過労死ワイ、戦いを全力で避けた結果怠惰の魔神扱いされる。 作:シーボーギウム
最近、コロナのせいで外にも出れず暇オブ暇なもんで漫画ばっか読んでます。そのせいで2次創作が書きたい衝動に駆られつつ書いたら書いたでこっちの更新が滞るのが目に見えているせいで踏み切れないジレンマ。
まぁ多分書いても多分エタるがな!!
誰か書いてくんねぇかなー(他力本願)
暇なので初投稿です。
□月♭日 晴れ
今日、ルビアの同級生と会った。
ルビアの日記を読んでしまった時に知ったことだが、あの子は人との関わりを必要ないものとして切り捨ててしまっているらしい。今日来た二人のことも取るにたらないとしていたようだ。
そんなわけで、ルビアに説教をして、今日来た二人、マリアちゃんとリンディちゃんには一つお願いをしておいた。まぁ説教もお願いも簡単なものだ。ここでわざわざ書くほどでもない。
それと一つ疑問に残ったことが
やめておこう
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□月∇日 晴れ
俺も図書館で勉強を始めた。正直怠い。だが、理由は知らないがルビアが強くなろうとしている以上、俺だけ怠けて何もしないではいられない。それに、聖騎士ラバルドのこともある。
ただ、中々救いようのないことがわかった。
俺が今使えるのは怠惰と慈悲の魔力に相性の良い樹木魔法と、いくつかの生活魔法と言われる魔法だ。そしてこれらは全て転生特典で俺の肉体に使い方とその感覚を直に叩き込まれているため、習得するまでの過程というものが存在しない。そのせいで俺は魔法を習得するという感覚がわからないでいる。元々使える魔法に関しては調べた感じかなり高いレベルで使えるようだが、新しく魔法を覚えるのが極端に難しくなっている。なまじ元がこの世界の住人なわけじゃないせいで普通の感覚がわからないのだ。
転生でこんな弊害が出るとは思わなかった。解決策を見つけないといけない。
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□月♯日 雨
今日、図書館で親切な人に出会った。行き詰まって頭を捻っていた俺を見兼ねて声をかけてくれたらしい。バルトという名前の、黒髪黒目の爽やか系イケメンだ。前世今世含めて一番イケメンである。爆発しろ。
冗談はともかく、彼はどうやらルビアの通う学校の元教師らしく、魔法を教えるのには一家言あるのだという。属性は俺と違うが、修練方法さえ知れば最悪俺だけでもどうにかできるだろうと言っていた。
俺が身に付けたいのは身体強化魔法だ。転生したこの身体はかなり高い身体能力を誇っているが、あくまで普通の人間レベルだ。これが使えるか使えないかで戦闘の時の立ち回り方が大きく変わるだろう。とは言え仮に戦闘になってもルビア抱えて全力逃亡決め込む為に使うのが定石になりそうだが。
一応、魔法の習得は彼のおかげでどうにかなりそうだ。
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□月∞日 曇り
バルトがうちの店に来た。どうやら元々常連だったらしい。最近は仕事が忙しくてこれていなかったが、ようやくここのアップルパイが食べられると笑っていた。
俺達は店長のアップルパイに舌鼓を打ちながら魔法に関して話し合った。
今日、俺はもしもの時の戦闘手段はどうするべきかを彼に聞いてみた。出来る限り戦闘は避けるが、逃げると言っても限界はある。それこそ聖騎士ラバルドやそれに連なる『七聖人』なんかと戦うことになれば確実にいくらか戦わなければならなくなるだろう。
そういうわけでバルトに色々聞いたところ、俺が元々使える樹木魔法の練度を上げるのが一番良いのだとか。変に他の魔法を覚えたとしても、自分が持つ一番多い魔力との相性が悪いと満足に発動しないらしい。
一先ずは樹木魔法を極めることにした。慌てても意味はない。堅実にやっていこう。
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□月◉日 晴れ
バルト曰く、樹木魔法は『最も扱い易く、最も極めにくい魔法』なのだとか。理由は魔法の練度の段階が他の魔法よりもハッキリしていて、またそれの繋がりが薄いことだという。
例えば火炎魔法であれば、どれだけの火力を出せるかで練度が決まる。火炎魔法は自分が扱い切れない領域の火力を出すと自分自身の身を焼くことになってしまう。要するに高火力の炎を操れる程炎の操作が卓越していることになるのだ。
