もう一度あなたと   作:アリス大好き

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サストネルの村にて

王城は北東のロッキスに存在し、北の洞窟に向かうにはサストネル山地を経由する必要がある。

 

クィネラ達は近衛兵や各地の衛兵と協力し、ロッキスからサストネルにかけて魔獣を討伐しつつローデント山地へ向かうルートをとった。

その際、北の洞窟が一度破られかけたからか、ダークテリトリーの瘴気が強まっており、魔獣の凶暴化や疫病の発生などクィネラ達の足を遅くせざるを得ない事態がそれなりの数起きていた。

 

「病に倒れたのが5人、魔獣に2人食われ、10人ほどが未だに起き上がれないか。」

 

「100人に満たない村では、かなりの被害ですね。」

 

道中ゴブリンらしき姿を見たという村を訪れると、村人の5分の1ほどが既に被害に遭っていた。そのためクィネラは怪我人の治療に当たり、キリハは薬剤を調合しつつ、周辺の警戒もおこなっている。

 

「クィネラ様方がいらして下さらなければ、彼らも助からなかったでしょう。」

 

「ありがとうございました、クィネラ様。」

 

「民を守ることが私達の使命です、そして貴方たちもまた守るべき民なのですから、成すべきことをしただけですよ。」

 

軽傷者は村の神聖術師、エイドラが治癒していたが、彼女では手の施しようがない村人は薬師ローデックと共に現状維持しか出来なかったという。

瘴気による病も通常の薬剤では治らないので、瘴気用の薬を作ることが出来るキリハがいたことは村にとって不幸中の幸いであった。

 

「クィネラさん、薬剤は人数分出来たわ。これを朝晩飲ませて、十分な食事を取らせれば治るはずよ。」

 

キリハはクィネラと相談して、人前ではクィネラさんと呼ぶことにした。様付けはクィネラが嫌がり、ちゃん付けではさすがに問題があると思ったからだ。

 

「キリハ殿もありがとうございました。瘴気払いの薬など知らなかったものですから、まだまだ未熟者だと痛感したものです。」

 

ローデックが薬師の天職について30年が経つが、キリハが居なければ、最悪衰弱死していた患者を見て思うところがあったようで、少し疲れをみせた顔でキリハに頭を下げていた。

 

「ローデックさん、頭を上げてください。」

 

「ですが、あまりの不甲斐なさに私は、私が許せないのです。」

 

「それでも貴方は学ぼうとしたじゃないですか。また同じようなことが起きたときに助けられるように。」

 

ローデックはキリハの薬剤調合の助手を率先しておこなっていた。誰に言われるのでもなく彼自身がこの窮状にあっても学ぶべきであると自ら考えたためだ。キリハはその姿勢を尊敬に値するものだと感じた。

 

「今のローデックさんなら、この病に打ち勝てるはずです。私は貴方がこの限られた時間の中で得たものをより広く使ってほしい。」

 

「より広くですか。」

 

「この病は現状ではどの村で発生してもおかしくありません。発生源と思われるゴブリンを討伐すれば一時的に収まるかもしれませんが、別の発生源と接触することで再び同じことが起こる可能性があります。治療法はどの村の薬師も知っておく必要があります。」

 

「わかりました。幸い薬師同士のつながりは他の村とも持っています。これ以上被害が出ないように私が責任をもって伝えます。」

 

ローデックは使命感に燃えていた。本来知識とは財産である。しかし恩人であるキリハは、人々を助けるためにその財産を無償でローデックに与えたのだ。ローデックはその思いにこたえねばならないと深く共感した。

 

「キリハさん、けが人の治療は全て終わりました。ゴブリンの情報も集め終わったようですし、そろそろ、ゴブリンの追跡を行いましょう。」

 

「すぐに準備を終えますので、クィネラさんは他の皆さんをお願いします。」

 

キリハは使用した道具を手早く片付けると、ローデックに薬剤の素材を書いた紙を渡し、馬車の準備を始めた。クィネラは村に散っていた部下を集め、過半数が集まるころには、移動のための準備は済んでいた。

 

「クィネラ様、道中お気を付けて、村を救っていただきありがとうございました。」

 

村長の礼にに続き、村人達は口々にお礼を言っていた。この時代村とは家族に等しい。彼らは大切な家族を救ったクィネラやキリハ達に心の底から感謝していた。

 

馬車は村から遠ざかっていくが、村人達は馬車が完全に見えなくなるまで、並んで見送り続けた。

馬車の次なる目的地は西の廃村、ゴブリンの住みかとされているところである。

闇の住人との最初の戦いにクィネラの部下は皆一様にわずかな緊張感とともに、確かな覚悟を持ちその時を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何故かキャラが立つ薬師さんの登場です。
ダークテリトリーからの悪い気で病になるのはアリブレからきています。
なんの媒体もないのは考えにくいので、ゴブリンが今回は媒体として登場しました。
この時点でクィネラの予想は大当たりでした。もう一部侵入されています。

ローデックさんはキリハによって薬剤の情報を配る人物になりました。今後病によって亡くなる人が減るかは彼の行動にかかってます。
エイドラはクィネラに触発されて、近隣の村で一番の神聖術師になります。

これがこの時代の真っ当な村の姿です。ゴブリンさんはとんでもないことをしてくれました。

キリハとクィネラが互いに公ではさん付けで呼ぶようになりました。
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