正義を背負いし者   作:corin7121

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~前回のあらすじ

指揮官頑張った!でも無意味だ!


第十話

「なるほどねー。指揮官にそんな過去があったんだねー」

 

 俺がこの世界にくるきっかけになったオハラでのバスターコールの一部始終を語ったところ、伊勢は一人うんうんとうなづいていた。

 

 まあそれはいいんだよ。ただ俺が気になるのはその手に持ってる酒瓶は一体何だい?

 

「昔話は酒の肴って相場が決まっているだろう?」

 

 決まってねーし。ていうかまだ昼間だぞ。夜中の宴の席で披露したわけでもなくただの身の上話で酒を飲もうとするんじゃない。

 

「誰にでも辛い過去の一つや二つはあるもんさね」

 

 それには同意する。激しく同意するよ。あまりにも辛すぎてトラウマにまで昇華しちゃったけれどな!

 

「こういう時はもう飲むしかないよ!飲んで忘れちまえ指揮官!」

 

「いや、お前が飲みたいだけだろ!?」

 

 こんなくだらない話をしているうちに伊勢のやつ、いつのまにか三本目に突入していやがる。どんだけ飲む気だよ。

 

「伊勢は呑兵衛だから仕方ないのです」

 

「酔うのは重桜一早いくせに潰れるまでが長い。まだまだ飲むぞ、この女は」

 

 駆逐艦の娘達からも呆れられているよ。で、君たちもちゃっかり飲んじゃってるのね。絵面的に大丈夫なのかこれ?

 

「暁たちは飲酒しても問題ないでござる」

 

 ん~。ならいいか。…いいか?

 

「ところでさっきから指揮官は一滴も飲んでいないけど、まさか飲めないの?」

 

()()()()じゃなくて()()()()()()の」

 

 一応まだ勤務時間内だからね?仕事が終わったら飲むけど。

 

「なんだいなんだい!指揮官てばお硬いねー!そんなんじゃ嫌われるぞー!?」

 

「伊勢はそのへんにしておけよ。この後哨戒任務が入っていただろ?」

 

 すでにベロンベロンに酔っているからまともに哨戒してくれるか心配なんだけれど。

 

「あーダイジョーブダイジョーブ!加賀に代わってもらった!」

 

「加賀も哨戒メンバーだったはずなんだがな?」

 

「そーらっけ?よっしゃ!これは気付けに飲むしかない!!」

 

「いい加減にしろよ酔っ払い!!」

 

 さすがにこれ以上飲まれると仕事に支障をきたす、というか既にもうダメそうなのでお酒を没収することにした。

 

「あー!何をするんだ指揮官!アルコールは乙女の燃料なんだぞ!?」

 

「エタノールで動く乙女がいてたまるかってんだ!」

 

「エタノールじゃない!メタノールだ!」

 

 知っていると思うがメタノールは有毒だからな!?間違っても飲むんじゃないぞ!?

 

「いいからさっさと哨戒に行ってこい!!」

 

 これ以上酔っ払いにかまっていられるか!いい加減に仕事しろ!

 

「そーらぞ、しきかん!しごとは~らいひら!」

 

 一升升片手に登場した加賀は千鳥足+呂律も回っていない。お前もか……。

 

「んあ~」

 

「ちょっ!フラッフラじゃないか!誰か水!お水持ってきて!」

 

 倒れそうになった加賀を支えるが、これはヤバい。何がヤバいって着物ははだけかけているし上気していて妙に艶っぽい。原因は酒だけど。

 

 とうよりもここにいる子たち酒に弱すぎないか!?これで赤城や高雄たちまで弱いようだと壊滅するぞ!?酒で!!

 

「指揮官、お水汲んできたデス」

 

「ああ、ありがとう綾波。ほら、これ飲んでしっかりしろ」

 

「ふへ?んぐんぐ……ブ-------ッ!!!!

 

「うおおおおおおおっ!!?どうした加賀!!?」

 

 加賀が水を口に含んだと思ったら盛大に噴き出した。一体何が……

 

「し……しょっぱい………」

 

「へ?……うわ、しょっぱ!!」

 

 水は水でも塩水だったよコレ。それも目茶苦茶濃いぃの。というかこの感じ、もしかして。

 

「綾波。このお水どこで汲んできた?」

 

「ん」

 

 綾波が指した方には海しかない。こいつ海水を飲ませようとしたんか。というか綾波よ、もしかしてお前さん。

 

「酔ってるか?」

 

「酔ってないですよ……ひっく」

 

 うん。こりゃー酔っているわ。どーすんだこれ。まだ昼間なのにこの母港にいるやつの殆どが酔っ払っているじゃねーか。素面なの俺だけか?

