過労死ワイ、戦いを全力で避けた結果怠惰の魔神扱いされる。   作:シーボーギウム

5 / 15
評価バーが黄色くなりました。
も ど し て(切実)
ええんか?投稿ペース遅なってもええんか?
できれば赤くなるまでお願いします( ^ω^ )
評価バーが黄色くなったので初投稿です。



5.番外 ルビアの日記

△月←日  晴れ

 

 今日から、ディアに勧められていた日記をつけようと思う。

 

 今日は入学式だったが、今日何よりも印象深かったのは嫉妬の魔神、ウィディー・エンヴィーのことだ。彼は普段は姿を変えてこの街で活動しているらしい。

 それで、何故彼が私がラバルドに近づくのを拒んだのかと言うと、私の属性を隠す技術のレベルだと、ラバルドクラスの実力者に近づいたらバレてしまうのだという。つまり、彼は私を助けてくれたという訳だ。が、ムカつく。

 馬鹿?考えなし?ふざけんな!知らなかったんだから仕方ないじゃない!

 

 思い出しただけで腹が立つ!

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

△月¥日  晴れ

 

 昨日の日記は酷いものになってしまった。今日はちゃんとしよう。

 

 今日も学校に行った。が、学校については特筆することはない。何人か話しかけてきたくらいだ。基本他の生徒と馴れ合うつもりは無い。そんな暇があるなら、少しでも魔法の研究をするべきだと思っている。のだが……

 

 どうやらディアは、私に友達を作ってほしいらしい。理由はわからない。

 正直、友達なんて作ってもメリットは無い。私達は魔神の使徒だ。ラバルドに正体がバレたり、という理由でこの街にいられなくなる可能性は充分ある。そうなれば、この街での繋がりは全て無に帰してしまう。

 そう考えれば、友達なんて作ってもリスクが増すだけだと思うのだが………

 

 少し、考えものだ。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

△月∈日  晴れ

 

 思っていた通り、学校は良い。本だけでも知識は得られるが、学校であれば実際にどうやってその技術を使うのか、どういうことに気をつけるべきか、そういう本には書かれていないようなことを直接見て学ぶことができる。実際、いくつか本だけでは学べないことがあった。

 

 ただ、一つだけ問題がある。昨日からしつこく私に話しかけてくる女がいるのだ。やれ名前はなんだ、やれ属性はなんだとしつこく聞いてくるのだ。

 正直言って、鬱陶しいことこの上ない。その上腹が立つのが、私への同情が透けて見えることだ。魔法を学ぶのに他者との関わりなど無駄だ。既に何度かそう伝えたと言うのに、懲りずに昼食に誘ったりだのペアを組もうだの言い寄ってくる。

 

 何が一人だと大変でしょ?だ。お前が友人と二人でやってようやく完成させた魔法を私は一人で、しかもお前達より高い完成度で成功させたんだ。お前なんかに助けてもらう義理はない。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

△月◆日  晴れ

 

 この国には、決闘というシステムがある。

 個人間の問題事を命に関わらない範囲の戦いで解決するものだ。これは基本街中では禁止されており、あらかじめ取り決められたいくつかの施設か、街の外でのみ許可されている。決闘が許可される場所は主に闘技場、そして学校だ。

 

 何故こんな話をしているのか、簡単だ。昨日も書いた話しかけてくる女の友人が、私に言いがかりをつけて決闘を申し込んできたのだ。

 

 正直、相手にならなかった。私は具体的な理由はわからないが、忍耐の魔力も相当な量を持っている。とはいえ、それだけならそこまでアドバンテージにはならない。決闘を申し込んできた女も、持ち合わせる救恤の魔力はなかなかではあった。

 が、それだけだ。あまりにも技術が稚拙。救恤の魔法は自身の魂を物質、最高位の技術なら他の人間に分け与えることで分け与えたモノを強化し、自由に操るのが基礎にして極意とされている。確かにあの女もそれを自分の槍に使っていたが、魔力を行き渡らせるのが遅い、操作速度が遅い、そもそも槍の技術が甘いと良いところが少しもなかった。

 

