特に何が起こるわけでもない平凡な毎日です。
鼻をくすぐる香り。料理が出来た証拠だ。そこで3人の"家族"を呼ぶ。
「おーい、ご飯が出来たよー!おいでー!」
そしてやって来るのはヒトに非ず。ポケモンである。そう、ポケモンである。ここは人とポケモンの世界なのだ。
何故か気付いたら死んでいてポケモンの世界に転生していた。神様とか天使とかがいたわけでもなく唐突に死んで唐突に生まれ変わったようだ。しかし転生先がポケモンの世界と言っても自分はいわゆる「廃人」ではないし、対戦に力を入れていたわけでもないので、日々を平和に過ごすことにした。これが何かのフラグという訳でもなく、どこかで大事件や大災害が起こったという話も聞かない。スーパーマサラ人のような超人的な力もない。もし何かあっても主人公がきっとなんとかしてくれるさ。
そして来たのはペロリームのシャルロットだ。性別はメス。
「ペロ〜」
このペロリームは家のあるガラル地方のバウタウンに続く5番道路で出会ったポケモンだ。ゲームでは野生では登場しない、通信交換で進化するポケモンだが、この世界では普通に現れるようだ。ポケモンだって自然の生き物だ。人が作ったものでしか進化できないとは考えにくいし、トレーナーが逃がせば野生化もするだろう。
「ピーゥ!」
続いてやって来たのはオスのトロピウス、シトラスだ。ガラルではトロピウスは見たことがない。このシトラスはイッシュ地方に旅行に行った時に出会った。ひこうタイプを持っているのだから、地方を越えてもいいと思うんだが、そういう訳にはいかないらしい。ポケモンというのは不思議だ。
「2人とも、ご飯だよ。」
そう言って作った料理を出す。今日のメニューは無難にカレーだ。とはいえここはガラル地方。キャンプと共に各地に広がっている文化の一つだ。シャルロットもシトラスも「たべるのがだいすき」なようで、美味しそうにカレーを食べている。ちなみにこのカレーはゲームではあまくちパスタカレーとされるカレーだ。「チイラのみ」や「アッキのみ」、アクセントに「タンガのみ」を入れたこだわりの一品。ちゃんと愛情も込めたしリザードン級であってほしい。
準備も終わった。机にあった1枚の葉っぱを払う。さて、カレーを食べようか…と思ったのだが、
「あれ、用意したはずのスプーンがない。それどころかカレー以外なんにもない。むしろ何故カレーは残ってるの?」
不思議なことに用意したものがカレーを除き忽然と消え去っていた。シャルロットやシトラスに用意したものはあるのだが…。
「2人とも、ここにあったカレー知らない?」
「フーン?」
「ピーゥ?」
どうやら知らないようだ。カレーを食べるのに夢中だったようだし仕方ないと言えば仕方ない。となると手がかりもない。残されたカレーが手がかりといえば手がかりだが、これでは何も分からない。
「まったく、誰がこんなイタズラを…、あ。」
そうかイタズラだ。イタズラが好きなポケモンが1体いる。しかもさっきは気に留めなかったが、屋内の机に葉っぱがあるというのは不自然だ。なら自ずと答えは見えてくる。
「マリネー!食べ物で遊んじゃダメだって!」
犯人はもう一体のポケモン、エルフーンのマリネだ。マリネはどうやら「イタズラがすき」なポケモンで、特性が「いたずらごころ」だからタチが悪い。とはいえあくまでマリネのやることはいたずらの範疇にすぎない。本当に困ることはしないし、ある程度は事後処理もきちんとしてくれる。真面目なのか不真面目なのかよく分からない子だ。
「はい、マリネにはこっちね」
そう言って用意しておいた別のもの、アローラ地方では広く知られているマラサダを渡す。これは自分で作ったものではなく、普通の市販のものだ。以前マラサダを食べる機会があったのだが、どうやらその時にハマってしまったらしい。今では週に1度の頻度で要求してくる。
「フーン♪」
食べてる間は可愛いんだが、残念美人ってやつか。なんか違うかな…?
食事も終わり、片付けをする。というか結局マリネはマラサダしか食べてなかったんだが。
「マリネ、迷惑かけない範囲でイタズラするのはいいけど食べ物で遊んじゃダメだからね?」
「フー…」
「ちゃんと気をつけてね」
何回か注意してはいるのだが、マリネが食べ物で遊ぶのはまだ治らない。これは時間がかかりそうだ。
「あれ?そういえばシャルロットは?」
「フーン?」
シャルロットの生態もよく分からない。ご飯のときは必ずいるのだが、それ以外のときはどこで何をしているのか不明だ。たぶん屋根の上にでも登っているのだろう。勝手に他所へ行かないのがありがたい。
「シトラス、癒しは君だけだよ…。」
「ピゥー」
シトラスは基本家の中にいる。たまに外にも出るが、家の中が好きなようだ。たまに器用にも家事を手伝ってくれる。
食事の片付けも終わり。今日も平和に一日が過ぎた。また明日も同じように平和に過ごして行きたいところだ。ホントに頼むよ?フラグじゃないぞ?
見れば3人とも呑気にくつろいでいた。きっと大丈夫だろう。
読んでいただきありがとうございました。