神の星と星の神   作:D・ヒナ

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TIPS
『セイクリッド・スピカのキャラ設定』
現在登場している『セイクリッド』の中では、唯一の女性。
性格は姉御系キャラ。面倒見がいい奴。


ep3

三好夏凛()の生活は、かなり変わっていたと思う。

小さい頃から、勇者としての生活をして、勉学に励み、武道を学んできた。

そして、私は無事、勇者となり、バーテックスを打ち倒し、功績をあげた。

しかし、それ故に、私は人々とはかけ離れており、人との接し方も分からなかった。変なのは分かっている。きっと、ずっと、変な人でいるのだろうと思った。

でも、そうじゃなかった。私は勇者と出会い、風先輩に、樹に、東郷に、そして友奈に出会った。彼女らのおかげで、私は、普通な人になれそうであった。でも、その分、私の生活に普通じゃないものが入ってきた。それが…

「今日はもう終わりか?」

目の前で余裕そうに浮遊している、「星の騎士」だ。

時は遡り…

 

放課後・部室

 

「今日は何もありません!という訳で、解散!」

風先輩が思いっきり叫んだ。ここまで勢いよく言われると清々しいわね。

「ええー!?依頼が何も無いんですか?」

友奈が少し悲しそうな顔をする。

「そーよ。ホームページも更新しちゃったし…。兎に角、やる事がありません!」

「そっか…」

「そう暗い顔をしないで、友奈ちゃん。依頼が無いって事は、困ってる人が居ないってことよ」

「……あっ、そっか!」

東郷の言葉で、友奈の顔がパっと明るくなる。本当に言葉の意味を理解したのかしら?

「じゃあ、私達は帰ります!さようなら!」

「さようなら」

友奈が東郷の車椅子を押して、部室から出ていく。やっぱり、アレの背中は気に召さなかったらしい。

「さてと。私達も帰るわよ」

「うん。分かった。

犬吠崎姉妹も帰る準備をし始める。

「…うん?夏凛。部室閉めちゃうから出てね」

いつの間にか荷物をまとめた、二人が扉の前に立っている。早いわね。

「あ、うん…」

「あれ?もしかして、寂しくなっちゃった?」

風先輩がニヤニヤしながら私をからかってくる。

「そっそんな訳ないでしょ!?私が寂しいなんて思う訳ないじゃない!」

「ホントかねぇ?」

そんなこんなで、私達は部活を終え、帰路に就いた。

 

夕方・私の部屋

 

「………」

何もしていない。

皆と会話をしていない。

その事がとても苦しかったのだと、思い知らされる。よく耐えてたな、昔の私。

「…お疲れ様。勇者様」

いつの間にか、人の姿になっていたスピカが、私に声を掛ける。それだけで、私の心は、幾分か落ち着いた。

「…ありがと。そっちもお疲れ様」

「…ああ」

スピカの素っ気ない返事で、会話が終わる。…あの賑やかさが、懐かしい。

「「………」」

部屋が静寂に支配される。

寂しい、悲しい。

「…体でも動かすか?」

ふいにスピカが声を出した。

「…ええ!暇な時はトレーニングよ!」

私は体を起こし、ベッドから抜け出し、木刀を掴み、部屋から出た。

 

夕刻(さっきよりは時間が経っている)・浜辺

 

「ふっ!ぜやぁっ!」

私はいつも通り、自転車で海に来て、木刀を振るった。

「………」

そんな私をスピカはじっと見つめていた。っていうか、私、スピカの事すっかり忘れてたけど、どうやってついてきたの?まさか、走って?

「…そこ、振り向く時。隙がある」

「えっ?」

「いや、ただの戯れ言だ。気にしないでくれ」

「気にするわよ!もっと細かく言いなさい!」

「…はぁ」

その後、スピカは私の演舞の癖や、振りの隙をたっぷりと私に教えてくれた。

「…全部当たってるわ…」

「…どうする?なんなら、私が稽古をつけてもいいが…」

「ええ!お願い!私に剣を教えて!私を強くして!」

「…ああ、分かった」

 

夜・浜辺

 

「はぁ…はぁ…」

もう無理…動けない…

「今日はもう終わりか?」

スピカが余裕そうに訊いてくる。っていうかアンタ浮いてない!?…バッチリ、浮いてるわね

「今日は…終わり」

「…そうか」

スピカが残念そうに答える。あのね、あなたは良くても私はもう動けないの!

