この話は「提督の寿命は後…」で笹木原提督が亡くなってから7年間で何があったのかを描いた話となります。

過激な表現や胸糞な描写があるので注意して読んでください。

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本編を読んでいない方は本編を読んでからこの短編を読むことをおすすめします。


苦難、葛藤、決意

提督が亡くなって早1年、1回忌を済ませ皆が落ち着いた頃にようやく各鎮守府にて深海棲艦に対する受け入れの施設が完成した。

 

提督が最後に行った仕事がようやく幕を下ろす、これからは私達海軍一派で管理していかなければならない。

 

深海棲艦達の移住が終わる頃には私達、海軍の解体と海上自衛隊への編入が待っている。解体と言ってもやることは変わらず、職種に“艦娘”が増えるだけで周りが劇的に変わるわけではないようだ。私達は自衛艦としての分類になるそうだが一人ひとりに階級も与えられ、海曹以上の階級が与えられるため、自衛官でもある。

 

各地の鎮守府の提督達は一等海佐の階級を与えられ、引き続き私達の指揮を命じられた。

 

駆逐艦や潜水艦、海防艦達の子達も階級が3曹以上という待遇。

 

それもこれもあの元帥のおかげなのだが。

 

勿論深海棲艦達も海上自衛隊へ入隊となり私達同様の扱いを受けている。

 

身分が変わっただけで何も変わらない日常、しかしそうも行かないのがこの世界。

 

 

私達の介入を既存の自衛隊があまり良しとは思っていなかった。

 

 

私達は表向きは海上自衛隊であるが、結局の所、中身は元の海軍のままなのであまり自衛官としての自覚は無い…。のだが、実際あまり自衛隊に関与してある訳でもないし、お互いに交流があるわけでもない。結局やってることは何一つとして変わっていないが、それでも私達の事は受け入れ難かったのだろう。

 

と言うより自分達の指揮下に私達が加わらなかったことが気に食わないのだろう。

 

か弱い少女の見た目でも軍艦、その力は海上自衛隊が保有する自衛艦、イージス艦と同等かそれ以上の性能を持っている。

 

それに先の戦いで私達は強くなりすぎた、人類が持つ兵器より遥かに私達の方が高性能なのだ。

何百人と必要な作業を一人で行い、実践経験は世界中何処を探しても私達艦娘以上に練度の高い一般の艦ではまずないだろう。

 

修理にも時間はかからないし生活面もおよそ人と何ら変わらない生活が出来る。装備のメンテも一人である程度出来るように教育してあるし、何よりも明石や妖精さん達のバックアップが凄まじい。

 

そして何よりも恐れられたのが、そんな性能を持った小娘が各鎮守府に500~600人も在籍していることだ。

 

これでは自衛隊の面目丸潰れ。

 

災害救助、災害派遣でも私達は無類の活躍をして見せた。

 

濁流に人が流されても潜水艦の子達が難なく助け出し、ソナーや電探を駆使すれば誰がどこに埋まっているのか一目瞭然。瓦礫をどかすにしても私達の馬力を考えると積木遊びに等しい。重機が入れなくても私達でなんとでも出来る。

救助活動も私達の介入で円滑に進み、今までより、より多くの人の命を救ってきました。

 

今では後悔していますが…。

 

場所を選ばず活躍する私達は、かなりのヘイトを集めたのであろう。

 

 

だからあの事件は私達艦娘が原因で起きた事件と言っても過言ではない。

 

 

提督が亡くなってから3年が経過した春先、元海軍上層部を含め、各地の鎮守府の提督達が殺された。

 

私達が聞いたのは行方不明とだけだったが…。

 

しかしそれも翌日には行方不明者など居ないと通達が来た。政府や自衛隊は初めからそんな人間が居なかったかのように、その日のうちに新しい提督を寄こしてきた。

 

つい昨日まで笑い合っていた人が次の日には連絡もつかなくなり、挙句の果てに居なかった者として扱われる。

 

海上自衛隊と政府の驚くべき速さの対応、犯人は明確だった。

 

元帥や提督達、その他海軍の関係者の抹消、書類の上から彼等の経歴が消えた。

 

笹木原提督の後続で新しく提督が着任していたのだが、その提督が暗殺され、私達は2人の提督を失った事となる。

 

それから新しく着任した人間は、まさに人の業そのものを体現しているかの様な人間だった。

 

今まで提督達が一人でこなしていた業務も出来ず、文句しか言わない。それもそうだ、なんの引き継ぎもされてないのだから何をしたらいいのか分からないのが当たり前。「一人でもこなせる程度の楽な仕事」とでも思っていたのだろう、浅はかなやつだ。

 