しかし、樹木魔法は練度に明確な段階が示されている。火炎魔法であれば、極論扱える炎の最高温度を上げていけばそれがそのまま魔法の上達に繋がる。だが樹木魔法は一段階目はこう、二段階目はこう、と決まっていて、根本的にはやってることが同じでもその内容はかなり違う。第二段階までは辿り着ける者も多いらしいが、第二段階から第三段階に辿り着ける者はこの国全体で見てもかなり少数なのだとか。因みに俺は第二段階だ。慈悲の魔力では、と枕詞がつくが。
怠惰の魔力の場合はどうなるかわからない。少なくともこの街で試すのはアホもいいところだ。いずれどこかで試せればいいが………
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「ふぅ……」
執務室の天井を仰ぎ見ながら、青年はため息を吐いた。そして、彼の机には無数の書類がある。今のため息は、彼が執務を終えた合図だった。
「お疲れ様です。ご主人様」
「クリスか……それは……なんだ……?」
彼が執務を終えたと同時に部屋に入ってきたメイド、クリスが、紙袋を彼の机に置く。今までであれば置かれたのは紅茶だったはずだ。青年はクリスの謎の行動に僅かに機嫌を悪くしながら、しかしそれは表情には出さず紙袋が何かを彼女に聞いた。
「紅茶の茶葉が入っております。どのみち、これから飲みにいくのでしょう?それならいつもお会いになってる方に淹れていただいた方が、ご主人様もお喜びになるかと思いまして」
「気付いていたのか……?」
「逆にお聞きしますが、私が気付かないとお思いですか?」
不敵に笑うクリスに青年は両手を上げて降参の意を示した。青年は彼女に礼を言いつつその袋を持って屋敷を出た。目指すのは、最近魔法を教えている少女のいる喫茶店だ。
その店は、この街で飲食店が建ち並ぶ大通りから外れた場所にある。人通りは少なく、店の存在を知らなければ店だとも気付かない様な外装だ。しかし見た目は関係ない。その店の品はどれもが美味く、アップルパイに関しては絶品だ。青年は元々、この店の常連だった。少女は青年が仕事で忙しく店に通えていなかった間に従業員となったらしい。
「こんにちはディア」
「おー、こんにちは」
店の前に着くと、そこには椅子に座って本を読む少女、ディアがいた。ふと、青年は彼女が座る椅子に目を向ける。よく見れば、その椅子にはディアの魔力が満ちていた。
「その椅子、自分で作ったのか?」
「え?あぁ、いや、これ自体は店の椅子。操作の練習のために使わせて貰ってる」
「操作の練習……?」
青年の疑問の声に応え、ディアは椅子の脚を操って移動し、店の扉を開けてみせる。その操作練度に、青年は目を見張った。その操作練度は数日前よりもはるかに上達していた。
「凄いな…!たった数日でここまで上達するなんて……!」
「わかりやすい本が見つかってさ」
ひとまずカウンターに座った青年は、持ってきた紅茶の茶葉を彼女に受け渡し、アップルパイを注文し、店長が厨房にいる間ディアに魔法を教える。これが青年がこの店に来た時のいつもの流れだった。少し違ったのは、茶葉を持ってきたことと、その茶葉でディアが紅茶を淹れたことだ。
青年はディアが先程まで読んでいた本に軽く目を通していく。
「魔法はイメージ、か……なるほど一理ある」
「イメージするのは得意だからねぇ。魔力の動きにイメージを当て嵌めたら上手くいったんだ」
そう言ってディアは椅子から切り離した木片を手の中で操り、"木"と呼べる姿まで変化させる。それまでの魔力の操作に淀みは無く、迷いもない。樹木魔法は扱いやすい魔法だとは言え、ただの木片から木を作り出すというのはかなり卓越した技量がなければ為し得ないことだ。
「戦闘の為の魔法の操作に関しては、そこまでできれば教えることはもう無いな」
「イエーイ」
気の抜ける声で喜ぶディアに苦笑しながら、彼は紅茶に舌鼓を打つ。
穏やかな時間だ。青年にとって、この時間はとても貴重なものだった。青年の仕事場は執務室だけではない。魔物や、その魔物の肉を喰らって怪物と化した魔獣との戦いの場こそ、彼の本当の居場所だ。
「まだ他に何か知りたい魔法はあるか?あるなら教えるが?」
「うーん……いや、無いかなぁ。生活魔法は大概使えるし、戦闘用の魔法は樹木魔法で充分だろうし」
「樹木魔法はお世辞にも戦闘に向いてる魔法とは言い難いぞ?使われるにしてもメインの魔法としては選ばれるのは珍しい」
「ふふふ、俺の想像力を舐めてもらっちゃ困る!なぁに、ものは使いようだ」