「…今日はありがとう」

「え?」

へばっている私の横に座りながら、スピカが私に感謝の言葉を言った。え、何で?

「昔の事を思い出せた。とても楽しかった」

「…その昔の事って、アンタ達が変な力を持ってたり、アンタが浮けたりするのに関係してるの?」

私は気になって訊いてしまった。ちょっとまずかっただろうか。

「…ああ。そういえば、まだ話していなかったな」

「…何を?」

私は何とか、座って、スピカの話を落ち着ける体制で聞く。

「私の、私達の過去だ」

「………」

その冷たくて、悲しい声を前に、私は黙ってしまった。

「…私達、『セイクリッド』は、本来、死んでいるべき存在なんだ」

「え?」

「私達は、『ヴェルズ』との戦いで力を使い果たし、その状態で皆の為に、『神』と戦ったんだ」

「…神と?」

私はいきなりの話に驚くしか出来なかった。話に出てきたヴェルズが何者か分からなかったけど、それ以上に神と戦ったという事が気になった。

「そう。私達は親に逆らったのさ。第一、血縁関係はないがね」

「………」

「その戦いで、多くの事を知り、多くのモノを失った。そこには、私が稽古をつけた奴も居た」

「…なんか、縁起悪いわね」

「…おっと、失礼。……あの時は楽しかった。戦いの渦中であるにも関わらずだ」

「呑気なの?それとも戦闘狂?」

「…口が悪いね。…ともかく、あの日々は忘れる事は無いだろう」

「ふーん…」

「だが、私達の戦いは終わっちゃあいなかった。ハッピーエンドにはならなかったんだ。でも、私達には、戦える程、力は残っていなかった。だから、力を残った者達に託し、私達は、散った」

「…………」

「だから、こうして、また稽古がつけられるのが、とても嬉しい」

「…そ」

「冷たいね。…さて、もう遅い。帰ろう」

そう言ってスピカは立ち上がった。

「はぁ…。帰るか」

私は木刀を袋に入れ、背負い、自転車に乗った。

 

夜(さっきよりは時間が経っている)・私の部屋

 

「…たまには、自分で作ってみるっていうのも…」

私は、水だらけの冷蔵庫で、目立っている材料たちを取り出した。風先輩は家で料理を作ってるっていうし、東郷は、牡丹餅をいつも部室に持ってくる。私も、皆と同じような事がしたくなった。

「ふむ。勇者様の、料理の腕はいかほどかな?」

「…成せば大抵なんとかなる、よ!」

私は、水を入れた鍋に、カット野菜、小間切れ肉、うどんをぶち込んで、コンロのつまみを回した。

「…これで、煮込めば何とかなる!」

私にかかれば、料理なんてチョチョイのチョイよ!

「あっ、そうだ。これも入れれば!」

「!?」

サプリを入れればもっと美味しくなる!うんうん、よく気付いた、私!

「あ、そうだ。油も体にいいのよね!」

「!?!?!?」

オリーブオイルを忘れるなんて、私もまだまだね!

「…折角だし、新しい分野にも手を出してみようかしら?」

 

夜(さっきよりもちょっと時間が経っている)・私の部屋

 

「…いつものと同じね」

私は、うどんをすすった。…べちゃべちゃ。

「これじゃインスタントに少し身が付いただけじゃない」

やっぱり、いつもので良かったわね

「…これは、ある意味。逸材だ…」

何故か、疲れ切ったスピカが、何かを呟いた。

「…スピカも食べる?」

「いや、いい。そもそも我々は食べなくていい種族なのでな」

ああ、そうだった。忘れてた。

にしても、食べ物を食べなくていいっていうのはどんな感じなのかしら?




TIPS
『セイクリッドの体のアレソレ』
食べなくていいです。便利だね。
出さなくていいです。便利だね。
性欲?そんなもん無い。
唯一、睡眠は必要です。不便。
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