりだってのに、ついてないですよ」
トランスポーターが書類を受け取ったその時、艦内にアラームが鳴り響く。
「アラート…!?」
重装オペレーターが思わずペンを落とす。
『全職員に通達、コードイエロー。繰り返す、コードイエロー。
本艦はこれより…』
「おい、今すぐゲートを閉じろ!」
「え、え!?」
「了解!搬入口B2はこれより閉鎖する!!」
窓口にいたオペレーターが非常用ボタンを押しつぶす。
開かれていたゲートが音を立てて閉まり始める。
「え!ちょ!困ります!」
トランスポーターの男が慌てふためいて重装オペレーターに掴みかかる。
「すまない、あなたは既にロドスの管理下にある。
こちらの指示に従ってくれ」
重装オペレーターは男性の肩を掴んで受付の前に引っ張っていく。
その時だった。
閉まりかけた搬入口ゲートに向き直った重装オペレーターが目にしたのは、その隙間を縫うように飛び込んできた漆黒の矢だった。
「…伏せ…!!」
重装オペレーターはトランスポーターの男性を勢いよく受付の中に突き飛ばす。
次の瞬間、搬入口は業火に包まれた。