現在の人界には四つの王国があり、それぞれの王家が貴族を従えている。
この四王家はそのすべてが女神の権限の元、王位を与えられており、ステイシアの巫女を除いては彼らより上の存在は人界にはいないとされている。
百年戦争の後、三女神は人界の統治者として四人の若者を見出した。
彼らはステイシアの巫女たちによって導かれ、東西南北の境界を見張れる位置に国を作り、人界の守り手として人々を守る存在になった。
三女神はそれを見届けたのを最後に天に還ったとされる。この時人間が独り立ちした証として作られたのが人界暦である。
北の王族は代々高い知性を持つものが王になることが伝統となっており、それは今代の王も例外ではない。
知賢の王ゲルトリヒはまだ18歳の若き王であるが軍略と人使いにおいては抜きんでた人物であった。
自身の母である先代女王を戦で亡くしてからは、宰相エルネーゼとともに北の領域の平穏のために前線を守り切ることに力を尽くしており、民衆からの支持も高い。
「クィネラ殿、吾と話がしたいそうだな。まだ非常時ゆえあまり長くは話せぬがそなたのことだ、人界を守るものとして話を聞こう。」
ゲルトリヒは全身を血の滲んだ包帯を巻き付けながらもいささかも衰えぬ眼力をもってクィネラを迎え入れた。
クィネラが会談を許された場所は玉座ではなく、王の寝室であり、ゲルトリヒが受けた傷がけして浅くないということの証明である。しかし北の王たるゲルトリヒの誇りであろうか、その王気は溢れんばかりでありクィネラをもってしていっそ見事というほどのひとりの英雄がそこにはいた。
「無礼を承知でお聞きしますが、殿下が前線に戻られるのはいつごろになるでしょうか。」
「今すぐにでもとでも言いたいところだが、指揮までとるとなると、二月はかかるだろう。今も呪詛がこの身を巣くっているゆえに、神聖術の力をもってしても治りが遅いのだ。」
「その間の北の守りはどうなっているのですか。」
「ベルデル家とアーネンハルト家に任せてある。今自由に動かせる上位貴族はその二家しかないゆえにな。詳しくはエルに聞くがよかろう。」
「もし戦力を用意するあてがあるとすれば、殿下なら何処に置きますか。」
「強きものなら前線に置こう、そうでないなら避難させるために使うだけだ。」
「ならば許可を頂けますか、殿下。」
ゲルトリヒはクィネラをじっと見つめた。
「エルには伝えておこう。北の民を頼んだぞ、クィネラ殿。」
「拝命いたします、偉大なる王ゲルトリヒ様。」
クィネラはエルネーゼから正式な書状を与えられ、キリハと仲間を連れ、魔獣退治と警邏を行う人員を分散しつつ、北の洞窟へ向かった。
思うように字数が伸びないですね。
後で加筆するかもしれませんが、王との話し合いのシーンです。地の文が足らないのでわかりにくいですが、割と王の傷が深いのでクィネラは簡潔に話すことを選びました。ゲルトリヒもそれに乗ったのであっさり会話が終わってます。
帝国が王国に変わったのは、プロット見直しで修正する必要があったためです。
感想が無いのも寂しいので、見てるよアピールしてもらえればやる気につながります。