過労死ワイ、戦いを全力で避けた結果怠惰の魔神扱いされる。 作:シーボーギウム
1.異世界日記 その1
○月×日 晴れ
今日から日記を付けてみようと思う。理由は特にない。単に暇つぶしだ。
俺は転生者というやつだ。死因は過労死。まぁ特殊なことなど何もなくブラックソ会社に勤めていたのが理由である。
とまぁ眠る様に死んだ筈の俺は、よくある神の間的な空間で神様に出会い、俺の境遇を哀れんだ神様の計らいによって無事異世界転生を果たしたという訳だ。
転生のパターンはあれだ、草原で突如目を覚ますタイプのヤツだ。このタイプの転生方法普通に危険だと思うのでぶっちゃけやめてほしいが、そこは神様特典。とんでも魔力の持ち主である俺であれば大丈夫だった。
というより、そんなことを気にする間も無いほどの大問題があった。なんと俺は全裸だったのである。しかも神様にお願いして黒髪ロングで、異常でない程度に立派な胸部装甲を備えた超絶美少女ボデーでだ。思わず状況無視して自分でお楽しみしようか迷う程の完璧ボデーで、である。
流石にそこまで頭ドピンクになる訳にはいかなかったので近くにあった森に姿を隠し、特典によって頭に叩き込まれた魔法で服を作って事なきを得た。
その後とりあえずこれまた近くにあった街道に沿って街と言える場所まで向かった。途中野盗らしき集団に襲われたりもしたがそこは転生者、軽くひねってそいつらから金品を奪った。思わぬ収穫だ。それともう一つ、奴等が使っていた馬車の中に女の子がいた。身体中傷だらけで目も当てられない状況である。虚な目をしてはいたが生きてはいたので軽く回復魔法をかけつつ、その子を担いで何処ぞにあるであろう街に向かった。
真夜中になってようやく到着し、そのまま宿で一眠りしてから、朝起きて日記帳とペンを作って、今これを書いている次第である。
なんだか1日目にして面倒になってきた。
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○月#日 曇り
何とか二日目の日記だ。
とはいえほとんど書くことは無い。昨日拾った子もいるので宿を出る暇がないのである。まぁ自分自身過労死で死んだ身だ。何もせず一日中ダラダラするなんてことをしてみたかったので丁度いい。
唯一書くべきことと言えば、拾った女の子が目を覚ましたことだろうか。明らかこっちを警戒してたし、身体が目的かとかも聞かれた。微塵も信用がない。まぁ今の俺は前世基準で言うと住所不定無職で戸籍の無い不審者と怪しさマックスだ。妥当な反応である。
一応彼女には、ズタボロの女の子放置するほど俺は鬼畜じゃない、とだけ伝えておいた。まだ微妙な顔はしていたけど、とりあえず納得してくれたみたいだった。
その後、女の子を抱き寄せつつ眠った。子供って体温高いね。
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○月☆日 晴れ
日記も三日目だ。とりあえず三日は続いた。三日坊主にならない様に気を付けたい。
今日は街を散策した。女の子の服は魔法でちょちょいと作ってあげた。普通のワンピースだ。多分いい感じだと思う。因みに俺の服は1日目から変わってない。ジーパンと黒の縦セタだ。スタイルが良いのでとても映える(自画自賛)
因みに洗濯や風呂に関しては無いそうなので清潔魔法なるもので済ませている。洗濯いらずはとても楽だが、風呂はこれだけで済ますのはなんだか味気ないのでいつかちゃんとしたものに入りたい。
街では色々食べ物を買って食べたり、食べたり、食べたりした。
うん、それ以外に娯楽が無ぇ。一応地域の特産品的なサムシングを売ってる店もあるにはあったが、それも食べ物という始末。いや美味しかったからいいんだけどね。
女の子もいっぱい食べてた。途中食べながら泣いてたりした。今までよっぽど酷い環境にいたのだろう。それからしばらくして、いくらか部屋で食べる用のものを買ってから宿に戻った。
夜寝る時、今夜は女の子の方からも抱きしめられた。信用してくれたみたいでちょっとうれしい。
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○月♪日
四日目突入。三日坊主にはならなかった。
そう言えば、女の子女の子と言ってあの子の名前を聞いていなかった、と思い名前を聞いてみた。すると驚くべきことに名前は無いという。あんな状況にあった以上当たり前とも言えるかもしれないが。
とりあえず名前が無いと不便だと思うのでこれからはルビアと名乗るように言っておいた。まるで犬猫に名前をつける時並みに軽いテンションで決めたが割と良い名前だと思う。
と、そんな感じでルビアと名付けたのは良いが、彼女からも俺の名前を聞かれた。こういう場合、どう名乗るべきなのだろうか。自分の前世の名前を名乗ろうかと考えたが、苗字を名乗るのは違和感が強いし、名前は名前でガッツリ男性名で違和感がこれまた強い。
どうしようかウンウン悩んでいたらルビアが不安そうな顔をしていた。とりあえず、俺も名前を持っていないということにした。仮にこれから名を名乗るにしても、前世の名前は使わないようにしようと思う。
その後は、そのまま昨日買った食べ物をつまみながらダラダラ過ごした。
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救いは、とても唐突だった。
昔から、私は少し他の人より色々な事が上手くできた。7属性の内の一つ、忍耐の魔術に秀で、運動は村の男の子にも負けず、頭は同年代どころか少し上の歳の子よりも良い。母譲りの美しさと器量を備えた、村一番の美少女。それが私だった。
でもそんな私の日常は、ある日一瞬で崩れ去った。
ある日帝都から来たという騎士の一団が私の村に来た。そいつらは私を見た瞬間、表情を変えた。私の髪を掴んで、馬車に乗せようとしてきた。何でこんなことをするのか、痛い、やめて。そんなことを叫んでいた気がする。そうして抵抗していると、思い切り腹を蹴られた。呼吸ができなくなって、蹲って涙を流していると、騎士の隊長らしき奴が私に剣を突きつけながら村のみんなに言った。
「コイツは魔神の使徒だ!!遥か昔、我らが七大神が撃ち倒しなさった七つの厄災がこの世界に撒いた種の一つ!!きっとお前達にも何か心当たりがあるだろう!!」
それは有名な話だ。この世界には元々七大神と、七体の魔神がいて、七大神が魔神を全員倒して世界に平和が訪れた。しかし魔神達の残滓が世界に散らばり、それが魔物となった。そして時々、その残滓は人に宿り、強大な力を持つ使徒となる。
そんな伝説だ。
違う、私はそんな化け物じゃない。どれだけ叫んでも、誰も信じてくれなかった。
「私の子を返して!!」
母のその言葉で、私の心は折れた。そこからは、よく覚えていない。殴られ、蹴られ、犯され、何も感じなくなった頃、馬車に乗せられた。目的地はわからない。やっと死ねるのかな、そんなことを考えていた。
そんな時だった。
「うわ、酷いな」
間の抜けた声だった。とても場の雰囲気にそぐわない軽い口調。気紛れに目を向ければ、とても綺麗な人がそこにいた。
「もう、大丈夫だよ」
そう言って、彼女は私を抱きしめた。身体の痛みが消え、眠気に襲われる。私はその心地よさに身を委ねた。
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というわけで失踪します。