『セイクリッド・カウストのキャラ設定』
レオニスと同じく、真面目系キャラ。
下半身が馬なので、それでよく誰かを運んでいる。人力車かな?
レオニスに比べ、少々落ち着きがある。
私の家は何故か、とても大きい。それこそ、車を何台買っても、そこまで損害な無い程度には力がある。
そして、私にも文字通りの「力」があった。勇者として、戦い、敵を討つ事が出来る。どうして私なのか分からないが、私にはそんな力がある。
でも、そんな私にも、病気?…には勝てなかった。実際には事故による後遺症なのだけど。足を失い、記憶も失い、私は真っ白なのか真っ黒なのか分からない状態で中学生になった。
正直、私はどうしてこんな運命に遭ったのか分からない。他の人と同じように食べて、他の人と同じように寝て、他の人と同じように楽しみたかった。
でも、それは叶わない事だ。何故なら私は、勇者だからだ。勇者だから、普通の人のように、臆病になれないのだ。なってはならないのだ。
「…何を、書いているんだ?」
「…『勇者御記』です。私達は、勇者である以上、こうやって日誌を書かなければならないのです」
「…そうか」
私達は、この未知の騎士を、『星の騎士』を前にしても、怯える事は許されない。
早朝・私の家
「………」
私はいつも通り、朝食を作る為に、目を覚ました。
「………!」
「………!?」
「………」
訂正、今回は騒がしい騎士共のおかげで目が覚めたようだ。
「ふっ…」
私は車椅子に乗り込み、襖を開ける。
「…貴様、ここまで勇者様の世話になっておきながら、ここを抜け出すというのか!?」
「当たり前だ。やっぱり、こんなガキが勇者な訳ないだろ。俺はここを出るからな」
「…またか」
襖の先で、馬鹿共が騒がしく論議を行っていた。
「…何をしているの?」
「げっ」
「…勇者様。この者がここを出ると言って聞かないのです」
「………」
「…好きにさせてはいかが?」
「…分かりました」
今、私は少々、虫の居所が悪い。面倒な事は勝手にやってくれ。
「………」
アンタレスが私を睨みつけてきたが、そんなモノは気にしない。私は悪くないのだから。
朝・門前
「おっはよー!東郷さん!」
「おはよう、友奈ちゃん」
友奈ちゃんが私を迎えに来てくれた。相変わらず、かわいい。
『…また、アンタレスと喧嘩をしたのですか?』
友奈ちゃんのポケットから声が聞こえる。忌々しい甲冑め。
「…ええ。あの者が、ここを出ると言い始めまして。と、いっても、今に始まった事では無いですが」
アンタレスがこのような事を言ったのは、今日が初めてでは無い。きっと今回もいつも通り、詐欺だろう。
『そう…ですか』
「あー…。みんな仲良くしようね!」
友奈ちゃんが気を遣って、明るい事を言ってくれた。ありがとう、友奈ちゃん。
「さて!今日も学校にレッツゴー!」
そう言って、友奈ちゃんは私の後ろに立って、車椅子を押してくれる。大好き、友奈ちゃん。
朝(先程より、幾分か時間が経っている)・校門前
「おはようございます!風先輩!」
「おはようございます」
友奈ちゃんが校門前で偶然会った犬吠崎姉妹に挨拶をする。私もそれに続いて挨拶をする。
「おはよう!今日も元気そうね!」
「はい!結城友奈は健康そのものです!」
「ははは…」
元気な友奈ちゃん…眩しい…!
