アロマな日々   作:unko☆star

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DUEL.1 クラフティの巻
その①


「バトルだ!≪剛鬼ツイストコブラ≫で≪アロマージカナンガ≫を攻撃!」

 

金髪の決闘者(デュエリスト)が高らかに攻撃宣言をし、プロレスラーのような姿をしたモンスターが襲い掛かってくる。

 

「と、トラップ発動!【潤いの風】!」

 

 

攻撃宣言を受けた決闘者はおっかなびっくりで(トラップ)カードを発動して対抗する。

彼の名は水谷旭(みずたにあさひ)。ここ、デュエルリンクスの世界では「アキラ」というアカウント名を名乗っている。

 

 

「ライフを1000支払って、デッキからアロマモンスターを手札に加えるよ。僕は≪アロマージベルガモット≫を手札に!」

 

「上級モンスターをサーチしたか。…それで?」

 

「えっと…あー…」

 

アキラは慌てて現在の状況を確認する。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アキラ LP500 手札3 

≪モンスター≫

・アロマージカナンガ ATK1400

・アロマージローズマリー ATK1800

【魔法・罠】

・潤いの風

 

金髪 LP1300 手札2

≪モンスター≫

・剛鬼ツイストコブラ ATK1600

・剛鬼スープレックス ATK1800

【魔法・罠】

なし

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「そうだ、【潤いの風】のもうひとつの効果を発動!自分のライフが相手のライフより少ない場合、500ライフを回復!」

 

アキラLP500→1000

 

「そして、ライフが回復したことでフィールドの≪アロマージカナンガ≫と≪アロマージローズマリー≫の効果が発動!相手フィールドの魔法・罠カードを1枚手札に戻し、モンスター1体の表示形式を変更する!」

 

「俺のフィールドに魔法罠はない。表示形式変更はどのモンスターだ?」

 

「も、もちろん≪剛鬼ツイストコブラ≫だよ」

 

「ふうん…。まあ、仕方ないか」

 

ツイストコブラが忌々しげに引き上げていく。

アキラのフィールドのローズマリーがその背中に向けてあっかんべーをしていた。

 

 

 

「ではバトルの続きだ。≪剛鬼スープレックス≫で≪アローマージローズマリー≫を攻撃!」

 

「え…攻撃力1800のローズマリーを?」

 

あたふたとモンスターの攻撃力を確認するアキラ。先ほども長考していたため、すでに彼の持ち時間はほとんど残っていなかった。

 

(どっちも攻撃力1800、だよね…。相打ち狙い…?)

 

「≪剛鬼ツイストコブラ≫の効果発動!フィールドの剛鬼モンスター1体をリリースし、そのモンスターの攻撃力をスープレックスの攻撃力に加える!俺はツイストコブラをリリース!」

 

「うえっ!?攻撃力3400!?」

 

墓地に送られたツイストコブラのオーラを纏い、スープレックスがまさに“鬼”の形相でローズマリーに迫る。

 

 

 

「なら、罠カード【シールドスピア】を発動!ローズマリーの攻撃力・守備力を400アップ!」

 

『ちょっと!こんな重いもの持たせないでよ!』

 

盾と槍を一体化させたような物々しい武器を手にしたローズマリーが悲鳴をあげる。

 

(これでローズマリーの攻撃力は2200…。カナンガには相手モンスターの攻撃力を500ダウンさせる効果があるから、3400-500-2200=700ポイントのダメージですむ!次のターンにさっきサーチしたベルガモットを召喚して逆転だ!)

 

『アキラさん』

 

カナンガがアキラに話しかけてきた。

その顔には呆れたような表情が浮かんでいる。

 

『なにか手札に握っていませんか?このままだと1200ダメージを食らって負けです』

 

「え?だってキミの効果でスープレックスの攻撃力は2900に…」

 

『……ボクの効果、相手よりライフが多くないと発動しませんよ?』

 

「えっ」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

≪アロマージカナンガ≫

星3/地属性/植物族/攻1400/守1000

①:自分のLPが相手より多く、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

②:1ターンに1度、自分のLPが回復した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。そのカードを持ち主の手札に戻す。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『きゃあああああああああああああああ!!』

「う、うああああああああああああああ!!」

 

ローズマリーが爆散し、アキラの悲鳴が響き渡った――。

 

 

 

 

――――  

――― 

―― 

 

 

『対戦ありがとうございました。どうぞ…』

 