 

「長良達、早く帰ってきてくれねーかなー」

 

 現在赤城と明石と愛宕と長良には前回俺が鏡面海域に遭遇したポイントを調べに行ってもらっている。高雄はどうしているか?道場含めて母港を破壊しまくった罰で溜まった書類仕事を任せている。相当な量だからこっちにはこれそうにないだろう。

 

「もうこの際赤城でもいいや。この事態収拾できるなら誰か助けてくれ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!今指揮官様が赤城を呼ぶ声が……!」

 

「気のせいにゃ。初対面で拒絶した人に助けを求めるなんてありえないにゃ」

 

「三味線にはネコ皮を使用するんでしたよね?」

 

「明石はネコじゃないにゃ!!愛宕の刀で明石を捌こうとしないでほしいにゃ!!」

 

「今日も平和やねー」

 

「そうねー」

 

 赤城に追い回される明石を尻目に、長良と愛宕はマイペースで調査を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ---それから

 

「だーかーらー酒のつまみは枝豆なんだって!」

 

「枝豆なんて古臭い!肴は炙った烏賊がいい!」

 

「綾波殿はいつの間に分身の術が使えるようになったでござるか!?」

 

「これは影分身。分身の術じゃないデス」

 

「ならば私は多重影分身を!!」

 

 これ、どうしよう。とりあえず明日からしばらくは禁酒令を出すとしてこの大惨事をどうにかしないと。もしセイレーンが強襲かけてきたりしたら落ちるぞ、ココ。

 

 まあ最悪俺一人でなんとか防衛するしかないんかね。あ゛ーマジで長良達早く帰ってきてくれー!

 

「ただいま戻りましたわ指揮官様。……何なのですかこの惨状は」

 

「にゃー。あちこちに空っぽの酒瓶が転がっているにゃ」

 

「これは…酷いわね…」

 

 とか思っていたら帰ってきてくれた!タイミング抜群かよ、おい!

 

 赤城と愛宕はこの現状に呆れかえり、明石は空になった酒瓶を片付けてくれている。あれ?長良は?長良は一緒じゃなかったの?

 

「…………」

 

 と思ったらちゃんといるじゃん。どうした長良?そんなところでボーっと突っ立って。

 

「し~き~か~ん~♡」

 

 いきなり長良が飛びついてきた。え?何で??何が起きているの????

 

「えへへへ~。し~きか~んだ~」

 

 ちょっと待て。もしかして長良さん酔ってますか!?酔ってませんか!!?

 

「長良はお酒に弱いですから……」

 

「まさか…伊勢!お前飲ませたんか!?お前がまた飲ませたんか!!?」

 

 また伊勢が強引に酒を飲ませやがったな!この前大本営から書類が来ていたけどハラスメントには気をつけろってっこういうことか!?

 

「え~?長良~?まだ出ているでしょー」

 

「もう帰ってきたよ!」

 

 ん?待て待て。そういやさっきから伊勢のやつは加賀と酒のつまみで喧嘩していたよな。となると伊勢じゃない?となれば綾波か?さっきも酔って加賀に海水飲ませやがったし。

 

「zzz」

「zzz」

「zzz」

 

 でも違ったわ。駆逐艦の三人娘は仲良く寝落ちしている。

 

 ……え?それじゃあ一体誰が長良に酒を飲ませた?

 

「指揮官。長良は重桜でも一・二を争うぐらいにアルコールに弱いにゃ」

 

「どれくらい弱いんだ?」

 

「蒸発したアルコールをちょっと吸引しただけで酔うにゃ」

 

 それは弱すぎるだろ!!

 

「しきかーん。アテだけを見てくれんと拗ねちゃう…ゾ?」

 

 あかん。これはあかん。破壊力が迫撃砲並だわ。理性がガンガン撃ち抜かれてますわ。このままじゃ俺の中の野獣が解放されて---

 

「赤城も赤城だけを見てくれないと悲しいですわ」

 

「剃!!!!」

 

 どさくさに紛れて赤城も絡もうとしてきたが気配でバレバレなんだよ。絶対襲うつもりだっただろ!!美味しく頂くつもりだったんだろ!!指揮官怒らないから正直に言いなさい!!!

 

Exactement(その通り)

 

 どこの国の言葉だよ!!!?ここは重桜だろ!!重桜語を話せ!!後やっぱりというか当然というか俺の剃に並走してますね!!?どこの世界でも狐ってこんなんばっかりなんか!!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外が騒がしいな。でもまだ書類は溜まっているし。うぅむ……」

 

 一方執務室で一人書類を捌いていた高雄は下界の乱痴気騒ぎに乗じることなくキビに押し付けられた書類を黙々と捌き続けていた。




次回予告

「幸せそうに、逝っちゃって~」

「ぅおおおおおおい!!?」
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