『なぁ、嬢ちゃん。アンタレスはどうしたんだ?』
風先輩のポケットから声が聞こえる。おそらく、カストルだろう。
「…あの人なら、家ですが」
『…そうか。いや、俺の杞憂かもしれねぇ。気にしないでくれ』
「ちょっとカストルゥー。いつにもなく真面目じゃなーい」
『ん?ああ、うん』
カストルが歯切れの悪い返事をする。もどかしい。
「さて!お喋りもここまでにしましょう!じゃあねー」
「あっ!お姉ちゃん待ってよー」
犬吠崎姉妹が自転車を押して、校門を通っていく。
「私達も行こうか!」
「そうね、友奈ちゃん」
私達も校門を通る。
昼休み・勇者部、部室内
「ねぇ、アンタレスと何かあったの?」
実体化したスピカが私に訊いてくる。今、部室には夏凛ちゃんと、友奈ちゃんと私の三人しか居ない。
「あの馬鹿が、勇者様の下から離れるとぬかし始めたんだ。ま、いつもの戯れ言だと思うがな」
実体化したカウストが嗤うような口調で説明する。に、しても今日はよく彼について訊かれるわね。
「ふーん。だといいけど。なにせアイツ、『さそり座の男』だからねぇ。何かしでかさないといいけど」
アンタレスがそう言って笑う。正直それは、あまり笑い事になっていない。
「まぁ、何かあれば俺達で止めるさ。二人がかりなら、勝てない事も無い」
「ふーん…。ここに来てからは君達が戦った所を見た事は無いが、私の記憶通りならあの時は一回も勝てなかったのではないか?」
「…黙れ。今回は負けんぞ」
…正直、かなり不安だ。
「ちょっとお二人さん。そろそろ時間なのだけど。早くカードに戻って頂戴」
夏凛ちゃんが痺れを切らして、二人を急かした。
「ああ、済まない。すぐ戻る」
「では」
二人の体はカードになり、私達の手に戻ってくる。
「さっ、早く行きましょ」
「…うん」
友奈ちゃんに暗い顔をさせてしまった。今日はこれ以上ヘマをしないよう気を付けよう。
放課後・畑
「いつの間にか始まってた中庭ガーデニング計画、第二だーん!肥料を作ろーう!」
中庭に集まった私達は、風先輩のうるさい声で今日も勇者部の活動が始まった事を知った。
「肥料…、ですか?でも、ここ学校ですよ?農家の人に機械を借りれないですよ?」
「ふっふーん。調べて分かった事なんだけどね。実は、私達でも普通に手に入るモノで、肥料って作れるみたいなのよ」
「ええー!?じゃあ、あの時、あの長い道を歩いたのは!?」
「あー…。ま、まぁ、これも一つの経験よ」
風先輩の言葉で夏凛ちゃんが驚いている。私も、冷静を装うとしているが、うまくできているか分からない。だって、あの日は朝早くに起きて、生ごみを持って、そこそこ遠い農家の方の所まで歩いていったのだ。私は構わないが、友奈ちゃんにそんなことをさせるのは、相手が風先輩といえど、許容し難い。
「さてさて。おーい、甲冑共!用意は出来たかー!?」
風先輩はいきなり、入り口に声を掛けた。…何か、聞こえる。足音…?
「…勇者様…、さすがにこの量は…」
「重い…。重いのは…、愛だけでいいぜ…」
えっ何あれ?すっごい大きいビニール袋が二つもやってくるんだけど。
「よーしよし、よく頑張った」
そういって風先輩は、袋の下からやってきたレオニスとカストルの頭を撫でた。
「…これを、全部?」
樹ちゃんが、恐る恐る訊いた。そりゃ、そうなるわよ。こんなの見せられて。
「そうよ。大丈夫よ!今回は、この人達にも協力してもらうからね!」
そう言って、風先輩は懐から小さなケースを取り出した。今回から、カードはダンボールじゃなくて、ケースに入れる事になりました。
「さーて。出てらっしゃい!」
「…相変わらず、眩しいね」
友奈ちゃんが呟いた。うん、それは私も同感。毎回眩しい。
「兄さん!大丈夫!?」
「おお…、ボルクスか?…あとは…頼んだ」
「兄さーん!」
「うわっ…、何だこれ?」
「………」
一斉に出てきた四人が、色とりどりの反応を示す。これだけ人手があるなら、問題は無さそうだ。
「…で、まず何をするの?」
夏凛ちゃんが話を切り出した。よくやった。
「おお、よく聞いてくれた!…まず、この中身を小間切れにします」
「…へ?」
何を言っているの?小間切れ?
「いや、この間アンタレスが暴れたじゃない?でも、その力もうまく扱えばなんか上手い事行くと思って…」
「ああー…。それで、みんなを」
「…つまる所、私達は雑用係という訳だね?」
スピカが面倒そうに訊いた。
「まぁ、そう言えば、そうね。…もしかして、アンタレス以外、出来ない感じ?」
風先輩が、ちょっと冷や汗を垂らしながら一行に訊く。ちょっと珍しい。
「いや、我々とて、何も出来ない訳ではない。たまには勇者様の役に立たなければ」
「…まぁ、そうだね。アクベス、やるよ」
「御意」
おお、三人が先頭に立ってみんなをリードしてる。頼もしい。
「おう、頑張れー」
「…幸運を」
あれ?スピカとカウストは壁に寄り掛かったり、座ったりしてる。しないの?
