過労死ワイ、戦いを全力で避けた結果怠惰の魔神扱いされる。 作:シーボーギウム
投稿が12時に間に合わなかった(血涙)
次の話書いてたら「足りねぇなこれ」ってなって急遽入った話です。
間に合わなかったので初投稿です(白目)
☆月$日 晴れ
マリアちゃんの話を聞いた日から3日程経過した。
あの後マリアちゃんは両親としっかり話して問題は解決したらしい。今はもう前みたいに仲良くできていると言っていた。喜ばしい限りだ。
で、何やらお礼がしたいと言われた。
うーんそうは言うが頼みが思いつかない。とりあえずは保留にしてもらった。
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☆月‡日 晴れ
今日、学校に呼ばれた。用件は半年後の大会に出てくれないか、というもの。これは後で聞いた話だが、学校外部の人間が出場しないか聞かれるのは相当稀な話なのだとか。
貴重な誘いだし、ありがたい話でもあったのだが断った。明らかに面倒くさそうだったし。それに、生憎俺は騎士団にも聖女団にも入るつもりはない。初めのルビアのこともあってこの国に対する不信感はかなり強いのもある。
ただラバルドと会ってから知ったことだが、騎士も所属するところによってはだいぶ変わる。
この街で治安維持をしている勤勉の騎士団は、まぁ簡単に言うと良い人揃いだ。街の人にも慕われてるし。ただ少し前この街に来てた節制の騎士団は明らかに態度が悪かった。というより冷たかった。
まぁどの騎士団がどうとか関係なくこの国は好きになれそうにないのだが。
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☆月†日 晴れ
そう言えば最近、ラバルドと会っていない。理由はわからないが全くうちの店に来ていないのだ。というわけで手紙を送ってみた。郵便のようなものが無いのでラバルドの屋敷に直接届けに行ったのだが、まともに取り合ってくれなかった。しばらくして出てきたクリスさんというメイドの方にラバルドの友人だと伝えたら手紙を渡しておく、と言ってくれた。彼女がいなければ危なかったところだ。
手紙の内容は余裕があったらまたうちの店に来てくれ、という簡単なもの。なんだかんだあいつと話すのは楽しいので会うのを増やしたいが、あいつが遊んでばかりいられない立場にいるのもわかっている。ままならないものだ。
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選抜大会後、客が明らかに増えた。給料は増えたが代わりに休みが減ってしまった為、ディアが少し落ち込んでしまっている。私的には仕方ないと思うが。
今、私は減ってしまった貴重な休日の1日に、久しぶりのディアとのデートに出かけている。祭り以降結構顔が知れ渡ったのもあってか、以前よりも声をかけられることが多くて鬱陶しい。邪魔しないでいただきたい。
とはいえここで鬱陶しいと思っているのを顔に出せばディアに怒られるのは明白だ。それに、最近気付いたことだが私とディアの好みは結構似ている。そのため会話自体は私自身嫌いではない。私が魔法の勉強が好きなように、ディアも魔法の勉強が好きで、ディアが他人と話すのを好む様に私も他人と話すのを楽しいと思っている。たったそれだけのことで嬉しくなるあたり私も大概単純だ。
ただ一つ納得がいかないことがある。それはディアの格好だ。
今のディアの格好は、以前マリアと決闘した時と同じだ。胸が強調され、張りのある、しかし柔らかな太ももが露出されている。はっきり言おう、もう少し着込んで欲しい。
ディアは自分が美少女な自覚はあるにも関わらず何故か立ち振る舞いが絶妙に無防備だ。更に言えば店に来る男共の目当てが自分である自覚すらある。なのにまるで警戒していない、襲われるみたいなことは微塵も考えていないのだ。実際に襲われたとしてもディアなら軽く撃退できるだろうが、だとしても心配だ。
というわけで現在私はディアを口説こうと近付こうとする不届き者に無言の圧を飛ばしているところだ。
「どうしたんだろあの子」
その言葉に一度圧を飛ばすのをやめ、ディアの言う"あの子"に視線を向けると、緑色の髪の小さな女の子が涙を流しながら立ち尽くしていた。
「あの子ってたしか………」
「この前俺が作ったアップルパイ食べてくれてた子だ」
ディアの言葉に、数日前の光景を思い出す。確か、あの女の子と同じ緑髪の女性と二人でディアの作ったアップルパイを食べていた女の子だ。初めてちゃんと商品として出したディアのアップルパイを食べていた子なのでよく覚えている。
「どうしたの?何かあった?」
少し目を話した隙にディアが女の子に目線を合わせて話しかけていた。やはり助けるつもりなのだろう。思わずため息をついてしまうが、まぁ、正直予想通りだ。
