アンダーワールド北部にはある伝承が残っている。
はるか昔、三女神と闇の神ベクタがまだ天に還る前、二度の戦争があった。
二つの戦争はそれぞれ神間戦争、百年戦争と名付けられ、世界の形を決めるものであった。
神々の間に起きた神間戦争は三女神がベクタに対し優勢のまま戦いが続いたが、その一方で人間たちは、ベクタの眷属に苦しめられることとなった。
不毛の地ダークテリトリーで生き永らえたベクタの眷属は、人界で守られて生きる人間など敵ではないほどに強靭な存在であったためだ。
三女神にとってそれは極めて困ったことであった。このままでは仮にベクタを打ち倒せたとしても、人間が大量に殺されることになる。
ステイシアは創造の力を使い、自身がベクタと戦っている間、人間の守護者を作り上げた。
その名をカルヴァスという、カルヴァスは青き大剣を持って眷属を薙ぎ払い、火の神聖術を使い軍勢を焼き払った。
ベクタもこれには勝ち目が無くなったと見たか、眷属とともに撤退していった。
ステイシアは守護の任を果たしたカルヴァスに褒美を取らせた。
カルヴァスは数多の神器ではなく、己が伴侶を求めた。
それを聞きステイシアは自身の年若い巫女の中から選ばせた。
カルヴァスは巫女の一人、ケルテナを己が伴侶とした。
カルヴァスとケルテナの間には一人の娘が生まれた。
その娘こそが神ある世の最後の大英雄ケルディナである。
ケルディナは齢十歳にして、身の丈ほどもある直剣を振り回し、強力な神聖術を操る戦士となった。
彼女は三女神からも寵愛を受け神器を与えられることとなった。
そして彼女が守護者を天職としてついてから、三十年が過ぎたころ、百年戦争が始まった。
ケルディナは老いぬまま強大な力をもって闇の軍勢を人界に踏み込ませなかった。
人界を蹂躙せんとやってきた青き龍、かつてのステイシアの創造物と五十年に渡り戦い続けついには、討ち果たすことに成功した。
ケルディナはその代償として体を失い、天に召され、それを見た四神は争いをやめひとまずの平和が戻ることになった。
四神は神たる自分たちがいる限り、戦争は終わらないと悟り、彼らもまた天へと昇って行った。
こうして神々の世は終わりをつげ、この戦いで人間をまとめ上げた四人の若者が王となって人界を治める王国暦(人界暦)が始まったとされる。
ケルディナは人々を守り慈しんだ偉大なる女剣士として祀り上げられ、北の王国においては守護神として記されることとなった。
王国が帝国に代わる節に、ケルディナの記された書物が失われることとなったが、
今も北の民の中ではケルディナの逸話が紡がれ続けている。
アンダーワールド外伝です。
青き龍を打ち倒したのは誰だったのか。
北ではケルディナが、それ以外の地域では女剣士に扮したステイシアによって行われたとされています。
クィネラは後者の逸話を知っているのでステイシアが倒したと認識しています。