決闘(デュエル)後のお茶会。

カナンガが金髪のデュエリストに紅茶とマフィンを運んできた。

 

「ありがとう。アロマと対戦するのは初めてだったんだが、なかなか面白い動きをするな。…まあ、あの罠発動は余計だった気がするが」

 

『はは…。まだボクたちの効果をよく理解してないみたいで…』

 

口元に苦笑いを浮かべながらカナンガが肩をすくめる。

華奢で小柄な体型から女子に間違われることの多い彼だが、こと料理に関してはアロマ一家随一の腕を持つと言われている。

 

 

 

『そもそも永続魔法罠を駆使して戦うアロマにシールドスピアなんて採用してるのもどうなんスかね?プレイング以前にデッキ構築がクソだと思うっス』

 

「コブラ。言い過ぎだぞ」

 

『忌憚のない意見ってやつっス。文句があるんならいつでも再戦上等っスよ』

 

ツイストコブラがマフィンをグッチャグッチャと貪りながら答える。

 

『それに、あっちのネーチャンも同感らしいじゃないスか』

 

その通り、少し離れたテーブルではアキラがローズマリーから猛烈な叱責を受けている最中であった。

 

 

 

『アンタまだカードテキストも把握してないわけ!?これで20連敗よ20連敗!アタシたちをデッキに入れてから1勝もしてないじゃない!』

 

「うう…。ごめんなさい…」

 

『このバカ!ドジ!へぼ決闘者!アンタの母親はきっと淫売のクソ女ね!』

 

ローズマリーは手に持った杖で地面を叩きながら声を張り上げている。

杖の先からバチバチとエネルギーがほとばしり、彼女のポニーテールを逆立てていた。

 

 

 

「…ありゃいくらなんでもキツすぎやしないか?」

 

『いやあ…。ローズも普段はあんな娘じゃないんですが…さすがに負けがこみすぎたせいでストレスを溜めてしまっているようで…』

 

「…大変だな」

 

紅茶を飲み終えた金髪が席を立つ。

 

「ごちそうさん。フレンド申請出しとくから、気が向いたらまた誘ってくれ」

 

『あ、ありがとうございます』

 

カナンガは渡されたフレンド申請に目を通す。

 

(“g-power”さんか…。次に戦うときは高打点のモンスターをどう処理するかがポイントだな…)

 

 

 

振り向くと、ローズマリーの怒りはまだ治まっておらず、アキラはゴキボールのように身を縮めていた。

 

『ローズ。もうそのくらいにしておきなよ』

 

『うっさいわね!アンタと違ってアタシは毎回鎖付きブーメランだのデーモンの斧だのを装備させられて大変なのよ!なのにこんなに弱いんじゃ怒りたくもなるわよ!』

 

「それは…キミが下級で一番攻撃力が高いから…」

 

『口ごたえすんな!このへっぽこ決闘者!』

 

どん!とローズマリーがテーブルを叩き、その上に載っていたカップから紅茶がこぼれる。

 

『あーっ、イライラする~!!カナ、後片づけはコイツにやらせといて!』

 

肩をいからせて立ち去るローズマリーを、カナンガはやれやれという表情で見送った。

 

 

 

『アキラさん、大丈夫ですか?』

 

「うん…。悪いのは僕だから…。」

 

『あまり気にしないでくださいね。ローズだってアキラさんが頑張っているのはわかっているはずですから』

 

「うん……」

 

飛び散った紅茶と食器をのそのそと片づけるアキラを手伝いながら、カナンガは

(これは重症だな…)

と感じていた。

 

「ごめん…せっかく淹れてくれたのに」

 

『いいんですよ。このあと、一緒にお菓子でも作りませんか?気分転換になりますよ』

 

「うん…」

 

 

 

さて、なにを作れば元気を出してもらえるだろうか――?

カナンガの脳内で様々なレシピが現れては消え、メガネの奥の瞳がきらりと光った。

 




ハーメルンに遊戯王二次創作を放てっ


昔アロマデッキを組んだことがあるんですが、友人と対戦して一度も勝てなかったんですよね…
そんなアロマでもデュエルリンクスでは大活躍で、いろいろと遊んでいるうちに今回のネタを思いつきました

今回、ツイストコブラがリリースされたときにサーチ効果を使っていないけど、話のテンポを優先した結果なんだ
悔しいだろうが仕方がないんだ
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