仕方がない、デートは中断だ。ディアとイチャつくためにも早いとここの子の問題を解決してあげなければならない。のだが……
「ひぐっ……おがっ…が……」
泣きじゃくってしまっていて、とても話を聞ける状況じゃなかった。ディアと目を見合わせてどうしようか考える。恐らくはお母さんと逸れた、持っていたお金を落としてしまった、などの問題だろうが、詳細に分からないままでは手を貸しようがない。
しばらく二人で考えていると、ディアが何かを思い付いたようでごく僅かに魔力属性の隠蔽を緩めた。すると、どういうわけかディアに向かって1匹の猫が寄ってきた。
「なーお」
気の抜ける鳴き声を出しながら寄ってきた猫に女の子は泣き止んで目をパチクリとさせている。そして恐る恐る猫に触れようと手を伸ばすと、猫の方も彼女を気に入ったようでその手に顔を擦り付けた。次の瞬間、先程までの泣き顔はなんだったのかというほどに女の子は瞳を輝かせ、その顔に笑顔を浮かばせた。
「ふぅ、何とかなった」
魔力を再び完全に隠蔽し直したディアは猫と戯れる女の子を見ながら微笑んでいた。状況によってはかなり危ない手だ。できればこういう手を使うのはやめてほしい。言ったところで同じような状況になればまたやるだろうし、無駄かもしれないが。
「それで、何があったのか俺達に教えてくれる?」
一頻り猫と戯れ終えた女の子にディアがそう聞くと、彼女は再び表情を曇らせた。とはいえ先程までとは違って大分落ち着いている。これなら問題なく話が聞けるだろう。
「お母さんの誕生日プレゼントのお金落としちゃった……」
言いながら女の子は再び涙声になっていく。ディアは頭を撫でて慰めながら私の方に視線を向けてきた。私は懐から銅貨を何枚か取り出そうとするが、首を横に振るディアにそれを止められる。
「幾ら落としちゃったの?」
「銀貨2枚……」
銀貨2枚。この歳の子供には結構な大金だ。この歳の子供なら月のお小遣いは高くても精々銅貨5枚といったところだろう。銀貨1枚は銅貨10枚と等価値、月に5枚の銅貨を貰っていても4ヶ月分だ。なるほど、確かにあれだけ泣いていたのにも納得がいく。それだけ頑張って溜めてまでお母さんに誕生日プレゼントを買おうとしていたのだ、それはショックだろう。
「なら俺達が一緒に探してあげる。ここに来るまでどうやって来たか教えてくれる?」
「いいの?」
「いいよ、俺達も暇だったし。な?」
謝意の込められた視線が向けられる。それは私がこの話を断るとは微塵も思っていなかった。
全く、勝手なんだから……
「………はぁ、そうね」
「ほんと!?ありがとう!!」
女の子は私にニコッと輝くような笑みを浮かべる。その背後で手を合わせるディアに呆れながら、私は女の子の頭を撫でるのだった。
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しばらくして女の子、リリィのお金を探しながら、私は彼女に聞こえないよう小声でディアに疑問を投げかけた。
「何でわざわざ探させたの?私達のお金を渡せばいいじゃない」
その言葉にディアは数秒表情を固まらせ、その後何故か微笑みを浮かべながら私の頭撫で始めた。
「こういうのは、リリィちゃんが稼いだお金で、リリィちゃんが選んだ物をプレゼントすることに意味があるんだよ。何も考えずに俺達がお金を渡しちゃったらあの子の為にならないからね」
「そういうものなの……?」
「そういうものなの!まぁそろそろだろうけど」
「え?」
「リリィちゃん!」
ディアはリリィに声をかけると、彼女のスカートのポケットに手を入れた。そしてそのままポケットから手を出すと、その手には銀貨が2枚あった。
「あれ?あれ?」
「偶然ポケットを探した時に見つからなかったんじゃない?」
元々落としていなかったことにした、ということか。初めからこうするつもりだったのだろう。
これでプレゼントが買えると喜ぶリリィ。その笑顔に満足そうにしながら、ディアは私の隣に戻ってきた。
「あの子のお金じゃないと意味無いんじゃないの?」
「何言ってんの?あれは元々リリィちゃんのポケットに入ってたお金だよ」
悪戯っぽく笑うディアに苦笑する。彼女はリリィにもうお金を落とさないように、と言いながらリリィの目的の店へ向かって歩き出した。ここまできたらとことん付き合うつもりなのだろう。
「ほら、ルビア!行くよ!」
「ふふ……はいはい」
惚れ直した、というのはこういうことを言うのだろうか。そんなことを考えながら、私はディアの元に向かった。
ルビアちゃんは何でディアちゃんの太ももの感触を知ってるんですかねぇ………
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速攻魔法『失踪』発動!!