「ちょっと!そこは流れ的に、お前らも手伝う感じだろ!」
倒れていたカストルがツッコミを入れた。たまには普通の事も言うじゃない、チャラ男。
「いや、私達の得物では、そのゴミを全て吹き飛ばしかねんのでな」
「えっ!?吹き飛ばす!?」
友奈ちゃんに怪我をさせる所だった。己のミスを後悔した。
「じゃ、行くよ!」
「ふっ!」「ぬん!」
アクベスの大きなハサミが金属音を立て、ボルクスが剣を抜き、レオニスが…指から何か出てるんだけど、爪?を出し、三人は、袋に向かってそれらを振るった。
「……何も起こって無いじゃない」
夏凛ちゃんが言った通り、目の前の二つの袋は、そのままの形を保っている。まさか、コイツら、ナマクラを振るったのではあるまいな?
「………」
レオニスが、袋に指でちょんと触れた。
ドサァと大きく音を立て、それは小間切れになった。
「「「「おおーー…」」」」
地味な女子の歓声が上がる。私も、これには驚いた。
「さ、次に参りましょう。勇者様」
そして、平然とした様子で我々に声を掛けるのだから、少しかっこいいと思ってしまった。
夕方・校門前
私達は、あれからしばらくゴミをバケツに詰めたり、風先輩が家庭科部から貰ってきた米ぬかをそこにぶっかけたりする行為を、数時間続けた。
「これで、しばらくは放置で良い筈よ。お疲れ様、今日はもう帰っていいわ」
風先輩の言葉で、私達は解散した。
「…~~!…~~!」
けど、それを携帯が邪魔をした。
「…出ないのですか?」
カウストが私に訊いてくる。
「ちゃんと出るわ。ありがとう」
懐から端末を取り出し、液晶を見る。そこには『大赦』の二文字があった。
「…はい、こちら東郷美森。どうしました?」
私はいつも通り、大赦との会話を始める。
「星の騎士が一人、『壁』へ向かっております。それと同時に、未確認エネルギーの膨張を確認。おそらく、その騎士のモノと思われます。至急、騎士を拘束してください」
相手が話している壁とはおそらく、バーテックスを生み出すウィルスを防いでいる神樹様の作った海上にある防壁の事だろう。確かに、壁に何かあってからでは遅い。大赦の判断が迅速な所は好きだ。
「…移動手段の支援は出ますか?」
「事を大きくする事は、人々の不安を煽ります。支援は出来ません」
チッ、無能め。…しかし、理由は理にかなっている。
……海上で、支援無し。遠距離攻撃の私にしか出来ない任務という訳か。
「分かりました。東郷美森、出撃します」
そう言って、私は電話を切った。
「…大赦の人、何て言ってたの?」
「私に出撃してって。丁度、部活も終わった所で良かったわ」
「だったら私も手伝うよ!一人よりも二人の方が…」
友奈ちゃんは私を気遣って、言ってくれているのだろう。しかし、今回の戦場では残念だが彼女は足手纏いだ。
「ごめんね、友奈ちゃん。今回は私にしか出来ない事なの」
「……そっか。意味はよく分からないけど、東郷さんがそう言うんだから、そうなんだね」
友奈ちゃんがしゅんとしてしまった。明日はうんと美味しい牡丹餅を作っていこう。
「じゃあ、行ってくるわね」
「うん、行ってらっしゃい」
「…カウスト、お願いしてもいいかしら?」
「どうしました?勇者様」
「私の足になりなさい」
正直、あまり頼りたくない相手だが、樹海化されていない今、勇者システムを使用すれば目立ってしまう。それだけは避けなければ。
「…了解致しました。どうぞお乗りください」
そう言って、カウストは私を掴み、彼の後ろに乗せた。
「…急ぎなのでしょう?」
「ええ、出来るだけ早くお願い」
「分かりました。しっかりと掴まっててくださいねっ!」
その言葉が終わると同時に、カウストの体がグインとうねり、周りの風景が流れていった。それと一緒に私の体も振り落とされそうなったが、そこは彼の実力といった所だろうか。うまく下半身を操作し私が落ちないようにしてくれた。
「…スピードを上げた方がいいですか!?」
「ええ!お願い!」
また彼の体が早くなった。…さすがにここまで速いのならば、勇者システムを使用した方が、まだ騒ぎにならなかった気がする。
夕方(先程より、幾分か時間が経っている)・浜辺
「…居た」
私は照準器の先に居る、『星』を見ながら呟いた。