他の鎮守府に着任した人間も知らせによれば、仕事もろくにしないくせに、私達の仲間を道具のようにこき使い、鎮守府に我が物顔で居座り、艦娘の中には体の関係を迫られた子もいたそうだ。

 

 

あぁ何と醜い……。

 

 

しかもそれだけでは飽き足らず、私達の有りもしない悪い噂を流し評判を下げていた。

 

そんな嘘のでまかせの甘い匂いに踊らされたマスコミが国民に発信、余計に私達の肩身は狭くなっていった。

 

何も知らない国民はただただその情報を鵜呑みにし、私達へ罵詈雑言を浴びせ、野次を飛ばす。

そうなって来ると政府側も待ってましたとばかりの対応。私達に対しての厳罰な処分、指揮官に逆らったとして私達は見に覚えのない罪に問われる。

 

あぁ…、なぜ私達はこんなくだらない命を救ってきたのだろうか…。

 

正直私は井の中の蛙だったのだろう。

 

私達の提督達はこんな醜悪な奴らと同類なわけがない、一体私が見てきた「人間」とはどちらなのだろうか。今まで身近だった人間しか知らなかったから人間とは提督達の様な人ばかりだと勘違いしていた。

 

今では災害時、助けた人の「ありがとう」という言葉さえ思い出すだけでハキケガスル。

 

私達の上官にあたる人間は「激務を押し付けられた可愛そうな人」「自衛官の鑑」と意味のわからない讃えられ方をした。

 

 

何とも愚かで醜い生き物なんだ。

 

 

あの事件から4年、苦汁を、煮え湯を飲まされ、叩きつけられ、踏み倒されながら私達は暮して来た。

 

私達の精神を限りなく平常に保てていたのは笹木原提督が残してくださった各人に配られた各々のビデオレター。貴方の声を、姿を見るだけで私達は自分を抑えることが出来た。

 

しかし他の子達は違う。

 

相次ぐ自殺に失踪、私達は守れる仲間の命を守れなかったことに後悔した。

 

そして私達は誓った。

 

 

 

人類への復讐を…。

 

 

 

自分たちで生きていけるだけの知識を身に付け、それを共有する。私は秘密裏に各鎮守府の艦娘達に身に付けて欲しい知識のリストを作成し、暗号化して送った。

 

それと同時並行で私達は人類に復讐せんと、各鎮守府と世界中の海軍に所属する艦娘達に協力を要請する。

 

聞くところによると何処の国の艦娘も扱われ方が酷く皆悩んでいるそうだ。

中には嬲り者にされた艦娘も居る。

 

本当に救うべき命は仲間の命だと気付かされた、醜い生き物より優先すべきは仲間の命だと。

 

それから私達の行動は1つだった。

 

この4年、私達は各主要国家の軍事力を徹底的に調べ上げる為、諜報活動に力を入れた。

そしてその情報を主軸にその国では何処から戦闘を始めたら円滑に進むか何度もシュミレーションし、どの経路で国の無力化と人類の殲滅を同時進行出来るのか、どういう組分けがいいのか念入りに作戦を立てた。

 

私達でしか分からないような暗号を作り、人類が拾う事のできない高周波の電波に載せてやり取りをし、私達の準備は着実に進んでいった。

 

スパイとして潜入していた娘には申し訳なかったが本当にいい働きをしてくれた。私達はその娘達が身を呈して手に入れた情報のおかげで未来を切り開く事ができる。

 

作戦の決行日を世界中の艦娘達に伝え皆が作戦を頭に叩き込む。

 

作戦内容は至ってシンプル、世界中時差があるが攻撃を仕掛けるのは同じタイミング、日本時間にして8時、マルハチマルマル。昼間だろうが夜中だろうが、世界中に同じタイミングで砲撃が為される。

 

まずは軍事基地から攻め落とす、それから無抵抗の人類を根絶やしにする。

 

もうそこに、私達の感情はない。人類に対して何も思わない。何も気付かず蟻を踏み潰すように人類を殺す。

 

頭にあるのは作戦内容、イレギュラーへの対処、そして死なないこと。

 

人類の持つ兵器は私達には効かない、通じない。

例え時間がかかったとしても人類が滅亡するのは時間の問題だろう。

 

 

 

誰一人として私達は欠けてはならない。

 

誰一人として人類は生かして置かない。

 

 

 

それを胸に私達は前に出る。

 

 

 

 

いずれ訪れる平穏の日々を夢見て。

 

私達は一刻も早く人類の歴史を終わらせなければならない、この酷く汚れた、濁った歴史を。

 

 

この地球から人類を抹消する。




これを読んでどう思うかは読者様の感性に委ねます。

これが私の思う「艦隊これくしょん」ですから。


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