得意げに笑みを浮かべるディアに再び苦笑する。そのまま二人は会話に花を咲かせる。二人は正に、親友と言える間柄になったのだった。
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日が傾き、街が茜色に染まった頃。
「今日はありがとう。また来る」
「ん、俺も楽しかった」
手を振るディアに手を振り返しながら、青年は自身の屋敷に帰っていく。次は何を話そうか、そんなことを考えながら青年は微笑んだ。
しかし、そんな笑みは屋敷の前で待っていたクリスを見て消え失せた。クリスの姿は普段のメイド服の上から鉄製のチェストプレートとガントレットを身に付けていた。腰には剣を携え、右手には盾も持っている。彼女の、戦闘体勢と言える姿だ。
「何があった」
「ここより北のライゼン山よりワイバーンの群れが迫ってきています」
「数は」
「推定50体程です」
「あとどれ程でここに辿り着く」
「半刻程かと」
「充分だ」
青年はクリスが持っていたもう一つの剣を受け取り、そのまま北門へと向かう。
「民への避難勧告は必要でしょうか?」
「必要ない」
「他の騎士への命令は?」
「死骸の処理の準備をしておくよう伝えておけ」
「かしこまりました」
一礼し離れていくクリスを尻目に青年は北門から街の外へ出る。彼は身体強化の魔法を起動した。身体中の筋肉が、骨が、神経が強化され、五感は異常なまでの鋭さを手にする。その強化された視界に、空を飛ぶ怪物の群れを収めた。
「さて」
剣を構え、怪物共を見据える。黒い瞳が
「ふっ!」
青年が短く息を吐くと同時に、地が爆ぜた。それはただの踏み込みだ。しかしそこには人体を軽く四散させるだけの威力が込められていた。彼の足跡はその全てが爆発したような跡を残していく。
そして、ワイバーンの群れが強化抜きでも目視出来る程の距離になった頃、一層強く踏み込んだ彼は凄まじい速度で空に舞うワイバーン達に突っ込んでいく。
(特別強い個体もいないか)
青年は上から向かってくるワイバーンを足場代わりに蹴り、他のワイバーンへ斬りかかる。蹴られたワイバーンは胴体が爆ぜて絶命し、斬られたワイバーンは左右に真っ二つになった。そしてその死骸を足場代わりに、再び他のワイバーンに斬りかかる。その時点で、本能から勝てないと理
解し逃げようとする個体もいたが、それすらも一瞬の内に切り捨てていった。
僅か数秒、たったそれだけの時間で、青年は50体近くいるワイバーンの群れを全滅させてしまった。
(あいつらは……来てるな)
ようやく着地した彼は、街の方から自身直属の騎士が来ていることを確認した。
「騎士団長!遅れて申し訳ございません!」
「気にするな。悪いが、死骸の処理を……っ!」
即座に、青年は背後に現れた巨大な気配を感知する。見れば、ワイバーンが来たのと同じ北から一際巨大な竜が飛んできていた。その威容に、騎士の一人が驚愕の声を上げる。
「ブラックワイバーン!?何故あんなのがこんな所に!?」
ブラックワイバーン。見た目だけで言えば、先程青年が殺したワイバーンをそのまま大きくし、体色が黒くなっただけだ。しかしその強さはワイバーンとは格が違う。
「全員僕から離れろ!!」
「「「了解!!」」」
青年の声に従い騎士達が青年から離れていく。しかしただ一人、先程声を上げた騎士は逃げようとしなかった。その騎士を別の騎士が叱責する。
「おい新人!!何やってんだ!!?早く離れろ!!」
「待って下さい!いくら騎士団長でもあの化け物を一人では……!!」
「いいから早くしろ馬鹿野郎!!
「へ?」
新人の騎士が気の抜けた声を出すのと同時に、青年を中心に魔力が吹き荒れる。しかしそれは一瞬で青年の持つ剣に収束していく。そして更にその魔力は鋒へ集中し、藍の球体を作り出した。それは、勤勉の魔力が得意とする流水魔法、その極致の一つだ。
「
青年は口腔に業火を溜めるブラックワイバーンに、その鋒を向ける。
「よく見とけ新人」
「え?」
新人騎士に先輩にあたる騎士が言う。
「騎士の身でありながら流水魔法を極め、帝都に迫る万にも及ぶ魔物の軍勢をたった一人で
業火が放たれる。それに呼応して、鋒の球体が消えた。
「あれが帝国最強」
何かに貫かれ、業火が霧散する。そして次の瞬間、
ドゴォォォォォン!!!
ブラックワイバーンは内側から、藍色の魔力を帯びた水によって、四散した。
「
年若い騎士の心に、英雄の名が刻まれた。
因みに今のディアじゃブラックワイバーン君には敵いません。片翼吹っ飛ばす位はいけますが。
暇じゃなくなるまで失踪します。