 学ぶべきことが少しもない。あまりにも無益な時間だった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

△月$日  曇り

 

 今日は学校は休みだ。というわけで店の手伝いをしたり、ディアと出かけたりしたのだが、その、なぜかディアがやたらと私を甘やかそうとしてくる。

 いやべつに嫌なわけではないしなんならちょっとうれしかったりもするのだが私を抱き寄せるたびに胸が押し付けられる上にやたらと良い匂いがするせいで頭がフワフワしてくるというか異様にパーソナルスペースが狭いというかそんなことされたら勘違いしてしまいそうになるというか感触が忘れられなくなるというか記憶が飛びそうになるというか変な扉を開きそ

 

 いけない。思考がおかしな方向に行っている。

 今日はもうやめておこう。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「ほんっとムカつくのよ!!」

「ま、まぁまぁリンディちゃん……私も悪かったから………」

 

 怒気を隠そうともしない茶髪をツインテールにした少女リンディを、淡い青の髪に青い瞳を持つ少女マリアが宥める。今日は学校は休みだが、二人は制服を着ていた。その理由は、制服が一種のステータスとして機能するからだ。制服を着ているということは、それ相応の実力を持つ者であるという証明になる。つまり、ある程度は面倒事を避ける事が出来るようになるのだ。

 

「マリー!貴女も貴女なのよ!!なんでわざわざあんな性悪女に構うのよ!!」

「あははは………」

 

 苦笑するマリアにリンディは表情を歪める。如何にも不機嫌、といった様子のリンディの機嫌を良くする為、マリアは今日出かけた目的を彼女に思い出させることにした。

 

「ほ、ほら!リンディちゃん今日行くお店のアップルパイ!絶品なんでしょ?私楽しみだなー!!」

「………はぁ……マリーに宥められるなんて、私もまだ未熟者なのよ………」

「ひ、ひどくないかなぁ!?」

 

 マリアの大袈裟な反応で、二人の表情は笑顔に変わった。そのまま談笑しながら二人が歩いていると、広場になにやら人だかりができていた。

 

「な、なんだろう?」

「何かあったのかしら?」

 

 人混みに近づくと、なにやら猫の鳴き声が聞こえてくる。彼女達が人を掻き分けその中心に辿り着けば、そこには無数の猫に囲まれた少女が一人いた。黒い腰まで伸びた髪に、翡翠の瞳を持つ美しい少女だ。服装はマリア達は正式な名前を知る由もないが、リブが縦に入ったセーターとジーンズを身に付けている。

 その少女は、広場の中央の木の周りにある椅子に腰掛け、うつらうつらと船を漕いでいる。

 

「すごい光景なのよ……」

「ね、猫見るのいつぶりかな……」

 

 この世界の動物は、魔力の感知能力に長けている。ある研究によれば、人間が極限まで感知能力を高めた状態が動物達の最低限と言われる程だ。そして動物には種によって好む魔力属性が存在する。例えば犬であれば勤勉の魔力だ。

 彼女達の住む勤勉の都は、その名の通り勤勉の魔力を持つ者が最も多く、その個々人から漏れ出る勤勉の魔力故に街全体がその影響を大きく受けている。そして猫は勤勉の魔力を嫌うため、この街で猫を見るのはかなり難しい。この街に住む者で、更に勤勉の魔力の持ち主であれば、猫と会うなど不可能に近い程に。

 

 では何故、眠る少女に、ディアに、勤勉の魔力で満ちるこの街で猫が集まるのか。これは単純だ。未だ誰も知らないことだが、猫は怠惰の魔力を好む。

 魔力の隠蔽技術は、眠ると緩まり、起きている時よりも気取られやすくなってしまう。しかしディアの魔力隠蔽技術は、転生の特典によって凄まじい練度を誇っており、例え寝ていても隠蔽が解けることはなく、例えこの国最強の騎士相手でも見破るのは不可能だ。だが猫はその騎士すらも超える感知能力を有している。つまり彼女が眠ると出てしまう怠惰の魔力を猫達は感知し、結果としてこの街中にいる全ての猫が彼女の元に集結しているのだ。