「…撃ちましょうか?」
カウストが自身の
「下げて。まずは話をさせて」
私はそれを言い終えると同時に、私の得物を下げた。
「ですが、どうやって話をするのです?拡声器でも使うのですか?」
カウストが不思議そうに訊いてくる。
「あそこまで行くのよ」
そう言って私は『精霊』を三体、出現させた。
「…それの正体はよく分かりませんが、それで向こうまで行けるのですね」
「ええ。…頼むわよ」
私が三体に言うと、三体共、静かに頷く事で返事をした。
『精霊』。それは、勇者システムに搭載されている、勇者の保護システム。彼らには自我があり、基本的には、私達勇者に協力的だ。彼らには実体があり、モノに触れる事も、喰らう事も出来る。その実体を利用すれば――
「ふっ!はっ!」
このように、足場にして海を渡っていく事も出来る。
と、言っても、これは精霊を三体持ち合わせている私にしか出来ない荒業なのだが。
夕刻(”)・壁
「クソッ!クソッ!」
壁の上で、アンタレスは、見えない“壁”に向かって攻撃していた。正しくは、結界なのだろうが。
「何をしているの?」
「おお、ユーシャさん!見ての通り、壁の向こうに行こうとしてるのさ!」
そう私の問いに答える彼の目は血走っていた。
「ずっとやっているの?」
「ああ、そうさ!アンタ達、勇者カッコカリに代わって俺が敵をぶっ殺す為にな!」
「…私達がそんなに信用出来ない?」
「ああ、そうとも!信用出来ないね!ドイツもコイツも平和ボケしやがって!どうしてこの国から出ようとしない!?戦える力があるんだったら戦えよ!」
彼の言葉はもっともだった。だが、何処かで、間違えていた。
「…私達は、平和ボケなんてしてない。確かに前はそうだったかもしれないけど、今は違う」
「どう違うってんだ!?あんなに喧しく、嬉しそうに笑いやがって!すぐそこで敵が口を開けてるってのによぉ!?」
「私達は、勇者としての覚悟を持って、お勤めに…」
「ああ!?覚悟だぁ!?そんなチャチな覚悟で守れたら誰も苦労しねーんだよっ!クソがっ!」
彼は叫びと同時に、さっきまで振るっていた縄についた矛を私に投げた。
「くぅっ!」
精霊のバリアがあるけれど、やっぱり怖い。
「…怯んだな…?」
「…えっ?」
「怯んだなクソったれが!やっぱりテメェらは勇者なんかじゃねぇ!ただのクソッたれだっ!」
彼の振るう矛は精霊の盾をどんどん傷つけていく。実際には傷は無いが、精霊のエネルギーはどんどん無くなっているだろう。
「なぁ!?お前らに分かるか!?どれだけ覚悟をしても、勝てなかった奴の気持ちが!どれだけ犠牲を払っても、守れなかった奴の気持ちが!」
「えっ?」
「俺達は確かに、生きた。だが、他の奴はみんな死んだ。みんなだ!俺達は守れなかったんだ!それでも無様に生きてたんだ!それがどれだけ悔しいか!どれだけ悲しいか!お前に分かるか!?」
そう叫ぶ彼の目からは、涙が溢れ出ていた。彼の鎧は黒くくすみ、ひび割れていた。彼の矛の先は欠け、ひびが入っていた。
「お前には分からないだろうな!何も!何も大切なものを失った事が無くて、無邪気に笑っていられるお前にはなぁっ!」
「…………」
「どうした!?遂に腰が抜けたか!?ああ!?」
「…何も…、失わなかった…、ですって…?」
「もっと大きく言いやがれボケッ!」
「何も失わなかった訳ないじゃない!」
あれ?私は何を言ってるの…?
「私の友達はあの時、体のほとんどを失った!私は記憶を失って戦いから跳ね除けられた!」
おかしい。頭が痛い。止まらない。
「私の友達は…、みんなを守ってし…」
痛い、とても痛い。無理やり押し込まれている。
「…………………」
「…おい?どうしたんだよ!?」
痛い。痛い。すごく痛い。とっても痛い。怖い。嫌い。苦しい。恐ろしい。おぞましい。憎い。
「ああああああああああああああ!!!!!痛い痛いいたいいたいいいいいいいいいあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
暗い。消える。零れる。埋まる。燃える。散る。
『壁の近くで起こる悪影響』
壁の近くでは、ほんの少しではあるがウィルスが蔓延しているので、
幻覚を見たり、ありもしない事を話したりする者が現れる…らしい。