 

「可愛いのよ……!」

「う、うん!」

 

 マリアとリンディは目の前の光景に目を輝かせる。この街で猫は見ることの難しさから幸運の運び屋と呼ばれ、見ることができれば良いことが起こると言われている。この人だかりはそれが原因だったのだ。

 

「ちょっと退いて!退きなさい!」

 

 その時突然、その場に声が響き、人が掻き分けられ道ができる。そこから現れたのは、真っ黒なワンピースを身に付けた少女、ルビアだった。彼女は周囲の人間を睨み付けながらディアに近づいていく。

 その淀みない歩みを、ただならぬ雰囲気を感じたリンディが遮った。

 

「これ以上は行かせないのよ」

「はぁ?なんで貴女に止められないといけないのかしら」

「貴女こそ、なんであのお姉さんに近付かなければならないのよ」

 

 空気が重くなる。言うまでもなく、リンディとルビアは仲が悪い。犬猿の仲と言って差し支えないレベルだ。二人の様子にマリアが慌てるが、生憎彼女にこの場を収める手は存在しなかった。

 

「貴女に伝える義理は無い。早く退きなさい」

「命令される筋合いはないのよ」

「頭が高いわね」

「その言葉、そっくりそのまま返すのよ」

 

 瞬間、ルビアが冷気を、リンディが風を放出する。それに合わせてマリアを除く周囲の人間とディアに集まっていた猫が全て蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。

 

「ま、待ってよ二人共!街中での決闘は……っ!」

 

 マリアが呼びかけるが、二人の頭には既に血が上っていてその声が全く届いていなかった。このままでは騎士が来て二人が捕まってしまう。そう考え、マリアは自分がどうにか二人を止めるしかないと自身も魔法を使おうとする。

 彼女の魔力属性は慈悲。慈悲の魔力は樹木魔法を得意とする魔力だ。彼女は周囲の木々を操作して二人を拘束しようと画策する。しかし、

 

(な、なんで!?)

 

 彼女が魔力を周囲の木々に巡らせようとするが、そこに存在するもう一つの慈悲の魔力(・・・・・・・・・・)によってそれが阻まれてしまった。そしてマリアがその魔力の持ち主を探し出すよりも先に、その持ち主が動き出した。

 

「何してんの………?」

 

 気怠げな、しかし僅かな怒気を孕んだ声だった。そしてその怒気はマリアの目の前の二人に向けられていた。その二人は今、マリアが操作することの出来なかった木々によって拘束されている。

 

「ディア……!」

「これ、マリアじゃ比較にならないレベルの樹木魔法なのよ………!!」

 

 彼女達は各々反応を示しながらディアに視線を向ける。先程まで眠っていたはずの少女は、腰に手を当て、如何にも怒っているといった様子を見せている。そこに威厳があまり無いのはご愛嬌だ。

 

「この場で話すのもなんだから、とりあえず三人ともウチに来なさい。二人はその後説教な?」

「はい……」

「は、はい!」

「はいなのよ……」

 

 気怠げに言うディアに従い、マリアと、木で両腕を拘束されたままのルビアとリンディがディアについていく。

 その間もリンディはルビアを睨み付けていたが、ルビアは顔を俯かせていた。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「なるほどねー、うん、程度に違いはあれど、二人とも悪いな」

 

 椅子に座って俯くルビアさんとリンディちゃんの前でそう言う彼女は、ディアさんだ。さっき広場で一触即発の状態を一瞬で鎮めた人で、ルビアさんのお姉さんなのだと言う。ルビアさんとディアさんは私達の目的のお店で働いているようで、今は店長さんにこの場を借りている。

 

「まずルビア。ちゃんと説明しなさい。ルビアは色々高圧的だから勘違いされても仕方ないぞ?」

「ごめんなさい……」

「んでリンディちゃん。君も君で喧嘩腰だったのが良くない。真っ直ぐ、ちゃんと聞けばルビアは喧嘩した相手にもちゃんと答える子だから。ま、俺を心配してくれたのはありがとうね」

 

 ディアさんはそう言ってリンディちゃんの頭を撫でた。その手つきを見ながら、私は漠然とこういう余裕のある人が女の子の憧れる女性像なのかなぁ、なんて呑気な事を考えていた。

 見たところ、多分ディアさんは私達やルビアさんとそう年齢は変わらない。多分二つか三つ上なだけだと思う。だけど彼女の佇まいはもっともっと年長の人のようなものを感じさせる。私では、あと数年でこんな風に余裕を持つことは出来ないだろう。

 

「マリアちゃんもありがとうね」

「へ?え?な、なんで……」

「ルビアのこと、君が気にかけてくれてたんじゃないか?」

 

 その言葉に驚愕したのはルビアさんだった。目を見開いて、ディアさんを凝視している。ディアさんは膝に乗っている猫を撫でながら話を続けた。

 

「ちょっと前にルビアの日記を覗き見しちゃってさ、その時にルビアのことを気にかけてくれた子と、その後ルビアと決闘した子がいるってのを知ったんだ。多分二人のことだろ?」

 

 ディアさんの言葉に、私とリンディちゃんは肯いた。まさか日記に書かれているとは思わなかった。今のルビアさんの様子を見る限り、やっぱりあまり良い様には書かれていなかったのだろう。普段の勝気な雰囲気は鳴りを潜めて、ワンピースをギュッと握って震えながら俯いている。

 

「ご、ごめんなさっ「別に怒ってはないよ」っ!」

「でもちょっとお説教な。ごめんな二人共、俺が奢るから店長に好きなもの頼んできな」

 

 ディアさんにいくらかお金を渡される。迷惑をかけたのに流石に貰えないと断ろうとしたが、それを言う前に彼女はルビアさんと向き合っていて、とても話しかけられる雰囲気じゃなくなってしまった。 

 仕方なく、私達は彼女達から離れて店長さんに初めの予定通りアップルパイを頼んだ。しかしいざそのアップルパイに手を付けようとしたところで、リンディちゃんが話を切り出した。

 

「ねぇ、マリー」

「ど、どうしたの?」

「あの子、あんなにしおらしかった覚えはないのよ」

 

 リンディちゃんに促されて視線をルビアさんに向ければ、彼女はディアさんに抱かれて涙を流していた。学校で見る彼女とはまるで違う姿だ。その姿は家族に甘えている、というだけでは説明がつかない程のものだ。

 

「………あの子がああして私達を遠ざけようとしたのは、私達のやった事があの子の中のトラウマか何かに触れたからかもしれないのよ。それなら、悪いのは私達なのよ」

「う、うん……」

「それなら、私達はあの子に───」

「謝る必要はないよ」

 

 その声に振り向くとディアさんが立っていた。彼女の腕には眠っているルビアさんがお姫様抱っこにされている。

 

「聞いた感じはルビアの対応は悪かったし、君達の行動は善意からだろ?それに、ルビアの事情なんかわかるはずもない」

「やっぱり、ルビアは何かトラウマが……?」

 

 リンディちゃんが不安気な表情でディアさんに聞く。するとディアさんはルビアさんに目を向けながら、信じられないことを言った。

 

「さぁ……俺も、ルビアと会ってようやく二ヶ月経つぐらいだからなぁ……」

「え!?」

「……とても会って二ヶ月程度の関係には見えないのよ……」

 

 ルビアさんを見るディアさんの目は、明らかに家族を見るものだ。先程までのルビアさんに対する態度も、彼女の姉としか思えないものだった。しかしだからこそ、彼女達がただならぬ何かを抱えていることが見て取れた。

 店内には他の客はおらず、店長さんも厨房にいて今はこの場にいない。しばらく、この場を沈黙がこの場を沈黙が支配した。そして、その沈黙を破ったのはディアさんだ。

 

「二人に、お願いがある」

 

 一通り話を聞いた私達は彼女の願いを聞き入れた。

 

 

 

 

 

 

 その願いが私達の運命を左右することになるのは、もう少し先の話だ。

 

 




リンディちゃんはツインテ貧乳です。

よろしければ感想、評価よろしくお願いします。

評価バーが戻るまで失踪します(脅迫)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。